僧侶の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説
仏教は古くから生活に根ざしています。法事や葬儀や初詣など、生活に浸透した儀式を一手に取り仕切る僧侶の役割は重要です。檀家が多い寺院は沢山の人を教え導く立場にもあります。この記事では、僧侶の仕事の内容や特徴、将来性についてご紹介します。
僧侶とはどんな仕事?
多くの人が思い浮かべる、法要や葬儀、法事などの仕事
お寺で修行を行う僧侶は、仏教の教えに従い出家し、粗食を取りながら世を捨てて生きるイメージがあります。しかし世間と関わらないと僧侶は生きていけません。
お寺の僧侶の収入源はお寺の収入から出る給料ですので、そのままお寺そのものの収入源と言い換えることができます。主に葬儀費用や法事の費用、法要の際の寄付金などがお寺の収入となります。お寺の社会的役割の第一は、葬送儀礼の執行です。
お寺は一社ごとが一つの宗教法人ですので、一定数以上の檀家を抱え、しかるべき時に儀式や法要を行うことで社会的役割を果たすと同時に収益も得て、お寺は維持されるのです。
最も忙しいのはお盆だが、お寺に長期の休みはない
日本の寺院にとって最も多忙となるのは、お盆の時期です。お盆にはご先祖様が家々に戻ってくると言われており、僧侶は檀家一軒一軒を回って、ご先祖様の墓前などでお経を読み、お参りを行うからです。檀家の数によっては、その軒数は膨大なものとなります。
また、世間がお盆休みで寺院は大忙しとなりますが、それに反して寺院に長期休みは存在しません。なぜかというと、いつなんどき「誰々が亡くなった」という訃報が届くかわからないからです。もし檀家にいざ不幸があった時に長期の旅行などに出ていようものなら、「なんでこんな大事な時にいないの!」と怒鳴られてしまうこと必至です。
通夜や葬儀の都合もそうですが、寺院は地域に根ざす公共施設的な役割があり、いつ来客があるかもわかりません。急な来客に備えて、寺院には実質24時間張り付きとなります。実際生活圏がそのままお寺の中にあったりしますから不都合はないように思われますが、これは裏を返せば下手な外出もできないということになります。
やむを得ない外出の際も常に連絡が取れる状態が望まれる
大規模な寺院であればまだしも、殆どの寺院は家族経営でこぢんまりとした小さなお寺です。小規模寺院の住職であれば、常に寺院にいなければならず、生活のほぼ全てを寺院に捧げなくてはいけません。閉門を行って来客を受け付けない場合でも、急な不幸があれば電話が掛かって呼び出されることになります。
とはいえ、檀家さんの家に伺ったり、僧侶関係の冠婚葬祭などでどうしても出かけることはあります。その際にも、どうしても戻れない場合に他の寺院のお坊さんに通夜を代行してもらうなど調整することが必要なので、常に携帯電話で連絡が取れるようにしないといけません。連絡が取れないと、地域的な信頼が崩れてしまいかねません。
僧侶の仕事の具体的な内容
寺院の僧侶の1日は朝のお勤め「勤行」から始まる
僧侶は地域の檀家を教え導く社会に開かれた存在であると同時に、日々修行を行う一人の仏教徒でもあります。仏法僧と昔から言うように、僧侶には仏と法(教え)と共に成り立つ三宝としての役割があります。
寺院の僧侶は、朝5時前には目覚めて、境内の掃除を行い、開門を行います。掃除がひと段落したら、朝7時から朝のお勤めと呼ばれる「勤行(ごんぎょう)」を執り行います。
勤行とは、勤め励むことを指します。平時の日課として取り入れられており、16時からの夕方の勤行も毎日あります。寺院でのお勤めは、仏教徒としての証となり、善業の一つの実践であると言われ、僧侶には必須の法要となります。ご本尊に毎日読経と礼拝を行うことで、自らの善徳を積み上げて行くことが、仏教徒としての修行となるのです。
勤行は毎日欠かさず行わないといけません。また勤行には彼岸会や盂蘭盆会など年中行事の際に行われるものや、故人の追善法要として行われるものもあります。作法は宗派や宗旨によって異なります。
寺院や境内の掃除は僧侶にとって大きな意味がある
寺院や境内の掃除はほぼ毎日行います。特に山間にある寺の場合、日々落ち葉などが溜まってしまうので、山門の掃除は特に頻繁に行わないといけません。
掃除をするときは、法衣ではなく作業着やジャージで行うこともあります。これが近所の人や檀家さんの目に入ると、「住職さん?ただの掃除のおじさんかと思った」とか「毎日頑張ってて偉いね」などと声を掛けられたりして、地域交流に繋がります。
