仲居の資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説
仲居になるのに、特別な資格や免許は必要ありません。しかし仲居としてお客様の信頼を得る為には、接客など様々な技術を磨く必要があります。仲居を目指すには、どのような資格をとっておくと役立つのでしょうか。今回は、仲居にあると役立つ資格の詳細や、試験の難易度などの情報をご紹介します。
仲居の資格とは?
「仲居」という資格は存在せず、特別な資格も不要
仲居として働くにあたっては、特別な資格や免許は必要ありません。未経験でも比較的就職しやすい業界と言われており、臨時のアルバイト、パート、派遣社員なども多く就業しています。
仲居の仕事は高度な接客技術を求められますし、毎日の仕事着である着物の着付けもしっかりできないといけません。古くからの伝統、日本ならではの細やかなおもてなしを意識しないといけない仕事ですし、お客様に最も近い場所で仕事に従事するということもあって、未経験で最低限の接客すらできない状態のままでは、お客様の前に出る事はできません。
サービスの質が厳しく問われる格式高い旅館や高級旅館を中心として、多くの場合、未経験者や新人に対してしっかりと研修期間を用意して、バックヤードなどで研修を行います。小規模な旅館であったり、ハイシーズンなどで猫の手も借りたいほど人手不足が顕著だったりする場合は、現場におけるOJT(現任訓練)でスキルや経験を磨いていくシステムを取ることもあります。
待遇は低くなってしまいますが、アルバイト、パート、派遣社員など非正規雇用を選べば、すぐにでも仲居としてのキャリアがスタートできるでしょう。また季節ものの仕事でもあるので、ハイシーズンには「リゾートバイト」として仲居の仕事の求人が多くなる傾向にあります。
資格は不要でも、求められる仕事の質や幅は厳しく問われる
仲居は、旅館などにおいてお客様がゆっくりとくつろげるように、あらゆる気遣いを行わなければなりません。いわば旅館の「顔」として、仲居の働き一つひとつがお客様の満足度や旅館の評価に直結する、責任の大きな仕事でもあります。
古くは小間使いの女を指したことからもわかる通り、細かいところまで徹底してお客様の世話を行う仕事なので、接客全般は勿論、食事の給仕や寝具の準備片付け、施設全体の設備点検、清掃、旅館運営に関わる経理や事務などの裏方業務を含め、必要な業務は数多くあり、様々なスキルが求められます。
指導体制は万全で、みっちりと研修によって仕事に関する知識、技術を身につける事はできますが、働く前から接客をはじめとした一定の知識やスキルを持っていれば、就職にも有利に働くでしょうし、就業前に根本がしっかりしているに越した事はありません。
お客様は疲れた体を癒し、束の間の休息を取るために、旅館に宿泊します。そうした場所であるからこそ、仕事の専門性を高めないと顧客満足度はやはり低くなります。仲居には、相応の経験とスキルアップが求められます。
一つの旅館に長く働くとしても、格式の高い人気旅館へ転職するにしても、その際に接客技術に関わる資格を取得しておくと、自分の持ち合わせている技能や経験値を客観的に示すことができる一定の指標となりますので、キャリアを重ねていく上で大いに役に立つでしょう。
仲居に役立つ資格「接客サービスマナー検定」
接客のプロフェッショナルを認定する「接客サービスマナー検定」がお勧め
先述した通り、仲居には特別な資格や免許は必要ありませんので、就職するにあたっても資格取得は必須ではありませんが、現場で継続的なスキルアップをしていく為の土壌として、接客に関する資格を得ておくといいでしょう。
旅館で長く仲居をやっていこうと思ったら、ただでさえ幅広い業務に関する専門知識を身につけていかないといけないので、非常に大変な仕事です。そのため、全ての基本となる接客技術に関しては、就業前から身につけておくに越した事はないのです。
そうした接客技術を認定する資格としては「接客サービスマナー検定」が代表的です。接客サービスマナー検定は、様々な業種に跨って必要な技能を認定するための資格で、エアライン・ホテル・ブライダルをはじめ、医療・介護分野や金融業界などにも応用できる格式の高い接客技術をもつ従事者の育成を目的としています。
立ち振る舞いや接客サービスの基本から、ビジネスマナー、クレーム応対などの様々な技能、知識を包括的に学ぶことによって、ビジネスの世界全体でお客様に対して好印象を持ってもらうために、非常に重要なスキルを身につけることができます。こうした知識や技能を認定するのが、接客サービスマナー検定です。
「接客サービスマナー検定」資格の概要
受験資格 | 特になし |
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資格区分 | 民間資格 |
