声優の給与・年収は?初任給や平均月収などの収入について解説

声優の給与・年収は?初任給や平均月収などの収入について解説

憧れの仕事に声優をあげる人も多いですが、意外と知らないのは声優の給与・年収などの収入事情や収入の仕組み。今回はこの記事で、声優の平均給料(収入)・年収事情や収入の仕組みを紹介するとともに、昇給の可能性についてまとめました。

声優の初任給

声優の給料は固定給ではないことがほとんど

あまり見聞きする機会もないからか知らない人も多いのですが、声優の給料には初任給という概念からは少し離れたものとなっています。これはどうしてかといいますと、声優の給料(収入)は「歩合制」が大半だからです。

「固定給(月給)+歩合制」という形で、毎月一定の給料をもらいながら声優の仕事をする人もいないわけではありませんが、それは少数です。

歩合制というのは、契約件数や作った成果物などに応じて収入が決まる給料制度のことで、よく不動産や車販売会社・保険などの営業職、もしくはフリーランスのクリエイターなどの給与体系として採用されています。

声優は個人事業主のようなもの

声優は、声優プロダクション、もしくは声優事務所と呼ばれるところに所属している人が大半です。

プロフィールを見ると、よく「〇〇所属」というように書かれていますね。これはあくまでもプロダクション(事務所)とマネジメント(所属)契約をしているというだけで、正社員として入社しているわけではありません。

そのため、扱いとしてはあくまでも個人事業主です。ですので、給料というよりは「報酬」という方が近いかもしれません。

声優で「初任給」に相当するものは、正式に所属することが決まった月の報酬となるので、それで考えてみましょう。

後ほど詳述しますが、新人登録されると「ジュニアランク」に入ります。所属契約をしたときにアニメ作品などのオーディションに通過して、その作品に出演することが決まっていれば出演料が入ってくるので、それが報酬です。

しかし、所属した時点で何も決まっていない状態であれば、所属が決まった月の収入は0円になります。

声優の給料体系は仕事によって異なる

ここからは、あまり見聞きする機会の少ない声優の給料体系に関してまとめていきます。

先にも書いたように、声優が関わる仕事にはさまざまな種類があります。声優の需要がある仕事はたくさんあるので、オーディションに合格して仕事をすればそれに応じてあらかじめ定められた給料(報酬)が支払われるという形です。

例えば、声優の仕事として最初に思い浮かべる人が多いアニメの吹き替えや外画(洋画や海外ドラマ)であれば、協同組合日本俳優連合という団体が定めたランク(外画動画出演規定)を基準として給料が支払われます。

アニメ以外の仕事、例えばゲームであればセリフ量に応じて(○円/1文字×文字数)、CMやバラエティーなどのナレーションであれば、あらかじめ制作側が決めているギャラが支払われます。

アニメや洋画の吹き替えでは、新人のギャラはあらかじめ決まっている

一般的には、一般的な教育機関(中学・高校・大学など)を卒業後、もしくは専門学校や養成所・スクールには並行して通っている状態で、事務所・プロダクション預かりまたは所属となってから声優デビューとなります。

先にも書いたように、協同組合日本俳優連合という団体が作成したランクに応じて基本出演料が決まっています。つまり、事務所への所属が決まり、協同組合日本俳優連合に新人登録され、そのリストに載ってはじめて声優としての仕事ができるわけです。

登録されたばかりの人は、3年間「ジュニアランク」に入ります。これは、端役がデビューの人も、オーディションに合格して主役やヒロイン級の役に抜擢された人も同じで、新人はみんな「ジュニアランク」からスタートします。

外画動画出演規定に定められた基本料金は1万5000円です。新人時代は基本料金がそのまま給料(報酬)となります。これは、新人規定として「新人の報酬は1本の出演に対して1万5,000円として、時間割り増しや目的利用料はつかないことを原則とする」となっているためです。

