医師の給与・年収は?初任給や平均月収などの収入について解説

医師の給与・年収は?初任給や平均月収などの収入について解説

医師は、「高給与・高年収を得られる職業」というイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか?基本的に、勤務医なのか開業医なのかによって大きく変わってくるようです。この記事では、平均給与や年収を紹介するとともに、給与アップできる可能性やその手段について紹介していきます。

医師の初任給

研修医時代の給料は、初期と後期で大きく違う

医師として働く場合、最初は初期研修が2年、後期は2年~3年の合計5年間を研修医として働くのが一般的な流れです。

以前は、かなりの薄給で働かされざるを得ない状況でしたが、現在ではそれも改善されました。一般的には大学病院であれば国公立か私立か、総合病院であれば都市圏か地方かで異なると言われますが、研修医にも当てはまるのでしょうか?

ここでは、研修を希望する学生が多い病院をいくつかピックアップして、募集要項などから実際の給料・年収を見ていきましょう。

種別 所在地 月給 年収
大学病院(国公立) 東京都 305,000円 3,660,000円
総合病院(私立) 神奈川県 330,000円 3,960,000円
大学病院(国公立) 京都府 350,000円 4,200,000円
総合病院(市民病院)
※賞与を含む
兵庫県 306,000円 4,205,205円
大学病院(私立) 愛知県 460,000円 5,520,000円
総合病院(私立) 静岡県 328,238円 3,938,856円
総合病院(独立行政法人) 島根県 500,000円 6,000,000円
大学病院(国公立) 広島県 330,000円 3,960,000円
大学病院(私立) 福岡県 280,000円 3,360,000円
大学病院(国公立) 愛媛県 280,000円 3,360,000円
総合病院(医療センター) 高知県 460,000円 5,520,000円
総合病院(公立) 富山県 450,000円 5,400,000円
大学病院(私立) 石川県 350,000円 4,200,000円
総合病院(公立) 北海道 590,000円 7,080,000円
大学病院(国公立) 北海道 320,000円 3,840,000円

あくまでも、月給は募集要項に出ていた初任給と各種手当のうちで金額が明示されていたものの合計、年収は単純に12倍にしたもの(一部を除く)となります。

そのため、単純比較はできないものの、総合病院や医療センターで見ると、やはり首都圏より地方の基幹病院のほうが年収もいい傾向にあるようです。ただ、大学病院では設立母体や所在地による大きな違いは見られませんでした、

こうしてみると、研修医といえど一般の会社員よりは多くもらえるということがわかります。ただし、雇用形態は正職員ではなく、有期契約の契約職員という身分となり、賞与が明記されていないところが大半でした、

後期研修医になると待遇も良くなり、給与も上がってくる

2年間の初期研修期間が終わると、3年目~5年目は後期研修医となります。初期研修医時代は、さまざまな診療科目をまわり、それぞれで必要な診察技術や手技を学んでいきますが、後期になると自分の専門科目を決めた上で、さらに専門的で高度な技術を学ぶことが目的です。

研修で学ぶ項目・技術ともに高度になる分、給与・年収も初期研修医の頃よりははるかに多くもらえるようになります。実際に待遇も大きく異なり、後期ではアルバイトも可能です。

以前は、初期研修医だとほとんど給与が出なかったため、アルバイトを行う研修医が多くいましたが、現在は生活できるだけの給料を出す代わりに一切のアルバイトを禁止されています。

しかし、後期研修医ではそうした制限もなくなるので、普段は研修先の病院で専門科目の研修を受け、別の病院でさらに診療などの経験を積むという人も多くなります。

研修医の受け入れをしている大学病院・総合病院などの募集要項には、後期研修医の給与に関する記載は見られませんでしたが、多い人だと後期研修医から年収700~800万円あたりがその相場となるようです。ただし、初期研修時代と同じく1年契約の契約職員となります。

医師の平均給与の統計

医師の平均給料は約85万円、各種手当を入れると約95万円

厚生労働省の「平成29年賃金構造基本統計調査」のデータによると、医師の全国平均給与は約85万円、各種手当込みで約95万円となっています。

勤務期間に応じて給料もアップすることが多い

医師の給料は、一般的に経験を積むにつれて上がっていきます。ある程度の年数までは一律に上昇して、10年目あたりから差がつきはじめ、15年目あたりから役職がつくようになることでさらに差が広がりやすくなるといったところです。

医師になるためには、医師国家試験に合格することが必要で、これはどの大学を卒業したとしても同じ条件になります。最終学歴によって初任給や転職後の給料が左右されることは少ない傾向です。

求人を探す際は、給料以外の手当・各種条件も大切

医師全体の統計を見ると、各種手当を含んだ総額が約95万円、賞与が約90.3万円となっています。救急対応を行っている病院に勤務していると、宿直当番が回ってくることがあります。その場合は、病院に泊まり込むことが必要です。

また、診療科目によっては当直でなくても24時間オンコールで呼び出されることもあります。さすがに時間外手当や各種手当については支給されますが、研修医時代はそうした手当が少ないことも覚悟しておいてください。

