不動産鑑定士の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

不動産鑑定士の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

限られた人しかできない独占業務を持つ不動産鑑定士。有資格者の登録数も少ないことから、実際の仕事現場を目にする機会もあまりない職業です。今回は、不動産鑑定士の仕事内容や依頼主の種類、活躍の場、やりがいなどについてご紹介します。

不動産鑑定士とはどんな仕事?

主な仕事は「鑑定評価業務」

不動産鑑定士が主体とする仕事は「不動産の鑑定評価」です。不動産の鑑定評価とは土地または建物の経済価値を判断し、その価値を金額で表すことをいいます。

不動産の鑑定評価は「不動産の鑑定評価に関する法律 第36条」により独占業務とされているため、不動産鑑定士しか行うことはできません。

不動産鑑定士が行う鑑定評価は、その建物がどれくらいの値段で売買できそうかを判断するときに行われている単純な不動産の査定とは異なります。最終的に金額を提示することは同じですが、金額を算出する際に建物や土地の利用価値を一番の条件として考慮するところに大きな違いがあります。

依頼主は公的機関と民間企業または個人に分けられる

不動産鑑定士の仕事は、税務署や国土交通省などの国・独立行政法人・地方公共団体などの公的機関から依頼されるものと、個人・金融機関・一部の上場企業などの民間企業から依頼されるものに分かれます。公的機関から依頼される仕事内容としては、不動産の競売・固定資産税課税・相続税課税のための依頼が多くを占めています。

一方で民間企業や個人からの依頼では、民事再生法や会社更生法・不動産の証券化・再開発事業・家賃や地代の改定・売買時の参考指標などのために不動産の鑑定を依頼してくることが多いとされています。公的機関からくる依頼の中には「公的評価」といわれる毎年発表する評価額のための仕事も含まれていることから、同じ内容の仕事が継続的に発注されるも場合も多くみられます。

公的評価の主な内容には、相続税標準値評価・固定資産税標準宅地評価・地価公示・地価調査などがありますが、これらは私たちが土地の売買や相続税を払うときなどに金額を算出する際の指標となる重要な数値です。反対に民間企業や個人からの依頼内容は内容が多岐にわたることから、必然的に難易度が高い傾向にあると言われています。

不動産鑑定士は「不動産鑑定評価書」の納品が成果物

「不動産鑑定評価書」とは、不動産鑑定士が土地や建物などを鑑定評価して算出した金額の結果を提示するための書類です。この評価書を作成して依頼主へ発行することが成果物とされ、不動産鑑定士の仕事の基本です。

「不動産の鑑定評価に関する法律 第39条」では、不動産鑑定評価書には評価額とともに国土交通省令の定める必要事項を記載し、署名捺印・一定期間の書類保存を行うことが定められています。

不動産鑑定士の仕事の具体的な内容

勤務先によって仕事の幅が異なる

不動産鑑定の活躍の場には、不動産鑑定事務所・銀行などの金融機関・コンサルティング会社などがあります。金融機関や不動産会社の専門分野ではその会社が定めた業務だけを行う場合が多くみられますが、不動産鑑定事務所の場合は公的機関や企業・個人などからの土地評価・担保評価など、仕事の幅が広いことが特徴です。

不動産鑑定士の多くが活躍しているのは不動産鑑定事務所です。なお、不動産鑑定事務所には必ず一人以上の不動産鑑定士を置くことが法律で定められています。他にも、組織に所属しながら実績を積んで独立開業する道もあります。

不動産鑑定士の実際の仕事の流れ

記述の通り不動産鑑定士の仕事は、最終的に不動産鑑定評価書を依頼主に納品することが仕事です。不動産鑑定評価を行うためには、まず役所等での情報取集と土地建物の現地調査を行わなければなりません。

正確な情報収集を行い現物との適合性を考慮し、デスクワークにてその結果をまとめることが主な仕事の流れです。細かな情報を的確に集めて論理的に物事を考える力が求められます。

最初の仕事は役所などでの情報収集

不動産の鑑定評価の仕事を依頼されたら、最初に行うのは対象となる不動産の内容を調べるための役所関係での情報収集です。

役所の中でもはじめに出向くのは法務局で、不動産の登記情報の確認をおこないます。インターネットで法務局から情報を取り寄せることも可能ですが、インターネットに記載されていない古い情報や周辺の細かな情報までは取得が難しい場合が多いので直接出向くのがよいとされています。

