校正者の資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説

校正者の資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説

校正者として必要となる特別な資格はありませんが、基本的には文章をしっかりと読む力、文字を細かく深く見る力は求められます。そうしたスキルの可視化として、資格を取得することも一つの選択肢としては大いに効果的と言えます。このページでは、校正者に役立つ資格試験などについてご紹介します。

校正者の資格とは?

校正者になるための資格などは特に存在しない

校正者の役割は大きく、正確性の高い作業を要求されますが、校正者になるために必要な資格は特に有りません。

校正者になるためのプロセスとしては、出版社の校正部門あるいは校正プロダクションへの就職、ないし校正の技術を磨いてアルバイトや派遣社員やフリーランスとして校正の仕事を請け経験を積んだ後、中途採用で校正者になる、などが有ります。

特別な資格や、所定の単位を修了するなどの特殊な行程はなく、多くの場合就職して校正部門に配属されることでキャリアがスタートします。

次章では、校正者として就転職活動を行う際や、業務を行う上で役立つ資格として「校正技能検定」について紹介します。

校正者に役立つ資格「校正技能検定」

校正に関する資格の代表格として古い歴史がある

校正者になるのに資格は必須では有りませんが、特殊な校正記号を用いて仕事を行う以上、専門知識の習得は必須です。校正者のスキルを認定する資格はあまり多くはありませんが、最も代表的なものとして「校正技能検定」があります。

「校正技能検定」は日本エディタースクールが認定する民間資格です。1966年からスタートした資格試験であり、資格の中でも比較的歴史の長いものとなっています。長期にわたって運営されていることもあって、認知度も高く、校正に関する資格の代表的存在と言っていいでしょう。

校正技能検定の要項によれば、校正技能検定の要旨・設立目的としては、

‘校正者の基礎技能および基礎知識の検定を行なうことにより,校正技能を向上させるとともに,校正者の社会的ならびに企業内部における地位を高め,もって出版文化の向上に寄与することを目的’(“編集技能検定〈校正部門〉実施規程”より)として日本エディタースクールが主催するもの

出典元:校正技能検定について

となっています。

「校正技能検定」試験の概要

校正技能検定には等級があり、レベルの低い方から順に、初級・中級・上級の3つとなっています。

校正技能検定初級は、日本エディタースクールが設置している校正技能検定委員会の指定する所定単位の修得をもって認定されます。所定単位は特殊なコースなどはなく各種教育機関において修得できる範囲となっています。

中級については、日本エディタースクールによる所定のコースを修了した者、ないし各種教育機関において一定の実技訓練を受けるか、校正に関する実務経験がある者、といった受験資格が存在します。中級に合格すれば、上級試験を受けるための受験資格を得ることができます。

中級・上級の試験は学科試験と実技試験による統一試験が行われ、学科試験は、校正作業に必要な知識、および用字用語に関する知識を包括的に問われます。

校正作業に必要な知識とは、本に纏わる一般知識、編集製作に関する一般知識をはじめ、印刷文字や記号に関する知識、組版の原稿指定に関する知識、縦組みの組方原則などの専門知識のことを言います。

用字用語に関する知識としては、漢字の読み書き、間違えやすい漢字や送り仮名に関する知識など基本的な国語的知識から、一歩踏み込んだ同音異義語・同訓異字、字種・字体に関する知識など専門的な分野も問われます。上級では、現代仮名遣い・歴史的仮名遣いの知識や、欧字・記号に関する知識も加わります。

実技試験は、縦組、横組の「原稿引き合わせ」を主に行います。原稿引き合わせとは、校正刷りが原稿と同じ内容で正しく組版されているかを確認し、誤りや瑕疵のある箇所に赤字を引いて訂正する作業のことを指します。

校正技能検定は中級の試験は毎年7月と12月の年2回、上級の試験は毎年3月の年1回実施され、所定の試験日に、実技試験・学科試験両方とも行われます。中級試験の検定料は8,640円、上級試験の検定料は9,720円となっています。

「校正技能検定」の難易度、合格率

合格基準は明確な基準の記載はなく、一定の基準、という表現にとどまっていますが、実技試験、学科試験両方で基準を満たさないと合格することはできません。中級試験に関しては85点前後を審査対象としているようです。

