芸術家の給与・年収は?収入水準は人それぞれで、評価されれば高収入が得られる
創作活動をしたり演奏活動をしたりする芸術家、その収入はどのくらいでしょうか。基本的には、自称で名乗れてしまう職業であるため、知名度などがなければ本業として生計を立てることは難しいのが実情です。本記事では、芸術家の収入面についてご紹介します。
芸術家の初任給
一般的な初任給の概念は当てはまらない
芸術家は、彫刻・絵画・陶芸品などの作品を作って販売したり、演奏会で歌ったり楽器を演奏したりして入場料収入やCD等の売り上げを得たりします。
売上金額は芸術家それぞれ。実力も名声もある芸術家であれば作品も高額になりますし、無名の新人であれば作品はなかなか売れず、売れたとしてもそれほど高額にはならないでしょう。ですから、一般的な会社員のような初任給や固定給の概念は芸術家には当てはまりません。
実際のところ、芸術のみで生計を立てられるほどの十分な収入を得られる芸術家はごく一部で、生活のために別な仕事をしながら休みの日などに創作活動をしている人がほとんどです。
収入は芸術家それぞれで大きく違う
絵画や彫刻は制作するためにも費用がかかります。材料費や窯をはじめとする設備・燃料代も必要です。制作にはいくつもの工程がありますので、一つの作品に取り掛かってから完成するまでには時間もかかります。そうしてやっと完成した作品でも、まったく売れない場合や値段がついたとしても数千円から数万円前後ということも多々あります。
音楽家が演奏会を開催する場合を考えると、会場費や宣伝にかかる費用、チケットのもぎりや開場案内等のスタッフ人件費、プログラムの制作・印刷費など、様々な費用がかかります。これらを入場料収入で賄えれば良いのですが、現実にはそれもなかなか難しく、特に無名の新人の場合は自分でチケットを捌かなければなりません。
実際には、出演者本人や家族がチケットを買い取り、親戚や知り合いなどに無料に近い価格で譲るといったこともあるようです。つまり、演奏会トータルでは赤字ということになります。一方、有名な演奏家で大口のスポンサーがついたり、依頼されて演奏会に出演したりする場合はそのような心配は不要で、それなりの出演料を得ることができます。
このように、芸術家の収入は人それぞれで大幅に違います。若い人でも有名なコンクールや品評会で高い評価を得ていれば引く手あまたで、作品料・出演料なども高額となるでしょう。高齢の人でも目立った業績や芸術性に欠ければ収入は非常に低い職業です。
異業種からの転職は熟考を
芸術家になるために必須の条件は何もなく、学歴や職歴、年齢等に無関係で誰でもなることができます。芸術家と名乗るのも自由なので、誰でも今すぐに芸術家を称することが可能です。しかし、実体を伴った芸術家になるのはかなり大変です。
仮に世界に通用するような高い芸術性や天性の才能があったとしても、作った作品が世間に評価されなければ満足いく値段をつけてもらうこともできません。無名の人の演奏会に高額の入場料を支払う人は少ないでしょう。
つまり、無名の芸術家が世に出るためには一般的にはそれなりの期間の下積みが必要です。師匠に師事してスキルを学びながら業界での人脈を広げる人も多くいます。現在の仕事を辞めて芸術家を目指す場合、生計を立てていけるようになるまでにかなりの期間を要することを覚悟しなければなりません。
相当期間、収入のない時期や副業が必要な時期が続くことを考えると、異業種からの転職は気軽にすべきではなく熟考を要するでしょう。
芸術家の平均給与
金額にはかなりの幅がある
絵画や彫刻・陶芸などの作品は、高ければ何億円もしますが安ければ数千円ということもあります。演奏会を開催する場合、人気の奏者であれば1公演で数十万円から数百万円の出演料や入場料収入を得ることができますが、無名の奏者は下手をすればチケット買取分などの持ち出しの方が多く赤字になります。
このようにマイナスから億単位まで人によって収入かなりの幅がありますので、芸術家の平均給与を算定することはできません。
中間的な芸術家の給与
一般的に言われている相場としては、デパートや展示会場などに作品を出せるレベルのプロで1つの作品が3~10万円前後のことが多いようです。仮に1月に10点の作品が売れたとすれば月収は30~100万円となります。
また、演奏家の場合、スポンサーがついている演奏会やクライアントに招待されて演奏会に出演する際の謝礼金は、1ステージで5~20万円がボリュームゾーンのようです。仮に週1回ペースで月4回演奏会に出演すれば月収は20~80万円となります。
この程度の収入を得られるのは、それなりに名前が知られているプロの場合です。駆け出しの芸術家の場合は上記よりも低い金額となるでしょう。
平均給与の統計
芸術作品は、コンスタントに売れ続ける保証はありません。また、演奏会を開催してもお客様が満員になるというわけではありません。芸術家としてそれなりの知名度があっても収入が多い月と少ない月があり、常に高い給与水準ということはないようです。
