アクチュアリーの資格・試験とは?日本最難関資格の一つ!

アクチュアリーの資格・試験とは?日本最難関資格の一つ!

アクチュアリーは保険や年金の掛け金を算定する「保険数理」「年金数理」を行う職業です。高度な数学の知識と技術が求められ、その年収は平均で1,200万円ともいわれています。アクチュアリーになるためにはどのような資格が必要で、どんな試験があるのかを紹介します。

アクチュアリーの資格とは?

アクチュアリーの資格は「日本アクチュアリー会」が主催する民間資格です。日本アクチュアリー会が認定する試験が第1次・第2次に分かれており、それぞれに合格することでアクチュアリーを名乗ることができるようになります。

第1次試験

第1次試験の受験資格は下記の通りです。

  1. 学校教育法による大学(短大含む)を卒業した者
  2. 大学3年生以上の者(4年制大学において、休学期間を除き2年以上在学し、かつ62単位以上の単位を修得した者)
  3. 高等専門学校卒業者
  4. 学士資格を有しない大学院生
  5. 外国の大学を卒業した者、または、外国において上記2~4に相当する学校教育における課程を修了した者
  6. 生保数理、損保数理、年金数理等の日本アクチュアリー会資格試験の受験科目に関連する知識を必要とする、保険・年金などの業務に3年以上携わった者

第1次試験では「数学」「生保数理」「損保数理」「年金数理」「会計・経済・投資理論」の5科目に分かれています。それぞれを個別に受験し、全ての科目に合格することで第2次試験の受験資格を得ることができます。

第1次試験の1科目に合格すると日本アクチュアリー協会の「研究会員」の資格を、5科目に全て合格すると「準会員」の資格を得られます。

第2次試験

第2次試験は第1次試験の全5科目に合格した準会員に受験資格が与えられます。

第2次試験は「生保コース(「生保1」「生保2」の2科目)」「損保コース(「損保1」「損保2」の2科目)」「年金コース(「年金1」「年金2」の2科目)」のいずれか1つのコースを選択し、1科目ずつ受験します。

それぞれの2科目両方に合格した後、アクチュアリーの初級教育である「プロフェッショナリズム研修」を受講して修了し、さらに理事会の承認を得ることで「正会員」の資格を得ることができます。

正会員になって初めて正式にアクチュアリーを名乗ることができます。日本アクチュアリー協会の発表によれば、準会員になれるまで受験開始から平均5年、正会員には約8年の期間がかかっているそうです。

受験資格を得るハードルは低く多くの人に門が開かれていますが、その後アクチュアリーを名乗るまでには長い道のりが待っていることから、試験は大変厳しいものであることが伺い知れます。

なお、正会員は非常に希少価値が高く、各業界から引く手あまたといえる募集状況ですが、研究会員・準会員を対象にした求人も多く募集されています。

正会員の年収は平均1,200万円といわれる中、準会員でも1,000万円に届くとされ、現場の戦力として期待されています。長い道のりの試験ですが、合格して正会員になるまでは価値がないというようなことは全くありません。

アクチュアリーの資格の難易度・合格率

合格まで平均で8年の時間を要するアクチュアリー試験ですが、それぞれの合格率はどれほどなのでしょうか。

第1次試験

日本アクチュアリー会が発表している第1次試験の各科目合格率は以下の通りです。

科目 合格率
数学 10.3%
生保数理 26.2%
損保数理 13.7%
年金数理 16.4%
会計・経済・投資理論 19.0%
全合格者数/全受験者数 16.8%

各科目ごとにばらつきはあり、また実施年によって上下はありますが、おおよそ15%前後です。

1科目ずつ受験することができ、一度合格した結果は翌年以降にも持ち越すことができるため、1年集中して勉強して翌年次の科目を受けるというような方法を取ることができます。

第2次試験

第2次試験の各科目合格率は以下の通りです。

コース 科目 合格率
生保コース 生保1 10.7%
生保2 11.8%
損保コース 損保1 10.2%
損保2 11.4%
年金コース 年金1 9.5%
年金2 12.8%
全合格者数/全受験者数 11.1%

