校正者の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説
校正者が行う校正は、基本的には原稿における文章の組まれ方や誤字脱字、表記揺れなどのミスを出版前に拾い上げ、出版に値する品質に高めていく作業を指します。校正は専門知識が必要な仕事であり、簡単なものではありません。このページでは、校正者の具体的な仕事内容、仕事のやりがいなどについてご紹介します。
校正者とはどんな仕事?
校正者は出版原稿の品質を保証する最後の砦となっている
校正者の仕事は、「校正」を行うことです。原稿が出版される前に、誤字や脱字、文章欠け、ページの組み方の不備などがないかをチェックし、修正することを「校正」と言います。
雑誌や書籍に掲載される文章は、当然のことながら人間が書いています。小説家、ライター、記者、コラムニスト、エッセイストなどいわゆる作家業の範疇で仕事に従事している人が記した文章は、原稿として提出されます。
提出された原稿を所定の枠組に収め、そのまま出版・・・とはいきません。なぜなら、人間は間違える生き物だからです。少なくとも紙媒体において、一字一句たりとも修正の必要のない原稿というのはほぼない、あったとしてもごくごく稀といっていいでしょう。
録音音声をそのまま起こしたり、文章をそのまま書き写すだけでも一字一句全て正確というのは難しいといわれています。まして、1から文章を生み出す仕事は言わずもがなでしょう。
原稿ないにある様々な問題点を修正する役割
原稿には誤字脱字を含め、様々なミスが含まれていることがほとんどです。文章としては正しくても、文章の組み方が出版物の形式にそぐわないといった問題も発生します。こうしたミスには、専門家や他人がチェックしなければ気づかない問題も多いです。
間違った内容をそのまま何もチェックせずに出版すれば、内容如何では大きな社会的問題に発展するリスクがあります。出版物の品質は、そのまま出版社の信頼性に直結しているといっていいでしょう。
そうした出版上のリスクを防ぎ、出版物の一定以上の品質を保つために、「校正」と呼ばれる作業を通します。その校正作業を行っているのが、校正者と呼ばれる人たちです。
出版物を問題なく読者に提供するために、文章上の問題、構成上の問題、様々なミスや認識違いによる問題点や瑕疵を洗い出して、修正する必要があります。校正者というフィルタを通して初めて原稿が完成されるといっても過言ではありません。校正の作業は人間が文章を執筆している限り、必ず発生するものです。
校正者の具体的な仕事内容
「校正」と「校閲」は本来全く違うもの
ざっくりと出版物の文章を詳細にチェックして、誤りがあれば赤字で修正して、ということを行うのが校正者の仕事ですが、よく混同される言葉として「校閲」があります。なんとなく文章を直すことという認識はあっても、「校正」と「校閲」の区別がつかない、という人も少なくないでしょう。
「校正」は、より厳密に定義すれば、「執筆者が書いた原稿を基に活字を植字して印刷したものを、元の原稿と照らし合わせて植字や組版に誤りや問題がないかを確認する作業」のことを指します。
例えば「原稿」と「校正刷り(ゲラ刷り)」、「第1稿」と「最終稿」など、2つ以上の原稿を照合して、その間における誤記や誤植などおかしな点がないかを確認するのが、校正の仕事です。
校正の作業は、活版印刷技術が大きく発展する中で確立した近代校正術をもとにしています。日本では奈良時代から校正者が存在したと言われていますが、所定の校正記号をつけて修正点を洗い出す手法が確立されたのは欧米の活版印刷技術の中でのことです。
活版印刷によって原稿を印刷する際、かつては1文字ずつ「活字」と呼ばれる判子のようなものを文章になるように並べ替えて組み上げて、その活字にインクを着けて印刷していました。これを植字といい、後世には文字の形を撮影し、印画紙と呼ばれる特殊な感材を用いて文字を焼き付ける「写真植字」が大きく発展しました。
今ではコンピュータを主体とした「機械植字」が一般的で、文字の並べ替えや印字がかなり簡単に行えるようになりました。とはいえ、オペレータによるコンピュータ組版を原稿と照合し、きちんと文章が組まれているかを確認するのは活字を使っていた時代と変わりません。
