歯科助手の資格・試験とは?歯科助手資格試験の概要と合格のための秘訣
歯科助手にとって資格を取ることは必須条件ではありませんが、事前に専門的な知識を得るためにも試験を受けておくことが推奨されています。歯科助手資格は採用の際にも有利ですし、ブランクや転職の時にも役に立ちます。ここからは、歯科助手資格試験の種類と条件、試験内容についてご紹介します。
歯科助手に必要な資格とは?
歯科クリニックのという専門的な医療機関に勤めている、歯科助手。素人では分からないような用語を話したり、難しい器具を使用したりするためハードルの高い仕事と思われがちですが、実は特別な資格を必要とするわけではありません。
一緒に働いている歯科衛生士は国家資格が必須ですが、歯科助手は資格なし、未経験でも可というクリニックは多いものです。しかしながら、医療に携わる専門的な仕事に変わりはありませんので、日常使う専門用語や歯に関しての知識を身につける必要はあります。
事前に取得できる歯科助手資格がある?
歯科助手になるために求められている資格はありませんが、働きだしてから現場の足を引っ張らないためにも事前の準備は必須でしょう。もちろん、先輩スタッフからの指導や研修をしてくれる歯科クリニックも多く、未経験の受け入れ態勢は抜群なのですが、即戦力となるためにはある程度の知識と基本的な仕事内容は理解しておくべきです。
そこで便利なのが、事前に取得できる歯科助手資格試験です。民間の資格試験機関が主催しているもので、幾つか種類があります。業界ではよく知られていて、履歴書でのアピールとして役立つものも多いので、歯科助手になるための事前の準備としてそれらの資格試験を取得しておくと良いでしょう。
持っていると有利な歯科助手資格試験の概要
歯科助手は歯科衛生士のように国家試験をパスする必要ないので、特別な資格がなくても歯科助手として働けます。
ですが、民間の資格認定団体が主催している歯科助手の資格を保有していたり、歯科助手の検定試験に合格していると、歯科助手としての能力を客観的に証明することができ、就職の際にはとても有利です。即戦力として見てもらえますし、検定を受けていない人と比べると有利な条件を提示されることもあります。
持っていると有利な歯科助手資格試験には幾つか種類があり、主催している団体も試験内容も異なります。自分にとって負担なく、長い目で見て役に立つような歯科助手資格試験を選びましょう。
歯科助手資格認定
歯科助手資格とは、公益社団法人日本歯科医師会が認定している資格です。歯科医療業界の中では最も有名な資格と考えてよいでしょう。
歯科治療をスムーズに行うため歯科助手の育成とスキルアップを目的とし、試験方式で与えられるものではなく、専門学校での講習を通じて認定される資格になります。
甲種歯科助手資格
歯科助手資格には甲種と乙種の2種類があります。
甲種歯科助手資格の認定を受けるためには120時間の実習に加えて、診療用機械の取扱いやX線フィルムの整理、歯科用語、消毒法、医療安全など全17項目、合計420時間の訓練を受けることが必須条件です。
ですが、乙種第一歯科助手資格をすでに持っているのであれば、3年以上の実務経験と補充研修訓練基準による訓練を修了するだけで、甲種歯科助手資格を取得することが可能です。
乙種歯科助手資格
歯科助手資格乙種には、乙種第一と乙種第二の2つがあります。それぞれ勉強範囲と分野、条件が異なりますので、全く違う資格検定だと考えても良いでしょう。
■乙種第一歯科助手資格
乙種第一歯科助手資格は、主に診療室内の仕事に従事する者として認定される資格です。
学ぶ内容としては一般教養、歯科臨床概論、保守管理、消毒法、共同作業など11項目が必要です。それに加えて52時間の訓練時間の修了が必須条件となります。
■乙種第二歯科助手資格
乙種第二歯科助手資格は、主に事務的な仕事に従事する者として認定される資格です。
事務作業を中心として学び、歯科助手としての心得、一般教養、歯科臨床概論、歯科事情、社会保険の概要、受付の業務など11項目を中心に取得します。それに加えて40時間の訓練時間が必須条件となります。
歯科助手資格取得のための講習情報
公益社団法人日本歯科医師会が認定している歯科助手資格講習は、県や地域、養成校ごとに異なります。時には状況により開催していない年もあるようなので、事前に都道府県歯科医師会に問い合わせ、正確な情報を教えてもらいましょう。
また、講習の必須修了時間は、あくまでも目安としての公開されているものなので、養成校や県、地域によって基準時間を前後することもあります。自分がいる地域の都道府県医師会の情報をチェックしておきましょう。
医療事務管理士(歯科)
医療事務管理士(歯科)は、技能認定振興協会(JSMA)が認定する資格のことで、歯科助手の仕事内容には欠かせない医療事務スキルを持っているかどうか試されるものです。詳しい内容としては、歯科クリニックでの患者さんへの対応方法、レセプト作成、カルテの管理などがチェック対象です。
大きな規模の歯科クリニックでは、専門の医療事務管理士を受付に常駐させていることが多いので、医療事務管理士の資格を有していると比較的大きな歯科クリニックに就職しやすいというメリットがあります。
医療事務管理士(歯科)試験の受験条件
医療事務管理士(歯科)認定試験は、年齢や学歴に関する条件が指定されていないので、誰でも受験することが可能です。実際に歯科助手として働きだしてからキャリアアップのために受験する人もいますし、就職の前に事前に取得する人もいます。
