皇宮護衛官の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説
皇宮護衛官は、警察官と違って仕事内容が見えづらい職業です。基本的には皇居での警備・警護が皇宮護衛官の主な仕事になりますが、それ以外にも自分の能力を活かした業務を行えるようになっています。本記事では、あまり知られていない皇宮護衛官の具体的な仕事内容、仕事のやりがいなどについてご紹介します。
皇宮護衛官とはどんな仕事?
各部署にて護衛と警備にあたる
皇宮護衛官の最重要任務は天皇皇后両陛下や皇族の護衛、および皇居や御所の警備になります。護衛任務は天皇皇后両陛下や皇族の側であらゆる障害や危険から守る仕事になります。また、皇居などにやってきた国賓や大使などの護衛も担うことになっており、重要な任務の1つとなっています。
また、警備任務は人物ではなく皇居や御所の警戒・警備が主な仕事内容となります。不審者の排除をはじめ火事など災害から守るほか、一般参賀など皇室行事が滞りなく進められるように見張ることも業務内容に入ってきます。
主な仕事はこの2つになりますが、皇宮護衛官が所属する部署によって細かい仕事に違いがあります。
警務部
皇宮警察本部の人事・総務にあたる仕事を担当する部署。音楽隊も警務部が担当する仕事で、皇室行事で演奏も行う。
警備部
儀礼服という制服を着用した上で皇居、御用地、正倉院などの警備にあたる部署。また、皇室行事における警備計画の立案、消防活動も担当する。
護衛部
天皇皇后両陛下および皇族の身辺警護を担当する部署。もっとも身近で警備にあたる仕事でもあるため、語学力をはじめとする教養も求められる部署であり、白バイや騎馬での護衛任務も担当する。
皇宮護衛官には専門部隊も存在する
皇宮警察は上記で紹介した各部署に割り振られた仕事以外にも、特別な事項に対応するための部隊なども存在します。
たとえば、突発的に発生する事案に対応する特別警備隊、消火活動にあたる消防隊、馬に乗って護衛にあたる騎馬隊、皇族の移動中を警護する白バイ隊などの専門部隊があります。こうした部隊への配属は各個人の能力を見ながら決定します。
また、専門部隊以外にも側衛官という役職も存在しています。側衛官はどの部署や部隊に所属する皇宮護衛官よりも、天皇皇后両陛下や皇族の側で護衛任務にあたります。また、側衛官は皇居内だけでなく、皇族が日本各地や海外へ訪れるときにも同行します。
いかなる場所にも同行する側衛官は体力や危険を回避できるだけの護衛術が求められるだけでなく、来訪先で会うことになる要人に対して失礼のない対応やマナーを身につけていなければいけません。そのため、側衛官は皇宮護衛官の中でもエリート中のエリートと言えます。
配属はどのように決まる?
皇宮護衛官はいきなり各部署に配属されることはなく、試験にて採用された後は皇宮警察学校で研修と勉強を行い、まずは皇居か赤坂御用などの護衛署へ配属となります。そこでおよそ3か月の勤務を行った後、ふたたび皇宮警察学校に戻って勉強と訓練を行い、はじめて配属先が決定されます。
とはいっても皇宮護衛官としてはまだまだ新米ということもあり、配属先は東京23区内の護衛所など限定的です。そこの勤務を終えればやっと希望を出すことができますが、あくまで人事が能力や適性を見た上で配属を決定します。
皇宮護衛官の具体的な仕事内容
どのような行事で護衛をしている?