資格等級 |
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試験開催 | 年4回 概ね2月、5月、8月、11月と3ヶ月おきに行われる |
受験料 |
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接客サービスマナー検定は、特定非営利活動法人日本サービスマナー協会が認定する民間資格です。検定試験を受け、合格することで資格を取得できます。受験資格の設定は特になく、誰でも受験できます。
接客サービスマナー検定には複数の資格等級が存在します。3級、2級、準1級、1級という順番に、等級が上がっていきます。等級が上がれば、その分求められる専門性は上がります。3級は接客サービスにおいて最低限知っておくべきレベルの知識を問い、2級は航空業界・ホテル業界といった質の高い接客技術が求められる分野において必要な基本的な接客知識を問います。
さらにレベルアップを目指すなら準1級、1級にも挑戦すべきです。準1級は、さらにワンランク上の接客を求めるお客様、有力者などへの接客に対応できる優秀な技能と知識を問い、1級は接客サービスのプロとして経営者の立場からも考えられることができ、知識・行動ともにお客様に充分に満足していただけるレベルを求められます。
認定試験は年4回、概ね2月、5月、8月、11月と3ヶ月おきに行われます。全国各地、14の地域において受験が可能です。インターネット、郵便、FAXでの申し込みを行なっていて、受験料は等級によって異なりますが、3級は5,000円、2級は7,000円、準1級は9,000円、1級は12,000円です。
「接客サービスマナー検定」資格の難易度、合格率
試験内容 |
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出題内容 |
■筆記試験
■実技試験
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接客サービスマナー検定は、等級によって試験内容も異なってきます。3級、2級は筆記試験のみで知識を問いますが、準1級、1級に関しては筆記試験だけではなく、2次試験として実技試験を行います。
筆記試験の出題内容は、「敬語、席順、電話応対などの基礎問題」「ビジネスマナー」「漢字の読み書き」「外国人のお客様への対応」「シチュエーション問題」「サービス全般」が問われ、等級が上がるほど、高いレベルの知識を問われます。
実技試験においては、所定のシチュエーションにおいて実際にどういう行動を取ることが可能かを、様々な形式で問われます。準1級はグループ面接による相対評価と、シチュエーション実技での絶対評価が行われ、1級では個人面接とシチュエーションに基づくロールプレイング実技試験が実施されます。
接客サービスマナー検定の合格基準
等級 | 筆記試験の合格基準(100点満点中) |
---|---|
1級 | 75点前後 |
準1級 | 60〜65点 |
2級 | 60〜65点 |
3級 | 70点前後 |
接客サービスマナー検定の合格基準は、筆記試験は全て100点満点で、3級が100点満点中70点前後、2級は60〜65点が合格ラインの目安です。準1級の筆記試験は60〜65点、1級の筆記試験は75点前後が合格ラインとなります。
等級 | 実技試験の合格基準 |
---|---|
1級 | 60%以上のポイント取得 |
準1級 | 60%以上のポイント取得 |
準1級の実技試験はグループ面接とシチュエーション実技を合計して60%以上のポイント取得、1級の実技試験では個人面接とシチュエーションに基づくロールプレイング実技を合計して60%以上のポイント取得が、合格ラインの目安になります。
接客サービスマナー検定の合格率
等級 | 合格率 |
---|---|
1級 | 15% |
準1級 | 45% |
2級 | 55% |
3級 | 60% |
各等級の合格率は、3級は60%程度、2級が55%程度、準1級が45%程度と徐々に下がっていき、1級になると合格率が15%程度と極端に低下します。筆記試験のみの等級であれば合格率は5割を超えますが、実技試験も含めると比較的難度は高くなってくる試験と言えるでしょう。
その他の仲居に関連する資格
接客マナー系の資格「サービス接遇検定」
接客技術を認定する資格として「サービス接遇検定」というものもあります。サービス待遇検定とは、サービスに関する心構えや顧客心理の理解、応対技術、言葉遣い、立ち居振る舞いなどを包括的に学び、接客マナーの技能、知識を問う検定となります。
