忍者の仕事内容とは?具体的な仕事や求められる事について解説

忍者の仕事内容とは?具体的な仕事や求められる事について解説

映画やドラマ、漫画などで題材になることが多い忍者。陰の仕事人として描かれることも多く、ミステリアスな存在として日本人のみならず海外の方からも人気があります。ですが、実際にはどんな仕事を行っていたのか詳しくは知らないという方も少なくありません。この記事では、忍者の詳しい仕事内容と実際に求められることについて説明しています。

忍者の仕事内容

忍者と聞くと昔からある都市伝説のようなもので、架空の存在と信じている人は少なくありません。

ドラマや映画、漫画や小説などのイメージが強いのかもしれませんが、古代から”忍び“と呼ばれている忍者は、実際に存在していました。歴史書にもはっきり書かれている事実で、良く知られているものでは、伊賀忍者や甲賀忍者が有名でしょう。

伊賀忍者は伊賀地方、三重県の西部あたりの忍者集団のことで、甲賀忍者は甲賀地方、滋賀県甲賀地方の忍者集団のことを呼びます。この二流派が有名なのは、江戸時代、徳川幕府の元で活躍しており、活動期間も長く、忍者の全盛期ともいえる時代だったからです。

忍者という呼び名に関してですが、昭和30年代以前までは様々な呼び名がありましたが、昭和30年以降から忍者という呼び名が定着するようになりました。忍者はいったいどんな仕事をしているのかというと、時代によって異なっています。戦国時代の忍者は、敵地への侵入、放火、破壊、夜討、待ち伏せ、情報収集などを行いました。

とはいえ時代が変わり戦闘の必要がなくなると、秘密事項の情報を手に入れたり、警護をすることが主な仕事内容となりました。時代に合わせて融通の利いた仕事を行い、生き延びてきた忍者。メディアで描かれる忍者のイメージと少し異なるかもしれません。

情報収集業務

情報収集は忍者の基本的な仕事の一つです。現代で言うスパイや潜入捜査員などの役割ですが、もちろん自分の身分が敵に知られれば命はありませんから、主君に大切な情報を伝えるために何としても生き延びて戻ってくることが最優先事項でした。

戦争時には、戦況の把握や伝令など敵の様子を伝えるのが主な仕事。戦のない時には敵の城などの重要な場所に潜入し、盗み聞きで情報を得たり、文章を奪うなどの雑務を果たしていました。時には情報を取るために変装して町人になりきったり、業者に紛れ込んで情報収集を行っていたようです。

国の情報管理業務

もう一つの忍者の大切な仕事は、自国の情報管理です。今でいえば警察や公安に近い役割なのかもしれませんが、とにかく大切なのは敵国に情報を渡さないことです。もちろん敵国も忍者を送り込んだりして情報を探りますから、侵入してきた敵国忍者の特定、攻撃、見張りなども同時に仕事内容に含まれます。

また敵国に偽の情報を流す為に、わざと敵国忍者に偽の情報を渡したりして正しい情報の漏洩を防いでいました。そのようにして情報操作を行い、自国の弱みや機密情報が敵国に伝わらないようにするのが大きな仕事内容だったようです。

謀略業務

謀略業務というのは、いわゆる敵国を自滅させるために行うもので、敵国に味方を作ったり送り込んで国内で対立を起こすように促す作戦です。そうすることで敵国は国内で分裂や内戦が起こり、こちらが手を下さずとも弱っていき、その瞬間を狙うという目的で行います。

とはいっても忍者の社会的身分は低いので、敵国で大きな影響力をふるうことはなかなかできず、実際に行っていたのは敵国の手紙を自国に流したりするなどの情報搾取を行っていたようです。

戦いの後方支援

戦の時にも忍者は自分の任務を遂行していましたが、どちらかというと表立って戦うというよりは後方支援の仕事を行っていました。

例えば、敵が渡って来られないように橋を落としたり、道を崩して足止めさせたり、敵国の陣地に入り込み火事を起こしたりしました。またこの時にも重要人物の暗殺や潜入工作をおこない、戦いにおいて時刻が有利になるように仕向ける役割があったのです。