医療事務管理士(歯科)試験の費用・期間
資格取得費用の相場 | 5万円前後 |
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資格取得期間の目安 | 4ヶ月~5ヶ月 |
医療事務管理士(歯科)試験の詳細
医療事務管理士(歯科)の試験は、奇数月の第4土曜日に年6回開催される会場試験と、時間や場所を問わずに受験できるIBT(Internet Based Testing)試験の2つがあります。
どちらでも内容には変わりありませんので、自分の予定や好みで選ぶことができます。学科試験と実技試験の二つがあり、取らなければならない点数基準も決まっています。
■学科試験
出題数 | 法規、医学一般、保険請求事務に関する問題が10問出題 |
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試験方式 | マークシート方式 |
試験時間 | 1時間 |
合格基準 | 70%以上の得点で合格ライン |
■実技試験
出題数 | レセプト作成に必要な知識を問われる質問が全部で3問出題 |
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試験時間 | 3時間 |
合格基準 | 3問すべて50%以上の得点、加えて3問の合計が70%以上の点数であれば合格ライン |
医療事務管理士(歯科)試験の合格率
医療事務管理士(歯科)の合格率の平均は意外にも高く、約74%と言われています。合格基準の設定は高めで厳しいですが、受講講座によっては在宅受験も可能となっているようなのでチャレンジしやすいという環境も合格率に関係しているのかもしれません。
実技試験、学科試験ともに合格基準に達する必要がありますので、満遍なく偏りのない勉強法が必要になります。
歯科医療事務検定
歯科医療事務検定は、全国医療技能検定協議会(ANMC)が主催する検定試験のことです。
歯科クリニックで必要な業務、つまり受付業務、カルテ管理業務、レセプトの作成、点検業務のスキルをチェックするものです。他にも歯科医師や歯科衛生士のサポート業務を円滑に行うスキルを持っているかどうかが合格基準として見られます。
歯科医療事務検定試験の詳細
歯科医療事務検定には1級から3級までのレベルがあります。それぞれの級で求められる知識やスキルは異なり、1級に求められるスキルはかなり高度なものになり、現場で即戦力になるかどうかの判断にも一役買うようです。
どの級にも受験資格は定められていないので、誰でも試験を受けることが可能です。
■歯科医療事務検定3級
医療保険制度の理解、基本的な治療内容の把握、カルテに正確に点数記入ができる能力を問われる。
受験料 | 3,600円 |
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試験時間 | 1時間 |
合格基準 | カルテ2枚提出の上、80%以上の点数で合格ライン |
■歯科医療事務検定2級
3級のレベルよりもさらに応用的な治療内容を把握しているかどうかのチェック、レセプト記入の実力を見られる。
受験料 | 5,200円 |
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試験時間 | 90分 |
合格基準 | レセプト2枚提出の上、80%以上の点数で合格ライン |
■歯科医療事務検定1級
3級、2級の知識を包含しさらに応用したスキルを持っているかチェック対象となる。請求事務を幅広くこなせる深い知識と技能を持ち、あらゆる治療内容の点数算定について広く理解できているかどうかが問われる。
受験料 | 6,200円 |
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試験時間 | 90分 |
合格基準 | レセプト2枚提出と共に学科試験を受ける。80%以上の点数で合格ライン |
歯科助手検定試験
歯科助手検定試験は、医療福祉教育振興グループの日本歯科助手検定協会によって主催されている検定試験です。3級から1級までの段階に応じた検定試験があり、どの級も特別な受験資格を定めてはいません。
歯科助手検定試験3級
試験内容 | 歯科医療の基本的な知識と簡単な診療方法の把握 |
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試験時間 | 60分 |
合格基準 | 70%以上の正解で合格ライン |
歯科助手検定試験2級
試験内容 | 歯科医療のさらに広い知識(3級以上)、診療方法の応用 |
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試験時間 | 60分 |
合格基準 | 70%以上の正解で合格ライン |
歯科助手検定試験1級
試験内容 | 歯科医療への深い認識、診療体制について正確且つ迅速な対応力 |
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試験時間 | 60分 |
合格基準 | 70%以上の正解で合格ライン |
歯科助手専門員
