能楽師の給与・年収は?能楽師の収入は月謝や舞台、テレビの出演料が主になっている

能楽師の給与・年収は?能楽師の収入は月謝や舞台、テレビの出演料が主になっている

能楽師は厳しい修行に耐えた人だけに許される職業ですが、基本的にはフリーランスのように個人事業主の形で働いています。そのため、給与や年収についても実力主義となっており、利益を上げるためには経営的な知識も求められる部分があります。この記事では、能楽師の意外な給与事情や今後の展望を含めて紹介していきます。

能楽師の初任給

初任給にはほぼ期待できない

能楽師は約650年にも渡る日本古来の伝統芸能の1つです。日々鍛錬を積み重ねることではじめて本物と認められますが、初任給はほぼ期待できないようです。能楽師の収入は弟子からの月謝が大半のため、一本立ちして人気が出るまでは収入面では苦しいと言われています。

能楽師は自分に弟子がいれば、その弟子から稽古代として月々8,000円から15,000円程度の月謝を得ることができます。これ以外に舞台や各メディアへの出演料があれば、収入にプラスされます。

しかし、能楽師としてデビューしたての状態では弟子もほとんどおらず、メディアに注目されていなければ収入はほぼありません。そのため、デビュ-したてでは収入がほぼないことが予想されます。

能楽師は今からでも入れるのか

能楽師の世界は、日常生活を送っている中では触れることが少ないこともあり、やはり徐々に萎縮傾向にあると言われています。明治維新の時期には滅亡の危機を迎えたこともありますが、現代まで残っているようにあらゆる努力を行うことで伝統を継承し続けています。

しかし、現代では伝統芸能だけでなくさまざまなエンターテインメントが生まれており、今後も安泰というには難しいでしょう。また、能楽師が作る世界を楽しむ人たちの高齢化もあり、今後は若年層をはじめターゲットを広げる努力が求められます。

その一環として、能楽師は代々芸能を伝承し続ける家系に生まれた人以外の入門を受け入れています。日本芸術文化振興会や大阪能楽養成会では後継者の養成と研修を用意しており、適性審査に合格した人は能楽師として活動することが許可されます。しかし、応募資格は中学卒業以上から23歳以下と年齢制限があります。

団体へ応募する以外にもベテランの能楽師に直接弟子入りを頼む方法もあり、実際に大学卒業をした学生が内弟子から能楽師デビューした事例があります。しかし、いずれの方法で入門したとしても、初任給は厳しいと考えたほうがいいでしょう。

能楽師の平均給与

まとまった給与を得られるのは限定的

能楽師の大きな収入源は弟子からの月謝であることが多く、そのため能楽師の人気や舞台への出演などによって大きな差が出てきます。多い場合だと月収で約40万円を得られることがありますが、これだけの給与を毎月得られるのは一部の能楽師と考えるほうがいいでしょう。

また、月謝によって手取りは多そうに見える能楽師ですが、舞台の出演者や装束、面、小道具などは自腹のことが多いため、舞台の赤字補てんをしているとマイナスになることもあるようです。50人以上の弟子を抱えるベテランならば補てんもできますが、そうでない場合は会社勤めのサラリーマンと変わらない給与額になる可能性もあります。

能楽師はフリーランスと同じ扱い

能楽師のような伝統芸能には協会という形で後援を担う団体が存在しており、能楽師においても同じように協会があります。しかし、こうした協会は基本的に後援はしたとしても公演の斡旋や芸能活動のマネジメントは行いません。そのため、基本的に能楽師はフリーランスと同じ扱いになります。

能楽師の収入は月謝や舞台、テレビの出演料が主になっており、自分でこれらの収入源をどのように確保するのか考える必要があります。能楽師として実力が必要なのはもちろんのこと、経営的な側面も重要になってきます。

また、能楽師は主人公を務めるシテ方と脇役を務めるワキ方、そして能の間に入る狂言を務める狂言方の3つに分けることができます。これに加えて、能の世界を彩る笛や太鼓を務める囃子方があります。

狂言方とワキ方についてはプロダクションのような窓口があり、依頼に応じて出演するというスタイルを取っているようです。これに対してシテ方と囃子方は完全にフリーランスのような個人事業主のため、公演の準備から会場の予約、チケット手配などさまざまな部分で経営手腕を問われることになります。

