棋士の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

棋士の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

棋士の仕事内容は将棋や囲碁を指すことです。囲碁や将棋をテーマにしたマンガ・映画がヒットしたり、中学生でプロ入りする棋士が話題になったりと最近ではニュースで大きく取り上げられることが多くなりました。将棋・囲碁のプロ棋士はいったいどんな仕事をしているのでしょうか。

プロ棋士ってどんな仕事?

誰でも将棋・囲碁のプロ棋士になれるわけではない、実力主義の厳しい世界

棋士とは将棋や囲碁を指す人のことをいいます。将棋・囲碁のプロ棋士になるための競争率は非常に高いです。

将棋のプロ棋士になるためには日本将棋連盟の奨励会に入会しなければなりません。奨励会に入会した後、一番下の級位は6級です。奨励会会員同士の対局に勝ち続け、良い成績をおさめれば6級~1級へ、初段から三段へ昇格していきます。四段からプロ棋士と呼ばれるようになります。

最大の難関は三段リーグといわれており、年にたった2回の対局で四段に昇格できるかどうかが決まります。満26歳になるまでに四段以上になれなければ奨励会を去ることになり、プロ棋士への道は絶たれてしまいます。そのため、できるだけ若いうちから奨励会に入りプロ入りを目指す人が多いです。実際、奨励会の受験で一番多い年齢は12歳前後です。

囲碁のプロ棋士も狭き門です。棋士採用試験に合格する必要がありますが、毎年採用される人数は6人程度です。15歳未満であれば日本棋院の院生になり、院生同士のリーグ戦を勝ち抜くことで1番良い成績を収めた人がプロ棋士になるルートがあります。

しかしこれも採用される6人のうちの2人で、東京本院・関西総本部で1人ずつの採用です。のこりの4枠は外来と呼ばれる一般応募から決まります。そのうち1枠は女流棋士特別枠で女性のみが受けられる試験です。囲碁の棋士採用試験も年齢が23未満と決められており、遅咲きの人にとっては時間との戦いといえます。

プロ棋士はタイトル戦や棋士戦で対局をこなしていくのがメインの仕事

将棋・囲碁のプロ棋士の収入のメインは対局料とタイトルを獲得した時の賞金です。将棋の場合、以前日本将棋連盟からプロ棋士に対して月給が支払われていましたが、日本将棋連盟が公益法人となったため、給与制度は廃止となりました。

対局料が決まるにあたり、棋士の実力に応じて5つのクラスに分かれています。実力が高い順にA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組です。A級が最も対局料が高く、C級2組が一番低いです。勝率が高ければ上のクラスへ上がることができ、成績を維持できなければ降格されます。

トーナメント戦については負ければその場で終わってしまうので対局回数が減ってしまいますが、リーグ戦で戦う場合は成績にかかわらず対局数が確保されています。対局料はプロ棋士にとって実質月収のような収入です。

また、将棋のプロ棋士は竜王戦、名人戦などのタイトル戦や公式棋戦で成績を残すことで賞金がもらえます。タイトル戦は日程が重ならないように工夫されており、トーナメント戦で勝ち続けたとしたら、一年中何らかの対局をおこなっていることになります。

囲碁のプロ棋士も同様に、対局料と賞金がメイン収入です。スケジュールもタイトル戦が重ならないよう組まれており、タイトル戦で総当たり形式の試合があるため、安定した対局料を得られます。将棋のプロ棋士と異なるのは日本棋院から基本給も支払われていることです。前年度の成績に応じて基本給があがることもあります。

将棋・囲碁のプロ棋士として対局以外の副業をして収入を得ている人もいる

プロ棋士になり勝ち続けて有名になると、対局以外の仕事も増えます。将棋の指導をしたり、教室を開くなど、日本将棋連盟から派遣されて副業をする人もいます。

そのほか、本を出版して印税収入を得る、対局の解説を行う、イベントに出演するなどプロ棋士として活動の幅も広いです。将棋や囲碁でプロを目指す人たちだけでなく、趣味や日本文化の普及の一環として、一般の人々に将棋や囲碁を広めて技術向上をサポートすることも棋士としての大事な仕事といえるでしょう。

プロ棋士になると、どんな活動をしていくことになるのか

プロ棋士はタイトル戦や公式棋戦で対局し、腕を磨き賞金獲得を目指す

プロ棋士としてメインの仕事はタイトル戦や公式棋戦で対局を行うことです。タイトル戦は日程が重ならないように工夫がされており、トーナメントで勝ち続ければシーズンオフになる期間はあまりないかもしれません。

