アクチュアリーの仕事内容とは?やりがいや魅力について解説
多くの人が関わる保険や年金には、毎月保険金や掛け金が発生しますが、この数字を算定するのがアクチュアリーという職業です。高難易度の資格を持つアクチュアリーとはどのような職業なのでしょうか。その仕事内容ややりがいについてご紹介します。
アクチュアリーとはどんな仕事?
「保険数理人」「保険数理士」とも呼ばれるアクチュアリーという職業について、あまり耳慣れないと感じる人も多いかもしれません。日本全国でも約5,000人程度しかいないアクチュアリーとはどのような仕事を行う職業なのでしょうか。
確率・統計を用いて保険や年金の掛け金を決める
アクチュアリーの代表的な仕事として、確率・統計学を利用して保険や年金の掛け金を算定する「保険数理」「年金数理」が挙げられます。
保険や年金を利用している人は、ある程度の年齢になると保険料や掛け金が上がることを経験したことがあるかもしれませんが、その保険料・掛け金を見直す根拠となる数字を算出するのがアクチュアリーです。
様々な分野でのリスクマネジメント
また昨今では一般企業や銀行・信託会社において、企業を取り巻く様々なリスクを分析するリスクマネジメントの分野にも進出しています。
一つ一つの要因や数字から将来発生するかもしれないトラブルの確率を導き出すのがアクチュアリーの仕事です。
世界ではメジャーなアクチュアリー
日本ではあまり有名ではないアクチュアリーですが、海外では人気職業のランキング上位に入るほどメジャーな職業です。世界各国のアクチュアリーの協会で構成される国際組織も存在しており、世界中で多くのアクチュアリーが活躍しています。
アクチュアリーの仕事の具体的な内容
保険会社における保険料の算出
人の人生には様々なトラブルの要因があります。アクチュアリーは、事故による死亡率、自殺率、伝染病や天災、天気や景気、政治経済の情勢など多くの要因を判断材料としてデータ分析を行い、将来起こりうるトラブルを予測することが業務の中心です。
保険商品は同じようなプランであっても、申込者ごとに購入できるかどうかの条件や保険料が異なりますが、その理由にはアクチュアリーによる仕事の結果があります。
一人ひとりの年齢、職業、家族構成、病歴といった情報から、その人が持つリスクが数値化され、それにより条件や価格が決定されていくため、保険においては全く同じ商品は存在しないのです。
年金商品の掛け金算出
保険同様に、保険会社や金融機関で扱う年金商品の設計もまたアクチュアリーの仕事の一つです。
国による年金の制度が破綻していると叫ばれる現代において、個人年金の需要は高まる一方です。少しでも利率の高い年金商品が求められており、各社高利率の商品を設計することにしのぎを削っています。
掛け金を支払う期間と、その結果どの程度まで運用による利息をつけて年金として返せるかを算出することもまた、アクチュアリーの仕事です。
準備金の算定
アクチュアリーは保険料の算定だけでなく、準備金の算定という会計分野の仕事にも関わります。
準備金は、契約者が求める保険金の支払いに備えてあらかじめ積み立てておくお金を指します。いざ保険金を支払うことになってもこの準備金を取り崩すことで、その年の会計に大きな影響を与えずに済みます。
しかし多く積み立てておけば良いというものでもなく、不要に積み立てすぎてしまえばそれだけ会計上不要な費用を発生させることになるため、粉飾決算につながってしまいます。
アクチュアリーは契約者や契約内容、過去の実績などから適切な準備金の積立額を算定し、適切な会計活動を促す役割もあるのです。
銀行・信託会社における投資商品の設計
昨今では収入の多様化についての話題がつきず、個人でも多くの収入源を持つことが勧められています。その収入源の一つとして注目されているのが投資であり、銀行や信託会社による投資商品が人気を集めています。
投資商品は短期間で高利率の配当を得られる商品も注目されていますが、投資先の国や起業の情勢によっては損失を出してしまうこともありえます。
アクチュアリーはそのようなトラブルによる損失を起こさないように、商品の設計に携わり、極力リスクが低く、配当が大きい商品を提供します。
年金や保険に関するコンサルティング
自身が商品設計に関わらず、すでに発売されている商品に対する評価や、利用希望者に対するコンサルティングを行うこともアクチュアリーの仕事の一つです。
商品を並べて比較するだけでなく、それぞれを専門家の観点から分析した上でアドバイスを行うコンサルティングは信頼性も高いといえます。
コンサルティング専門のフリーランスとして活動するアクチュアリーもおり、アクチュアリーの中でも働き方に多様性が生まれています。
監査法人での監査業務
保険数理のスペシャリストの観点から、監査法人において生命保険会社・損害保険会社の監査業務を行うこともアクチュアリーの業務です。
他の業界にはない複雑な判断が求められることから、専門の監査人としての活躍を期待されています。
アクチュアリーの仕事のやりがい
アクチュアリーは専門的な数学の知識を用いて様々な分野で活躍できる職業ですが、実際に働く場合にはどのようなやりがいがあるのでしょうか。
一つの答えを出せる仕事
様々なトラブル要因とその発生確率から、長く複雑な計算を通じて最善の答えを見つけることがアクチュアリーに求められる結果です。その過程において、過去の統計や発生した事故の実例、現存商品の利益率など様々な情報を集めます。
気が遠くなるほどの多くの材料と長い計算を経て、最善の答えにたどり着いた時には他では味わえない満足感が得られるでしょう。
自分が値付けした商品が世にでる
保険商品においては、設計した商品の掛け金が1円少なかったために会社の利益を大きく減らすことになったり、1円多かったために利用者が減ったりといったことが起きます。
そのためギリギリのバランスを取れるところまでアクチュアリーは計算をし、その結果商品が世の中に公開されていきます。
自身がたどり着いた最善の答えに基づいた商品が世の中に出て、市場の評価を受けることは大変な緊張感を伴いますが、その緊張感が何よりの刺激であると感じるアクチュアリーも少なくないようです。
様々な部門部署との連携を取りまとめる過程
保険や年金の数理業務はアクチュアリーだけで完結するものではなく、関連する多くの部門・部署との連携が求められます。
営業・販売部門、リスク管理部門、契約実施・維持部門、システム開発部門など様々な部門との綿密な打ち合わせの結果一つの商品が誕生しますが、その中心となるのがアクチュアリーであり、保険商品開発の中核を担っているといえるでしょう。
多くの部門をまたいだリーダーとなり、進めた商品開発が形となるときには大きな達成感を得られるでしょう。
高い需要と比例する年収
アクチュアリーとして活動する人は日本国内で約5,000人存在していますが、その中で「正会員」の資格を持つ最上級のアクチュアリーは1,700人程度しかいません。
そのためその需要は大変高く、平均年収でも1,200万を超えるほど、高額の報酬を得ています。大変な激務であるともいわれますが、その高い報酬は大きなやりがいとなることでしょう。
アクチュアリーの仕事内容まとめ
数学要素を求められる職業の究極の形の一つ
数学的な専門知識を求められる職業はいくつもの種類がありますが、その専門性を求められる要求の強さから、アクチュアリーは数学的職業の究極の形の一つといえるでしょう。
その計算結果の一つ一つに多くの人の人生が関わることは責任が大変重くのしかかりますが、その反面多くのやりがいやメリットも存在している職業といえるでしょう。
数学に絶対的な自信があり、責任ある大きな仕事をしてみたいと思う人は、ぜひアクチュアリーを目指してみてはいかがでしょうか。
アクチュアリーの参考情報
平均年収 | 500万円~1800万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 民間資格 |
職業職種 | 金融 |
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