しかし、どの分野においても協会が個々の公演をバックアップすることはないようなので、どれほど稼げるかは個々の力によって変わってきます。

芸の道を究めたい人でないと続かない職業と言える

能楽師は室町時代から脈々と続く伝統芸能であり、歌舞伎や人形浄瑠璃と共にユネスコの無形文化遺産に選ばれている栄誉ある日本文化です。その一端に関われることにやりがいと誇りを感じられる人ならば、能楽師としてやっていくことができるでしょう。

反対に、能楽師という仕事に興味が持てなかったり修行に耐えられなかったりする人は、能楽師として稼ぐことはおろか職業を続けることも難しいでしょう。能楽師の世界は世襲制で上下関係も厳しく、礼儀作法はもちろんのこと言葉の使い方1つとっても厳しい世界です。

また、日々芸の練習をすることも当たり前であり、自由やプライベートはほぼない生活となります。能楽の繁栄と継承のためならば人生を賭すことも当然に求められる世界でもあるので、生半可な覚悟で続く職業ではないでしょう。

能楽師の平均年収

能楽師の年収は予想よりも高め

能楽師の年収は個人事業であると共に独特な世界のため平均するのが難しいですが、上記で挙げた給与から予想するとおよそ400万円~500万円前後になります。各メディアにも頻繁に登場する能楽師ならば1,000万円以上も夢ではありません。

流派によって年収は変わるのか

能楽師は主演と脇役に当たるシテ方、ワキ方、そして舞台を構成する重要な狂言方と囃子方に分かれており、それぞれに流派があります。各分野において担当する役どころは全く違ってきますが、それぞれの役どころによって年収にも違いがあるようです。

役名 年収
シテ方 540万円~750万円
ワキ方 330万円~630万円
狂言方 240万円~540万円
囃子方 220万円~530万円

年収で見ると主役を務めるシテ方がやはりトップになっており、多い人だと700万円近くになります。ワキ方も4つの中で見れば多い方になりますが、狂言方や囃子方の年収は不安定なところがあります。

特に、囃子方は完全にフリーランスという形をとっていることもあり、公演への出演回数が減ると自然と年収低下に直結します。シテ方については自身で公演などをプロデュースすれば収入を増やすことも可能ですが、囃子方の場合は演奏という補助的な部分もあり、大きな公演などを単体で開くのは難しいところがあるようです。

能楽師の現状と生存戦略

能楽師はユネスコ無形文化遺産にも登録されていますが、文楽のように国から補助を受けていることもなく、歌舞伎のように企業経営ではないため、プロモーションなどがしっかり行われていない部分があります。

さらに、狂言方とワキ方はプロダクションが窓口になって公演などをサポートする場合がありますが、シテ方と囃子方は完全にフリーランスの形を取っているのが大半のため、自分たちで利益を上げる必要があります。

特に、シテ方は舞台公演の手配と会場の予約、さらにチケット手配とやることが多いです。また、チケットが完売しても出演者の給料や広告費、さらに自分たちの小道具や装束に掛かった費用を差し引くと赤字になることが大半と言われています。こうした現状だけ見ると、能楽師の未来は決して明るくないでしょう。

こうした現状を打破するため、能楽界では少しでも理解しやすいようにタブレットを導入し始めています。タブレットでは能楽を見るために必要な知識や専門用語が閲覧できるようになっており、より鑑賞しやすい環境作りが整えられています。

最近では日本人だけでなく外国人観光客も観覧することが多く、タブレットでは中国語や英語で解説できるような工夫が施されています。こうした努力が実を結び、今後は観客が増えていくかもしれません。

能楽師の給与・年収まとめ

能楽師は給与よりもやりがいが重要

能楽師の給与は弟子からの月謝が大半を占めており、デビューしたての場合はほぼ0円であることも考えられます。また、能楽師はほぼフリーランスのスタイルで働くことになるため、給与に関しては自分の実力を高めて増やしていくほかありません。

能楽師の仕事は決して楽ではなく、自分の人生を賭して伝統芸能を受け継ぐ覚悟が求められるため、給与額よりも能楽師の仕事自体が好きでないと続かないでしょう。

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能楽師の参考情報

平均年収400万円〜500万円
必要資格
  • 国立能楽堂 能楽(三役)研修
  • 大阪能楽養成会一般公募
資格区分 試験合格
職業職種芸能

統計情報 出典元:

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