※基本料金は、30分アニメ作品に出演した場合で算出。

ちなみに、出演料はセリフ量の多少に関わらず同一で、主役などのようにセリフが多い場合も、端役で一言しかセリフがない役でも同じ金額が支払われます。

ただし、この1万5000円がそのまま声優の取り分になるわけではありません。最初にも書いたように多くの声優は事務所・プロダクションに属しているので、まずはマネジメント料(手数料)が差し引かれます。こちらは、総額の約20%~30%が一般的です。

さらに、そこから源泉所得税が10.21%差し引かれます。手数料が20%であれば手取りは11,852円(※1・※3)、30%の場合は同じく10,371円(※2・※3)です(消費税10%込)。手数料によって変わってきますが、声優側の取り分は60%~70%前後くらいになります(消費税抜き)。

※1 算式:1万5,000円×(1-0.2)×(1-0.1021)×1.1
※2 算式:1万5,000円×(1-0.3)×(1-0.1021)×1.1
※3 小数点以下はいずれも四捨五入

番組制作には予算があります。近年は、どのアニメ作品や洋画の吹き替えでも制作費が圧縮されているのが現状です。そのため、特に脇役は兼役ができるジュニアを求める傾向があります。

脇役であってもさまざまな役の声を演じられるようになることで、「演技の幅が広い」という評価が得られます。ちなみに、演技の幅が広く、さまざまな現場に引っ張りだこな新人のことを「スーパージュニア」と呼ばれています。

その結果、平日はほぼ毎日2~3本近く吹き替えの仕事が入り、週末は劇場版の仕事が入るなどしてスケジュールがいっぱいとなる人がいます。そこまで行くと、必然的に毎月の給料(報酬)も増えていくでしょう。

ゲームやナレーションなどの仕事はランクに縛られない

先にも書いたように、アニメ作品や洋画・海外ドラマ(外画)の吹き替えは、あらかじめ定められたランク(外画動画出演規定)によってその報酬が決まります。ちなみに、新人は出演作品(放映時間・利用用途など)に関係なく、出演料は1万5000円です。

しかし、近年増えているゲームのCV(キャラクターボイス)やナレーションは、このランクには関係ありません。

ゲームのCV(キャラクターボイス)の場合は、ワード単価で算出されます。新人(ジュニアランク)であれば、「1ワード30円×セリフ量」が大体の相場です。売れ筋のゲームや美少女ゲームであれば、2倍のギャラが出ることもあります。

ナレーションは仕事の幅も広く、その分ギャラもピンきりです。スーパーマーケットなどでのアナウンスは一番安く、1本あたり1,000円程度になります。

一方でテレビCMは高く、ジュニアランクでも数十万円~100万円近く支払われることがあるようです。テレビ番組のナレーションも1回あたり10万円が相場となります。

新人時代以降の声優の給料(報酬)の仕組みはこうなる

ほとんどの声優は声優事務所・プロダクションと呼ばれるところに所属しています。所属が決まり、日本俳優連合のリストに新人登録されると、そこから声優としての仕事が始まるという流れです。

先述したように、新人時代のランクは「ジュニアランク」と呼ばれます。デビュー作が主役・ヒロイン級の新人であっても、同じランクからスタートです。ただし、これはアニメおよび外国映画に出演した場合にのみ適用され、それ以外の仕事(ゲーム・ナレーションなど)にはランクの適用はありません。

声優の中にはビジュアルで人気が出て、雑誌取材やライブイベントに出演する人もいますが、ここでは声優が行うことの多い主な仕事に絞り、新人時代(ジュニアランク)以降における声優の給料について紹介します。

アニメと外国映画については、ランクで決まる

「声優の仕事」といっても、その種類はさまざまです。そして、受注した仕事によって給料(報酬)の計算方法も異なります。

最初は、「声優」と聞いて、最初に連想することが多いアニメと洋画・海外ドラマ(外画)の給料について紹介していきましょう。一般的に「声優」と聞いて連想する人が多いこの2つについては、ランクによって報酬が決まっています。

デビューから3年でランクアップ。それ以降は1年更新

新人時代の初任給のところでも紹介したように、アニメや洋画・海外ドラマ(外画)の給料(出演料)は、日本俳優連合が定めた「外画動画出演規定」によって決まります。

新人はみんな「ジュニアランク」からスタートします。これは、デビュー作が主役・ヒロイン級であっても、端役であっても同じです。ちなみに、「ジュニアランク」はデビュー(所属決定)から3年間。3年が経過すると、みんなランクが上がります。

