通訳案内士の資格試験とは?通訳案内士 資格試験の概要と合格の秘訣

通訳案内士の資格試験とは?通訳案内士 資格試験の概要と合格の秘訣

ハイレベルな語学力と様々な観光スポットをおさえた通訳案内士は、観光ガイドのプロフェッショナルともいえる国家資格です。観光産業にこれまで以上に力を入れようという動きが強まっていることもあり、今後ますます活躍が期待される職業といえます。そのため、通訳案内士の資格を有していることで、就職の場面で有利に働く可能性が高いといえるでしょう。 今回は、観光ガイドのプロフェッショナルである通訳案内士の試験の情報についてご紹介していきます。

通訳案内士の資格とは?

観光庁長官が試験を実施する国家資格

通訳案内士は、観光庁長官が実施する国家資格試験である「通訳案内士試験」に合格することで取得できる資格です。主に、日本に来る観光客に対して外国語通訳や観光案内を行い、その対価として報酬を得ます。外国人観光客を相手にした観光案内のプロフェッショナルをイメージするのがわかりやすいかと思います。

使用する外国語は10か国語

外国人観光客への接遇を向上する観点から、通訳案内士が使用する外国語については、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語の計10か国語で区分されることになります。ちなみに、現在では、7割近くが英語対応となっています。

資格取得後の進路は?

多くの人がフリーランスで働いているのが現状

試験に合格し、資格を取得した後の働き方としては、フリーランスで働いている人が多いのが現状です。ご存知のとおり、ここ数年の間に日本への外国人観光客は増加しており、今後ますます観光客への専門的な対応ができる人手が必要となることが予想されています。

しかし現状は、その人手の受け皿となる団体(企業など)はまだ多くないため、そのような団体が増えてくれば、状況は変わってくるかもしれません。多くの人が選択しているフリーランスですが、初めてフリーランスで仕事をする場合には、「日本観光通訳協会」に通訳案内士として登録したうえで、仕事をもらうという流れになります。

もちろん、就職組もいます

もちろん、すべての人がフリーランスで働いているというわけではなく、なかには旅行会社や旅行代理店といった企業に就職する人もいます。ここ数年でアジアからの観光客が増えたことにともない、ガイドの需要が高まったことが背景の一つです。

ただ、通年で旅行客が同じくらい来るわけではなく、時期によって忙しいときとそうでないときがあるため、企業としては、継続・安定して通訳案内士といったガイドを抱えておくことは難しいというのが正直なところです。そのような理由もあって、旅行会社や旅行代理店に正社員として就職・就業している通訳案内士は多くない状況になっています。

難易度・合格率

難関試験の部類に入る試験

試験の難易度については、試験内容が通訳案内士として外国人観光客に対し的確なガイドをすることができる能力を測るものであり、専門性やカバーする範囲が広いことを考えれば、高いといえます。

選択する外国語科目の難易度はもちろんのこと、地理や歴史、一般常識の科目はどれも範囲が広く、限られた時間内ですべてをカバーすることは非常に困難です。勉強の進め方やスケジュールを的確に管理することも求められるため、そのような意味でも難関試験の部類に入ってくるでしょう。

対策の一つは、合格者の勉強法・スケジュール管理法を学ぶこと

では、どのような対策をすればよいのでしょうか。

毎日勉強にあてられる時間や就業状況は一人ひとり異なるため、絶対的な勉強法・スケジュール管理法というのはありませんが、自分と同じような環境にいた合格者の声を参考にするのは効果的な方法の一つです。やみくもにひたすら勉強を進めるよりも、はるかに効率良く進められるかと思います。

受験者数・合格率の推移はおおむね横ばい

まずは、直近10年間の受験者数・合格率の推移を見てみましょう。

受験者数については、平成25年から平成27年にかけて大幅に増加しており、平成27年には10,000人を超えました。現在は、10,000人~11,000人の間で推移しています。また、合格率については、年度によってばらつきがありますが、おおむね15%~25%の間で推移しています。

年度 受験者数 合格率
平成20年 8,972人 19.4%
平成21年 8,078人 15.2%
平成22年 7,239人 12.9%
平成23年 5,485人 16.3%
平成24年 5,000人 14.3%
平成25年 4,706人 25.5%
平成26年 7,290人 22.7%
平成27年 10,975人 19.3%
平成28年 11,307人 21.3%
平成29年 10,564人 15.6%