歯科助手専門員は、全国医療福祉教育協会が認定する資格のことです。主にヒューマンアカデミーが主催している医療事務の通信講座「たのまな」の歯科助手講座を修了すると取得できるものです。
この資格は歯科助手が必要なスキルと知識を証明するものものとなり、面接や転職の際にも履歴書にも記載できるので、持っていても損のない資格です。
歯科助手専門員資格取得の詳細
ヒュウマンアカデミーが主催している「たのまな」通信講座は、自宅などの自分の都合がいい場所で勉強できるというのが最大の強み。この講座で受けられる歯科助手講座も同様で、必要な知識が幅広く網羅されたテキスト教材や、理解をより深めるために実際の歯科医院で撮影されたDVD教材を使って、都合の良い時間に自分で勉強することができます。
分からないことがあったり、疑問点などは受講中に利用できるサポートサービスを使って解決できます。メールやFAXでも気軽に疑問解決できるので安心です。
教材価格 | 39,000円(税込)一括で発送 |
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標準学習期間 | 4ヶ月間 |
在籍期間 | 8ヶ月間 |
歯科助手資格試験を受けておくことのメリット
歯科助手の仕事は専門的なものが多いとはいえ、未経験からのスタートという人も少なくありません。それでも就業前にある程度の基本的な勉強をしたり、歯科助手検定などを受けたという人が多いのも事実です。
ですが、歯科助手として仕事をするために資格は必要ないのに、なぜ事前に歯科助手資格試験を受けている人が多いのでしょうか?そうすることには幾つかのメリットがあるからです。ではここから、詳しく紹介していきます。
基本的な知識をゼロから学べる
歯科助手が働く職場は、歯科医療という最も特殊な場所です。専門用語はもちろん、勉強していないと分からない作業や言葉の意味さえ分からない治療内容もあります。未経験でも良いとはいえ、初日から慌てないためも歯科助手の仕事を最低限理解しておいた方がいいはずです。
歯科助手資格試験を受けると、必要な基本的知識をゼロから学んでおけるので、後々自分自身も楽です。ある程度の専門用語と仕事の流れが分かっていれば、教える先輩歯科助手も楽ですし、お互いストレスを軽減できるでしょう。
歯科クリニックで採用してもらいやすい
歯科クリニックの数は膨大ですから、そこで働く歯科助手のニーズは安定しています。とはいえ、未経験や知識がなくても採用してもらえるということで求人に対する応募数が多く、ライバルが多くなってしまうのも必須。
でもそんな中でも歯科助手資格を持っていたり、歯科助手検定を受けていれば、就職や転職には断然有利です。歯科クリニック側としても、せっかく雇うなら専門スキルを持った“即戦力”となる人の方が良いのは当然でしょう。
ブランクがあっても復職しやすい
歯科助手は女性に人気に職種です。勤務地となる歯科クリニックは全国各地に多く存在しており、フルタイムからパートまで多くの雇用形態があるので、結婚や出産など状況が変わりやすい女性にとっても働きやすい仕事環境だからです。
最近では子育てが終わり、かなりのブランク期間を抱えて就職活動を再開する人も増えています。雇い主側からすると、どうしてもブランク期間が気になるものですが、ほとんどの場合、歯科助手資格者が優先的に採用されているのが現状です。
資格取得は即戦力の証明でもありますから、歯科助手を一生の仕事にしたいと考えている方にとって、大きな意味があることは間違いないでしょう。
歯科助手の資格試験合格への道
歯科助手資格試験にはいくつもの種類があり、受験する機関も内容も期間にも違いがあります。講座を受ければ取得できるものもありますし、決められた点数以上を取り試験をパスしなければならないものもあります。
どんな試験にも対応する秘訣は、決められた勉強範囲を徹底的に覚えることはもちろん、歯科治療に関する知識を幅広く取得するような仕方で勉強しておくことが効果的です。
学ぶ意欲を持つことが大切
満足のいく結果を手にするためには、何事も意欲的にこなさなければなりません。歯科助手の資格試験を受けるためには、学校に通ったり、通信講座を受けたり、独学で学ぶなどの方法がありますが、どれを選ぶにしても自分の意欲次第だということを忘れてはなりません。
意欲的に学んだ内容は必ず身に付き、将来自分を助けてくれるはずです。真剣に取り組みましょう。
歯科助手の資格・試験まとめ
歯科助手の資格は持っていても持っていなくても就職できます。とはいえ、事前に資格を取得している人材は歯科クリニックにとっても貴重な存在ですし、採用に有利なことは事実です。また、資格試験で学習した内容は実践でもすぐに役に立ちますし、教える側の先輩歯科助手にかける負担も少なく済みます。
歯科助手の資格試験は幾つか種類があり、それぞれ申し込み方法や勉強方法、予算、試験内容が異なりますので、自分が受けたい試験の詳細を事前にきちんと確認しておきましょう。
意欲に取り組めば、面接でも有能な人材であることがアピールできる歯科助手資格を取得することができるでしょう。
歯科助手の参考情報
平均年収 | 250万円~350万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 医療 |
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