第1次試験同様、1科目ごとに別々に受験することができ、合格した結果は翌年以降も持ち越すことができます。

試験日程は3日間

試験は3日間に分けられ、第1次試験は1日1~2科目、第2次試験は1科目ずつ実施されます。

平成30年度(2018年)の試験は下記の日程で実施されました。

日程 科目 時間
12月10日(月) 数学 14:00~17:00
12月11日(火) 損保数理 9:30~12:30
生保1・損保1・年金1
生保数理 14:00~17:00
12月12日(水) 年金数理 9:30~12:30
生保2・損保2・年金2
会計・経済・投資理論 14:00~17:00

第1次試験、第2次試験それぞれの全科目を1年で全て受験することができますが、第1次と第2次を全て一度に受けることはできません。

日本最難関ともいわれる難易度

しかし各科目の合格率は、1年間専門的な勉強をしてきた受験者でも第1次で15%程度、第2次で10%程度しかないほど低く、1年で複数科目に合格するのは至難の業といえるでしょう。

合格まで平均8年を要するアクチュアリー試験は、弁護士や公認会計士に並ぶほど高難易度の資格であるといわれることもあるほど、一朝一夕では合格できない日本最難関の資格の一つといえるでしょう。

その他のアクチュアリー関連資格

アクチュアリーの知識は保険や金融に関して深く広く学べるため、他の資格取得のための勉強にも役に立ちます。アクチュアリーの知識と関連する資格として代表的なものは以下のものがあります。

フィナンシャルプランニング技能士

厚生労働省が認定する国家資格である技能検定の一つです。貯蓄・投資についての専門知識を持ち、貯蓄・投資のプラン立案をする仕事に必要な知識を得ることができます。

1級から3級までの3段階があり、3級は誰でも受験することができる資格です。

職業としてはフィナンシャルプランナーと呼ばれますが、フィナンシャルプランナーに就くための免許ではないため、CFP(R)認定者やAFP認定者といった民間資格所有者も含まれます。

公的保険アドバイザー

一般社団法人公的保険アドバイザー協会が主催する民間資格です。公的保険(健康保険、介護保険、雇用保険、年金保険)に関する幅広い知識から、保険利用者や保険を検討している相談者に、わかりやすく適切なアドバイスをすることができます。

保険の種類や保険利用者本人が抱えるリスクなどから、適切な保険を勧めることができるでしょう。

アクチュアリーとの兼業は難しい

アクチュアリーの資格は非常に難しくまた専門性が高い上、取得できた後は大変な激務とそれに伴う高い報酬が待っているため、他の資格を活かして業務の幅を広げることは難しいでしょう。

アクチュアリーの資格が取れる学校

アクチュアリーの資格取得のためには長く深い学習が求められますが、効果的に学ぶための学校はあるのでしょうか。

大学・大学院

アクチュアリーは数学の専門知識が求められる資格の中では最高峰といえるため、理学部・理工学部に進み、数学科や数理学科で体系的な確率論・統計学を学ぶことが効率的でしょう。

中には大学院まで進み、専門的な研究を重ねてから受験するという人もいるようです。

また、アクチュアリーは受験資格には大学卒程度しか求められませんが、実際の現場では東大、京大といった高偏差値の大学の卒業生が求められる傾向が強くあるようです。

アクチュアリーを目指すならば、高偏差値大学で数学を学ぶことが王道であるといえるでしょう。

専門学校

受験のために科目を絞り、集中的に学ぶ時は専門学校がオススメです。アクチュアリー試験を扱う専門学校は多くありませんが、それぞれの科目を専門とした講師陣による講義は試験合格にむけて大きな力となります。

大学で体系的に数学を学び、専門学校で試験に特化した勉強をするダブルスクールも少なくないようです。

アクチュアリーの資格まとめ

大学で体系的 専門学校で専門的に学ぶ

アクチュアリーの資格は集中的に勉強し続けている人でも、合格まで平均8年を要する高難易度の資格です。合格のためには大学で体系的な確率論・統計学を学び、専門学校で試験に特化した勉強をすることが合格への最短ルートといえるでしょう。

アクチュアリーの資格取得までは長い道のりが待っています。合格まで焦らずに、一歩ずつ確実に進んでいきましょう。

アクチュアリーの参考情報

平均年収500万円~1800万円
必要資格
  • アクチュアリー資格
資格区分 民間資格
職業職種金融

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