科学者の給与・年収は?収入の金額は学歴や企業規模によって左右される
科学者と聞くと、自身の興味のある分野や好きな分野に対して実験や研究を行う、自由な仕事内容で多くの収入があると思う方もいるかと思います。科学者は高収入を得ることができる職業なのか、科学者の給与と年収についてご紹介します。
科学者の初任給
学歴によって給与面に大きく差が出る
学歴 | 初年度の年収 | ||
---|---|---|---|
男女計 | 男性 | 女性 | |
大学院卒 | 266.5万円 | 226.8万円 | 220.7万円 |
大学卒 | 224.5万円 | 226.8万円 | 220.7万円 |
高専、短大卒 | 180.6万円 | 181.5万円 | 179.5万円 |
高校卒 | 167.6万円 | 168.2万円 | 165.9万円 |
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によりますと、平成30年の学術研究・専門などの産業においての初任給額は、大学院課程修了であれば男女計では初年度の年収は約266.5万円となっており、12カ月で割りますと月給は約22.2万円前後となっています。大学院卒の男性の初年度の年収は約226.8万円となり月給は約18.9万円前後、女性の初年度の年収は約220.7万円となり月給は約18.3万円前後となっています。
大学卒の場合は男女計の初年度の年収額は約224.5万円となっており、月給換算すると約18.7万円前後となっています。大学卒の男性の初年度の年収額は約226.8万円となっており、月給換算すると約18.9万円前後、女性の初年度の年収額は約220.7万円となり月給は約18.3万円前後となっています。
高専、短大卒は大学院、大学卒の初任給より支給額が低く初年度の年収額は男女計で約180.6万円となっており、男性の初年度の年収額は約181.5万円となり月給は約15.1万円前後、女性の初年度の年収額は約179.5万円となり、月給は約14.9万円前後となっています。
高校卒ではさらに支給額は低くなり、男女計の初年度の年収額は約167.6万円となり月給では約13.9万円前後となっています。男性の初年度の年収額は約168.2万円となり月給では約14万円前後、女性の初年度の年収額は約165.9万円となり月給では約13.8万円となっています。
賃金構造基本統計調査を見ると、科学者の初任給一般的サラリーマンより支給額は低い傾向であることが見えます。
就職先によって初任給額にかなり差がある
大学卒のデータではありますが、1957年に鹿児島で創業が始まり現在は東京に移転した新日本科学の初任給は約23万円前後となっており、賃金構造基本統計調査の平均初任給額よりは高い支給額となっています。
ちなみに新日本科学は医薬品開発受託研究の会社です。
科学者の平均給与の統計
自然科学研究者の平均給与
一般的に科学者の収入は企業規模が大きくなるほど高くなる傾向にあります。企業規模別に平均給与額を紹介します。
企業規模 | 平均月収 | ||
---|---|---|---|
男女計 | 男性 | 女性 | |
10名~99名 | 38.3万円 | 39.2万円 | 35.4万円 |
100名~999名 | 42.6万円 | 46.5万円 | 32.9万円 |
1,000名以上 | 46.1万円 | 47.8万円 | 40.9万円 |
10名~99名の企業規模の男女計の平均給与額は約38.3万円前後となっており、男性の平均給与額は約39.2万円前後、女性の平均給与額は約35.4万円となっています。
100名~999名の企業規模の男女計の平均給与額は約42.6万円前後となっており、男性の平均給与額は約46.5万円前後、女性の平均給与額は約32.9万円前後となっています。
1,000名以上の企業規模の男女計の平均給与額は約46.1万円前後となっており、男性の平均給与額は約47.8万円前後、女性の平均給与額は約40.9万円前後となっています。
平均給与額および平均年収額が高いのは自然科学系研究者、技術士、化学分析員の順で高い傾向にあります。月の給与額50万円を目指している方でしたら、自然科学研究者として働く選択肢が有力といえるでしょう。
また月の給与額40万円目指している方でしたら、自然科学研究者の道だけではなく技術士を目指すことで希望する給与額を将来的にもらえる可能性が高くなります。
自然科学研究者、技術士、化学分析員の仕事
研究室や研究所などの研究施設において、医学や薬学、工学や理学などの自然科学に関する理論的研究や試験、分析や鑑定などの専門的でもあり科学的でもある業務を行うのが主な仕事内容です。
技術士の仕事内容は科学技術に関する専門的で高度な応用力を必要とする研究や設計、試験や評価などの指導する業務を行います。航空機技術士や電気技術士、資源工学技術士などが科学者の中の技術士として活躍しています。
化学分析員は無機化合物を含む有機化合物の定量分析や容量分析、機器分析などの化学の視点で分析を行うことが主な仕事内容となっています。試験や分析工と呼ばれています。
給与が高い研究は宇宙や理化学