都市部と地方の病院では、医師の勤務待遇にも違いが見られます。特に医師の絶対数が少ない地方では、給与を手厚くするだけではなく、待遇・福利厚生を手厚くすることで定着を図る傾向にあります。

転職を行う際は、そうした給与・待遇も確認して、希望があれば転職支援サイトに遠慮なく伝えるようにしましょう。

男女でも平均給料に差がある

どんな職種でも、男性と女性では給与に差が生じやすいと言われています。医師は子供が憧れる職業で、男女を問わず上位に来る職業の1つですが、厚生労働省の統計一覧を見ると、やはり例外ではないようです。ここでは、男性医師と女性医師の平均給与の差を見ていきましょう。

性別 所定内給与 各種手当込み 賞与
男性 約90万円 約101万円 約94万円
女性 約72万円 約80万円 約81万円

まず男性だけで見ると所定内給与が約90万円、各種手当込みで約101万円、賞与は約94万円となります。一方、女性の場合、所定内給与は約72万円、各種手当込みで約80万円、賞与は約81万円です。男女の給与で見ると約20万円強、賞与は約13万円差があるという計算となります。

では、どうしてこれだけの差が出やすいのでしょうか。これは、医師に限った話ではありませんが、女性の場合はライフイベント(結婚や出産、介護など)ごとに一旦離職して、それが落ち着いた頃に再就職するパターンが多いためといわれています。

平均年齢で見ても、男性が43.4歳に対して女性は39.2歳、勤続年数も男性は5.6年、女性が4.8年なので、やはりキャリアが中断しやすい状況下にあることが、そのまま平均給与の差になっているのではないかと推察されるでしょう。

平均給料は医師として働く場所の規模・状況によって変動

さて、ここまでは全国的かつ全体的な平均の数字を見てきました。一般的な傾向として、勤務先の規模や条件によって、給料も変動しやすいと言われていますが、これは医師も例外ではないと考えていいでしょう。

ただ、通常は規模が大きくなると、給与・賞与とも高くなりやすいようですが、医師の場合は少し違いもあるようです。ここでは事業規模別の給与の違いを見ていきましょう。

小規模の病院・医療施設は給料水準が高めの傾向

事業規模別に給与の平均を見ていくと、他の医療職種および病院以外の一般職種とは異なる傾向が見られます。

事業規模 諸手当を除いた給与平均 諸手当込みの給与平均 賞与
10人~99人 約118万円 約119.7万円 約57.8万円
100人~999人 約111.5万円 約119.7万円 約74.4万円
1,000人以上 約64.4万円 約77.1万円 約104万円

一般的には、事業規模が大きくなればなるほど平均給与も上がってくるものですが、医師だけは1,000人以上の規模になると平均給与だけ下がっています。ただし、賞与だけは事業規模が大きくなるにつれて、平均値も上がっています。

ちなみに、10人~99人であれば諸手当を除いた給与平均が約118万円、諸手当を入れると約119.7万円です。

100人~999人の場合、諸手当を除いた給与平均が約111.5万円、諸手当込みで約119.7万円。1,000人以上になると、諸手当を除いた給与平均が約64.4万円、諸手当込みで約77.1万円となります。

同じく賞与の平均は、10人~99人で約57.8万円、100人~999人で約74.4万円、1,000人以上で約104万円です。

全体的に見ると、事業規模の小さい施設は、給与を高めに設定して賞与を低く抑える、大きくなると給与を低く抑えて賞与を高めに設定しているという傾向にあります。

経験や手術・論文発表などの実績によっては給料アップにつながることも

医師は、業務独占資格が必要な資格職の中でもっとも高い給与が得られる職業です。取得するまで長い年月がかかり、一人前になるまで研鑽が必要とされる分、経験を積んで技術が向上するとともに、給料もアップしやすいといえます。

医師は転職が多い仕事と言われていますが、手術や論文を発表した実績、勤務した病院で役職に就いた経験があれば、その実績を考慮した給与設定をしてもらえる可能性が高くなるでしょう。

ただ、研修医時代は給与が低く抑えられ、特に初期研修時はアルバイトもできないため、多くの医師がギリギリの生活を強いられるようです。その間は我慢をすることが大切です。

事業規模が大きくなると給与が抑えられるのは、人件費の予算が関係している可能性がある

医師の給与は、手術や診察のスキル、その他論文発表の実績が反映されやすいといえます。こういった実績を持っていたら、それだけで有利に働くとも考えられます。

ただ、先にも書いたように事業規模が大きくなるにつれて、給与が抑えられやすい傾向にあるので注意が必要です。

その理由として考えられるのは、人件費に割ける予算の割合と考えられます。どの企業でも同じことですが、もっともお金がかかるのは従業員の人件費です。これは病院でも例外ではありません。

特に医師の給与水準は高いですし、その予算内で給与を決めなければならないという事情があります。

医師の平均年収の統計

医師の年収は350~1,200万円以上

給与のところでも書いたとおり、医師の年収は病院の設立母体(国公立・民間、大学病院、総合病院、クリニックなど)によって異なります。また、医師国家試験に合格後で入職したばかりの研修医かある程度経験を積んだ医師かによっても、年収は変わってくるでしょう。