ジュニアランク後はランク15で、基本料金(※)は1万5,000円です。その後はランクが1つ上がるごとに基本料金も1,000円ずつ上がっていき、最高ランクになると4万5,000円まで上がります。
※30分作品に出演した場合。

ランク15になったあとは、1年ごとに声優と所属事務所・プロダクションとの間で話し合いを持って翌年のランクを決定。毎年4月1日に更新されます。最高ランクの上には、ランクが適用されない人もいます。

ランク適用外になると「ノーランク」と呼ばれ、報酬も都度の話し合いによって決定されるため、1回の出演で数十万円というのも珍しくないようです。しかし、「ノーランク」と呼ばれる人は、全体の1割もいないと言われており、かなり厳しい世界といえます。

ランクは経験年数によって決まる

基本的には、ランクは経験年数とともに上がります。ちなみに新人時代を経て最初に昇格するのは3年後なので、3年後にはみんな1ランク上(ランク15)になるわけです。

ここで注意しなければならないのは、このランクはあくまでも年数だけを基準にしており、実力は反映されていません。そのため、見合った実力がないと判断されたら、その時点で仕事が来なくなり、競争から落ちてしまうこともありえます。

基本料金に時間割増率や利用料率が加算される

新人時代を過ぎて、ランクが上がると時間割増率や目的利用料率が加算されるようになります。

先に紹介した基本料金は、あくまでも30分作品(アニメなど)に出演した場合の料金です。30分を超えると30分ごとに発生する割増率を乗じた報酬が支払われます。ちなみに、アニメ作品の時間割増率は、下記表のとおりです。

時間枠 30分 60分 90分 120分 150分 180分
割増率 1.0 1.5 1.9 2.3 2.7 3.0

※180分以上は、30分増すごとに0.3加算

新規制作する作品の場合は、初期出演料として基本料金に180%(初期目的利用料率80%を含む)が乗じられます。ちなみに、劇場公開作品の場合は初期目的利用料率が150%なので、基本料金に250%を乗じて計算します。算式は下記のとおりです。

(TV放映作品)算式:基本料金×時間割増率×180%
(劇場公開作品)算式:基本料金×時間割増率×250%

ランク15の声優が60分作品に出演した場合の出演料は、下記のとおりとなります。

15,000円×1.5×180%=40,500円

同じくランク15の声優が120分の劇場公開作品に出演した場合の出演料は、下記のとおりです。

15,000円×2.3×250%=86,250円

ここでは詳しい説明を省きますが、TV放映アニメ作品、劇場公開版とも、初期制作後にその作品を転用する場合は、それぞれ定められた転用料率に応じて、出演時のランクに応じて転用料が支払われます。

声優にとって、再放送されるほどの人気のある作品が代表作にあれば、後の収入につながってくる可能性があるでしょう。

外国映画の場合はもう少し細かく規定される

洋画・海外ドラマなどの外国映画(外画)の場合も、初期出演料における基本対価の算出方法はアニメ作品のそれと同じです。ただし、時間割増率は少し細かくなっています。参考となる時間割増率は、下記のとおりです。

時間枠 30分 60分 75分 90分 105分 120分 135分 150分 180分
割増率 1.0 1.5 1.7 1.9 2.1 2.3 2.5 2.7 3.0

※180分以上は、30分増すごとに0.3ずつ加算
※地上波とNHKについては放送時間枠で計算を行い、その他(WOWOW、NHK以外のBS、CS、ビデオグラム、機内、自動公衆送信など)については実尺で、どちらにも該当しない場合はその都度交渉して時間計算をします(転用の場合も同様)。

また、加算される初期目的利用料率もアニメとは違って、少し細かくなっています。

初期目的 利用用途 利用料率
放送 地上波(ゴールデン)
NHK
70%
WOWOW(全時間帯) 40%
地上波(ゴールデン以外)
BSデジタル
20%
ビデオグラム ビデオグラム 70%
機内放映 機内放映 30%
劇場公開 劇場公開 130%

