歌舞伎役者の資格・試験とは?一般人が役者を目指す手段となる養成所試験の概要などについて解説

歌舞伎役者の資格・試験とは?一般人が役者を目指す手段となる養成所試験の概要などについて解説

歌舞伎役者を目指す上で必須となる資格はありません。名跡を受け継ぐために世襲制が根強く残っており、生まれついた家系や、育った環境が大きく影響します。一般人が歌舞伎役者を目指す場合、養成所試験に合格するか、弟子入りする方法しかありません。本記事では、歌舞伎役者に関する資格試験についてご紹介します。

歌舞伎役者の資格とは?

歌舞伎役者に特別な資格は求められない

歌舞伎役者を目指す上で特別な資格は要りません。日本舞踊や和楽器などに慣れ親しむ環境があれば有利になる可能性はあります。

しかし、門戸が狭く、開放的とはいえない伝統的な職業であるため、素質的なものや生まれ持った環境が重要になるといわざるを得ないでしょう。

一般人が歌舞伎役者になるための資格を得るには養成所に入るしかない

一般人が歌舞伎役者を目指す場合、日本芸術文化振興会が無形文化財保護のために行っている養成所の研究生になるのが現実的な方法です。

養成所入りが一般家庭出身の人にとって、もっとも可能性のあるルートといえるでしょう。2年に1度中学校卒業以上から23歳以下の男性を募集しています。

歌舞伎役者の養成所 試験について

一般家庭出身の人にも歌舞伎役者になれるチャンスがある!応募条件は年齢のみ

一般家庭出身の人でも歌舞伎役者を目指すには、1970年(昭和45年)から始まった、日本芸術文化振興会主催の養成所の研究生になるのがもっとも近道でしょう。

研修は2年間、全日制で行われます。募集は基本的に2年に1回、中学校卒業以上(見込みを含む)から23歳以下の男性が応募できます。応募資格に日本舞踊はできるか、着付けはできるか、など技能面での条件は一切ありません。募集人数は若干名と、はっきりした数字を明かしていません。

まず作文や面接、技能試験が行われます。その後、研修が8ヶ月間研修行われます。研修の内容としては月曜日から金曜日、午前10時から午後6時までです。8ヶ月後に適性審査が行われ、合格すれば最後まで研修を受けることができ、不合格になれば研修生としての資格が失われます。

養成所の合格率は不明だが、合格しても厳しい待遇で辞めていく者が多い

一般公募が行われますが、応募人数がどれほどなのかも公開されていないため、はっきりした合格率は不明です。しかし、難易度が高いことは確実でしょう。

以前は3年に1度であった募集が2年に1度の募集になりました。その背景には歌舞伎界の人材不足にあるといわれています。実際、三階さんと呼ばれる、歌舞伎役者の修行段階でもある「名題下」が次々にやめていくなど、深刻な人材不足に悩まされているのも事実です。

今後も一般人が歌舞伎俳優になる可能性が広がっていくかもしれません。

その他の歌舞伎役者関連の試験はある?

「名題下」から「名題」になるための試験あり!上の階級を目指す

歌舞伎俳優には階級があります。幹部、名題、名題下です。最初は「名題下」の歌舞伎俳優として舞台に上がります。セリフがないなどの端役であることがほとんどです。

名題下として10年ほど修行をした後に「名題試験」と呼ばれる「名題資格審査」に合格する必要があります。歌舞伎の敬称や発展のための事業を行っている「日本俳優協会」が名題資格審査を行っています。

協会の理事が8~10人ほどそろうときでなければ試験が開催できないため、2~3年に1回程度の頻度で審査が行われます。

名題資格審査を受けるための条件

名題資格審査を受けるためにも条件が必要です。1つは舞台に立ち、師匠について弟子として研鑽を積んでから10年以上歌舞伎役者をしていることです。

2つ目は師匠か日本俳優協会の理事から推薦を受けることです。試験内容は歌舞伎に関する筆記試験や作文、実技試験です。名題資格審査に通ると「名題適任証」を取得することができ、各方面の関係者の賛同を得て、名題昇進披露を行い、晴れて名題となります。

合格率は5割程度といわれていますが、実際のはっきりした数字はわかっていません。幹部クラスの歌舞伎俳優が審査をするため、実力がなければ通らない審査だと持ってよいでしょう。中には数回挑戦する役者もいるようです。

現在、日本全体の歌舞伎俳優は300名ほどだといわれています。その中で名題俳優は6割程度、名題下は4割ほどです。名題下として名題役者から一目置かれるほどのキャリアを積む人もいますが、名題役者を目指したものの、志半ばであきらめる人もいるでしょう。

幹部とは?歌舞伎役者家系の一部エリートしかなれない名題より上の階級

名題役者のひとつ上のランクにある幹部があります。名題役者としてその実績が認められると幹部になります。しかし、一般家庭出身の歌舞伎俳優が幹部になるのはかなり難しいようです。

幹部役者になると、名題役者以上に特別待遇を受けられると思ってよいでしょう。たとえば、舞台における役の割り振りです。名題役者に比べて幹部のほうがよい役が回ってきます。

歌舞伎役者の資格が得られる学校など

松竹が取り仕切る!小学生までの子どもが通える歌舞伎スクール「寺子屋」

現在、日本で歌舞伎の興行を取り仕切っているのは松竹株式会社です。松竹は小学生の子ども向けに歌舞伎スクールを銀座の「歌舞伎座」で開催しています。

それが「こども歌舞伎スクール 寺子屋」です。本格的に歌舞伎役者を目指したい子どもにもおすすめできますが、日本舞踊や着物の着方など、和を教育に取り入れたい場合にもおすすめです。

歌舞伎役者は男性のみしかなることができません。しかし、歌舞伎子役であれば女の子にもなるチャンスがあります。物語の役にもよりますが、歌舞伎子役になるには体格や特殊な発声などの技能も求められます。

たとえば身長は100~135cm程度の子役を求められることが多いです。また、子役を務めるにあたって行儀作法や所作など特徴的な稽古を受け、本番に臨まなければなりません。多くの大人たちの中で、役をやり遂げるだけの精神力を子どもに求めることになります。

コースは3つ用意されています。梅(基礎コース)、竹(発展コース)、松(前進コース)です。基礎コースから初めて、1年間のカリキュラムを受けた後、次のコースに進めます。一番下の年齢は4歳からはじめることができ、小学校1~4年生であれば基礎コースを受けるチャンスがあります。

最初は着物の着付け方や礼儀作法、日本舞踊の基礎などをおこない、前進コースでは実際の演技や立ち廻り、邦楽の実施稽古もカリキュラムに組み込まれています。講師も現役の歌舞伎役者、日本舞踊家を起用するなど、本格的な指導を受けることができます。

歌舞伎役者の資格・試験まとめ

一般家庭出身者は日本芸術文化振興会主催の養成所試験に合格するのがベスト

歌舞伎役者を目指す上で必要な資格はなく、生まれ育った環境がかなり重要といえます。しかし一般家庭出身の歌舞伎役者も活躍しており、日本芸術文化振興会主催の養成所の一般募集もあります。

養成所の試験に合格して研修生になれる競争率などは不明ですが、かなりの覚悟や実力、素質がないと研究生になるのは難しいでしょう。

また名題下と呼ばれる階級から始まり、10年以上の鍛錬を積んだ後、名題資格審査に通らなければ名題役者になることはできません。

歌舞伎役者の参考情報

平均年収400万円~1000万円
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職業職種芸能

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