アクチュアリーの給与や年収は?アクチュアリー正会員であれば平均年収が約1000万円近い
保険や年金の掛け金を、様々な統計や情報から計算するアクチュアリー。その資格は日本最難関といわれるほど難易度が高く、資格所有者は高給で迎えられています。アクチュアリーの給与と年収の実態を、統計情報を含めながら紹介します。
アクチュアリーの初任給
公認会計士・弁護士と並ぶほどの高難易度資格が要求されるアクチュアリーは、科目合格者である研究会員、準会員でも専門的な知識を持っていますが、それぞれどの程度の需要があるのでしょうか。
求人情報から見えてきたアクチュアリーの初任給の実態を紹介します。
取得困難な資格のため新卒採用はなし
アクチュアリーは準会員まで平均5年、正会員には平均8年かかるといわれるほど、資格取得に長い時間を要求されます。そのため大学や大学院在学中に取得することが非常に困難であり、有資格者に対しては一般的な新卒者としての募集がほとんどありません。
そのため、資格所有者としての中途採用、または資格取得見込者として科目合格の時点での採用が中心となります。
未経験者は一般的な総合職と変わらず
第1次試験の科目合格者である研究会員の募集要項では、その多くが400~500万円前後の条件を提示しており、月収25万円前後からのスタートとなるようです。
一般的な総合職と大きな差はなく、今後の科目合格の内容と速度により年収が増加していき、他の総合職との差が生まれるでしょう。
アクチュアリーの平均給与の統計
アクチュアリーは高年収の知識職として知られていますが、実際はどの程度の給与が期待できるのでしょうか。
平均月収は37~75万が期待値
具体的な統計情報はありませんが、一般的にはアクチュアリー平均年収は正会員で1,200万円、準会員で1,000万円、研究会員では600万円といわれています。
それぞれを月収ベースに換算すると、正会員75万、準会員62.5万円、研究会員37.5万円と、一般的な職業よりも高額な給与を得ていることが類推されます。
アクチュアリーの年収統計
アクチュアリーの月収ベースでの収入が高額であることがわかりましたが、実際はどの程度の条件でアクチュアリーの募集が行われているのでしょうか。
大手求人サイトの求人情報
大手求人サイトに公開されていた50社分の求人広告から、アクチュアリーがどの程度の年収を得ているのかを類推しました。
多くの求人広告では提示されている年収に幅があるため、上限・下限それぞれを個別に集計し、募集の傾向を算出しました。
募集要項における提示年収下限
年収下限 | 割合 |
---|---|
~500万 | 13.95% |
~600万 | 32.56% |
~700万 | 16.28% |
~800万 | 23.26% |
~900万 | 0.00% |
~1,000万 | 13.95% |
募集要項における提示年収上限
年収上限 | 割合 |
---|---|
~600万 | 2.00% |
~700万 | 4.00% |
~800万 | 0.00% |
~900万 | 22.00% |
~1,000万 | 12.00% |
~1,100万 | 18.00% |
~1,200万 | 26.00% |
~1,300万 | 8.00% |
~1,400万 | 0.00% |
~1,500万 | 6.00% |
~1,600万 | 0.00% |
~1,700万 | 0.00% |
~1,800万 | 2.00% |
集計対象は、正会員のみを募集するものから、1科目のみ合格した研究会員まで含める募集まで、幅広い状況のアクチュアリー資格取得者を対象にした募集広告としています。
全体平均よりはるかに高い年収
年収の下限を対象として集計した場合、募集内容の53%以上が年収600万円以上を提示しており、アクチュアリーを募集している企業の7分の1以上は900万円以上を提示しています。
国税庁が公開している「平成29年度民間給与実態統計調査」におきまして、正規・非正規を全て対象とした平均給与年収は432万円とされていますので、日本全体の平均年収をはるかに超える年収が期待できる職業であるといえるでしょう。
科目合格でも募集あり
募集条件の内訳では、科目合格者である研究会員を募集対象に含めている求人が全体の70%を占めており、全科目合格までの能力はなくても、特定分野の知識で十分戦力として歓迎される傾向が見られます。
また、その70%のうち2科目以上の合格を条件としていたのが14%、3科目以上の合格を条件としたのが18%含まれています。科目数の指定がなかった求人が残りの38%となりますが、複数科目合格が採用率を上げることに直結するのは事実と考えてよいでしょう。