一例として、下記2条件の声優が外国映画の吹き替えで出演した場合の初期出演料を計算してみましょう。

■条件1の声優
  • ランク:ランク15
  • 放送時間枠:120分
  • 初期利用目的:放送(地上波・ゴールデン)
  • 出演料:15,000円×2.3×170%=58,650円
■条件2の声優
  • ランク:ランク15
  • 実尺:105分
  • 初期利用目的:劇場公開
  • 出演料:15,000円×2.1×230%=72,450円

上記計算例は、あくまでもジュニアランクを除いた一番下(ランク15)で計算されたものです。それでも60分の劇場公開版に出演すれば、約50,000円の報酬になります。実績を積み重ねて人気が出てくると、1時間作品で15万円支払われることも。

声優によって映画の人気が左右されることもあります。また、「〇〇の声といえば、この人」というイメージがつきやすいため、一度それで人気を得ると病気などといったよほどの理由でもない限り継続して起用されやすいのが特徴です。

アニメ作品の場合と同じく、外国映画(外画)についても作品が初期利用目的外に転用された場合は、当時のランクに応じて転用料が支払われます。吹き替え作品が何度も再放送されるほどになれば、ほぼ半永久的に出演料が入ることになるわけです。

ゲーム・パチンコのキャラクターボイスはセリフ量に応じて決まる

近年、需要が高まっている市場がゲームキャラクターやパチンコ台で出てくるキャラクターの声です。こうしたキャラクターの声はキャラクターボイス(CV)と呼ばれ、声優にとっては自分の名前をアピールする大きなチャンスです。

スマートフォンのアプリなどに出てくる広告やテレビCMなどを見るとわかるとおり、声優の名前のほうが大きく表記されることもあるので、人気声優が起用される機会も多いのが特徴です。

こうしたキャラクターボイスの報酬は、アニメや映画の吹き替えと違って「外画動画出演規定」の影響は受けません。そのため、ジュニアランクでも1文字30円、人気声優になると同じく200円になることもあります。

ゲームの場合、展開によってシナリオが何通りにも分かれているので、セリフ量も相当な量です。最終的な報酬はセリフ量が基準となるので、新人でも最低3万円、人気声優になると20万円以上支払われることも。

また、人気のあるゲームや美少女ゲームであれば、上記した2倍のギャラが提示されることもあるようです。

パチンコの場合も同じく高収入を得やすい

先にも書いたとおり、ゲームやパチンコ台のキャラクターボイスはランクの影響を受けないため、高い報酬を受け取りやすい仕事です。同じく1ワード○円というように決まっているので上限も決まっておらず、1回の収録で収録時に得た数倍の報酬を得る人もいます。

特にパチンコの場合、アニメ作品とコラボレーションしたパチンコ台も増えており、声の担当についても作品の出演者をそのまま引き継ぐことの多いのが特徴です。

報酬は声を担当する声優の実績によって変わるものの、少なめのワード数でも50,000円近くの給料(報酬)を得られることも多いです。

ゲームのキャラクターボイスはセリフ量に応じて決まる

近年、需要が高まっている市場がゲームキャラクターの声です。こうしたキャラクターの声はキャラクターボイス(CV)と呼ばれ、声優にとっては自分の名前をアピールする大きなチャンスとなっているところもあります。

スマートフォンのアプリなどに出てくる広告やテレビCMなどを見るとわかるとおり、声優の名前のほうが大きく表記されることもあるので、人気声優が起用される機会も多いのが特徴です。

こうしたキャラクターボイスの報酬は、アニメや映画の吹き替えと違って「外画動画出演規定」の影響は受けません。そのため、ジュニアランクでも1文字30円、人気声優になると同じく200円になることもあります。

ゲームの場合、展開によってシナリオが何通りにも分かれているので、セリフ量も相当な量です。最終的な報酬はセリフ量が基準となるので、新人でも最低3万円、人気声優になると20万円以上支払われることも。