試験の合格率は中級が47.0%、上級が30.5%となっており、そこそこ難しい試験となっていますが、極端に低いわけでもありません。

なお、中級試験において、実技試験は基準を満たしているものの学科試験が基準に達さなかった場合、「準中級」と認められ、次回試験で学科試験のみ受験し合格することで中級認定となります。準中級の認定を既に受けている場合の検定料は3,240円です。

また、実技試験開始より30分以上の遅刻は欠席扱いとなり、30分以内の遅刻による救済措置は一切ないので、時間厳守で受験しましょう。

その他の校正者に関する資格

実務教育研究所が認定する「校正士」の資格

その他の校正に関する資格には、内閣府移行認可の、一般財団法人実務教育研究所が認定する「校正士」の資格があります。

校正士の資格は、実務教育研究所により設立された校正士認定試験委員会による「校正実務講座」の修了生を対象とし、校正者の技能を客観的に評価、認定する校正士認定試験を受験し、合格することで取得することができます。

校正実務講座は基本的に通信教育課程であり、所定のスクールに通うなどの必要はなく、在宅で校正に係る専門知識を学び、習得することができます。この通信講座で学習した内容の中から試験問題が出題されます。

校正士認定試験は、試験会場に赴く必要はなく、在宅で受験が可能です。校正士認定試験は校正の基本的な実践能力をみる試験であり、締め切り日までに自宅で出題された試験内容に従って校正作業を行い、提出することで受験は完了です。

受験資格は校正実務講座の修了者となっていて、受験資格を得るのに校正実務講座を受講するというよりは、校正実務講座のカリキュラムの中に認定試験の受験と、その合格が含まれているといった形です。

試験の内容は実技試験で、いわゆる「在宅校正」を想定したものとなっています。知識問題ではないので、カンニングなどは不可能です。純粋に実践的な技能を審査される試験となっています。

合格基準は、認定試験の実技について80%以上の得点となっていますが、合格率は公表されておらず、正確なところは不明です。

成績優秀者には文部科学大臣表彰、実務教育研究所賞などが授与され、校正のスキルを文部科学大臣に認められる可能性があるのが、校正士認定試験の大きな強みと言えるでしょう。

校正者に役立つ資格や専門知識を学べる学校等

「日本エディタースクール」は学習から資格取得までを一貫して提供

校正者になるためには資格は必須ではありませんが、相応のスキルと経験が第一に問われること、校正作業には長年現場で使用されてきた校正記号の使用を前提としているので、専門知識や技能が大きく問われる仕事です。

校正作業にかかる専門知識や技能は実務経験を積むことでも取得が可能ですが、就職前に経験をアピールできると大きな強みとなるのも事実です。また、フリーランスで校正者になりたい人などは、知識やスキルを示す上でも資格取得は大きなアドバンテージになることでしょう。

校正技能検定を実施している日本エディタースクールは、日本でも数少ない校正と編集を学べる学校です。校正技能検定中級以上を取得するには、日本エディタースクールにおいて所定のコースを修了する必要がありますが、校正者に必要な知識や技能を広く、深く包括的に学ぶことができる学習の場でもあります。

定員は30名とかなり限られていますが、月〜木曜の10:30〜15:00(または〜13:00)に講座を開催していて、実践的な訓練を主軸に非常にしっかりとした効果的な学習が可能です。

コースを修了すると校正技能検定初級の資格が与えられるほか、それがそのまま中級試験への受験資格を満たすことにもなります。

校正者に必須の知識と技能を取得し、そのままワンステップで資格まで取得できるので、資格を得て箔を付けたいと考えている方は、日本エディタースクールの受講を検討してみてはいかがでしょうか。

校正者の資格・試験まとめ

校正者に必要なのは専門知識と技能 効果的に学んでキャリアに繋げよう

校正者に資格は必須ではありませんし、新卒の場合は経験がないからといって門前払いされる事もありませんが、就職試験の際に実務的な訓練や学習を積んでいると、いくらか有利に働く可能性があります。早いうちに学んでおけば就職後も効率的にキャリアアップが狙えます。

スキルを積むためのプロセスは人それぞれですが、特に中途採用での就職やフリーランスでの案件受注を考えている人の場合、種類が限られるとはいえ校正者に向けた資格を取っておくと大きなアピールポイントになるでしょう。

校正者の参考情報

平均年収300万円〜430万円
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職業職種出版・報道

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