忍者は身軽で手さばきがよく、土木関係や火の扱いに長けていたことが多かったため、ある意味特殊技能のような才能を武器にして戦に参加していたのです。

忍者は日本人の精神を反映している仕事

日本といえば忍者!ともいわれるほど、海外では忍者の存在が人気です。その理由として挙げることができるのは、日本独特の文化やあまりはっきりした情報がないという神秘性に惹かれるというもの。

またそれに加えて、忍術の“忍”は忍耐の“忍”を表していると言われており、君主に対する並々ならぬ忠誠心や、辛いこともじっと耐え忍ぶといった日本人ならではの精神を反映していることに感銘を受ける外国人は少なくありません。

忍者の仕事や忍術の中には、日本が誇る技術力や勤勉さ、組織力や忍耐力といった日本文化がふんだんに表れていますから、忍者はまさに日本を代表する文化、日本人の精神を表す仕事と言えるのです。

忍者の仕事は時代によって変化する

忍者の仕事内容というのは、時代の流れに合わせて微妙に変化してきました。領地争いのため常に戦いが行われていた戦国時代には、各地の大名に所属した忍者たちは敵国への侵入や破壊行ため、情報収集などの仕事を主に行っていましたが、騒乱の世が終わるとその需要も無くなり、仕事内容は変化します。

明治時代に入ると世の中の流れは大きく変わり、政府によって警察や日本陸軍、海軍が設立され、忍者たちの代わりに自国防衛の任務を果たすようになりました。出番がなくなってしまった忍者たちは、それぞれ自分の得意分野の職種を見つけるようになります。

忍者の仕事と類似している陸軍や警察関係に就職する者、今までの技能を活かすことができる新しい仕事を選ぶ者など様々で、経緯は随分異なるようになりそれぞれの子孫が現在に至ります。

とはいえ、時代の流れや需要に合わせてある種の仕事が存在しなくなるという現象は、忍者だけに限ったものではありません。融通を利かせ、時代の背景に合わせて求められている仕事を行う人たちはいつの時代にも存在しているのです。

忍者の仕事に求められること

実際に忍者の仕事内容を果たすためには、どんなことが求められていたのでしょうか?

彼らが受け持っていた仕事の幅は非常に広かったため、求められる技術や能力にもかなりの幅がありました。忍者の仕事に必要不可欠な忍術や忍法を身につけなければなりませんでしたし、ハードな仕事をこなす体力や機転の速さも必要でした。

特別な身体能力

忍者はハードな仕事内容をこなすために、日ごろからトレーニングを重ねていたと思われます。忍者といえば天井に上るとか、屋根の上を走るなどの身軽なジャンプ力の持ち主というイメージが強いですが、そうした訓練も地道に行っていました。

例えば、麻を植えて育ってきた苗の上を毎日飛び越える訓練を行い、ジャンプ力を身につけていました。実は麻はかなり成長の早い植物と言われており、中には4ヶ月程度で3~4mにまで育ってしまうことも。毎日苗の育つ速度に合わせてジャンプしていれば、いつの間にか跳躍的なジャンプ力が身につくという訓練方法です。

また他にも、現代で言う高跳びで6尺(約1.8メートル)を飛ぶ練習や、長距離走では1日40里(約160キロメートル)を走る練習など、かなり過酷な訓練を行っていた記録も残っています。

忍者は子供のころからこのような訓練を通して身体能力の向上を目指していました。ですがただハードな訓練をするというだけではなく、身体の作りや機能についても良く調べていました。

現代まで残されている忍者の秘伝の書には、忍者が身体の鍛錬のために骨格や内臓、筋肉の働きをよく勉強し、最大の効果が得るための知識を持っていたことが分かります。ただ闇雲に訓練するというわけではなく、正しい知識に沿って身体能力を磨いていたのです。

