入国警備官の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

入国警備官の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

入国警備官は外国人の不法入国や不法滞在を取り締まる仕事です。警察官と同様に国内の治安を守ることから公安職の一つとされ、国家資格の取得が必須です。各地の入国管理局や空港、港で違反調査や摘発、収容、送還に携わりますが、具体的にどういった仕事かはあまり知られていません。ここでは、入国警備官の仕事内容についてご紹介します。

入国警備官の仕事内容は?

入国警備官は法律に違反して入国・滞在する外国人を取り締まる

入国警備官は、外国人が日本に入国・滞在する上で法律違反を犯した者を取り締まるのが仕事です。

外国人の入国や滞在についての諸手続きや資格については入管法(出入国管理及び難民認定法)で規定されていますが、これに違反した外国人を調査、摘発、収容、送還するのが入国警備官の業務です。公安職として警察職員と同様の権限を持ち、手錠や警棒、拳銃の所持が認められています。

外国人の滞在目的は大まかに観光・留学・仕事(駐在)などがありますが、目的によって必要な手続きや滞在できる期間が入管法によって定められ、それぞれ異なります。入管法に違反する不法行為のうち代表的なものは、次のとおりです。

  • 観光ビザや留学ビザで入国したのに不法就労をする
  • ビザの期限が切れているのに更新も帰国もせず不法滞在する
  • 密輸・詐欺・強盗・殺人などの犯罪を目的に入国する

これらの不法行為をはたらく外国人を取り締まるのが使命であり、特に退去強制を執行する権限を持つのが入国警備官なのです。空港などの水際で入国の不正を取り締まるという重要な役割を持ち、非常に特殊な仕事に携わる職種だといえます。

入国管理業務は大きく4種類。それぞれ治安維持に重要な役割をもつ

入国警備官が携わる入国管理業務は、大きく分けて4種類あります。一人の職員が全てを行うのではなく、それぞれのセクションに配属されて業務にあたる方式です。業務は次の4つに分かれており、いずれも日本の治安を守るという自覚と責任感が必要な任務といえます。

  1. 違反調査
  2. 摘発
  3. 収容
  4. 送還

業務内容はそれぞれまったく異なりますが、どれを担当するにしても肉体的・精神的なタフさを要する場面があります。また、言葉が意図通りに通じにくい外国人を相手にやりとりを行うことから、異文化への理解と剛柔あわせ持つ態度が必要とされます。

入国警備官の具体的な仕事内容

4種類の配属はそれぞれ業務内容が異なる。摘発は特に危険を伴うことがあり体力勝負

入国管理業務のうち、違反調査、摘発、収容、送還のどれを担当するかによって働き方は大きく変わります。違反調査の担当であれば、入管法違反の疑いがある在留外国人などを調査します。仕事の仕方は一般人からの情報提供や独自の捜査を元に、外国人の違反を突き止めます。警察官の捜査活動と似ており、容疑者本人や関係者の事情聴取も行います。

摘発の担当者は、時に逃亡・抵抗する外国人を制して身柄拘束を行うことから身体能力の高さが求められます。相手に複数の仲間がいたり凶器を持っていたりすることもあり、緊張感のある現場を経験する可能性は高いといえます。業務範囲は違反者の捜索、押収、臨検(立入検査)に強制捜査などがあります。裏に犯罪組織が関与している場合など危険が伴う現場では、警察と合同摘発を行うこともあります。

収容業務の担当者は、摘発された外国人が収容される入国者収容所で働きます。入所中の外国人への対応や、施設の警備、収容者が逃亡しないよう監視することが主な業務となります。入国者収容所は地方入国管理局の中に設置されているため、収容担当者はそこに勤務することになります。

送還業務は、収容中に入国審査を受けた結果違反が見つかり、退去強制となった外国人を送還するのが仕事です。具体的には、送還先への速やかな旅券発給のために在日外交官と連絡を取るなどの手続きを進めるほか、出国までトラブルのないよう送還者を空港や港まで護送します。

