速記者の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

速記者の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

速記者の仕事内容は、会議やインタビュー・対談などさまざまな場面に立ち合い、速記文字と呼ばれる特殊な記号を用いて発言内容を記録することです。速記者の記録がそのまま証言記録として残ることもあり、正確性が求められるとても重要な仕事と言えます。この記事では、速記者の具体的な仕事内容、仕事のやりがいなどについてご紹介します。

速記者とはどんな仕事?

特殊な記号を用いて発言を記録する

速記者は「速記文字」と呼ばれる、普通の文字を簡略化した特殊な記号を使って発言を記録する仕事です。

人が話しているスピードと同じ速さで正確に記録しなければならないため、慣れるまでかなり大変な仕事と言えるでしょう。

活躍の場はさまざま

速記者は会議や対談、インタビューなど記録として残しておきたい場合のみおこなわれます。特に、重要な内容を扱う場面に速記者が立ち合うことが多く、主に官庁や出版社、新聞社から依頼を受けて速記をします。

具体的な活躍の場としては、国会や裁判所、研究会、講演会などです。これらの現場では、専門用語など難しい言葉が使われる場合も多いため、事前に調べるなどして知識をつけておくと良いでしょう。

裁判所速記官

裁判所速記官は、法廷で被告人や証人の発言内容と身振りを速記で記録します。裁判所速記官は全ての裁判に立ち会うことは無く、重要かつ複雑な争点で、逐語的記録が必要な場合のみ立ち会います。

裁判所速記官の速記方法は、速記用の専用タイプライターが使用され、手書きで行われることはありません。このタイプライターで記録した内容を反訳するまでが裁判所速記官の仕事です。

裁判所速記官は、採用試験合格後に2年間の研修と実務経験を積んでから裁判所速記官として現場に出ることができます。しかし、現在はさまざまな理由により裁判所速記官の新規募集が停止されています。

国会速記者

国会速記者は衆議院・参議院両議会に立ち会い、発言内容等を速記で記録し、反訳します。国会速記者の特徴は、全て手書きで速記がおこなわれていた点です。

しかし、現在は音声を自動で文字化するシステムの導入や録音した音声データをもとに記録するようになったことから、国会での手書き速記は一部を除いてほとんどおこなわれなくなりました。

今後、国会や裁判所で新規に速記者を募集する可能性は低く、速記者は主に民間企業に就職するかフリーランスとして働くことになるでしょう。

速記者の具体的な仕事内容

速記

速記は、速記者のメイン仕事です。速記で使われる速記文字は、参議院式・衆議院式・中根式・早稲田式などの方式があり、基本的に1本の線と1つの点のみで文字が表されます。これら4つの速記文字は合わせて4大速記文字と呼ばれ、速記者の多くはこの4つの方式で速記をおこなっています。

速記は発言スピードと合わせて記録しなければいけないため、普通に文字を書くスピードの約10倍の速さで記録しないと追いつかないと言われています。つまり、普通のスピードの10倍速で書けるほど速記文字は単純な記号でできているということです。

音声データの速記

速記者は実際の会議や対談の現場に立ち会って速記するだけでなく、会議や対談を録音した音声データを速記する場合もあります。IT技術の進歩や現場に立ち会う速記者を確保することが難しくなってきたために、音声録音機を使った速記がおこなわれるようになりました。

音声データの速記も現場での速記と同じで、発言スピードに合わせて速記文字を使って記録します。音声データなので、聞き取りにくい部分は再生できるなどのメリットはありますが、効率よく速記をおこなうために現場と同じスピード感で速記することを心がけると良いでしょう。

キーボード速記

従来の速記は手書き速記という紙とペンで速記していました。しかし、こちらもIT技術の進歩によって速記ができるキーボードが作られたため、速記者は手書きでなくキーボードを用いた速記をおこなうケースも増えています。1分間で330文字打てるキーボードも誕生しているそうです。

