神父・牧師の資格・試験とは?一部教派では牧師になるために特定の試験を受ける必要がある
神父・牧師はキリスト教における教導者として知られていますが、どのような資格を得てなれるものかは知られていません。神父・牧師になるために必要な資格や試験について紹介します。
神父・牧師の資格とは?
神の教えを世に広める神父・牧師になるためには、なんらかの資格や試験が必要なのでしょうか?
原則として資格は必要ない
神父・牧師になるためには原則として資格は必要ありません。その代わりに神学校と呼ばれる専門の学校に通い、必要な教育を受ける必要があります。
勉強する期間はカトリックでは6年、プロテスタントでは4年とされています。
プロテスタントの教派によっては試験あり
キリスト教の教派はカトリックとプロテスタントに大きく分けられますが、プロテスタントの中でもさらに細かく分派しています。
教派ごとに教えが異なり、一部の教派では牧師になるために特定の試験を受ける必要があるものもあります。
神父・牧師の資格の難易度・合格率
カトリック系大学への合格率
カトリックにおける聖職者には階級があり司教・司祭・助教の3つの段階があります。そのうち司祭は教区に籍をおき教会で暮らす「教区司祭」と、修道院で暮らす「修道司祭」に分類されています。
一般的に神父と呼ばれる司祭は教会で暮らしていることから、教区司祭を指しています。教区司祭になるためには「日本カトリック神学院」で学ぶ必要があり、その他の学校で学んだ司祭は修道司祭になります。
修道司祭になるために通うことができる、カトリック系の大学の2018年度合格倍率は以下の通りです。
大学/学部名 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
上智大学 神学部 | 101 | 25 | 4.0 |
南山大学 人文学部 | 4,454 | 1,249 | 3.6 |
プロテスタント系大学への合格率
牧師にはカトリックの教区司祭・修道司祭のような区分はありませんが、教派が細かく分かれているためそれぞれ認定される基準が異なります。共通した基準として、それぞれの教派の牧師になるには教派に認定された学校に通う必要があるため、学校の選択を間違えないようにする必要があります。
プロテスタント系の大学における、2018年の合格倍率は以下の通りです。
大学/学部名 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
ルーテル学院大学 総合人間学部 | 132 | 118 | 1.1 |
同志社大学 神学部 | 454 | 81 | 5.6 |
立教大学 文学部 | 13,196 | 2,377 | 5.6 |
東京基督教大学 神学部 | 18 | 18 | 1.0 |
西南学院大学 神学部 | 86 | 33 | 2.6 |
その他の神父・牧師関連資格
神父・牧師になるためには特定の教派でのみ試験が必要です。代表的なものにはどのようなものがあるのでしょうか。また、神父・牧師に関連している資格は何があるのでしょうか。
正教師・補教師検定
プロテスタントの教派の一つ「日本基督教団」では、牧師になるためには「正教師」「補教師」の資格が必要です。補教師に合格すると「伝道師」として布教活動をすることが認められ、正教師になってはじめて牧師として認められます。
2018年秋季に行われた試験では正教師が受験者42名中27名合格、補教師は受験者12名中9名が合格となりました。試験内容は毎回異なり、広い範囲から数問だけ出題されます。2018年秋季試験では「旧約聖書神学」「新約聖書神学」「教会史」が出題されています。
補教師の試験には3つのコースが用意されており、難易度が分かれています。
コース名 | 内容 |
---|---|
Aコース | 神学部の大学院卒向け |
Bコース | 神学部または神学校卒業者向け |
Cコース | 独学者向け |
かつて補教師試験は非常に難易度が低く、Cコースでも受験すれば誰でも合格できるといわれていましたが、教団内で補教師の粗製乱造が問題となり現在の難易度はかなり上げられているようです。
教員免許
