薬剤師の資格試験とは?薬剤師国家試験の概要と厳しい受験資格
薬学系の大学に進学し、6年の課程を経て、やっと与えられるのが受験資格。そこから1年に1度の薬剤師国家試験に合格しなければ薬剤師にはなれません。そんな人生の一大決心をしないと受験することすらできない薬剤師国家試験の情報をご紹介します。
薬剤師の資格、薬剤師国家試験とは?
薬剤師になるための国家資格
薬剤師になるために必要な薬剤師国家試験とは、厚生労働省医薬・生活衛生局が監修している国家資格であり、薬剤師法(昭和35年法律第146号)第12条の規定に基づき、施行されます。
この薬剤師国家試験に合格した人のみが、薬剤師名簿に登録することができ、厚生労働大臣より薬剤師の免許が与えられます。
受験資格を得る
薬剤師国家試験を受けるためには、受験資格があります。
一般的には薬学系の大学に進学し、薬学の正規の課程を修めて卒業しなければなりません。平成18年度から、それまで4年制だったものが、6年制の薬剤師養成課程を修了することになりました。
平成30年に厚生労働省医薬・生活衛生局が公表している大学別合格者数から見ると、薬剤師国家試験の受験者を出している大学は国立14校、公立3校、私立56校、全部で73校あります。
受験資格を得るには、夜間や短期大学、通信教育などはありません。とても厳しい道のりになります。
6年間の知識と技能が試される試験内容
試験は1年に1回、2日間に渡って行われます。これに落ちると、もう1年頑張ることになります。薬剤師国家試験に受からないと薬剤師になれないわけですから、就職が決まっていても取り消しをされるケースもあるらしいです。
試験地は、北海道、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、徳島県及び福岡県と全国各地で受けられます。
試験科目としては、必須問題試験と一般問題試験に区分され、物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理、実務と幅広い範囲を網羅しています。
受験手数料は、6,800円です。
薬剤師国家試験の難易度・合格率
平成30年の合格率70.58%
合格率の直近5年の推移を見てみると、平成26年から60.84%、63.17%、76.85%、71.58%、70.58%となっています。平均で60~80%ぐらいですが、合格率にかなりバラつきがあります。
大学別に見てみると、平成30年のデータでは合格率の1番高いところが、金沢大学の97.50%で、かなりの合格率です。2番目は広島大学の92.86%。3番目は、いわき明星大学の92.31%となっています。合格率の高いこの3つの大学は、受験者数が少ないのも特徴です。
合格率が低いところになると30%台になっています。
もちろん、これだけで学校の良し悪しを判断できませんが、薬剤師国家試験を受けたい方には、1つの目安になるでしょう。
薬剤師国家試験を合格後
合格しただけでは薬剤師の業務は行えません。合格後に、薬剤師名簿へ登録をするための申請手続きが必要です。そして、やっとここまできて薬剤師の免許が与えられます。
薬剤師は更新のための試験はありません。しかし、2年ごとに氏名、住所その他厚生労働省令で定める事項の届出をする必要があります。
薬剤師のキャリアアップに役立つ他の資格
認定薬剤師とは
薬剤師になった人が目指す認定薬剤師。より質の高い知識、より専門性を目指す薬剤師のための制度です。キャリアアップや年収アップにも繋がります。
厚生労働省の管轄ではなく、薬剤師認定制度認証機構(CPC)が評価している制度です。複数の認定団体が幾つもの認定薬剤師の種類を用意しています。
認定薬剤師の種類
がん薬物療法認定薬剤師、漢方薬・生薬認定薬剤師、救急認定薬剤師、小児薬物療法認定薬剤師、妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師などさまざまな種類があり、より専門的な知識を身につけることができます。
漢方薬・生薬認定薬剤師とは
漢方薬・生薬認定薬剤師は、漢方薬・生薬の専門的な知識を持った、薬剤師を認定するための制度です。
日本薬剤師研修センターと日本生薬学会により実施された研修を受け、試問に合格しなければなりません。3年ごとの更新のために研修を受け、単位を取る必要があります。
専門薬剤師
薬剤師として専門分野のスペシャリストが専門薬剤師。まず認定薬剤師になってから、目指すのが専門薬剤師になります。ただ、例外もあり、直接専門薬剤師になれる資格もあります。
単位を取るだけではなく、学会で研究論文や学術論文を発表しなくてはならないなど、かなりハードルは高いです。
専門薬剤師の種類
がん専門薬剤師、感染制御専門薬剤師、精神科専門薬剤師、医薬品情報専門薬剤師、妊婦・授乳婦専門薬剤師など専門薬剤師にも、さまざまな種類があります。