手書きではなくキーボードで速記をすることで、さらに速いスピードで速記することが可能になりました。手書き速記者は、時代の流れに合わせてキーボード速記もできるようになっておく必要があるでしょう。

反訳

速記者は速記をして終わりではありません。速記文字で記録したデータはそのままでは他の人が読めないので、さらに普通の文字に直さなければいけません。この速記文字を普通の文字に直す仕事を「反訳」と言います。

この反訳はとても時間のかかる作業で、発言時間の数倍ほどかかると言われています。記録した発言をそのまま反訳する場合と、ある程度読みやすさを重視して修正しながら反訳する場合があります。

前者は主に国会や裁判所など発言内容の証拠となる記録のため、ほとんど修正しません。後者はインタビューや対談など読みやすさが重視される記録のため、修正を加えて反訳します。

校正

反訳した文章をさらに読みやすいものにするために校正するケースもあります。校正によって文章の読みやすさが左右されるので、とても大切な作業の1つです。一般的に校正は校正担当者がおこないますが、速記者が速記から反訳、校正まで一貫して対応することもあります。

字幕制作

一部の速記者はテレビ番組の字幕制作にも携わります。速記者がおこなう字幕制作は、聴覚障害を持った方のために表示する字幕の文章を記録する仕事です。生放送の番組だと、番組の放送に合わせて字幕を表示させなければいけないため、速記者のタイピングスキルが活かせます。

全ての速記者が字幕制作に携わっているわけではないですが、IT化による速記の仕事減少に伴い、字幕制作もおこなう速記者が増えています。

速記者の仕事のやりがい

集中力が身につく

速記は発言内容を一語一句漏らさずに記録しなければいけないため、集中力が必要になります。会議や対談などは最低1時間、長いと数時間にわたっておこなわれることが多く、数時間はひたすら発言内容を集中して聞き取ることになります。

慣れないうちは長時間集中して速記することが難しく感じますが、だんだんと経験を積んで慣れてくると集中力が身についてきます。速記によって高い集中力を身につけられたことを実感し、その集中力を速記以外でもさまざまな場面で活かすことができたときはやりがいを感じられるでしょう。

文章力や語彙力の向上

速記者は多様な分野の言葉や文章に触れるため、自然と語彙力が向上します。速記現場では普段の生活では聞いたことも無いような専門用語や難しい言葉が飛び交うこともあり、それらの言葉を覚えることで知識を増やせます。

さらに、反訳や校正をおこなうことで正しい日本語や読みやすい文章の組み立てを学ぶことができるため、文章力も向上します。文章力や語彙力は速記者としてスキルアップするために欠かせない能力であり、かつ、日常生活でも活かせる能力を身につけられる点は速記者の魅力です。

速記スキルを日常生活でも使える

速記に慣れてくると、日常の何気ない場面でも速記で素早くメモを取れるようになります。

例えば、電話対応中にメモを取りたい場合も速記の仕事と同じく相手の発言を速記文字で記録することでスムーズに会話することができます。テレビ番組の情報を急にメモしたくなったときもサッと速記文字でメモすることもできます。

このように、速記スキルと速記文字を駆使して日常生活を少し効率化できます。仕事以外でも速記することで速記の練習にもなりますし、せっかく身につけたスキルはどんどん日常でも使っていきましょう。

速記者の仕事内容まとめ

速記文字を使って発言内容を素早く記録する仕事

速記者は速記文字と呼ばれる記号を使って会議や対談などの発言内容を、発言スピードに合わせて素早く記録します。速記スピードはもちろん、記録内容の正確性や反訳後の可読性が求められる難易度の高い仕事と言えます。

速記者としてスキルアップするためには、速記文字の暗記と速記スピードを上げることが大切です。さまざまな場面で活かせる速記スキルを身につけられることは速記者の魅力であり、仕事のやりがいにつながるでしょう。

速記者の参考情報

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必要資格 必要資格なし
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