航空機関士になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説
機長、副機長に次ぐ第3のパイロットともいわれる航空機関士の仕事ですが、この仕事にはどんな能力が求められるのでしょうか?この記事では、航空機関士の仕事に向いている人の持つ適性や、航空機関士になるためにはどんな学校で勉強すればいいのかを紹介します。
航空機関士になるには何が必要?
航空機関士はフライトエンジニアとも呼ばれています。
機長、副操縦士に次ぐ第3のパイロットと呼ばれ、航空機の安全な運航を支える縁の下の力持ち的なポジションの仕事です。
搭乗する当日は、飛行記録を調べてエンジンや機体の状態を確認します。また、エンジンや各種システムの監視を行います。もし問題が見つかれば、パイロットや運行管理者をまじえて飛行計画の変更などを話し合います。
コックピットに入ってからは、各システムの計器類、スイッチ類の点検を行い、状態をチェックします。離陸後は各種計器を見ながらエンジン機能をチェックし、フライト中は、電気系統から油圧系統、燃料消費、機内温度、気圧など様々な計器をチェックし、機長の仕事を支えます。
そうした航空機関士の仕事に求められる能力には次のようなものがあります。
- 視力の良さ
- 健康維持
- すぐれた方向感覚
- 計算能力
- 冷静沈着
- コミュニケーション能力
- 身体的・精神的にタフ
視力の良さ
たくさんの計器類を眺めチェックする仕事には、視力の良さが必要です。航空機関士として働いていた方は、星空を眺めて焦点距離を遠くに合わせるための訓練をされておられた方もいます。
健康維持
フライト中に病気の症状が出て安全な運航に支障をきたすことがあってはなりません。健康を維持する能力も大切です。歯痛の症状が出ては仕事に差し障ると、歯の治療を完璧に行った航空機関士の方もいます。
すぐれた方向感覚
航空機が錐もみ状態になったりした場合、すぐさま機首がどの方向を向いているかを判断できるようにするために、東西南北の方向感覚を身に着ける感覚を鍛える必要もあります。
計算応力
航空機関士の仕事には、燃料や重量の計算、離陸速度・着陸速度の計算が含まれます。貨物の重さ、燃料、乗客数などから機体の総重量を計算して、重心位置、離陸時のエンジン推力・速度などを決定します。そのため、航空機関士には計算能力も必要です。
冷静沈着
いかなる状況でも冷静に物事を判断できる必要があります。航空機関士は体の健康を維持することも大切ですが、性格面に関する適正検査も受ける必要があり、こうした検査を通じていつでも冷静に物事を判断できる能力が身についているかどうかチェックされます。
コミュニケーション能力
機長の仕事を支える航空機関士は、機長に必要な情報を正確に分かりやすく伝えるコミュニケーション能力も求められます。
身体的・精神的にタフ
長時間のフライト、航空機の安全な運航や時間内での到着に関する責任を担っている、乗客乗員の命を預かっていることなどを考えると身体的・精神的にある程度タフであることが求められます。
航空機関士に向いている人、適性がある人
航空機関士仕事にはどんな能力が求められるのか紹介しましたが、必要とされている能力を分析すると、どんな人が航空機関士に向いているのか、適性があるのかが分かります。
勉強が好きな人
航空機関士になるには2つの方法があります。
- 航空会社に入社し、航空機関士の見習として100時間以上の実地練習経験を積んで国家試験を受ける。
- 1年以上の航空機整備経験と50時間以上の航空機関士見習の実地練習経験を積んで国家試験を受ける。
いずれの場合でも国家試験に合格して航空従事者技能証明を受けなければなりません。
航空従事者技能証明には、学科試験があります。学科試験の範囲はとても広く、航空力学、機体の構造や整備の方法、航空機用のエンジンの構造や整備の方法、航空機装備品の構造や整備の方法などの航空機に関係する様々な分野が含まれます。それに加えて、気象、通信、航空法などの分野からも出題されます。
航空機に関する専門的な知識をたくさん学ぶ必要のある航空機関士になるには、勉強好きでなければなりません。
計算が好きな人