がん専門薬剤師とは
認定団体の日本医療薬学会によると、がん専門薬剤師は、医療現場において活躍する「がん専門薬剤師」を養成する目的とされています。
5年ごとの更新のために、講習単位、臨床実績などが必要で、常に高いレベルでいることが求められます。
薬剤師になるための薬学系の大学
金沢大学
平成30年のデータで、1番合格率が高かったのが金沢大学でした。受験者数40名、合格者数39名、合格率97.5%という驚異の合格率を叩き出しました。
2017年に金沢大学薬学創立150周年を迎えたとても歴史のある学校です。
医学、薬学、保健学が力を合わせた「コメディカル教育」という特徴のある教育をしています。高度化・細分化されていく医療現場でも活躍できる人材を育成することに力を入れているようです。
薬学類・創薬科学類は、大学院医薬保健学総合研究科薬学専攻・創薬科学専攻と連携しているのも特徴の1つになります。
グローバルな視野を広げるために、短期留学プログラムも用意されています。単位認定プログラムになっており、積極的に海外研修を行うことができます。
他には、薬用植物園があり、実習や薬草・生薬の栽培研究を行えます。
とても魅力的な学校ですが、薬学類は定員35名、創薬科学類は定員40名と狭き門になっています。気になる偏差値は、57.5ぐらいです。
国立大学
重要な要素の1つとして、国公立大学か私立大学かというのも選ぶポイントになるでしょう。
薬剤師国家試験を受けるためには、6年制の薬剤師養成課程を修了しなければなりません。学費がかなり変わってきます。初年度は、入学金と合わせると817,800円になります。
金沢大学が国立大学というのも魅力的です。
薬学教育評価適合認定
もう1つ金沢大学薬学類のアピールポイントになるところは、「薬学教育評価 評価基準」に適合していると認定されているところでしょう。
「薬学教育評価 評価基準」への適合とは、薬学教育評価機構が質の高い薬剤師の養成を目的として行っています。
東京薬科大学
平成30年のデータで、1番合格者数が多かったのが東京薬科大学。受験者数485名、合格者数408名、合格率84.12%でした。この大学は、合格者数も1番多かったのですが、受験者数も1番多く、合格率がかなり良いという、さすが名門私立大学という感じです。
国家試験対策プログラム
薬学教育推進センターという薬剤師国家試験に合格するためのサポートをする組織があります。情報収集(調査研究コース科目)とアドバンス演習の2つの学習プログラムで学生全員が合格できるようにサポートしています。
アドバンス演習では、東京薬科大学の教員が用意した薬剤師国家試験対策用の問題を使って演習するという徹底ぶりです。
これだけ手厚いサポートがあればこその日本一の合格者数なのでしょう。
学習概要
系統的に理解ができる理想的なカリキュラム。「薬を創る薬剤師」「薬を使い育てる薬剤師」を目指した学習プログラムになっています。
薬剤師国家試験は、薬学部にとって大切なのはもちろんですけれども、「病院、薬局」「研究者、開発者」「保健、衛生公務員」と、どの道に進んでも活躍ができるように薬剤師として働くことを、ちゃんと意識した学習をすることができるプログラムということが素晴らしいです。
毎年、合格者数が多いので、同じ大学出身の先輩・後輩が多いのも働くときの安心材料になるでしょう。
定員
薬学部の入学定員は男子210名、女子210名、計420名となっています。国立大学と比べるとかなり定員が多いです。
学費が私立大学なので初年度は、入学金と合わせると2,340,000円(2018年度入学者)。6年間通うことを考えると国公立大学とはかなりの差になります。
ちなみに偏差値は52.5~55.0ぐらいです。
薬剤師の資格まとめ
薬剤師国家試験の合格率60~80%ぐらいですが…
国家試験の割には合格率が高いのですが、そこにたどり着くまでの6年間という時間と学習範囲の広さ。人の命を預かるという仕事のプレッシャーを考えたら、とても覚悟のいる資格です。
医療が目まぐるしく進歩している中で薬剤師として活躍し続けるということは、かなりの努力が必要でしょう。
しかし、医者や看護師と同じくらい世の中に絶対に必要な仕事です。難しさやプレッシャーをやりがいに変え、患者さんから感謝されるような薬剤師を目指して、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
薬剤師の参考情報
平均年収 | 520万円~1000万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 医療 |
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