学芸員の給与や年収は?初任給や支給されるボーナスはどれくらい?
学芸員は常に学生からの人気が高い職業の上位にランクインしています。専門的な知識が必要とされますが、自分の好きな分野の研究を生涯続けることができるので志望している方も多いのではないでしょうか。ですが、給与、年収という観点で見ると決して高額とはいえません。学芸員の給与、年収について紹介していきます。
学芸員の初任給は就職先による
学芸員の給与は一般的に安いといわれています。それは資格取得の難易度の高さに比べ、給与が釣り合っていないと思う人が多いからです。
学芸員の資格は大学で博物館に関する科目を履修して単位を取得して大学を卒業することが一般的で、高卒から学芸員の資格を取得するには、資格認定審査を受けるだけでも、学芸員補と呼ばれる学芸員の助手の実務経験が8年間必要とされるなど、資格を取得する条件がかなり厳格です。
公立の博物館や美術館などの文化振興施設に学芸員として就職することができれば、給与は基本的に文化振興施設がある自治体の地方公務員の給与が適用されます。
私立や第三セクターなどが運営している博物館などに学芸員として就職した場合の初任給は、15万円~高くても20万円が一般的です。
大卒で普通の大学生よりも多い科目を履修して単位を取得して15万円ほどの給与ですから、確かに大卒初任給と比べても安いです。ですがそれ以上にやりがいもある仕事なので常に求人の倍率は高いです。
公立の博物館は学芸員としてのエリート
一般的に学芸員の給与は全職種の平均と比較しても低いことで知られています。ですが国立、公立の博物館や美術館に学芸員として就職することができれば給与体系は運営している自治体の地方公務員の給与と同額です。
公務員なので始めのうちは高額な給与がもらえるというわけではないですが、私立や第三セクターが運営している博物館美術館などの学芸員よりは高い給与が望めます。
さらに地方公務員は経験を積んで勤務年数が長くなっていくにつれて給与は上がっていきます。市役所や都道府県職員ほど昇給があるわけではないですが、基本的に一度学芸員として採用されたら定年までは職を失うこともありませんし、ボーナスなどもきちんと支給されます。
私立、第三セクターに勤務している学芸員だと昇給はほとんどないところが多いです。さらにボーナスもほとんどもらえないというところが多いので、給与ではなくやりがいがあるから続けられているという人が多いです。
なので給与体系や労働環境などでは、国公立の博物館や美術館の方が恵まれています。しかし国公立の博物館や美術館に就職することは簡単ではありません。公務員として安定した給与をもらいながら自分の好きな専門分野の研究ができるので、なかなか欠員が出ることがありません。
倍率100倍も珍しくない学芸員の求人
学芸員はそもそも募集している人員が少ないので、欠員が出たらその欠員を補充する形で学芸員の募集を行うことがほとんどです。
ですが公務員として学芸員になりたいと思う人は当然たくさんいるので、少ない求人数に対して応募数がとても多くなります。有名な博物館の学芸員が募集されたときは倍率が100倍を超えることも珍しくありません。
ごくわずかな人しか公務員として学芸員になることができないのが現状です。
大学を卒業して学芸員の資格を取得しても、求人が少ないので学芸員としての就職先がなく、非正規でアルバイトなどをしながら暮らして、どこかの博物館などの文化振興施設で学芸員の募集があったら、応募して面接などを受けるというのが一般的です。
非正規で働いていても、学芸員としての専門知識を増やし続けなければ、面接で自分の専門分野をアピールすることができないので、学芸員として就職するまでは大変な道のりであるといえます。
学芸員になる人は給与よりもやりがいを求めている人が多い
学芸員は資格を取得する難易度に対して給与は全職種の平均と比較しても低めです。ですが、それでも将来の夢として学芸員を志望する人は増え続けています。
給与が低く、倍率も高いので簡単には就職できないと知っても多くの人が学芸員としての就職を希望しているのには、給与以上のやりがいを感じている人が多いからです。
学芸員を志望する人は、自分はこの分野なら他の人には絶対負けないという専門分野を持っている人がほとんどです。
自分の専門分野の資料を収集したり、遺跡を発掘調査したり古文書の解読をしたりと、普通に暮らしていてはまず関わることのできない歴史的、文化的に貴重な資料などに日常的に関われることも、学芸員としての大きなやりがいの一つであるといえます。