また、人気のあるゲームや美少女ゲームであれば、上記した2倍のギャラが提示されることもあるようです。

ナレーション収録の給料は、種類によって異なる

声優が請け負う主な仕事のひとつが、ナレーション収録です。スーパーマーケットなどでの店内放送から、テレビのバラエティーやドキュメント番組、映画のナレーションなど、仕事の種類も多岐にわたります。

ナレーション収録出演時の報酬(給料)も、同じくランクの影響を受けないものの、仕事の幅が広い分得られる報酬にも幅がある点が特徴です。

例えば、スーパーマーケットなどでの店内放送は1本あたり1,000円~とかなり安くなります。一方、テレビやラジオなどでのナレーションは、会社によって異なります。全国放送であればもっとも安い場合でも10万円が相場です。

「この人でなければできない」というような内容の仕事であれば、それこそ100万円以上の報酬を得ることも夢ではありません。

ラジオの収録はテレビと比べると低い

声優の仕事は、テレビの他にもラジオでも求められることがあります。しかし、ラジオの仕事はテレビのそれと比べると、得られる給料も低くなりがちです。

もちろん番組によっても異なってくるものの、その相場は5,000円~10,000円あたりとなります。これは、出演するアニメやゲームなどの宣伝、もしくは声優としての知名度を上げるための一環として企画されたものに出演することがその理由です。

ただし、ラジオ出演をいくつか重ねて知名度を上げることで、他の仕事につながる可能性は大いにあります。

声優の平均給与の統計

声優全体における平均給料は、月約16万円です。年代別に見ると、レギュラー番組を持っている人であれば、20代で約12万円、30代で約17万円、40代で約22万円と言われています(いずれも推計)。

ただし、先にも書いたとおり声優の給料(報酬)は完全歩合制です。上にあげた数字は、あくまでも安定したレギュラー番組を持っている人のものなので、全く仕事がなかった場合は0円になります。

男女差はないが、別にアルバイトをしながらやっている人もいる

声優の給料(報酬)は完全歩合制となっており実力主義です。実力を認められれば引っ張りだこになる可能性もあれば、まったくお呼びがかからない可能性もあります。支払われる給料(報酬)についても、新人の頃から男女差はないと考えていいでしょう。

最初にも書いたように新人登録されると、デビューした年齢や主役・ヒロイン級かどうかに関係なく最初は「ジュニアクラス」に入ります。

新人時代は基本料金がそのまま出演報酬となるため、毎週放送される30分アニメに出演する場合でも手数料や源泉所得税を差し引くと5万円弱しかもらえないことになります。そのため、声優の給料だけでは生活ができず、別途他にアルバイトをしながら生計を立てる人も多いようです。

経験年数を積み、代表作ができて人気が出てくると報酬もアップしやすい

声優の仕事の中でも、アニメや洋画・海外ドラマ(外画)には別途日本俳優連合が作った「外画動画出演規定」があり、報酬はそれに沿って支払われます。そのため、新人時代はどんなに人気が出ても声優の仕事だけでは生計を立てにくい傾向にあるようです。

ただ、「ジュニアランク」と呼ばれる3年間は、声優にとって大変重要な期間とも言われています。特に演技の幅が広い新人声優は、ごつい黒人や線の細い白人の役など複数の役を演じられる(兼役できる)点から多くの現場で重宝されます。

この時代に多くの仕事をこなすことで、製作者に顔を覚えてもらいやすいとともに、その後も一本釣りされやすくなる可能性も出てくるので、この3年の間に代表作といえる作品を作っておくことが大切です。

ナレーションは演技力や原稿読みの力をつけることが大事

声優の仕事の中で、アニメや映画の吹き替えと並んで有名なのがナレーションです。しかし、一言で「ナレーションの仕事」といっても、その種類はさまざまあります。

いわゆるバラエティー番組のナレーションから、報道番組やドキュメンタリー番組、テレビやラジオCMまで仕事は幅広くあります。

その中でも求められる能力は異なります。例えば、バラエティーや一般のドキュメンタリー番組であれば喜怒哀楽の表情を込めることが求められますし、逆に報道や報道よりのドキュメンタリーであれば原稿をしっかりと読む力が求められることが多いでしょう。