単純比較はできないものの、初期研修医であれば想定年収はもっとも低い場合で350万円前後。臨床経験を積みある程度の実績を残してきた勤務医であれば、1,200万円以上の年収を得ることも可能となるでしょう。

転職することで、より高収入を得ることも可能

厚生労働省が毎年発表している「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、医師全体の平均年収は1,161万円です。

医師は激務になりやすく、数多い医療関連職種の中でも平均勤続年数が短いと言われています(男女平均5.5年)。特に緊急手術の多い外科や出産を扱う機会の多い産婦人科医は、特に医師不足が叫ばれているのが現状です。

そのため、どの病院も医師の確保に躍起になっています。医師はその激務や社会的使命もあり、医療職だけでなく全体で見ても高収入です。

しかし、医師不足の事情もあり「転職支援サイト」と呼ばれるエージェントを利用することでさらなる高収入を得ている人も多くいます。

参考:医師転職エージェントおすすめ7社を徹底比較!医者に人気サイトの選び方は?

開業医は診療科目によって変わる

一言で「開業医」といっても、いろいろな種類の病院があります。その収入も千差万別ですが、一般的には勤務医と比べて約1.7倍年収が高いといわれています。

全体の平均は約2,887万円なので、経営者の給与として考えるとかなりの高級といえるでしょう。

ちなみに、診療科目別に見た開業医の年収上位3科目は、下記のようになります。

順位 病院の種類 平均的な年収
1位 眼科 3,200万円台
2位 耳鼻咽喉科 3,000万円台
3位 整形外科 2,900万円台

眼科

眼科がトップになる理由として考えられるのは、視力が低下する人が増えているということでしょう。

実際、パソコンやスマホが普及したことに伴い、長時間画面を見る機会が多く、それが原因で視力を落とす人が増えています。

また、意外と多いのが目の手術で白内障やシーレックなど、細かい手術が多いことから高収入になりやすいようです。

耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科については、花粉症の人が増えていることに関係があります。花粉症は1度罹ると、なかなか完治しないので時期になると通院せざるを得なくなります。

後は、医師の偏在問題で耳鼻咽喉科の医師が少ないので、競争率が低い分高収入に繋がりやすいといえます。

整形外科

整形外科の診療領域は、関節や筋肉、骨、神経など広範囲にわたります。実際、これらの部位はなんらかの原因で怪我することも多く、通院する人も増えやすいようです。

実際、高齢者になると自由に動かしにくくなりますし、スポーツをやっている人であれば練習中や試合中に怪我をすることも多いので、患者数が増えることはあっても減ることは考えにくいでしょう。

また、完治するまではリハビリが必要なので、得られる収入も増えやすくなります。

技術を磨くためにアルバイトを掛け持ちする人も

医師の特徴として、常勤の勤務先以外にアルバイトを掛け持ちする人が多いという特徴があります。たとえば、普段は総合病院で内科医として働いている人が、休みの日に健診センターで健康診断を担当していることも珍しくありません。

その他にも、医師が足りない病院で非常勤医師として休みの日の午前もしくは午後だけ働くという人もいるようです。

アルバイトで働くメリットとしては、実際に働いてみることでミスマッチが防げるという点があります。医師の世界でも同じで、望んで転職したはずが「こんなはずではなかった」と思い、再転職を考える人が多くいます。

アルバイトであれば、週(月)に数日だけですし、実際に働いてみることで見えてくることがあるので、興味のある分野があれば実際に働いてみるといいかもしれませんね。

次の理由とすれば、お金の問題です。医師の平均年収は1,000万円~1,200万円前後なので、「それだけあれば十分では?」と思う人もいるでしょう。しかし、実際は子供を医師にしようと思っている人も多いので、教育費もかなりかかります。

教育費は子供の人数はもちろんですが、大きくなるとそれだけかかってくるので、そうしたお金を作るためにアルバイトをしている人も多いようです。

医師の給与・年収まとめ

医師の年収レベルは高い。その分、肉体的・精神的にもハード

医師の給料・年収レベルは、数多い職業の中でも上位にくる職業です。また、弁護士や公認会計士などの独占業務資格の中で比較しても、圧倒的に高給が得られます。

研修医時代の給料は低めですが、それを乗り越えて経験を積むことで誰もが羨むような高給を得るという夢も持ちやすいでしょう。

しかし、宿直業務も多いですし、専門科目によっては緊急手術で呼び出されることも多い仕事でもあります。実際、人命を扱う責任の重い仕事なので、常に高い集中力が求められます。

努力を積み重ねることで、手術や診察の腕も上がってきますし、そうした姿勢を認められることでヘッドハンティングやさらなる好条件での転職、開業も可能です。そういう意味では夢のある仕事といえるでしょう。

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医師の参考情報

平均年収350万円~1200万円
必要資格
  • 医師免許
資格区分 免許
職業職種医療

統計情報 出典元:

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