将棋は八大タイトル、そのほか公式棋士戦で入賞しても賞金が獲得できる

将棋の八大タイトルは竜王戦・名人戦・叡王戦・王位戦・王座戦・棋王戦・王将戦・棋聖戦です。タイトルを獲得することによって、棋士の名前の後ろにタイトル名を付けて呼称されます。

例えば竜王のタイトルを獲れば「○○ 竜王」とタイトル保持者が交代するまでよばれることとなり、高額な賞金も獲得できます。タイトル戦のほか、朝日杯将棋オープン戦、銀河戦、NHK杯将棋トーナメント、JT将棋日本シリーズ、JT新人王戦公式棋戦などの公式棋戦があり、入賞することで賞金がもらえます。

囲碁は七大タイトル、入賞すると賞金がもらえる棋士戦も、1年を通じて多数ある

囲碁は棋聖戦・名人戦・本因坊戦・天元戦・王座戦・十段戦・碁聖戦の七大タイトルです。そのほか、阿含・桐山杯全日本早碁オープン戦、新人王戦、王冠戦、NHK杯テレビ囲碁トーナメント戦などで入賞すれば賞金がもらえます。

対局以外の日は何をしているの?段位が上がっても研究して腕を上げる必要あり

プロ棋士がこなす1年の対局数は多くても70局ほど、30~40局こなすぐらいが平均のようです。トーナメント戦の場合勝ち続けると対局数は増え、負けた時点で退場になるので対局数は減ります。また、持ち時間が1人8時間を超えるタイトル戦に関しては2日に分けて行われることもありますので、対局数=対局に費やした日数と単純計算はできません。

しかし、1年のほとんどのうち、プロ棋士としての対局は入っていないことになります。その間何をしているかというと、研究・勉強に費やしている棋士が多いようです。どんなに段が上がっても研究は欠かせません。

対局が入っていない日は指導棋士として将棋・囲碁教室に派遣されたり、イベントに出演するなどの仕事を行うプロ棋士たちもいます。

プロ棋士の仕事のやりがいって何?

プロ棋士としての努力と苦労の末、手に入れる勝利が一番のやりがいと言える

将棋や囲碁のプロ棋士たちはその多くが幼いころからルールを覚え対局を重ねています。天才的な才能に恵まれてプロ棋士になった人もいるでしょうが、その道のりはかなり険しいものです。

積み重ねてきた努力や経験が、成績として残るのはプロ棋士としてやりがいを感じる瞬間だと言えるでしょう。勝負ごとに関しては負けず嫌いな人も多いですから、ゲームを制した時の達成感も大きいようです。

記録を打ち立てると語り継がれ、将棋や囲碁の長い歴史の中に名を刻める

将棋・囲碁の歴史は長いです。将棋の原型となるものは平安時代にはもうすでにあったと言われ、日本の文化、国民的な娯楽としても親しまれてきました。将棋棋戦の8つのタイトル戦の中で一番長い歴史を持つのは名人戦です。1935年(昭和10年)に第1期が開始されました。

囲碁は中国起源といわれており、奈良時代に日本に伝わっているのではないかと言われています。囲碁は国際的にもルールが統一されており、将棋のように駒に漢字が使われていないなど言葉が違ってもわかりやすいです。韓国や中国には日本の10倍もの囲碁人口がいるともいわれています。

プロ棋士となって対局に勝利するのは、単純に段位を上げたり収入が上がったりするだけではなく、長い文化の歴史の上に自分の名前を刻んでいくということですから、棋士として誇らしく、やりがいを感じることだと言えるでしょう。

将棋や囲碁のプロとして楽しさや文化としての大切さを多くの人に伝える

メディアに取り上げられ情報を発信することで、今まで将棋・囲碁に興味がなかった人が興味を持ち、親しんでもらう機会を作るプロ棋士もいます。またプロ棋士としてアマチュア選手に将棋や囲碁の指導を行う機会も多いかもしれません。

将棋・囲碁の普及や技術向上をサポートする活動を行うことで、将棋・囲碁に親しみを持ち、趣味としてゲームを楽しんだり、棋士を目指して真剣に取り組む人が増えることは、棋士のやりがいといえるでしょう。

棋士の仕事内容のまとめ

プロ棋士のメインの仕事は対局に臨むことだが、対局の楽しさを広める役割もある

プロ棋士の仕事は基本的に対局に臨み、勝利することです。そのために日々研究に励み、腕を磨いています。

そのほか副業や普及活動のために、講師として教室へ派遣される、スクールを開く、イベント出演、対局解説などの仕事を行うことも多いです。

また、対局に勝利することで得られる大きな達成感と、囲碁・将棋の長い歴史に名前を刻める喜びはプロ棋士たちのやりがいの一つといえるでしょう。

棋士の参考情報

平均年収400万円~1000万円
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職業職種スポーツ

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