カトリックの司祭、プロテスタントの牧師ともに人前で話し教えを広めることが必要です。そのため教員免許取得課程がある大学に通う場合には、ぜひ教員免許を取得しておくのがよいでしょう。
人前で話し教えを伝える能力に直結する免許のため指導能力を表す一つの証明といえるでしょう。
神父・牧師に必要な学校
ここで改めて、神父・牧師に必要な学校についてまとめてみましょう。
教区司祭は「日本カトリック神学院」
神父と呼ばれる教区司祭になるために必要な学校は、現在日本国内には「日本カトリック神学院」のみが存在しています。
「東京カトリック神学院」と「福岡サン・スルピス大神学院」が合同され、現在の日本カトリック神学院となっています。
キャンパスは東京・福岡
6年制かつ全寮制の神学校であり、学年によって東京・福岡どちらのキャンパスに通うことになるかが決まります。
哲学科1年および2年は東京キャンパス、翌年度からの神学科1年~3年は福岡キャンパス、最後の神学科4年は再び東京キャンパスに戻ります。この神学科4年のタイミングでは、「助司祭」という身分になり、司祭の補助を行う立場として扱われます。
助司祭となり1年経過すれば晴れて司祭となることが許され、神父としての活動ができるようになるのです。
入学審査の受験要件
この神学校に入学するためには、入学審査を受けて合格することが必要です。入学審査を受けるためにも満たさなければいけない要件があり、以下を満たす必要があります。
- 自らの意思で司祭へ志願し、生涯を捧げる決意を持っていること
- 所属教区の司教から推薦を受けていること
- 洗礼を受けてから信者として3年以上生活した22~40歳の独身男性であること
- 最終学歴が高卒以上であること
- 日本語を母語としない場合、神学院が実施する日本語検定を受けて合格すること。ただし日本の高校を卒業し、相応の日本語力があれば免除
特に1番の項目は「召命」とよばれ、神から使命を与えられていることの証明となるため、非常に重要な要件と考えられます。
修道司祭は大学などで学ぶ
カトリックにおけるもう一つの司祭である修道司祭になるためには、カトリック教派が認める大学や神学校に通う必要があります。
修道司祭は一般の修道士とともに修道院で暮らします。修道司祭も教区司祭同様に叙階され、司祭としての身分を持ちます。同じく修道院で暮らす叙階を受けない修道士、修道女は一般信徒と変わらない身分と考えられています。
牧師は大学・神学校
プロテスタントはその内部で多くの教派に分かれており、それぞれの教派の中で牧師となるためには教派に認定された大学・大学院、もしくは専修学校としての神学校を卒業する必要があります。
神学校への入学基準は様々で、だれでも入学できるような敷居の低いところから大学卒業の上、一定期間の社会人経験を求めるところもあり難易度はさまざまです。大学・専修学校ともにほとんどが4年制であり、卒業後の牧師への道は教派によって大きく異なります。前述の日本基督教団のように、伝道師になれる試験と牧師になれる試験が分かれているところもあれば、周囲の認定さえあればすぐに牧師を名乗れる教派もあります。
とはいえ試験がなければ簡単になれるというものでもありませんので、どの教派でも牧師になるには相応の苦難があるものと考えるのがよいでしょう。
神父・牧師の資格試験まとめ
明確な動機と生涯をささげる覚悟が必要
神父・牧師になるためには原則として資格は必要ありませんが、神父となるための学校は「日本カトリック神学院」のみであり、6年間寮生活を送る必要がありますが6年目には助祭を叙階し、卒業時には司祭となり神父を名乗ることができます。
神父・牧師までの道のりはさまざまですが、すべての道のりにおいて最も重要なのは「なぜ神父・牧師になるのか」という動機です。神から召命を受け、自らの意思でその道を選ぶことができてこそ、神父・牧師として人々を神の教えとともに導くことができるでしょう。
神父・牧師の参考情報
平均年収 | 250万円~400万円 |
---|---|
必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 葬祭・宗教 |
神父・牧師の関連記事
「フォロー」をお願いします
最新情報をお届けします