どのような仕事が来ても対応できるだけの演技力や原稿読みの力を磨いておくと、ナレーションの仕事を獲得しやすくなり、その分給料(報酬)・年収も増えやすくなります。

声優の多くは個人事業主なので歩合制

声優が月にもらえる給料(報酬)は、所属時の契約形態によっても変わってきます。

最初に解説したように、声優のプロフィールを見るとどの事務所・プロダクションにも属していなければ「フリーランス」と記載されていますが、どこかに所属していれば「〇〇プロダクション(事務所)所属」というように記載されています。

声優と所属プロダクションとの関係について解説すると、正社員として(雇用)契約を結んでいるわけではなく、あくまでもマネジメントや仕事(オーディション)の紹介を委託しているにしかすぎません。

そのため、扱いとしては「個人事業主」となるため、基本的には仕事をした分だけ給料(報酬)が支払われる歩合制です。一般の会社員であれば、社会保険や厚生年金に加入しますが、そういったものも一切ありません。

医療保険は国民健康保険、年金は国民年金となるため、そういった手続きもすべて自分で行うことが必要です。

少数ながら固定給+歩合制にしている人もいる

あくまでも契約によって変わってくる項目ですが、少数ながら毎月決まった月給を受け取りつつ出演作品に応じた歩合給を受け取っている声優もいます。

ただ、ある程度の仕事量が見込める人であれば、それだけの数字が見込めるのでそういう契約形態も認められると思いますが、新人であればこれからの能力などにもよって仕事を撮れるようになるかどうか未知数なので、認められない可能性も高いでしょう。

また、歩合給についても完全歩合制のそれと比べて歩合率も低くなることが多いので、その点も考えて選ぶ必要があります。

実績を残していかないと、声優として生活するのは難しい

声優といって連想するのは、アニメや映画の吹き替えという人も多いと思いますが、最初のうちはランクも低いところから始まり、収入も1本出演して1万5,000円ほどなので、声優だけで生活していくのは極めて困難といっていいでしょう。

それに対して、ゲームのキャラクターであれば「ワード制(文字数制)」といって、セリフごとの値段×セリフ量となり、新人声優でも比較的高収入を得やすいので、そういった仕事を希望する人も増えています。

その他、ナレーションであれば、新人でも1本あたり10万円といわれているので、アニメの仕事を希望している人でも、そういった仕事を組み合わせながら自分の名前や顔を売る努力をしていかないと、声優としての収入は増えにくい厳しい世界といえるでしょう。

声優の年収統計

声優の平均年収は200~350万円

声優は個人事業主なので、平均値を算出することは非常に難しいのが実情です。口コミなどのさまざまな情報から推計してみると、平均で200万円~350万円というのがその相場です。

ただし、年収の振り幅は非常に大きくなります。まったく仕事がない人は、年収数千円~数十万円程度という人もいて、そういう人は他にアルバイトをしながら声優活動をしないと生活できないのが現実です。

その一方で、数千万円~数億円近くの年収がある人もいます。

このように、チャンスをものにして実力や知名度が上がっていくことで、年収が上がっていく人もいれば、なかなか仕事を得られないことで20代のうちに声優になることを諦める人もいます。

そういう点では、完全実力主義の世界です。

稼いでいる人はやはり数をこなしている

それでは、声優の仕事でそれなりの年収を稼ごうと思ったとき、どういう仕事をしているのかというと、やはり数をこなしていくしかありません。

レギュラーのアニメ番組をたくさん持つことはもちろん大事ですし、アナウンスやナレーション、CM、ゲーム・パチンコのキャラクターボイスなどの仕事を多くこなす人が稼いでいける世界ということがいえるでしょう。

声優として少しでも年収アップするために大切なこと

子供の頃に憧れた職業としてあげる人も多い声優。声優になったからには、それ一本で生活できるだけ稼ぐことがひとつの目標となるでしょう。しかし、「声優の仕事で生活できるくらい稼ぎたい」と思ったら、越えなければならない壁はかなり多くあるのが現実です。