通訳案内士の資格試験

通訳案内士試験の基本情報

試験日程

■一次試験(筆記試験)
毎年8月中旬~下旬

■二次試験(口述試験)
毎年12月上旬

申し込み期間

受験年の5月下旬~6月下旬

試験地

■筆記試験
【日本国内】
札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪近郊、広島市、福岡市、那覇市

【日本国外】
ソウル市、台北市

■口述試験
【英語、中国語、韓国語】
東京近郊、大阪近郊、福岡市

【英語、中国語、韓国語以外】
東京近郊

受験費用

11,700円(外国語1つにつき)

受験資格

特に制限はなく、誰でも受験可

合格発表日

■筆記試験
11月上旬

■口述試験
翌年2月上旬

出題形式・出題範囲など

試験は、一次試験である筆記試験に合格し、二次試験である口述試験にも合格することで、最終的な合格となります。

筆記試験

  • 外国語(以下のうちいずれか)
    英語(マークシート方式)
    中国語、韓国語(マークシート方式と記述式の併用)
    フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、タイ語(記述式)
  • 日本地理(マークシート方式)
  • 日本歴史(マークシート方式)
  • 産業、経済、政治及び文化に関する一般常識(マークシート方式)
  • 通訳案内の実務(マークシート方式)

口述試験

内容としては、「筆記試験で選択した外国語による通訳案内の現場で必要とされるコミュニケーションを図るための実践的な能力について判定する」ものとなります。

合格基準

各科目について、次の基準点以上の得点で合格することが必要です。それぞれ、外国語:70%、日本地理:70%、日本歴史:70%、一般常識:60%、通訳案内の実務:60%、となります。

また、口述試験については、「ガイドラインに従い、あらかじめ評価項目ごとに具体的な評価基準を設定した上で、合格基準点(原則として7割)に達しているか否かを判定」というものとなっています。

評価項目としては、具体的には、「プレゼンテーション」「コミュニケーション(臨機応変な対応力、会話継続への意欲等)」「文法および語彙」「発音および発声」となります。

試験免除

一定の条件で、筆記試験の一部が免除されます。

翌年に限り、試験科目が免除

前年の試験で合格した科目については、翌年に限り、免除されます。

外国語科目の免除

各外国語について、一定の語学検定・試験において所定の級の取得・得点をしていることで、免除となります。

参考に、英語科目における免除要件をみると、【実用英語技能検定の1級合格者、TOEICスコア900点以上、TOEICスピーキングスコア160点以上、TOEICライティングスコア170点以上】となっています。

通訳案内士試験の短期合格を目指せるスクール・学校

通訳案内士を目指すうえで、専門の学校・スクールに通うことは効果的です。今回は、人気・評判の高い学校・スクールについて、一部を紹介します。

CEL英語ソリューションズ

NHKの番組である「トラッドジャパン」内で講師を務めている江口裕之さんから指導を受けられるスクールです。これまでに多くの合格者を輩出するとともに、高い合格率(他校比較で2倍)を誇る点で人気となっています。

通学(CD、DVD付き)コースで費用は約47万円となるため、決して安くはありませんが、合格をより確実にしたいという方は検討してみてはいかがでしょうか。

ESDIC英語能力開発アカデミー

すべて通学というスタイルではなく、一次試験対策の講座が基本的に通信講座で、それを補完するポジションでの通学・メール配信・講師への質問メールといった内容がついています。自身の勉強スケジュールに合わせて上手く使っていきたいという方におすすめです。

日本外国語専門学校

専門学校になりますが、単に語学力や知識の習得にとどまらず、文化や教養までも体験型授業で身につけることができます。試験合格後のことも見すえて、じっくり学んでいきたいという方には最適でしょう。

通訳案内士の資格・試験のまとめ

これからますます活躍が期待される職業の一つ。ぜひチャレンジを!

外国人観光客の増加を受けて需要が高まっている通訳案内士ですが、勉強を続け、無事に試験に合格することで、自身のキャリアプランは大きく広がります。

たしかに試験合格のためには、多くの時間と労力が必要にはなりますが、合格して実際に通訳案内士として仕事をするようになれば、これまで以上に仕事の幅を広げることができますので、費やした時間と労力は決して無駄にはなりません。フリーランスとして働くことが可能な職業ということもあり、手に職をつけるという意味でも非常に効果的といえるでしょう。

外国語に少しでも興味があるという方や外国語が得意という方、あるいは日本の素晴らしさをもっと伝えていきたいという方は、ぜひ目指してみてはいかがでしょうか。

通訳案内士の参考情報

平均年収200万円~400万円
必要資格
  • 通訳案内士
資格区分 国家資格
職業職種旅行・ホテル

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