研究会員を含めた求人の年収条件は、下限の平均が629万円、上限の平均が1,039万円となりました。あくまで研究会員を含めているだけなので、採用対象者が準会員や正会員となることもありますので、それらも含めた年収提示でしょう。
準会員は年収も上がる
高い専門性を求められるようになる準会員以上を対象とした求人は全体の26%となりました。
年収もぐっと上がり、下限の平均が801万円、上限の平均は1,201万円となっています。1社を除き上限は1,000万円を超えており、いよいよアクチュアリーとしての本領発揮といえる待遇となってきます。
正会員は最低1,000万から
正会員のみを対象とする求人はわずか4%にとどまります。主幹業務を任せられるようになるため、待遇もさらによくなり、年収の下限平均は1,000万、上限は1,300万円となります。
平均年収として語られることの多い1,200万円ともおおよそ合致し、多くのアクチュアリーがこの年収帯で活躍していることがうかがえます。
ただし、応募者の年齢を制限する求人もあり、その多くは45歳程度を上限としていました。幹部候補として、育成期間を十分にとるためという理由を挙げられており、将来50代以降で幹部となった際にはさらに大きな収入になることが期待できるでしょう。
各条件別の募集件数の割合、募集年収の傾向の統計は以下の通りとなっています。
募集条件 | 割合 | 平均給与下限 (単位:万円) | 平均給与上限 (単位:万円) |
---|---|---|---|
正会員のみ | 4.00% | 1,000.0 | 1,300.0 |
正会員・準会員 | 26.00% | 801.5 | 1,201.4 |
研究会員:科目数指定なし | 38.00% | 619.4 | 1,039.4 |
研究会員:2科目以上合格 | 14.00% | 600.0 | 1,099.9 |
研究会員:3科目以上合格 | 18.00% | 676.3 | 993.3 |
さらなる高額報酬は転職エージェント
また今回の求人調査では見当たりませんでしたが、日本国内の保険会社では年収1,500万円前後が上限ですが、外資系の保険会社では2,000万円超え、中には3,000万円超えのアクチュアリーも存在します。
また募集要項において、「英語対応可能者は優遇する」とした求人も多数存在しています。アクチュアリーの活動範囲は日本国内だけに留まらず、海外での活動も見据えた活動が求められているようです。
転職エージェントの中には、特定の職業・有資格者を専門に扱う業者がありますが、アクチュアリーにも専門のエージェントが存在します。特化していることから業界とのつながりも強く、一般的な求人サイトに出てこない良質の求人も多数集まってきているようです。
前述の外資系保険会社や海外対応中心の企業、管理職、経営幹部を対象にした高額オファーの求人も扱っているため、転職によるキャリアアップを考えている場合はぜひ利用するとよいでしょう。
アクチュアリーの給料・年収まとめ
全体の平均より高水準の給与
アクチュアリーの給与・年収は、日本全体の平均と比較するとかなり高めの水準であることがわかりました。
アクチュアリーの正会員は日本最難関資格の一つといわれるだけあり、その資格を得て活動するまでのハードルが高い分、得られる報酬もまた高くなるのは当然といえるでしょう。
科目合格者からステップアップ
アクチュアリー正会員になるためには平均8年かかるといわれていますが、第1次試験5科目のうち1つでも合格すれば研究会員、第1次のすべての科目に合格し、第2次試験まで進むことができれば準会員の資格を得られます。
最終的な資格取得への途中経過の段階ではありますが、それぞれの資格者を対象とした求人も多数存在します。需要の大きい科目である「生保数理」「損保数理」を優先して取得し、企業に所属しながら経験を積み、次の科目合格を目指していくのがよいでしょう。
科目合格を昇給の対象としている企業もありますので、着実な科目合格が収入アップへの鍵となるでしょう。
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アクチュアリーの参考情報
平均年収 | 500万円~1800万円 |
---|---|
必要資格 |
|
資格区分 | 民間資格 |
職業職種 | 金融 |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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