就業時間は8時間弱の定時制か2交代制。夜勤業務もある

業務によって勤務時間も異なります。就業時間には2パターンあり、毎日決まった時間に始業し7時間45分働く定時制と、夜勤のある交代制勤務です。

違反調査や摘発業務では基本的に定時制をとっているものの、調査で有力な情報が入った時の事実確認は時間外でも行うことがあります。また、摘発に都合のいい時間帯が深夜や早朝である場合には定時でなくとも関係なく働きます。

送還業務も定時制であるものの、忙しいときは一人当たり100人以上の案件を担当することがあり、泊り込みで業務にあたります。これに対し、収容所は24時間体制で監視が必要なため交代制をとっています。昼間勤務と昼夜間勤務の2交代であり、夜勤明けは休日になっています。

言葉や文化の異なる外国人を相手にコミュニケーション能力が必要とされる

4種類の業務に共通して必要となるのが、コミュニケーション能力です。入国管理の対象となる外国人にはさまざまな国の出身者がおり、言葉や文化的背景もそれぞれ異なります。捜査や摘発、取り調べといった業務では、相手の価値観や文化的背景をふまえた上で会話に臨む必要があります。

日本の常識で考えていては話が進まず相手の理解を得られないため、外国人のバックグラウンドを理解した上で接することが大切なのです。そうすることで相手が素直に事情聴取や取り調べに応じる可能性が高まり、業務が円滑に進むというメリットがあります。

なお、取り調べなどの際には専門的な用語が飛び交うものの、各言語に精通している必要はありません。通訳を介して電話で取り調べを行うため、担当者は日本語で取り調べを行うことができます。しかし、偽造パスポートなどの証拠品があるにもかかわらず言い逃れをする外国人はやはり少なくありません。

そうしたときには語学力ではなく、相手の事情を把握したうえで説得するコミュニケーション力が欠かせないといえます。

入国警備官のやりがい

全国に1,000人余りと希少な存在ながら、役割は日本国内の安全確保と非常に重要

入国警備官は、水際で入管法違反者を取り締まる公安職であるため、非常に責任の大きい仕事です。それだけにやりがいを感じられる職種であり、日本の安全の維持に役立っているという誇りを感じられる場面が多々あります。

入国管理という重要な役割を担う入国警備官ですが、総数は1,000人余りと非常に少なく、入職するにも国家資格を取得する必要があり倍率は約30倍と難関です。選び抜かれた人員によって構成される入国警備官は、業務を行う上で困難に直面することも多い難しい仕事といえます。

特に摘発業務では外国人が逃亡・抵抗することも少なくなく、仕事中に命を危険にさらすこともやむを得ない場面があります。そんな中でも挫けず職務を全うできるのは、日本の安全のために尽力し国を守っているという誇りがあるからといえます。

難民・移民問題など国際的なテーマの最前線で業務にあたれる

不法入国者や不法滞在者の中には、さまざまな事情を抱えた人たちがいます。祖国にいると身の危険を感じる、あるいは祖国の体制に失望したために日本へ訪れる人もいます。

また、就労ビザが切れて帰国しなくてはならないことを知りながら、祖国での暮らしが貧しく生活がままならないため日本に在留し続けてしまう外国人もいます。入国警備官は切実な事情を抱えた違反者と直接対峙する身であり、国際的な問題に直面することも多いのです。

一般企業に勤めていては実感することの少ない大きなテーマについて、身を以て迫ることができるというのもやりがいになります。難民・移民問題だけではなく、訪日観光客や就労者の増加がもたらす負の側面、すなわち密輸や詐欺、不法滞在などについて考える機会も自ずと増えます。自らの視野を広げ、見識を深める上でも職務を通した経験が役に立ちます。

入国警備官の仕事内容まとめ

4種類の配属により仕事内容は変わる。危険を伴うこともあるが国を守る重要な仕事

入国警備官は不法入国・滞在の外国人を取り締まるのが仕事です。違反調査、摘発、収容、送還のいずれに属すかで業務内容は異なりますが、身体能力やコミュニケーション力が求められることも多々あります。

摘発業務では抵抗する違反者を取り押さえる危険な場面にさらされることすらありますが、空港や港などの水際で日本の安全を守るためやりがいは大きいといえます。

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