忍術をマスターすること

忍者の仕事に求められる技術といえば、言わずと知れた忍術。多くの種類がある忍術ですが、代表的なものを幾つか紹介したいと思います。

火遁の術

敵から逃げる時や味方を逃がす時などに使う火遁の術。引火物などを使って、煙幕や炎上を発生させ、混乱に陥れる術。

水遁の術

水蜘蛛と呼ばれる道具の上に水草などを置きカモフラージュにして潜み、ストロー状になっている筒を使い長時間水中に潜むこともする。

池や堀の両端に縄をつないでその上を移動したり、水上に厚手の布を敷き、その上を走って移動することも行う。また相手の気をそらすために水音をたてて注意を引くことも含まれる。

土遁の術

暗闇の中で急に地面に這いつくばり、いかにも消えたかのように追手をまいたり、時には土や石を相手の顔に投げつけ、怯んだ隙に逃げるという術の一つ。

木遁の術

草木を使って自分の身を隠したり、逃げる時に相手の目をくらますために用いる方法。また、材木などの木材を崩してバラまき、追手の前方を塞いだり、眩ます目的で使います。

金遁の術

ある意味斬新な方法で、敵から逃げる時に銭を撒いて逃げるという術。敵の注意が銭に向いている間に逃げ、姿をくらます。銭が沢山まき散らされれば大抵どんな敵でも注意をそらされ、足止めされるという人間の本能を利用した術の一つです。

分身の術

漫画や小説に出てくる忍者はこの分身の術をよく使うのではないでしょうか?

素早い体捌きで相手に自分が複数人いるかのように見せる術で、影分身と呼ばれることもある。相手を混乱させるために使われる。

空蝉の術

衣服などを使って自分の身代わりにさせ、敵に攻撃させるというもの。変わり身の術と似ているが、使うものが異なるようです。

変わり身の術

丸太などのものを使い自分に化けさせ、相手が攻撃している間に逃げるという術。空蝉の術と原理は同じだが、使用するものが異なる。メディアで使われることが多い術でもある。

影縫いの術

相手に影に対する暗示をかけて、その影に手裏剣を当てることによって相手の動きを止める暗示をかける術。時代劇や小説などでもよく登場する方法でもあり、ご存知の方も多いことでしょう。

水蜘蛛の術

足に輪かんじきを装着し、水上を自在に移動する術。走るように、滑るように使い、まるで水上の上を自由に動き回れるように相手に錯覚させる。

五車の術

これは身体的な術のことではなく、対話における感情操作の術で、情報を聞き出したり、情報操作するうえで必要不可欠な忍術です。名前の通り、人間の五つの感情を指しており、忍者はこれをバランスよく使いこなしていました。

褒めちぎり、相手をいい気分にならせて隙を突く。卑怯といえば卑怯なのだが、 大抵どんな相手でもこの術には弱いもの。
わざと挑発して怒らせるような言動をして相手のペースを乱す。冷静さを見失った時が狙い時。
同情を誘うような話や素振りをして気をそらす。善意に漬け込むような方法だが、かなり効果的。
何か相手の欲しがっていたものを与えて、買収し自分の味方にさせるという術。
ネガティブな情報や噂、話などを吹き込み、戦意を喪失させる術。

恐怖心を煽ったり、自信を無くすように仕向けるのが目的。これらの感情コントロールの術は現代でもよく使われており、無意識に使っている人も少なくありません。

ですが意図的に使われることの方が恐ろしく、使い方を間違えれば人の評判を損なったり、傷つけてしまう方法でもあることを覚えておく必要があります。

山彦の術

これは裏切ったふりをして敵を安心させ、その懐に入り込むという術のこと。忍者の仕事で最も多かったのが、敵の陣地に入り込み情報を探るというスパイ活動だったが、その時に必要だったのがこの技術。

味方と揉めたふりをして敵に助けを乞う。味方の悪口を言ったり、渡しても問題のない情報を提供したりして徐々に敵の信頼を勝ち得、内部に入り込み、沢山の情報を聞き出す。そして時が来たら内部もろとも売渡し、見事に敵を消滅させる方法なのです。

この山彦(やまびこ)という術の名称は、裏切ったと思われた忍者がここぞという時に味方として舞い戻ってくるという意味合いから「やまびこ」と呼ばれるようになったようです。

忍者は現代でも実在する?

