住職の資格・試験とは?必須資格はないが、僧侶になるための修行を積むことが求められる
「住職」と聞き、皆さんどんな資格・試験をイメージされましたか?お坊さんというイメージがあるだけで、試験などそこまで考えたことが無い人の方が多いのではないでしょうか。どこかで関わりを持つかもしれない住職や僧侶についての必要な資格等をまとめてみました。
住職や僧侶になるための必要な資格とは?
仏教にも多くの宗派が存在し、仏門の入り方や修行の仕方が違うので一概にそうとはいいきれませんが、一般的に住職になるのに必要な国家資格はありません。
もちろん必要資格を条件とする宗派もあるでしょう。つまり特別な資格を有していないのでお経は独占業務ではありません。お寺勤めではない人でも他所から依頼があればお経を唱え、お布施をもらうことができます。
資格がないといっても住職や僧侶に共通していえることですが、どちらも仏教への深い理解と知識は必要になってくるでしょう。その仏教での知識をどこで学ぶのかといいますと、仏教知識が学べる大学や専門学校にて仏教の知識を学びます。
また学校によって専門的に学べる宗派は異なりますので、入学後からどの宗派にいくのではなく入学前からどの宗派にするか決めておかないといけません。大学や専門学校で知識を学んだあと、各宗派のお寺で修行生活に入ります。
宗派によってタイミングは違いますが、修行と前後して剃髪し戒を守ることを誓約し、戒名をいただく得度という僧侶入門の儀式をおこないます。これを行うことで、仏弟子となることになります。
僧侶の就業は非常に厳しく、早朝から起床するのはもちろんのこと、お寺の掃除や読経の練習、食事の配膳などを修行としていきます。葬儀や法事でのふるまいについては、住職についていき覚えていかなければなりません。
この修行を数年間行ない、一人前の僧侶になってからも生活すべてが修行と再度認識し、なお一層の修練を積む必要があります。
住職見習いの僧侶時代の修業方法
ではここで、住職見習いが僧侶時代に行う修行内容を紹介していきます。
どんな宗派でも共通して行われる修行の方法は、三学といわれます。三学とは戒、定、彗の3つのことです。
ひとつずつみていきましょう。
- 戒とは戒律を守って煩悩を抑えること
- 定とは観法などで精神を集中して煩悩をさえぎること
- 彗は煩悩を断つということ
「心を摂するを戒と為す。戒によって定を生じ、定によって彗を発す」
つまり、戒律を守って心を集中し、悟りの智彗を得るということなのです。
難しい話しになりましたが、一日の流れとしましては朝3時から4時に起床してお寺の掃除や読経の練習、食事の配膳、仏教の勉強などを行うのが一般的です。葬儀や法事も修行の一環で、住職と行動をともにし、見て聞いて、その技術を真似ていきます。生活全てにおいてが修行であり、勉強期間なのです。
また修行中は完全に外とは遮断されます。スマートフォンや携帯電話はもちろんのことテレビ、ラジオ、新聞などもなく外出も禁止です。そのため、外の情報は全く入ってこなくなります。もちろんそれは家族や友人、恋人とも連絡が取れないということです。
食事に関しても、お肉やお魚を使わない精進料理(穀物・野菜などを主とする料理)のみです。さらに修行の中にも階級が存在し、次の階級に進むためには段々と難易度が高くなり、修行内容によっては滝に打たれる修行がある場合もあり、当然脱落者も出てきます。
脱落してそのままお寺を去って行く人もいるでしょうが、いろいろなお寺を回り多くの僧侶と交流し、自身の糧として諦めず修行していく人は再度修行をやり直すことができ、次の階級に再チャレンジすることも可能です。
このように出家して戒律を守り厳しい修行を経てやっと一人前の僧侶として認められます。
ここで僧侶として認められた者の中には、先祖代々のお寺がありそれを継げば住職となります。しかし例え先祖代々のお寺がなくてもどこか継いでくれる僧侶をさがしているお寺を探し、それが見つかれば住職となることもできます。
修行を行い、住職見習いが僧侶になるまでの階級
資格とは少し違うのですが、修行が行われ僧侶になるまでの階級についてみていきます。
僧侶の階級
階級のことを実際には僧階といいます。宗派によって若干ことなりますが、基本的なものを紹介します。
- 一.大僧正
- 二.権大僧正
- 三.中僧正
- 四.権中僧正
- 五.少僧正
- 六.権少正
- 七.大僧都
- 八.権大僧都
- 九.中僧都
- 十.権中僧都
- 十一.少僧都
- 十二.権少都
- 十三.大律師
- 十四.律師
- 十五.権律師
となっております。
これは主に出家してからの年数なので年齢によるものではなく、修行年数が重視されるのです。また階級により法衣の色も異なり、緋色の法衣を身につけている僧侶が最高位の僧侶であることをしまします。
この僧階は住職や僧侶において絶対的なもので、僧階が上位の僧侶が下位の僧侶の面倒をみるのは当然のことであり、下の位のものは上の位のものを兄弟子として尊敬します。葬儀や法事の際に僧侶が複数いる場合は必ずこの僧階が高い僧侶が上座に座るようになっています。
では、僧階が高い僧侶が何もかも偉いかというと実際はそうとも限りません。なぜなら僧階は修業年数の長さによって決まるので、僧階の高い僧侶はお寺に修業に入ってから長い年月が経っている人を意味します。
もちろん僧階は絶対的なものなので、先ほどの説明通り僧階が高い人が偉いわけですが、歴史的に名を残している人の中には僧階の低い人もたくさんいます。僧階が低いからといって仏道に励む者を軽んじることはすべきではないのです。
お寺にも階層がある
少し余談ですが、お寺にもその規模や文化的な価値、社会的な影響力などによって階層があり、それを寺格と呼びます。高い格式を認められたお寺は特権的待遇を受けており、寺格は国家によって認定されていましたが、明治維新において政教分離によりこの国家による認定がなくなりました。
しかし今でも、宗派ごとに大本山、本山、別格本山といった寺格や、日蓮宗の霊跡寺院・由緒寺院など、様々な寺格(寺院等級)制度が設けられています。寺格の高いお寺では一定以上の僧階の僧侶しか修行ができないなどの制限がある場合もあります。
どこのお寺で修行するかも僧侶にとって非常に重要なものとなってくるでしょう。
住職の資格・試験まとめ
住職や僧侶は本当に厳しい修行が必要
住職や僧侶のことについてまとめていきましたが、資格などは特に必要ありません。しかし職業はその道を行く者は皆、最初に僧侶として厳しい修行を行っていきます。
そこで悟りを啓く者、断念する者もいるでしょう。僧侶として一人前になってから実家のお寺を継ぎ、住職としてやっていく者もいるでしょうし、継ぐ寺がなければ僧侶として上を目指し、偉くなっていく道もあります。
今回、住職や僧侶のことを知るにつれて、少しこの職業への見方が変わったのではないでしょうか。
住職の参考情報
平均年収 | 600万円〜700万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 葬祭・宗教 |
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