声優一本で生活できるようになるために必要なのは、やはり仕事を数多くこなすことです。しかし、それを長年継続していかなければならない点で非常に困難といえます。

ここでは、声優としての年収を少しでもあげるために大切な考え方について解説していきましょう。

声の表現力を磨く

声優として給料・年収を少しでもアップさせるために、遠いようで一番の近道は「声の表現力を磨く」ということに尽きるのではないでしょうか。「声の表現力」というと少し曖昧になってしまうかもしれませんが、つまりは「演技の幅を広げる」という意味があります。

アニメや映画を思い浮かべてもらえるとわかるとおり、出演(登場)する人は1人だけではありません。脇役も含めてさまざまな人が登場します。中にはごつい人がいたり、少し頼りなさそうな人、気の弱い人、強がっている役の人などもいたりするでしょう。

そのキャラクターに合わせた演技が求められるわけですが、吹き替えの現場では脇役の声を複数担当(兼役)する人がいます。特に、ジュニアランクは出演料も安くて済むため、こうしたいろいろな役(演技)ができる声優は重宝されます。

そうして経験を積んでいき、新人と呼ばれる3年の間に代表作といえる作品を持つことで、将来的にも仕事を獲得しやすくなるでしょう。

いろいろな仕事に挑戦する

先にも書きましたが、「声優の仕事といえば何ですか?」と質問してみると、「アニメや洋画・海外ドラマの吹き替え」と答える人が多いでしょう。

一般の人のイメージでそう答える人が多いというのもありますし、声優を目指す人もそういったアニメ作品や海外の映画を見て、声優に憧れてこの世界に入ったという人が多くいます。しかし、こうした仕事は定められたランクに応じて報酬が決まっているので、ある程度数を積み重ねないと毎月の給料・年収ともなかなか上がりにくいものです。

最近増えつつあるゲームやパチンコの仕事、ナレーションはそうした縛りがないので、比較的収入になりやすいという特徴があります。また、仮にアニメや映画の吹き替えに憧れがあったとしても、いろいろな仕事に挑戦する姿勢も求められます。

他の仕事と同じく声優にも適性があります。その中には、自分が苦手だと思う分野もあるでしょう。やってみると、案外自分が苦手だと思いこんでいた分野に適性を見いだせる可能性もあるかもしれません。

実際、ナレーションやゲームのキャラクターボイスなどで経験を積んでいってから、アニメや洋画の吹き替えに挑戦する声優も増えていることを考えると、いろいろな仕事に挑戦する姿勢が大切だといえるでしょう。

自分で立てた企画を売り込む

完全歩合制のプロダクション(事務所)に所属している場合は、特に仕事を多くこなすことが大切です。

通常、仕事やオーディションの情報は所属しているプロダクション(事務所)から提供されることが多いですが、それを待つ受身の姿勢ではなかなか仕事も得られにくいかもしれません。

時には自分でゲームやアニメなどの企画、朗読会、原作をもとにした舞台などの企画を立てて、それを製作者に売り込んで営業していくことも大切です。

声優の活動とは少し離れてしまいますが、自分で劇団を立ち上げて舞台作品を作ったり、声優同士で何らかのユニットを作ったりしている人もいます。

練習場所の確保などの課題もありますが、地震の活動範囲を広げるという意味でもいいことではないでしょうか。

イベント出演やラジオ、歌手活動など幅広い活動をする

声優の活動は何もアニメや映画の吹き替え、ナレーションだけではありません。今では、声優の枠を飛び越えて活動している人も多くいます。

今さら書くまでもありませんが、声優は「声で演技をする」仕事。つまり、声は声優の商売道具なわけです。その声を認められて知名度が上がってくると、ラジオパーソナリティとして自分の名前がついた冠番組を持てるようになるかもしれません。

その他にも、ビジュアル面で人気が出てくると、俳優としてドラマや舞台に出演する人がいます。また、歌が得意な人であれば歌手としてCDデビューしたり、コンサートや各種イベントに出演したりするなど、顔を出して活動する人もいるようです。

このあたりは、事務所の売り出し方針などにもよって変わってくる部分もありますが、人気が出てくるとこうした展開もありうるかもしれません。

いずれにしても、こうした活動ができるかどうかは、まずは本業で知名度をあげられるかどうかにかかっています。まずは、しっかりと声優としての本業を頑張るところからはじめていきましょう。