宇宙も科学者の研究対象の一つで、勤務先として挙げられるのが宇宙航空研究開発機構JAXAです。JAXAで働く科学者の月給は約40万円前後となっており、科学者の給与の中でも好待遇といえます。
JAXAよりも給与額が高いのは理化学研究所で勤務する科学者です。理化学研究所で勤務する科学者の月給は約48万円前後となっています。JAXAも理化学研究所も科学者の職業の中では高収入が見込まれる研究所なので、多くの科学者が目指すため競争率が激しい研究所といえるでしょう。
社会保険がないこともある
科学者の給与は決して高くはありません。高収入ではない苦しい生活の中で実験や研究を行う科学者が大勢います。30代の科学者の中には、月給約25万円前後で社会保険がない環境下で働いている方もいます。
科学者の年収統計
自然科学系研究者が科学者としては年収額が最も高い
科学者の職業の中で最も収入額が高い自然科学系研究者の年収額を企業規模別で紹介します。
10名~99名の企業規模の男女計の平均年収額は約598.6万円となっており、男性の平均年収額は約608.4万円前後、女性の平均年収額は約563.2万円前後となっています。
100名~999名の企業規模の男女計の平均年収額は約602.3万円となっており、男性の平均年収額は約648.9万円前後、女性の平均年収額は約485.9万円前後となっています。
1000名以上の企業規模の男女計の平均年収額は約708.1万円となっており、男性の平均給与額は約728.8万円前後、女性の平均年収額は約645.5万円前後となっています。
企業規模 | 平均年収 | ||
---|---|---|---|
男女計 | 男性 | 女性 | |
10名~99名 | 598.6万円 | 608.4万円 | 563.2万円 |
100名~999名 | 602.3万円 | 648.9万円 | 485.9万円 |
1000名以上 | 708.1万円 | 728.8万円 | 645.5万円 |
大学勤務の場合の平均年収額
科学者の仕事は研究施設だけではなく、大学の教授・助教授としても働いている方も多くいます。大学などで勤務する場合の年収額はどれほどなのでしょうか?
大学教授や教員になることで多くの方が満足のいく収入を得ることが多い職業です。しかし、博士号を取得したばかりの方のことを「ポスドク」と呼びますが、ポスドクの立場での平均年収額は約300万円前後に留まることが多い厳しい職業です。
ポスドクとしての科学者では、大手企業に就職した科学者よりも低い年収になることが多く、収入を増やすためにはいち早く教授や助教授へ昇進するしかありません。大学に在籍し優秀な成績を収めるポスドクには別の企業からヘッドハンティングされることもあります。
アメリカでは年収額に差があるのか
科学者として国内で活動する際の給与体制のほとんどは年功序列となっており、自身の科学者としての実力があったとしても、給与額・年収額は他の人と変わらないことが多い職業です。
研究者の中には高い給与をもらいながら研究活動に励みたいと考える方もいます。年功序列システムでない給与体制で働くのであれば、アメリカで活動を行うとよいでしょう。アメリカで科学者として働くと年収が高いイメージが強いかもしれませんが、そこまで高いわけではありません。
例を挙げますと、マサチューセッツ工科大学で活躍する科学者の場合は年収約400万円。ハーバード大学で活躍する科学者の場合は年収が約420万円となることが多いです。
給与待遇も大切だが科学者として活躍できる環境が大切
科学者の職業は自然や世界、人々にとって役に立てる可能性があることに対して分析や調査を行う職業ではありますが、決して高い年収額とは言えません。科学者として成績を残し昇進することで、中には年収1,000万円に届く方もいます。
しかし、年収1,000万円台の科学者はほんの一握りです。長く働いている科学者の場合の年収は400万円~500万円となり、他職種の働く方と同等の給与水準に届きます。
科学者として自身はどのようにありたいのか、自身が求める環境によっては大学や大手企業、中小企業の研究職へと進む道が分かれます。
科学者の給与・年収まとめ
限りある研究費で雇われるため決して高い年収ではない
科学者の給与や年収は研究費から支給されます。この研究費には限りがあり、その中で科学者を雇わなければいけません。そのため、科学者の給与を高くすることが厳しいとされています。
収入が多い企業はその分競争率も高い傾向にあります。さまざま職業がありますが、科学の世界でも男性・女性での年収額に差がある職業です。科学者の職業も待遇改善を必要とする職業の一つといえるでしょう。
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科学者の参考情報
平均年収 | 500万円〜600万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 学位 |
職業職種 | 教育・保育 |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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