皇宮護衛官は日ごろから皇居などで警備をしていますが、それ以外にも皇室行事などの護衛を行っています。では、具体的にどのような行事にて護衛にあたっているのか、一例を見てみましょう。
- 新年一般参賀
- ベトナム社会主義共和国主席の皇居参内
- 春の園遊会
- アメリカ合衆国大統領の皇居参内
- 故宜仁親王葬儀
- 秋の園遊会
- 天皇誕生日一般参賀
具体的な勤務体制
新米皇宮護衛官は護衛所に配属されることが大半で、御用地内にて立番という警備を行います。
一定時間は門の前でずっと立ち続け、不審者や周囲の異常を確認しつつ警備にあたります。こうした警備の仕事は4交代制を取っていることが多く、当番・非番・週休・日勤を繰り返すような生活になります。
立番をふくめ皇宮護衛官の仕事は体力勝負で、立番中も集中してすぐに異常を察知できるようにしておかなければいけません。皇居は広く普段な静かなこともあり、その分だけ神経を張り巡らせておく必要があります。
特別隊に入った場合の仕事
皇宮護衛官としてキャリアを積んでいき、その実績や能力が認められれば特別隊などへの配属も可能になってきます。
たとえば、運転技術や警備能力が認められれば白バイ隊への配属も夢ではありません。白バイ隊に所属できれば皇族の外出時、白バイで皇族が乗る車を護衛しつつ、ルート確保の仕事を務めることになります。
また、護衛能力に加えて語学能力やマナーも身につけていれば側衛官への道も開いてきます。側衛官になれば、より皇族の近くでの警護を行うようになるとともに、海外への訪問先に一緒に向かいます。
皇宮護衛官の仕事のやりがい
皇族を守るという仕事に誇りが持てる
皇宮護衛官は国の象徴である天皇皇后両陛下および皇族を守るという重要な仕事ということもあり、自然と責任感が出てくる職業であります。
皇居という場所は特殊な場所ということもあって大きな変化は起こりづらいところがありますが、それは皇宮護衛官をはじめ多くの関係者による努力の賜物です。その一端を支えているということを肌で感じることで、自然と誇りも持てます。
日々の訓練を活かしながら仕事に励める
皇宮護衛官の主な仕事は立番という門などで一定時間立ち続け、皇居へ不審人物が入らないか見張るとともに異常がないか見張り続けます。立番はただ見張るだけでなく一般の人や来客から見られて恥ずかしくないことも条件になるため、新人にとっては立っているだけでも疲れる仕事と言われています。
皇宮護衛官は立番などの仕事において身体がへこたれないように、常にトレーニングを欠かすことになります。はじめは立っているだけで次の日身体が動かないこともあるかもしれませんが、それがトレーニングによって苦痛が軽減していくことで成長を感じつつ仕事に励むことができます。
また、皇宮護衛官は体力だけでなく慣れない作法やマナーについても学ぶこともでき、教養を身に付けられるのも皇宮護衛官ならと言えます。
能力がつけば仕事に対するやりがいを感じられるだけでなく、その能力に伴った役職や業務に従事することもできます。うまくステップアップできれば自分が望む仕事や特別隊に所属することもできるので、そういった点で見ても非常にやりがいのある職業です。
日本の歴史・伝統を裏から守る
天皇皇后両陛下や皇族は日本の象徴であり、その方々が暮らす皇居で働けるというのは非常に名誉なことです。しかし、皇宮護衛官の存在が表に出ることはほとんどなく、仕事自体はとても地味でひたすら耐えることのほうが多い職業です。
ただ、皇宮護衛官が守っているのは目の前にある皇居や御殿、皇族だけでなく歴史や文化自体とも言えます。皇宮護衛官になると教養として日本文化を学ぶだけでなくマナーなども教養として学ぶこともあり、より日本文化や歴史を身近に感じられます。
普段の仕事は地味な警備や護衛かもしれませんが、理解が深まることで守っているものの重さや魅力を感じられるのは皇宮護衛官のやりがいでもあります。
皇宮護衛官の仕事内容まとめ
天皇皇后両陛下を守るという誇りある仕事
皇宮護衛官の主な仕事は大きく分けて警備と警護に分けられ、それ以外にも特別隊の業務に従事することになります。
多くの場合は門などでずっと警備にあたる立番をすることになり、とても地味な仕事とも言えます。しかし、ただ見張るだけの仕事にも立ち振る舞いが要求されるなど、体力的に厳しいところのある職業です。
皇宮護衛官の参考情報
平均年収 | 400万円〜700万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 試験合格 |
職業職種 | 保安 |
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