日本語教師の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説
グローバル化が進み活躍の場を広げる日本語教師。なんとなく想像はできても、実際はどのような仕事なのか疑問に思う方も多いと思います。今回は、具体的な仕事内容や求められるスキル、多様な働き方の実態についてご紹介します。
日本語教師とはどんな仕事?
学習ターゲットによって、求められる教育人材が変わる
日本語教師とは、主に外国人などの「日本語を母国としない人」に向けて日本語を教える職業です。学習者を大きく分類すると、「日本に暮らす外国人」と「海外に暮らす外国人」の二種類に分けられます。
日本で暮らしながら日本語を学ぶ
日本に暮らす外国人には、留学生、技能実習生など、教育を目的として日本に滞在する人のほか、家族とともに生活者として暮らす人々が増えています。文化庁が発表した「平成28年度 国内の日本語教育の概要」には、学習者に応じて日本語教師の資質を適応させていくための指針が書かれています。
例えば、留学生や技能実習生においては、日本での就職を視野に入れた教育として、中級・上級レベルの指導が必要とされています。また、留学に関する知識や留学生の就職活動における支援経験など、外国人労働者に寄り添ったサポートができる人材が求められます。
また、生活者として暮らす外国人については、日本の文化や習慣に関する教育のほか、各々の生活背景に適応したカリキュラムの設定が必要となります。また、日本語教師自身が多文化を受け入れる姿勢であることも、指導者として求められる資質のひとつです。
海外で暮らしながら日本語を学ぶ
一方、海外で暮らす外国人には、小中高の外国語教科としての教育のほか、趣味や教養としての学習、日系企業への就労を目指した学習などといった異なる目的があります。
外国語教科としての児童向けの日本語教育においては、基本の読み書き指導をはじめ、日本文化について、成人とは異なるアプローチで指導する力が求められます。また、日系企業への就労を目的とした学習においてはより専門的な指導を行う、といったように学習者のニーズに応じて指導要領を柔軟に変化させることが、日本語教師に与えられた任務だといえます。
日本語教師に求められる、4つのスキル
日本語教師と一口に言っても、指導する対象によって求められる資質が異なるということがお分かりいただけたかと思います。その中でも下記の内容は、日本語教師として共通して備えるべきスキルとなります。
- 日本語に関する深い知識と的確な理解
- 国によって異なる文化への理解と尊重
- 日本のあらゆる文化や習慣に関する知識を追い求める姿勢
- 指導者としてのコミュニケーション力
日本語教師においては、多文化を広く受け入れる姿勢、そして日本語や日本という国を最大限に理解し、学習者に伝える能力が不可欠となるでしょう。
日本語教師の仕事の具体的な内容
雇用のカタチと仕事内容
日本語教師は、雇用形態が常勤・非常勤という2つの分類に分かれます。文化庁の発表資料によると、日本語教師の職務割合はボランティアが58.1%、非常勤講師が29.7%、常勤講師が12.2%という結果となり、非常勤講師が全体の7割を占めているという現状があります。
常勤・非常勤講師の共通業務は「授業」
どちらの雇用形態に共通している役割として、日本語教師にとって要となる「授業」があります。おおよそ1コマ45分~90分が一般的な長さとされており、午前2コマ、午後2コマなどといった時間割の中でクラスを担当します。
そして、授業に付随する業務としては、カリキュラムの作成や配布教材の作成、採点や評価などがあります。その他にも、生徒のフォローや会議、事務作業など、教師として果たすべき細かな業務も多くあります。
非常勤講師の給与については、時給制となる場合と授業1コマに対する報酬制となる場合があります。報酬制の場合、授業に付随する業務への給与が十分に支払われないというケースも散見されるようですので、勤務先の給与条件は事前に確認が必要です。
常勤講師に求められる業務は幅広い
常勤講師が行う業務は多岐にわたっており、学内イベントの運営や非常勤講師のフォロー、学生の進路指導など、教室全体に関わる業務を担当します。 指導者としての資質とあわせて、リーダーシップや経営力も求められる役割であるといえます。
日本語教師の仕事のやりがい
成長が目に見える
日本語教師はゼロから言語を教えるため、ひらがなの読み書きや発音といった、基礎の基礎から学習がスタートします。日々、生徒たちの成長スピードも早いため、指導に対する効果が実感しやすい職業です。
また、言語を習得するうちに日本語がコミュニケーションの手段として活用され、生徒同士、あるいは生徒と教師との交流が日本語によって活発になることも、指導者としてやりがいを感じる瞬間のひとつでしょう。
海外勤務の夢が叶う
海外勤務の求人が多いのも日本語教師の特徴です。特にアジア圏での需要が高く、中国や台湾、タイ、ベトナムなどの日本語学校で教師として活躍している方が数多くいます。
また、海外派遣スタッフとしてボランティア活動で経験を積み、日本でのキャリアアップに繋げるという方法もあります。海外での暮らしや新鮮な文化に日々触れながら、生徒たちと一緒に成長できる喜びを感じることができるでしょう。
選択次第で様々な働き方が実現できる
日本語教師の仕事は雇用形態、雇用先によって環境が大きく異なります。
教育機関の環境によってやりがいも様々
日本語教師が働く教育機関はいくつかの種別に分けられています。最も日本語教師の数が多い組織は、「国際交流協会」、次に一般的に日本語学校と呼ばれる「法務省告示日本語教育機関」が続きます。その他に、大学の留学センターや非認定の日本語学校などもあります。
「国際交流協会」では、日本に暮らす外国人と日本人との交流を目的としており、各自治体が組織を運営しています。各地域に暮らす外国人が3,000円〜5,000円程度の低価格で数回の日本語講座を受けることができるほか、地域に根ざしたイベントや住民同士のあたたかい交流が魅力となっています。講師としてボランティアスタッフの採用も多く、参加者全員で作り上げていくという経験ができるでしょう。
一方、法務省告示日本語教育機関、通称「法務省告示校」では一定の教育を受けた常勤・非常勤講師が在籍し、主に留学生向けの日本語教育を行っています。認定を受けた学校のみ、留学生向けにビザを発行することができます。日本語学習のためにビザを取得するほどの意欲ある学生が集まるため、指導者としては非常にやりがいを感じられる環境です。
フリーランスや独立も夢じゃない!
高まる日本語教育の需要を受け、日本語学習者の数は右肩上がりに増え続けています。学習者の数に比例し、それぞれのニーズも多様化してきました。そのような動きの中、フリーランスや派遣として日本語を指導するというスタイルが生まれ、プライベートレッスンの実施や企業への教育など、様々な指導方法が定着しつつあります。
個人での日本語教室運営やオンラインレッスンなど、個々の経営スキルを活かして独立する日本語教師も増えつつあります。フリーランスや独立といった自由な働き方も、現実的な選択肢となっていくでしょう。
日本語教師の仕事内容まとめ
日本語教師は生徒が目指すゴールに向かって一緒に走っていく存在
外国語として日本語を教える日本語教師は、学びたいという生徒に寄り添い、専門的なスキルと経験を活かして人を育てる仕事です。母国を離れて日本へ訪れる外国人にとって、日本語教師はとても身近な存在です。
1コマの授業を行うための準備には時間も手間もかかります。そして、ハードな仕事でありながらも、給与平均は20万円前後と決して高い収入ではありません。それでも、生徒の成長を間近で感じることのできる喜びやそこで得た経験は、必ず次へのステップへと繋がっていくでしょう。
日本語教師の参考情報
平均年収 | 200万円〜400万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 民間資格 |
職業職種 | 教育・保育 |
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