月給制のプロダクションを選ぶ

収入アップとは少し離れますが、生活を安定させたいのであれば月給+歩合制のプロダクションに所属する方法があります。

声優の給料(報酬)体系は、仕事をした分だけ支払われる完全歩合制となっているところがほとんどです。そのため、仕事をたくさんした月は月収も多くなりますが、仕事がまったくなかった場合は0円ということもありえます。

つまり、毎月の収入が不安定なわけです。月給+歩合制のプロダクションであれば、仕事がなくても最低給は保証されています。そのかわりに歩合率は少なくなる可能性は高いですが、少なくとも生活は安定します。

まだまだ全体的に見ると少ないものの、月給制のプロダクションも増えているので、そういったプロダクションを探してオーディションがあれば受けてみてはいかがでしょうか。

フリーランスの声優として活動する

フリーランスの声優として活動する方法があります。ひとりで活動するということは自分で努力することも求められますが、経験を積んで代表作ができ、知名度がついてきたらフリーになることも一つの方法ではないでしょうか。

声優は、どこかの声優事務所もしくはプロダクションに所属している人が大半です。「フリーランス」は、そうした組織に所属するのではなく、自分ですべてを行うことになります。

声優がどこかの声優事務所もしくはプロダクションに所属しているのは、事務所から仕事やオーディションの情報をもらう、もしくは仕事を依頼してもらうことが目的にあります。

声優も仕事なので、当然ながら少なくない報酬(出演料)が支払われます。しかし、事務所やプロダクションに所属していると、そこから所属手数料や所得税を控除した金額が自分の報酬となるのが普通です。

また、仕事やオーディションの情報を所属先からもらったり依頼されたりするため、自分で仕事を選ぶことができないという点もデメリットにあげられます。

フリーランスになった場合、まず所属手数料を支払わなくて済みます。そのため、源泉所得税(10.21%)を除いた全額がまるまる自分の手取りとなります。また、自分で仕事を選ぶことができるという点もメリットにあげられるでしょう。

ただし、事務所やプロダクションに所属しないということは、仕事の紹介や依頼がなくなるということでもあります。つまり、自分で売り込みを行う必要やオーディションの情報を見つけて、自分でそうしたオーディションを受けに行く必要があるということです。

そのため、ある程度知名度が高いことも必要ですし、いい意味で目立つための個性も求められます。

声優の給料・年収まとめ

給与レベルは平均よりはやや低く不安定。経験や実績次第で枠を飛び越えて活動することも可能

声優の世界は完全な実力主義です。そのため、得られる月収・年収にも振り幅があります。低い人であれば、月収どころか年収も数千円という人がいます。その一方で、月収数百万円、年収数千万円~億単位稼ぐ声優がいることも事実です。

これはどうしてかといいますと、声優は自分の声を使って自分に割り当てられた役の演技をすることが仕事です。そのため、どうしても演技力には差がついてしまいます。

つまり、演技の幅が広いもしくは原稿読みの上手な人はその分仕事を得やすく、仕事も舞い込みやすくなるでしょう。逆に、演技の幅が狭い人や原稿読みがうまくない人には、なかなか仕事も来にくくなります。

そうならないためには、新人期間と呼ばれるジュニアランクの3年間で、自分の代表作ともいえる作品を持つことが大切です。どんな声優でも得意な分野・不得意な分野があるので、それを見極める目も求められます。そうして、自分の得意な分野を見つけ、その分野では誰にも負けないだけの力をつけることで、今後の仕事にもつながってきます。

また、最近では声優の枠を飛び越えて、ラジオのパーソナリティになる人や歌手として顔出しして活動する人も増えています。このあたりになると、事務所の方針にもよって変わってくるものの、これも本業をしっかりとやりきった結果できることです。

本業の声優業を頑張ったからこそできることであり、まずは声優としてしっかりと経験を積んでいくことが求められます。

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声優の参考情報

平均年収200万円~350万円
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職業職種芸能

統計情報 出典元:

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