航空機関士の主な仕事は燃料や重量、離陸速度や着陸速度の計算です。貨物量、燃料、乗客数などの情報をもとに、機体の総重量を計算し、機体の重心やふさわしい離陸速度などを計算する仕事なので、計算が好き、数字が好きという人はこの仕事に対する適性があります。
観察力に優れている人
フライト中は電気系統から油圧系統、燃料消費、機内温度などの関係する様々な計器をチェックします。気圧や気象状態なども観察対象に含まれます。物事をよく観察しそこから得られた情報に基づき判断し行動できる人は、この仕事に向いていると言えます。
航空機関士になるための学校・教室
日本の民間航空会社で現在運航している航空機の中には、機長・副機長・航空機関士の3人態勢で運行しているものはありません。
平成21年のボーイング747クラシックの引退を最後に、航空機関士の乗務が必要な機体がなくなりました。ですから日本では事実上、航空機関士という職業はなくなりました。しかし、国土交通省の管轄する航空従事者技能証明において航空機関士資格は残っています。
こうした現状で、航空機関士を目指そうとする場合、自衛隊に入隊するという方法があります。自衛隊の輸送機などの中には、航空機関士の搭乗が必要とされている機体があるからです。
民間航空機で航空機関士として就職するのは現状では不可能ですが、コックピットに乗るのが夢ならば、パイロットに必要な知識や技術を学べる専門学校や大学を目指すことができます。
この章の最後では、航空機関士としてではなくパイロットとして航空機を操縦するためには、どんな学校で学べるのか紹介します。
専門学校で学ぶ
専門学校の中には航空機操縦に必要な知識・技術を学べる学科を用意した学校がたくさんあります。そうした学校を選び学ぶことができます。
大阪航空専門学校
大阪航空専門学校の2年制のパイロット学科では、航空機操縦に必要な知識や技術を学ぶことができます。充実した設備と環境を整えており、元エアラインパイロットや自衛隊の元戦闘機パイロットの教官の指導を受けることができます。
実機を用いた訓練などがあるので、プロのパイロットとして必要な事業用免許の取得に向けた充実したサポートを受けることができます。
大学で学ぶ
大学の中にも航空機操縦や整備に関する知識や技術を学べるところがあります。そうした大学に入学し、航空整備士の仕事に近いパイロットや航空整備士の仕事を目標にすることができます。
日本航空大学校
国土交通大臣指定航空従事者養成施設として、以前から、多くの優秀な航空整備士・CA・設計製造エンジニア・パイロットを育成し輩出してきたのが日本航空大学校です。
日本航空大本校はのと里山空港に隣接し、2,000mの滑走路を共有しています。また大型機YS-11や小型機、モーターグライダーなど多数の機体を所有しています。そのため実機を用いた訓練を受けることができます。
エアラインパイロットになるために必要な事業用操縦士、計器飛行証明、英語能力証明、航空無線通信士などの資格を身に着けるための授業が用意されており、大手航空会社へ就職などにも有利です。
航空機関士になるには?まとめ
航空機関士は機長の仕事を支える第3のパイロット
航空機関士の仕事を簡単に要約すると、機長の仕事を支える、副操縦士に次ぐ第3のパイロットです。飛行前には、飛行記録からエンジンの状態や各種システムをチェックします。飛行中もありとあらゆる計器をチェックし、飛行機が予定通り安全に目的地まで飛行できるよう機長をサポートします。
しかし、航空機エンジンや各種装備品のコンピュータによる電子制御などのシステムが進歩し、航空機関士の仕事を必要とする航空機自体が減少してきました。現在日本のエアラインでは航空機関士の搭乗を必要とする旅客機はなく、航空機関士の仕事自体がなくなりました。
とはいえパイロットとしてコックピットに乗るという方法があります。そのための専門学校や大学もいくつかあるので、航空機関士の仕事はなくなってもパイロットとして快適な空の旅のお手伝いをすることができるでしょう。
航空機関士(フライトエンジニア)の参考情報
平均年収 | 400万円〜600万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 運輸・乗り物 |
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