航海士になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説

航海士になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説

海上での仕事を希望する人に人気の航海士。航海士になるには、一体どのような免許やスキルを求められるのでしょうか。長ければ数ヶ月の間、海の上で仕事をする航海士には、健康的な体と強い精神力が必要とされます。今回はこの記事で、航海士に必要とされる免許や適性、どのような学校が適しているのか、をご紹介します。

航海士になるには何が必要?

国家資格の海技士免許(海技免状)が必要

航海士になるには、まずは国家資格である「海技士免許」が必要です。海技士免許を取るためには、中学・高校を卒業した後に受験資格を得るために商船大学や海上技術短大や大学校へ進むことが一般的です。

海技士免許は1~6級に分かれており、上位階級(数字が小さい方)になればなるほど試験の内容は難しく、職務にあたっては責任や責務が大きくなる特徴があります。航海士の種類は海外へ航海を行う「外船船員」と国内の航海を行う「内航船員」に分かれます。

外船船員になるには3級・内航船員になるには4級以上の資格を取得することが基本です。また、級によっては求められる乗船履歴(学校で行う船上実習の期間)が異なります。

一般船員で働きながら海技士免許の取得も可能

航海士になるには、記述の通り中学や高校卒業後に海技士免許を取得するために学校へ通うことが一般的です。ただし、免許を必要としない甲板部員の船員として働きながら「乗船履歴」を積み重ねて、海技士の国家資格を取得する方法もあります。

働きながら勉強をしなければならないため、合格への道のりは持続力・忍耐力・体力などが求められるでしょう。

船を運航する会社に就職

航海士になるために海技士免許取得をしたら、次は船を運航している会社への就職が必要です。どの船に乗るにしても航海士の仕事内容に大きな差はありません。ただし、業務内容はその企業によって大きく異なります。航海士として活躍できる主な場は以下の通りです。

海運会社

海運会社には商船会社・船舶会社・貿易会社などが含まれ、主に船を利用してセメント・化学薬品・石炭・石油・大型機械などモノを国内外に運ぶことが業務の主体を占めています。

フェリー会社・豪華客船

人を運ぶ客船にも航海士は欠かすことのできない存在です。フェリー会社や豪華客船を運営している会社は、人を目的地へ運んだり旅行を楽しんでもらったりすることを業務内容としており、航海士の活躍の場としてとても人気があります。

ただし、モノを運ぶ貨物船やタンカー船に比べて客船の数が少ないことから、航海士の募集人数がきわめて少ないのが現状です。特に豪華客船の場合は海外企業の場合も多く、日本だけでなく他の国も視野にいれて就職活動をすることが重要です。

航海士の募集は毎年募集されるものではなく、欠員が出たときに人員を補充する際に出ることが多いので、常に新規の募集を気に掛ける必要があるでしょう。また、新人を採用することは少なく経験者を求めたり、応募に際しては海技士免許の階級を制限されたりすることもあるので、簡単に職に就くことが難しいとされています。

海上保安庁

国土交通省に属する海上保安庁でも航海士として働くことが可能です。海上保安庁の仕事は、海上の安全を守るための警察や消防のような役割と言ってもよいでしょう。公務員として働くことになるので、福利厚生の充実や仕事の安定などの理由から、海上保安庁の航海士はとても人気があります。

航海士は男性が多い

航海士の男女比においては、圧倒的に男性が多い傾向にあります。その理由は体力面の問題や、男女別に分けられていない共同スペースの問題などがあげられます。そうはいっても、女性でも現場で生き生きと活躍している航海士は少なからず存在します。

企業が女性の活躍できる環境や労働条件を整えていくことが、男女隔てなく働くことができる職場環境を生み出す今後の課題とされるでしょう。

航海士に向いている人、適性がある人

健康的な肉体と強い精神力がある人

航海士として勤務するためには、基本的に1日のうちに4時間労働を2回(間に8時間の休憩を含む)という決められたシフト通りに働くことが求められます。階級によって労働する時間帯は分かれているので、勤務時間が深夜や早朝になる場合もあります。

また、海の上で24時間、場合によっては数ヶ月の間勤務が続くので、天候が悪い時や海が荒れた時などは、揺れ続ける船の上で長時間働かなければならないことも考えられます。このように航海士の仕事は、目的地へ到着するまで船の上だけでシフトをこなし続けなければなりません。

そのため、船酔いしないことはもちろん「健康的な体」を持っていることが求められます。また、制限された空間で同じスタッフと共に長時間過ごすことが当たり前とされるので、仲間と良好な関係を続けながら仕事を続けることができる「強くて健康的な精神力や協調性」が必要となります。