こんなに沢山の魅力をもっている忍者ですが、現代には存在しない過去の存在と決めつけてしまう人もいます。

ですが、実は忍者は絶滅した訳ではなく、忍術や忍術を発祥とする武術や伝統などを受け継ぐ伝承者が数多く活動していたりするのです。中には「忍者の求人」さえあると言われるほど現実的な職業で、忍者団体を運営しているところも少なくありません。

ではその中でも、幾つか代表的な忍者団体を紹介します。

武蔵一族 機械振興会館に本部があり、外国人向けの忍者体験教室を主宰している。代表は忍者の末裔として伝統を守っている。
四季の森忍術道場 武蔵一族の大和柔兵衛が監督している忍術道場のこと。様々な訓練や活動を行っている。
伊賀忍者特殊部隊「阿修羅」 伊賀流忍術の本格的な技を身につけ、伝承している団体。世界各地でのセミナーや忍者実演ショーなども披露している。
九州忍者保存協会 九州の忍者文化を保存し、普及させることを目的とした組織団体。

時代によって忍者の仕事内容が変化してきたように、現代と昔の忍者の仕事は異なります。ですが、忍者の伝統や忍術に関心があり、是非日本文化の伝承に関わりたいという強い気持ちがあれば、忍者に関係した仕事を行うことが可能です。

興味のある方は調査してみてはいかがでしょうか?

現代の忍者の仕事とは?

では、現代の忍者はいったいどのような仕事を行うのでしょうか?

忍者の仕事は、意外にも普通の求人誌に「忍者のバイト・正社員募集」として載せられており、応募資格の幅も広く、未経験でも挑戦する事が可能です。本格的な殺陣や演技のレッスン、所作、アクロバット、格闘技の指導を受け、アクション俳優としての忍者の仕事をこなしたり、世界各地でのセミナーや忍者実演ショーに出演する仕事内容です。

最近では忍者ブームに加えて、2020年の東京オリンピックに向け海外の方のもてなしのために、忍者団体のみならず、日本文化の継承者は大忙しだと言われています。そのため忍者団体でも忍者の歴史や伝統を学び、忍術を身につけ、各地イベント会場や忍者ショー、アクロバットを披露する仕事をしてくれる人を確保したいのです。

また他にも、忍者教室なるスポーツ教室のコーチアシスタントや忍者カフェスタッフなど、忍術や修行の必要がなさそうな忍者関係の仕事も増えているようです。昔の忍者の仕事内容と異なるとはいえ、アクションや武道が未経験だとしても現代でも忍者の仕事をすることは可能なのです。

忍者の仕事内容まとめ

日本人にも、外国人にも高い人気を誇る忍者の存在。その仕事内容はとてもハードなもので、時には命を懸けて行わなければならないものもありました。

とはいえ、忍者の仕事内容には日本人ならではの精神が反映されていることに異論の余地はありません。技術力の高さや勤勉さ、組織力や君主のためならどんなことも耐える忍耐力、といった根強い日本の精神文化に多くの人が魅力を感じるのは不思議ではないでしょう。

仕事内容が異なるとはいえ、現代でも忍者の歴史と技術を継承している団体が多く、様々なショーやイベントを通して忍者の魅力を世界中に広めようとしています。そのような仕事に加わることができるチャンスが開かれているのは、とても光栄なことです。

言い換えれば、日本が誇る伝統を守る仕事を行えるのです。

忍者の参考情報

平均年収260万円~320万円
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職業職種その他

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