多くの芸術家は、自分で教室を開催したり学校で講師をしたりして副収入を得ています。芸術活動以外からの収入の方がメインとなっている芸術家も多いのが現実です。
そこで、参考のために厚生労働省所管の統計「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、個人で教室などを開催している人の平均給与は、月26.9万円です(「個人教師、塾・予備校講師」の「所定内給与額」)。
男女別、経験年数別に見ると次表のとおりとなっています。たとえば、男性で経験年数1~4年の人で24.3万円です。男女とも経験年数10年未満は20万円台、15年以上では30万円台となっています。
経験年数が増えれば平均給与も増える傾向にありますが、大幅に増加しているわけではなく全体としては高い給与水準とは言えないでしょう。
平均給与(男女別、経験年数別)
経験年数 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
1~4年 | 24.3万円 | 22.3万円 |
5~9年 | 27.6万円 | 23.7万円 |
10~14年 | 31.4万円 | 24.6万円 |
15年以上 | 35.4万円 | 30.9万円 |
全体 | 28.7万円 | 23.9万円 |
芸術家の年収統計
中間的な芸術家の年収
平均給与と同様に、芸術家の平均年収を算定することはきわめて困難です。たとえばデパートや展示会場などに作品を出すレベルの芸術家で月収が30~100万円の場合、単純計算で年収は360~1200万円となります。また、月収が20~80万円の演奏家の場合は、年収は240~960万円となります。
このように、それなりに知名度がある芸術家でも他の職業と比較してかなり低い年収の人もいるのが実態です。しかし、収入のために芸術家となっている人はそれほど多くはないようです。
高収入や収入の安定を目指すのであれば、商業デザイナーなど依頼されたものを制作する仕事に就くことが考えられます。そうではなく、自分の内面を創作や演奏で表現したい、収入は二の次、という人が多いのが芸術家の特徴のようです。
平均年収の統計
平均給与と同じく年収の統計もないので、「平成30年賃金構造基本統計調査」により個人で教室などを開催している人の男女別、経験年数別の平均年収を見てみましょう(平均年収は、「個人教師、塾・予備校講師」の「所定内給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」で算定)。
男性、女性とも経験年数1~4年では300万円前後となっています。男性は、経験年数10~14年で400万円台、15年以上で500万円台となっています。一方、女性は、経験年数5~14年の間は300万円台、15年以上で400万円台です。全体として、男性の方が女性より高い金額となっています。
平均年収(男女別、経験年数別)
経験年数 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
1~4年 | 326.2万円 | 298.2万円 |
5~9年 | 380.3万円 | 324.9万円 |
10~14年 | 442.5万円 | 333.3万円 |
15年以上 | 503.5万円 | 427.9万円 |
全体 | 393.9万円 | 318.8万円 |
男女とも他の職業と比較して高いとは言えない水準です。本業である芸術活動による収入もそれなりにあれば、1,000万円を超えるような年収を得ることが可能です。
しかし、個人の教室などからの収入がメインで休日などに芸術活動をするような場合、収入面はかなり厳しいと言わざるを得ません。
芸術家の給与・年収まとめ
芸術家の給与・年収は人それぞれで、生計を立てるのは難しい
芸術家の給与・年収は0円~数千万円と、人によってかなり幅があります。かなり低い収入しか得られず副収入に頼らざるを得ない人もいますが、一方で、世間から高い評価を得て億単位の高収入を得ている人もいます。
高収入や収入の安定性を求めるのは難しい職業ですが、自分の感性や世界観を芸術作品として表現したい人にとっては収入以上のやりがいを感じられるでしょう。
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芸術家の参考情報
平均年収 | - |
---|---|
必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 広告・デザイン・アート |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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