強い責任感・冷静な判断・統率力がある人

航海士の階級の位が上になればなる程、仕事の責任や責務が大きくなっていきます。どの階級においても、小さなミスが大きな事故を引き起こす原因になります。海で安全に船を目的地まで運航させるためには、事故やトラブルを起こさないという強い責任感が必要です。

また、事故やトラブルが起きた時に最小限に被害を留めることができる冷静な判断を持っていることが重要とされるでしょう。人に指示を出す立場の階級にある航海士の場合は、人を束ねる力も求められます。お互いに信頼関係を持ちながら、船員全員が一丸となって業務を行うことで、初めて安全な船の運航が行われます。

航海士になるための学校・教室

商船高等専門学校

商船高等専門学校とは、中学の卒業後に入学することができる「工業系の学科と商船学科」の2つを持つ高等専門学校のことを指します。現在日本にある商船高等専門学校は5つあります。

  • 富山高等専門学校
  • 鳥羽商船高等専門学校
  • 広島商船高等専門学校
  • 大島商船高等専門学校
  • 弓削商船高等専門学校

入学資格は中学を既に卒業した人または卒業見込みのある人。各学校が定める体格等の基準を満たし、中学卒業程度の学力があると認められていることなどが条件です。これらの学校の特徴は1~2年生の間は一般教育科目(国語・外国語・数学など)を学び、3年目から専門的な勉強を行うことにあります。

トータルで座学する期間は4年6ヶ月。座学が終了したら船に乗り、実習を1年間行うことで、卒業を迎えることができます。卒業時には3級海技士免許の受験資格が与えられます。

海上技術学校(本科)

現在日本には海上技術学校(海上技術短期大学校を含む)があり、中学卒業者対象は本科・高等学校卒業対象者は専修科に入学することが可能です。本科がある学校は以下の通りです。

  • 国立小樽海上技術学校
  • 国立館山海上技術学校
  • 国立唐津海上技術学校
  • 国立国之津海上技術学校

3ヶ月の乗船実習を含む3年間の修業期間があり、卒業して半年の乗船実習科を卒業することで、4級海技士の受験資格が与えられます。また、その先も勉強を続けたい場合は海上大学校へ入学して2年間の修学を終えると、3級海技士の試験を筆記試験免除で受験できる資格を得ることが可能です。

海上技術短期大学校

海上技術短期大学校は高等学校卒業(見込み含む)またはそれと同等の資格があることを主な受験条件とする学校です。国内にある海上技術短期大学校は以下の通りです。

  • 国立宮古海上技術短期大学校
  • 国立清水海上技術短期大学校
  • 国立波方海上技術短期大学校

1年3ヶ月の座学と9ヶ月の乗船実習を含むトータル2年間の修業で、4級海技士の受験資格が与えられます。

海事系大学

海事系大学とは、一般的な4年制の大学の中でも「海洋や海事に関する教育や研究を行い、それらに関連した人材の育成を目的とする大学」を指します。大学数は少なく、東海大学・東京海洋大学・神戸大学などに学部や学科が設置されています。

4年間の間に合計6ヶ月(1~3年次は1ヶ月・4年次は3ヶ月)の乗船実習が組み込まれています。また、卒業することで3級海技士資格を筆記試験免除で受けることが可能になります。

学校を選ぶ上で注意すること

航海士になるには、海上学校などに通うのが一般的とされていますが、卒業したからといってすぐにそのまま航海士になれる訳ではありません。学校によっては卒業することで、海技士試験の筆記試験を免除の条件がつく場合もあります。

しかし、どの学校を卒業しても「海技士免許の受験資格を取得できる」といった最低限の条件が付与されるだけで、海技士試験に合格したことにはなりません。航海士になるための学校は数も限られているので、学費や通える環境などを十分に考慮しながら慎重に学校を選ぶことが重要となるでしょう。

航海士になるには?まとめ

航海士はタフな体力と精神力、海技士免許が必須

航海士になるには、海技士免許の取得が必須です。働きながら取得することも可能ですが、まずは学校に通って知識や乗船実績を積みながら取得資格を得ることが一般的とされています。

海の仕事は体力を必要とする上に、決められた空間の中で長期間過ごさないといけません。そのため、強い精神力や仲間と良い関係を築くための協調性も必要です。

航海士の参考情報

平均年収500万円〜800万円
必要資格
  • 海技士
資格区分 国家資格
職業職種運輸・乗り物

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