法務局に行くことにより、一度に多くの情報を得ることが可能です。法務局での情報取集が終わったら、市区町村役場で依頼された不動産に関係する各種法令(建築基準法や都市計画法)の確認をし、企業または市区町村役場にてガスや上下水道、通信会社や電力会社などでライフラインの確認をおこないます。

さらに調査する不動産のある場所が土壌汚染の可能性がある場合は役場の環境政策課、埋蔵文化財の包蔵地指定が疑われる場合は教育委員会などの調査も必要です。

情報収集の次は現地調査

不動産鑑定士が行う現地調査とは、役所などで収集した情報をもとに不動産がある現地に向かい、実際その情報と現物の不動産の内容があっているかどうかを確認する作業をいいます。

他にも現地に出向いて周辺の様子を目でみて確認したり近隣の人に話を聞いたりすることで、役所の情報収集だけでは得ることができない新情報を得ることも現地調査の重要な仕事です。

現地調査においての主な確認事項は、公共交通機関・公共施設などの配置または周辺に土壌汚染や騒音を及ぼす可能性のある建物の有無などです。これらの確認事項は直接不動産の評価額に影響する項目であることから、しっかりと調べることが重要となります。

最後は不動産鑑定評価書を作るためのデスクワーク

役所での情報収集、現地調査で得た情報をもとにして不動産鑑定評価書を作成するための鑑定評価を行っていきます。

得た情報全てをまとめることも重要ですが、疑問点が出てきた場合には再度役所への確認や依頼者と打ち合わせをして正確性を高めなければなりません。また他にもその時々の不動産の物価の調査、他の取引事例との比較、市場の経済状況も考慮しながらさらにデータを作り上げていく必要があります。

取り扱い物件が収益の発生するものであれば金融機関への金利確認なども必要です。これら全ての情報の確認が終了したら、エクセルや専門的なソフトを使いながら不動産鑑定評価書の作成を行います。不動産の鑑定業務を行うためには、情報収集と現地調査、最終的なデスクワークが主な流れとなりますが、その時々に発生する依頼主との細目な連絡も重要です。

不動産鑑定士の仕事のやりがい

独占業務で社会的責任が多い

不動産の鑑定評価業務は法律により不動産鑑定士しか行うことのできない独占業務です。また、不動産鑑定士になるためには難易度の高い国家試験を通過しなければなりません。

平成28年10月発表の国土交通省 土地・建設産業局地価調査課の報告によると、平成28年1月1日時点での不動産鑑定士の登録者数は8,207人です。

全国にこれだけの数しかいない不動産鑑定士でなおかつ独占業務となると、十分に業務にやりがいを感じることができるでしょう。また公的機関からの依頼も多く、その仕事内容は民間人や民間企業やその経営者、投資家などに多くの影響を及ぼすことから、社会的責任の大きな仕事といえるでしょう。

専門性の高さからあらゆる分野での活躍が期待できる

不動産鑑定士は不動産関係の資格のなかでも、最も難しい資格です。また業務内容も幅広いことから実績を積み上げるごとに、その専門知識も高くなっていきます。よって、不動産の鑑定評価業務以外にもあらゆる不動産に関係するコンサルティング業務や金融系での不動産証券化など様々な分野での活躍が期待でき、そのニーズも年々高まってきているのが現状です。

また近年では一級建築士や税理士と手を組みながら、共同で仕事を行う例も多くみられます。このように高い専門知識と関係組織を活用しながら独立や転職の機会も多く得られることも、やりがいにつながるといえるでしょう。

不動産鑑定士の仕事内容まとめ

不動産鑑定士は不動産鑑定評価業務が主となる仕事

不動産鑑定士は依頼主から委託された不動産の鑑定評価を行い、評価書を作成、納品するのが仕事です。ただし公的機関や個人、民間企業などの依頼主によって評価業務の内容は大きく異なります。

仕事内容が及ぼす影響による社会的責任や、登録している人数の少なさ、独占業務であることから不動産鑑定士は大変やりがいのある仕事ということができるでしょう。不動産鑑定士の仕事は高い専門知識を生かし不動産や金融関係、コンサルティング会社などの広い分野で活動することが可能です。

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