一方で「校閲」は、文章の枠組みや誤字脱字などの範囲に留まらず、より深いところ、例えば文章や言葉の語源や意味や根拠、矛盾点や整合性、文脈上の不具合などに至るまで、文章を文章として成立しているか、というところまで詳細にチェックします。
これからは「校正」と「校閲」両方できないといけない
「校正」と「校閲」は、かつてはそれぞれの負担が同程度に大きかったため、完全分業で行われていました。校正は組版や文章の並べ替えのチェック、校閲は文章そのものの内容に踏み込むチェックを、高度な専門性でもって担当していました。
印刷技術の発展によって、原稿と印字における差異は活字を刷っていた頃に比べると大幅に少なくなり、少なくとも文章に関しては、ほぼ書いたままの状態で刷ることが可能となりました。組版にかかわる修正は別としても、こうした現代の印刷技術を鑑みると、より原義に近い校正作業はほぼ不要になりつつあります。
今の校正者に求められているのは「校正」と「校閲」を両方行うことです。校閲を専門に行う仕事に従事する人を「校閲者」と呼んで区別していますが、今後、校正と校閲の定義こそ異なれど、校正と校閲の仕事を両方ワンステップで行う需要はますます拡大するでしょう。
現代の校正者の作業内容はDTPによるミスの修正が多い
かつては、活字を1文字ずつ組んでいたので、校正作業においては文章単位の修正が多いという特徴がありました。活字を人の手によって組むわけですから、文章単位でミスが起こりやすかったのです。
しかし現代のコンピュータを主体とした出版物の作成においては、文章単位での修正よりも、ページ単位での修正が増えてきています。現代の出版物はDTPによるデジタルソフトを活用したページ単位での組版の作成が基本で、そうした組版の際に、ページそのもののデータの出し方が間違っていた、なんてケースが増えています。
判型が丸ごと原稿と違うものになっていた、写真を貼り間違えている、文字等のサイズが根本から異なっている、というオペレーティングに係るミスが増えているのが現代の校正の特徴です。こうした場合、そもそも土台からして原稿とズレているので、ページ丸ごとにバツを入れて修正に回すことが多いです。
校正者の仕事のやりがい
文章をより正確なものにし、出版物のクオリティを保証する仕事
特にビジネス系、経済系、学術系の書籍や雑誌などの出版物では、誤字脱字や「てにおは」をなくすことはもとより、記事の整合性、エビデンスの明示など、より正確に、読みやすい文章を提供する必要があります。ニュースを扱う新聞におけるそれは非常に厳密に問われます。
そうした社会的にも価値が高い出版物を提供するにあたって、文章の原点に立ち返り、日本語として正しい、美しい文章になるための知識を豊富に持っている校正者が修正を行うことで、その品質が担保されていると言っても過言ではありません。
こうした、出版物をより高クオリティに仕上げるために欠かせない作業に従事していることは、校正者にとって大きなやりがいに繋がっていると言えるでしょう。また、品質をあげるだけでなく、重大なミスを出版前に拾い上げて修正することで、事故を防ぐという重大な使命も担っています。
小説家の文章の場合では、言葉の言い回しや語彙そのものが作家性に繋がるという性格上、あまり厳密な校正は行わない傾向にありますが、それでも本格推理物などでは読者への挑戦を掲げる場合は特に、一字一句注意して校正作業を厳密に行なっていく必要があります。
そうしたハイクオリティな超大作の成立の一助となる可能性があることも、校正者の大きなやりがいと言えるでしょう。
校正者の仕事内容まとめ
校正者は出版物の品質を保証する重大な役目を担っている
校正者は、出版物の品質向上に大きく寄与する仕事です。校正者がミスを拾い上げて修正することで、出版物の品質が保たれています。出版物を、出版元の編集部や、著者、クライアントが満足するクオリティに仕上げることが大きなやりがいに繋がります。
今では文章だけでなく、ページそのものの判型が誤っている例もあり、より広い範囲での問題点に気づけるかが校正者としての腕の見せ所です。
校正者の参考情報
平均年収 | 300万円〜430万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 出版・報道 |
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