海運会社社員の資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説
海運会社社員は、陸上総合職なのか海上職なのか、その働くフィールドによって持つべき資格が異なってきます。特に、船に乗り海上に出て働く人は、それなりの資格が必要となってきます。本記事では、海運会社社員が取得すべき資格、取得しておくと役立つ可能性が高い資格などについてご紹介します。
海運会社社員の資格とは?
海運会社社員には、さまざまな職種の社員が働いております。そのため、携わる仕事によって必要な資格などが変わってきます。
陸上総合職の場合、特に資格は必要無い
陸上で働く総合職を目指す方は、就職にあたって必要な資格はありません。
陸上総合職の主な業務は、営業や船舶の調達、運行管理などで、海運会社特有の仕事もありますが、ほとんどは一般的な会社員と同じような業務を行います。
また、技術系の仕事も陸上総合職の業務の内の一つです。
海上職を目指す場合は、多くの資格が必要
海上職の場合は、航海士や機関士として働くことになります。一般的に想像される船乗りさんとほとんど同じものです。そのため、船舶に関する各種免許が必要となります。
主に以下のものが挙げられます。
- 三級海技士 (航海)
- 三級海技士 (機関)
以下、どのような資格なのかを見ていきましょう。
三級海技士(航海)
海技士の資格のうち、「航海」の区分を持っている方は、大型船舶で甲板部の一員として働くことになります。甲板部とは、一般的に船長や船員を指します。つまり、船を運航する人たち、簡単に言えば操縦をする人たちになるための資格です。
また、こちらの資格はランクにも1級から6級までがありますが、海運会社社員として働く場合は、まずは3級の取得が必須となります。海の上で船を操縦したいと思っている方は、まずこちらを取得しましょう。
また、こちらの試験は受験資格にかなりの制限があるのが特徴です。特に、乗船履歴が必要となりますので、ここをカバーするために海洋系の大学や研修制度のある会社に入社するのが良いでしょう。
合格点はおよそ6割以上とされています。また合格率ですが、年度によって変動はしますが、2017年度のデータだと筆記試験が29%、口述試験が80%ほどとなっています。
三級海技士(機関)
こちらも同じ海技士の資格ですが、「機関」の区分を持っている人は、大型船舶で、機関部の船員として働く人のことを言います。
機関部とはエンジンやボイラーなど船を動かすための機械のことで、機関士は機関部を管理する人たちのことを言います。エンジンにトラブルがあった際に、そのトラブルを直すなどするのが主な仕事です。
航海と同じように1級から6級までのランクがありますが、こちらも同じよう海運会社に就職するためには、3級の取得が目標になりそうです。
また、受験資格の制限もほぼほぼ同じで、一定期間以上の乗船経験が必要になります。合格点はだいたい6割くらいです。合格率は、2017年のデータを見ると筆記試験が26%、口述試験が89%となっています。
海運会社社員の資格「三級海技士(航海)」
専門的な知識を問われる
三級海技士(航海)の試験では、船に関する専門的な知識を問われます。そのため、一般的な高校や大学などで身につけた知識だけでは、太刀打ちができないところがあります。強いて言えば、数学の知識などです。
そのため、もし海技士の資格を取りたいならば、海洋系の大学を受験すること。または、研修制度の整っている会社に入社するのが良いでしょう。そうすれば、同時に受験資格となる乗船経験もクリアすることができます。
三級海技士(航海)の試験概要
受験資格
試験開始期日の5年以内を含む15年間以内に、各級に応じた規定の乗船履歴がある者。
受験費用
- 筆記 5,400円
- 口述 5,500円
出題範囲
■航海
4問 3時間
■法規
3問 2.5時間
■運用
4問 3時間
■身体検査
口述試験の開始時間前に実施(視力、弁色力、聴力、眼疾患の有無、疾病および身体機能の障害の有無)
合格率
約29%
海運会社社員の資格「三級海技士(機関)」
大学などで専門知識を仕入れるのがベター
三級海技士(機関)の試験においても、聞かれるのは船に関する専門的な事柄です。
やはり、大学や専門の学校で船に関する知識を深く学ぶか、会社の研修制度を用いるのがよさそうです。
三級海技士(機関)の試験概要
受験資格
試験開始期日の5年以内を含む15年間以内に、各級に応じた規定の乗船履歴がある者。
受験費用
- 筆記 5,400円
- 口述 5,500円
出題範囲
■機関その1
5問 3時間
■執務
2問 1.5時間
■機関その3
2問 1.5時間
■機関その2
4問 3時間
■身体検査
口述試験の開始時間前に実施(視力、弁色力、聴力、眼疾患の有無、疾病および身体機能の障害の有無)
合格率
約26%
その他、海運会社社員に役立つ資格
普通自動車運転免許
こちらの資格は、海上職の職員だけではなく、陸上総合職の方に是非取得をして欲しい資格です。なぜなら、陸上総合職の方でも主に働く場所は港となります。その港はとても広大です。
そのため、仕事の際に徒歩で移動をするとなると、かなりの重労働になってしまいます。それを防ぐためにも、学生時代に普通自動車免許を取得することをおすすめします。
実用英語技能検定
いわゆる英検です。中学校や高校の受験のイメージが強い検定試験ですが、実は社会人の実用的な英語試験でもあります。
特に海運会社社員になると、業務の上で外国の方と関わることは非常に多くなります。その際に英語の能力といった部分は、とても重要になってきます。
就職の前に高い英語能力を身につけておきましょう。
海運会社社員の資格が取れる学校
海上職の資格である、海技士の資格を取得するためには、やはり海洋学部系がある大学や専門学校に入学するのが一番良いでしょう。
東海大学
この東海大学には、日本の大学には珍しい海洋学部が設置されています。特に航海学専攻では、海技士に必要となる乗船経験を積み重ねることが可能です。また、実習授業として研修船「望星丸」に乗って遠洋航海も経験できます。
資格のために必要な経験を積めるだけではなく、社員として働くことになった後にも生かさせる経験を積める大学と言えるでしょう。
東京海洋大学
機関士になろうと考えている人におすすめしたい大学です。海洋工学系の学部学科が充実しているためです。特に海事システム工学科では、2年次から船舶管理について学ぶことができます。
海洋系の学部を有している大学は地方にあるものが多いですが、こちらは東京にある大学なので、どうしても東京の大学に通いたいという方にもおすすめできる大学と言えるでしょう。
国立清水海上技術短期大学校
国立清水海上技術短期大学校は、海技士になる人のための短大です。2年間という短期間で、海技士の資格を取るための勉強をまとめてすることができます。いち早く船に乗りたい!将来は、絶対海運会社社員として働きたい!という志のある方には、是非おすすめしたい学校です。
学べることとしては、座学で学ぶ海洋の知識のことや、海上実習やロープワーク、エンジン整備などです。海技士の航海や、機関の受験条件である乗船経験をカバーできるほか、就職後に役立つ知識を多く吸収することが可能です。
海運会社社員の資格・試験まとめ
海上で働きたい場合には、資格取得が必要
海運会社社員として働くには、二つの方法があります。陸上総合職として働く場合には、特に必要な資格などはありませんが、海上職の職員として働く場合には、多くの資格が必要です。
航海系の資格を取る場合には大学選びも重要となるので、進路選択をする際に、自分がやりたい仕事はなんなのか、それらをしっかりと吟味したうえで進路選択をするのも重要となってきそうです。
海運会社社員の参考情報
平均年収 | 600万円~800万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 企業 |
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