通訳案内士になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説
通訳案内士は外国人観光客に付き添って案内し、日本の魅力を伝えることから「民間外交官」とも呼ばれています。通訳案内士は国家資格の取得が必要であり、幅広い知識を要することから難易度の高い試験となります。通訳案内士になるには具体的にどうすれば良いのか解説します。
通訳案内士はどんなことが必要なのか?
通訳案内士試験
通訳案内士になるには国土交通省が実施する「通訳案内士試験」に合格する必要があります。語学関連で唯一の国家資格となります。また、合格後は都道府県知事の登録を受ける必要があります。
開催時期
試験は第1次試験、第2次試験があります。まずは8月下旬~9月上旬に第1次試験の筆記試験があり、筆記試験に見事合格すると第2次試験である口述試験(面接)を受けることができます。口述試験は11月下旬~12月上旬に開催されます。
受験資格は?
受験資格は年齢、性別、学歴ともにありません。最年少では2010年に14歳で合格した実績があります。
試験語学
対象となる外国語は以下となります。
- 英語
- フランス語
- スペイン語
- ドイツ語
- 中国語
- イタリア語
- ポルトガル語
- ロシア語
- 韓国語
- タイ語
また、語学以外にも日本の地理や歴史に関しての科目があり、語学以外のことも学ぶ必要があります。多くの方がつまずきやすい要因です。
合格後は通訳ガイドとして登録
通訳案内士試験に合格し、資格を取得した後は都道府県知事から登録を受ける必要があります。「通訳案内士登録証」が発行されることにより、初めて通訳ガイドと名乗ることができ、仕事をすることができます。
無資格でもガイド業務はできる
2016年6月2日から無資格でもガイド業務が行えるようになったため、国家資格の取得は必須ではありません。しかし、無資格者は通訳案内士や通訳ガイドの名称を使うことは禁止されています。
また、通訳案内士は旅行会社や通訳エージェント経由で仕事を受注することが多いので、資格を持っていて通訳案内士の名称を使えることは信用度に大きく影響します。できる限り資格を取得したほうが後々のことを考えると苦労は少ないです。
通訳案内士の雇用形態
通訳案内士のほとんどの方がフリーランスです。日本観光通訳協会や旅行会社に個人で登録し、案件が発生した際に仕事をもらう形態がほとんどです。
旅行はシーズンによって仕事量の差があるため、通訳案内士一本ではなく、他に収入源があって通訳案内士を行うなど、空いた時間に副業として仕事をする人が多い傾向にあります。
通訳案内士はどんな人に向いている?
語学力を生かしたい人
通訳案内士の志願者は、ある程度の語学力があるケースがほとんどです。外国人とのコミュニケーションを楽しめる方、海外在住の経験がある方が向いています。また、語学力を生かすための場を増やすために受験される方も多いです。
日本の事情に詳しい人
語学だけではなく、日本国内の事情に詳しくなる必要もあります。多くの外国人観光客は日本の現状を知りたいと考えています。日本の歴史はもちろんのこと、経済事情や教育、政治などと色々なことを聞かれます。
そんな時にすぐに答えられないようでは外国人観光客もがっかりしてしまいます。日頃からニュースを確認したり、常に日本に関する最新情報にアンテナを張れる人が向いています。
また、外国人観光客は日本のアニメについても興味があるのでアニメに詳しいことも強みになります。
統率力と柔軟性
通訳案内士は不特定多数の観光客を引き連れて行動するので、語学力があるだけではつとまりません。語学力以外にどのような能力が求められるのか、具体的に解説します。
団体を統率する能力
通訳案内士は複数の観光客を連れて歩く団体行動が中心です。旅行を計画通りに進めるためにも外国人観光客を統率する力が求められます。リーダーシップや積極性の高い人が適任です。
トラブルに対応できる柔軟性
旅行の案内にはトラブルがつきものです。例えば案内先の観光地が改装中であったり、休館であれば、計画を変更しなければなりません。
また、外国人は日本とは異なる文化や習慣があるので、団体行動中に思わぬアクシデントを起こしてトラブルにつながる可能性もあります。このような不測な事態にも対応できる能力や柔軟性が求められます。
コミュニケーション能力に長けている
通訳案内士は多くの外国人観光客と行動をともにすることから、必然的にコミュニケーションを取る機会が増えます。観光客の中には様々なタイプの人がいるので、どんな人とも打ち解けられるようなコミュニケーション能力が求められます。
いかに人を喜ばし、尽くせるかを考える
ただ単に機械的に案内するのではなく、いかに楽しんでもらえるのかを重点的に考える人が非常に向いています。「もっとたくさんの人に楽しんでもらいたい、喜んでもらいたい、笑顔を見たい」こういった思いを抱いている方は通訳案内士の素質があります。
通訳案内士はエンターテイナーの一つであり、外国から訪れた方々に日本を楽しんでもらい、思い出作りに協力するためにどうするかを考えられる力が求められます。そのためにもコミュニケーション能力は欠かせません。
失敗やトラブルがあってもすぐに切り替える
通訳案内士に限らず、トラブルはつきものです。例えばお客さんを怒らせてしまったり、苦情をもらうこともあります。
しかし、失敗を引きずってしまうようでは次の機会に相手に良い印象を持ってもらえず、さらに同じミスを頻発してしまったりします。通訳案内士はサービス業なので、お客さんに悪い印象を与えることは厳禁です。
落ち込むこと自体は悪くありませんが、その後すぐに「次は頑張ろう、気をつけよう、もっと改善しよう」と前向きに気持ちを切り替えられる人が向いています。
通訳案内士になるための専門学校紹介
通訳案内士試験対策講座のスクール
通訳案内士の試験は難易度が高く、試験範囲が広いです。効率的に勉強するには試験対策をしてくれるスクールを受講するのが一番の近道です。しかし、受講料は約40万円と高額であり金銭的な問題も発生します。
独学で取得は可能?
スクールを受講するのは金銭的に難しい、特に若い方は金銭的余裕がない人がほとんどです。そのようなことから、独学で通訳案内士の資格を取得できるかどうかを考える人もいます。
結論からいうと、独学で試験に合格している人もいます。しかし、かなりの努力を要し、語学力もそれなりにあることが前提となります。では、独学で取得するにはどうすれば良いかを解説します。
無料教材を活用する
インターネットで検索すると無料で配布されている教材がいくつかあります。また、個人のブログで独学で資格を取得した人が参考にした教材を紹介していることもあります。インターネットを活用し、教材を探してみましょう。
なかでもおすすめなのは過去に高い評価を受けていたハロー通信アカデミーの独自教材で、無料で公開されています(現在、ハロー通信アカデミーは閉校しています)。
ハロー通信アカデミー
http://www.hello.ac/
英検1級を取得する
英検1級を持っていると外国語の筆記試験(英語)が免除となるので、英語での受講を考えている場合は英検1級を取得するのも有効です。
英検1級が取得できなかったとしても勉強したことは無駄にならないので、国家試験にも生かすことができます。
通訳案内士になるには?まとめ
語学力だけではなく人のため、日本のために働ける人
通訳案内士は様々なことが求められます。高難易度試験である資格の取得、語学だけではなく日本の事情にも詳しい必要があり、さらに団体を統率する力も必要です。
しかし、自ら日本の良さを相手に伝えられる、やりがいのある仕事でもあります。特にお客さんから楽しかったと言われることに生きがいを感じる方が多いです。興味のある方はまず試験のための勉強に向けて取り組んでみましょう。
通訳案内士の参考情報
平均年収 | 200万円~400万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 旅行・ホテル |
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