接客サービスマナー検定と同じく、受験資格は特に問われませんので、誰でも受験が可能です。検定等級は3級、2級、準1級、1級と別れていて、この順番にレベルが上がっていきます。試験は年2回、3級・2級・1級の筆記試験が例年6月・11月、準1級・1級の面接試験が例年7〜8月・12〜1月頃となっています。
3級・2級は筆記試験のみ、準1級は面接のみで、1級は筆記+実技試験が課せられます。筆記試験で問われるのは「サービススタッフの資質」「専門知識」「一般知識」「対人技能」「実務技能」といった内容になっています。
筆記試験はマーク形式による多肢選択式試験で、実技試験や面接試験は、リアルな接客、販売シーンを想定したロールプレイング形式で行われます。
この資格検定の特徴としては、合格等級にかかわらずどの等級からでもチャレンジできるということが挙げられます。平成30年11月に行われた第46回試験の合格率は、3級が66.3%、2級が70.7%、準1級が84.7%、1級が34.8%となっていて、等級によって合格率はバラバラですが、1級は際立って合格率が低くなっています。
仲居の仕事の根幹となるのは、やはり接客となるので、こうした資格を取得しておくと、自らの接客スキルの客観的指標ができますし、資格取得という具体性の高い目標ができることによって、スキルを磨くことにも繋がります。
仲居に役立つ資格やスキルを取得できる学校
接客技術が学べるビジネススクールやファッションの専門学校がお勧め
仲居には資格が必須では無いとはいえ、旅館ならではの細やかな気遣いと格式のある高度な接客技術が要求されます。実際に働きながらノウハウや空気感を肌で感じながらこうした技術を育てていかないといけませんが、基礎的な心構えや理論を、就職前に学んでおくに越したことはありません。
大学などの学問や教養を磨くことをメインとした教育機関では、あまり接客技術を授業で学ぶと言ったことはあまりありません。接客技術を学ぶのなら、ビジネス系の専門学校が一番でしょう。
しかし仲居の仕事は、正規雇用の場合、学歴が高いほど初任給が上がる傾向にあります。大学卒であれば、比較的高い給与でキャリアスタートが可能となります。理想をいえば、大学卒業の学歴を得るために大学に通いながら、ダブルスクールで専門学校に通って学ぶのもいいでしょう。
旅館という伝統と格式を重んじる接客業は、それなりの幅広い教養も求められます。学歴が重要視されるのは、そうした理由もあるのかもしれません。
大学にいくなら、語学分野が強いところがお勧め
また昨今、インバウンドと俗に呼ばれる日本への旅行者が急激に増える傾向にあり、全国各地の観光地で外国人の姿を見ない日はなくなった、と言っても過言ではないくらいの状況になっています。
そうした外国人は、当然のことながら何処かで宿泊をしなければなりません。特に日本庭園や温泉など日本の魅力が詰まった旅館は、日本ならではのおもてなしを体感できる場として、外国人の人気が高い宿泊施設です。
日本人以外の宿泊を断るわけにもいきませんし、接客系、販売系の資格においても今や外国人へのサービス対応が認定科目になることが一般的になっています。2020年には東京オリンピックも開催されます。今後ますます外国人の宿泊者は増えていくでしょう。
もう社会の国際化は必然となっていて、伝統を守るイメージのある旅館も、時代に沿ってサービスの幅を広げ、深めないといけなくなりました。このような現状から、当然のことながら仲居もある程度の語学ができる必要があります。最低限、日常的に扱えるレベルの英会話スキルを身につけておくと、仲居として重宝されることとなるでしょう。
大学や専門学校で語学の専門課程に進学し、語学のスキルを身につけておくと、大きく選択の幅が広がります。TOEIC、TOEFLなどで高スコアを取っておくと、就職において大いに有利になるはずです。理想をいえば、英語だけでなく、インバウンドの多い中国、韓国の言語スキルも併せ持っておくといいでしょう。
仲居の資格・試験まとめ
資格の有無は問われないが、高度な接客スキルを求められる仕事
仲居にとって最も重要なのは、接客スキルです。何をおいてもまず、おもてなしができないことには、仲居としては失格となってしまいます。接客業の中でも際立って優秀なスキルが求められ、立ち居振る舞い、言葉遣い、トラブル対応も含めて、細やかな気遣いに溢れた対応が行えることが重要です。
資格の有無は厳密には問われませんが、そうしたスキルを磨くために、接客系の資格を取るに越したことはありません。資格取得は実になるだけでなく、都度目指せる目標にもなります。
仲居の参考情報
平均年収 | 250万円~350万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 旅行・ホテル |
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