特に田舎の寺院の場合、地域の人との交流は大変重要で、人前に住職がいることによるメリットは大きいのです。掃除などで常に人目につくところにいて、掃除や草むしりなどにせっせと取り組む姿を見せることは、自然と地域の人の好感を生むでしょうし、ご本尊を祀る寺の見た目を綺麗にすることは、修行にも繋がります。
また、庭仕事も業者を呼ぶと経費がかかるので、小規模な寺院だと住職自らが行うことがあります。木が生い茂って荒れ果てた状態にしてしまっては、せっかくお参りにきた人たちの気分を害してしまうでしょう。こうした細かい寺の維持管理に関わる仕事も、僧侶の大切な仕事です。
檀家さんからの付届けの対応も大切な仕事
春彼岸、夏のお盆、秋のお盆、年の暮れには檀家さんが付届けに訪れるので、その対応も僧侶が実施します。
毎年檀家さんは特定の季節に菩提寺に対してご挨拶も兼ね、お布施やお墓の管理費、骨の預かりや永代供養をお願いしている場合は使用料や供養料など、あるいはその他の謝礼などを包んでお寺に届けにきます。これを、付届け(つけとどけ)といいます。
寺院の貴重な定期収入になるだけでなく、地域の檀家さんとのご挨拶の場でもあり、寺院と檀家さんの確かなつながりを確認する場でもあり、ひいてはこれも地域交流の場となるわけです。檀家さんは日頃の感謝を表明し、僧侶はそれをありがたく頂戴することで、つながりはより強固なものとなります。
僧侶の仕事のやりがい
人の「死」に寄り添い、故人を平穏無事な極楽へ送り出す仕事
宗教感が年々薄くなる現代社会ですが、現代を生きる人々にとっていまだに宗教は大きな意味を持ちます。たとえ宗教として意識していなくても、身内に不幸があれば通夜、葬儀を行います。
宗教的な儀礼は、残された人が故人をあの世に送り出すことで、大なり小なり「区切り」をつけるために大きな意味を持ちます。儀式は年々簡素化し、重要性も薄れてきていると言われますが、人の死に関わる宗教儀礼はどうしても必要です。
人が亡くなることは、多かれ少なかれ残された人々に混乱を生じさせる、一大事と言っていいくらいの重大な出来事です。人の「死」に向き合い、儀式を執り行うことで僧侶は大きな社会的役割を果たすことができます。
僧侶は常に日々の勤行や修行の中で、この世の平穏を祈っています。精神を穏やかにし、仏と向き合い、俗世間から離れた本殿でひたすら勤行にいそしむ僧侶は、自分の為だけでなく、地域のためにも善行を積んでいます。
地域社会の要として、今も宗教を頼りにするひとたちを招き、教え、導き、少しでも困っている人たちに平穏が戻るように、僧侶は常に祈り続けます。神の名の下に、人々の不安を収めることができたとき、宗教の大きな意味を感じることができるでしょう。
歴史を受け継ぎ、次世代に継承していくことがやりがい
仏教、および寺院という存在は古くから存在し、長い歴史を持っている、ある種の日本の伝統です。寺院によっては、本殿など主要施設が古来から続く古い建築として世界遺産になっているケースもあります。
山そのものが一つの寺院であったり、1000年以上の長きにわたって形を保っている寺院もあり、先人や自然が残してきた息吹を今の時代に残し、次世代へと継承していくことが、僧侶の最も大事な役割の一つであることは間違い無いでしょう。
また世相や時代の変化に応じて、寺院が変わり続けていくことも求められるでしょう。その際に僧侶が新しい技術や文化をどう取り入れ、どう生かすのかも、僧侶の腕一つにかかっています。
僧侶の仕事内容まとめ
現代の僧侶には伝統の継承だけでなく、新たな活動が求められる
現代社会は宗教の意味合いが急速に薄れてきている時代です。寺院の檀家も急速に減り続ける中で、仏教という宗教が社会にとってどういう立ち位置で向き合うのかは、現代の僧侶が考えないといけない重要な問題です。
しかし葬送儀礼が簡素化する時代にも、遺族の心に区切りをつけるために何らかの宗教儀礼は残り続けていくでしょう。歴史の重みを受け止めつつ、最新の技術を取り入れた新たな試みを常に続けていくことが、僧侶にはますます求められていくでしょう。
僧侶の参考情報
平均年収 | 600万円〜700万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 葬祭・宗教 |
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