そのために給与が低くても、それ以上のやりがいを感じて学芸員を志望する人は減ることがありません。給与よりもとにかく研究がしたくてたまらないという人が学芸員に向いている人であるといえます。
学芸員の平均年収、ボーナス、昇給
学芸員の平均年収は250~350万円ほどで、中小企業の平均年収と同じぐらいです。
ですが、学芸員は職務上高度な専門知識が求められるので自分の専門分野を研究するために大学を卒業して学士の学位を取得している人や、大学院で修士、あるいは博士の学位まで取得している人も少なくありません。
中小企業の平均年収と同じぐらいの水準だとしても、中小企業では高卒の割合も高いので、学芸員のほとんどが大卒あるいは大学院卒の学歴を持っていることから考えると平均年収は低いといえます。
公営の博物館や美術館に勤務する公務員の学芸員であれば、ボーナスや昇給などは基本的にその自治体の地方公務員の水準と同額です。ですが、民間が運営している施設に勤務している学芸員ですと給与形態はピンキリです。なかにはボーナスや昇給などがほとんどないところも珍しくありません。
日本は不況が長く続いているので国からの補助金などが年々減っていて、文化振興や研究に対する予算が減らされているのが現状です。そのためただでさえ給与的に恵まれていない学芸員の労働条件は今後さらに悪化していくといわれています。
ボーナスについて
学芸員のボーナスや昇給は給与と同じように勤務している施設や運営母体によって大きく異なります。国公立の博物館施設に勤務している学芸員だと地方公務員扱いになるため、勤務している自治体の公務員と同程度のボーナスと昇給が見込めます。
民間が運営している施設だと、ボーナス自体がもらえないという施設も少なくありません。もらえたとしても、国公立の施設に勤務している学芸員ほどはもらえないことが多いです。
昇給について
昇給についてもボーナスと同じように、運営母体が自治体か民間かによって大きな違いがあります。国公立の施設に勤務していれば自治体の地方公務員と同じ扱いになるので、年齢を重ねていけば自然に昇給していきます。定年間際になれば全職種の平均年収よりも高い給与が望めます。
民間であれば経験年数が増えていっても、昇給はほとんどないところが多いです。民間が運営している施設に勤務している学芸員は基本的に給与は安めです。
学芸員の給与は今後ますます削減されていく
学芸員の給与は公務員として勤務できなければ、基本的には経験年数を積み重ねても安い施設がほとんどです。
そのため勤務先として国公立の施設が圧倒的に人気で、1つの求人に対して倍率が100倍を超える事も珍しくありません。
指定管理者制度によって雇用契約はさらに不安定に
国公立の施設でも経費削減のために指定管理者制度が創設され、運営を外部の民間業者に任せることが増えてきています。
この指定管理者で採用された場合はほとんどの契約に任期制度が盛り込まれていて、数年間ごとに契約を更新する方式になっています。数年ごとの契約が延長できなければ、職を失ってしまう、不安定な労働環境が増えているということになります。
この任期制で働いた場合の給与は正規雇用された場合よりもかなり低くなっていて、半分以下になってしまう場合も多くあります。
学芸員の給料・年収まとめ
学芸員の給与は資格を取得する難易度に対しては低めです。公務員として勤務することができれば、安定した給与が望めますが、求人の競争倍率は非常に高く採用されることは困難です。
公務員であっても最近では任期制、臨時職員、嘱託職員やパート、アルバイトなどの非正規雇用が非常に増えていて正規雇用での契約は減り続ける一方で、政府からの補助金なども年々減り続けています。
給与以上のやりがい
正規雇用での就職は非常に難しく、給与も恵まれているとは言えない学芸員ですが、それでも志望する人の数は増えています。
自分の好きな専門分野の研究に日々関わることができるというやりがいは給与以上の魅力があるのでしょう。
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学芸員の参考情報
平均年収 | 250万円~400万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 教育・保育 |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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