皇宮護衛官になるには?求められることや向いている人の特徴などを具体的に解説
天皇皇后陛下や皇族一族を最も近い場所で守る職業の1つである皇宮護衛官。皇宮護衛官になるには、高い倍率の試験に合格し、合格した後も厳しい研修を受ける必要があり、そうやすやすとなれる職業ではありません。本記事では、皇宮護衛官になるために求められること、向いている人の特徴などについてご紹介します。
皇宮護衛官になるには何が必要?
皇宮護衛官になるには試験突破が条件
皇宮護衛官になるためには、人事院が実施している「皇宮護衛官採用試験」に合格した上で採用される必要があります。
皇宮護衛官採用試験は、現在のところ「大学卒業程度試験」と「高校卒業程度試験」に分かれており、各試験において年齢などの制限があります。また、試験内容はどちらとも筆記による一次試験と体力・面接による二次試験となっています。
皇宮護衛官は採用予定人数がどの年を取っても少なく倍率は常に高い傾向にあります。平成24年度で見ると高校卒業程度の試験倍率はおよそ114倍、大学卒業程度の試験倍率は66.1倍とどちらも高めです。
試験を突破した後は下積み時代
皇宮護衛官の試験に合格して採用が決まれば、東京の皇居内にある「皇宮警察学校」に皇宮巡査として入学することになります。大学卒業生は6か月、高校卒業生は10か月間その学校で訓練と研修を受けます。
皇宮警察学校は全寮制で集団生活を送ることになります。その中で自律や協調性、向上心を高めるとともに、仲間たちと切磋琢磨しながら皇宮護衛官としての自覚を養っていきます。
また、日中は法学や英会話、和歌、書道などの教養に加えて華道や茶道など作法も身につけます。主に学ぶ内容は以下のようなものになります。
- 職務倫理
- 語学
- 法学(刑法など)
- 行政法
- パソコン操作
- 警察実務
また、座学だけでなく以下のように柔道や剣道、さらには逮捕術など訓練も行い、厳しい訓練の中で技術を学ぶだけでなく皇宮護衛官に求められる体力も付けていきます。
- 柔道
- 剣道
- 合気道(女性のみ)
- 点検訓練
- 逮捕術
- 拳銃訓練
長い訓練を終えると、皇宮護衛官は皇居と赤坂御用地にて実務がはじまります。また、皇居や赤坂以外にも常盤松御用邸や京都御所、大宮仙洞御所、桂離宮、正倉院、葉山御用邸、須崎御用邸などに配属されることもあります。
高卒から皇宮護衛官になるには
皇宮護衛官は年齢制限の要件を満たすか、大学を卒業しているか高校を卒業していれば、「大学卒業程度試験」か「高校卒業程度試験」を受験することはできます。
また、柔道・剣道について高い功績や実力を持っていれば、高卒であっても武道有段者の選考採用試験も受験可能です。具体的には「柔道二段、剣道三段以上で、過去5年の間に全日本柔道(剣道)連盟が主催、共済または後援する全国規模の生徒、学生が参加する競技大会において、個人戦に出場するか団体戦に登録された者」と規定されています。
高校卒業生が受けられる皇宮護衛官の採用試験も大学卒業生とほぼ変わりなく、一次試験で基礎能力と作文試験を行います。そして、二次試験で身体測定や身体能力検査、人物試験を行います。また、武道有段者選考採用試験の場合は一次試験で論文試験と実技試験、二次試験で身体測定と身体検査、人物試験となります。
実は、高校生の皇宮護衛官は平成23年度までは実施されておらず、平成24年度からスタートした試験です。高卒でもなれることもあって募集人数はかなり多いのですが、採用枠は少ないため倍率はかなり高くなる傾向にあります。
ただ、キャリアについては高卒と大卒で変わることはなく、平等に昇進試験は受けられるため、努力する価値はあると思われます。
皇宮護衛官に向いている人、適性がある人
誠実かつ行動力のある人
皇宮護衛官はその名の通り、天皇皇后両陛下や皇族各殿下を護衛するのが任務です。そのため、何事にも誠実であるとともに、いざというとき行動できるような人物が最も向いていると言えます。
日本の象徴と呼ばれている天皇皇后陛下の元で働く職業ということもあり、その側で任務を全うする皇宮護衛官の品行方正に間違いがあってはなりません。また、天皇家に危険が迫ったときに命令をただ待つだけでなく、咄嗟の判断ができるだけの行動力も重要です。
日本文化への関心
皇宮護衛官は日本の中でも特に要人にあたる人達を護衛する重要な任務です。そのため、最も重要なのは体力と思われがちですが、日本への愛情や文化を理解する心も同じぐらい求められる職業です。
天皇家はいわば日本の根幹とも言える文化を脈々と受け継いできており、日本の心そのものと捉えることもできます。皇宮護衛官が皇族を守るということは日本文化を守ることにもつながるため、護衛官自体が文化に触れて一定の理解を深めておくことは重要です。
実際に皇宮警察学校では茶道や華道、短歌、書道など日本古来の文化についても触れる機会が多くあります。幼い頃から触れてきたことが無い人にとっては戸惑う内容かもしれませんが、やったことが無いからと言って試験に不利になることはありません。皇宮護衛官になってから学ぶ姿勢があるかどうかが重要です。
危険を察知できる集中力を保てる人
皇宮護衛官の職場は皇居が主で、街中で起こる犯罪やトラブルを相手にすることはほぼありません。そのため、普段の皇居内は静けさが包むことのほうが多いですが、その中でも門の前でずっと立って門番を務めることも多々あります。そのため、静けさの中でも常に周りを察知できるだけの集中力が求められます。
皇居にはいつ不審人物がやってくるかわかりませんし、どのような問題が起こったとしてもすぐに動かなければいけません。危険の数こそ少ないかもしれませんが、常に緊張の糸を切らないように保つ忍耐力は必要です。
皇族の元で働いていて恥ずかしくない気品さを保てる人
天皇皇后両陛下や皇族の元には国賓や外国大使など国を代表する来客者が訪れます。ゲストの人達の気分を害さないためにも、その周りで働く皇宮護衛官たちの立ち振る舞いも重要な要素になってきます。
言葉遣いはもちろんのこと挨拶や立ち振る舞い、しぐさなどを徹底的に意識して正すことは難しいこともあり、皇族警察学校でもマナーについてはしっかり学びます。マナーを学ぶのは、ゲストの前で失礼な態度を取るのは自分だけでなく、ひいては皇族たちの信頼損失にもつながる可能性もあるためです。
こうした部分を意識して働ける人のほうが皇宮護衛官に適正があると言えます。
皇宮護衛官になるための学校・教室
高校・大学は卒業している必要がある
皇宮護衛官になるために特別な資格などは必要ありませんが、「皇宮護衛官採用試験」に合格する必要があります。この試験は「大学卒業程度試験」と「高校卒業程度試験」に分かれており、学歴として高校卒業か大学卒業はしておかないと受けられません。
大学や高校では特に専攻して学んでおく必要はありませんが、皇宮護衛官は語学や丁寧な言葉遣いが求められるため、該当する学部などでなくても勉強しておくのがいいでしょう。また、体力はどうしても必要になってくるので体力作りもしておくことをおすすめします。
皇宮護衛官は皇宮警察学校に入ってからが本番
皇宮護衛官は試験に合格したからといってすぐに配属などはされず、皇宮警察学校に入学して大卒は6か月間、高卒は10か月間は研修と勉強の日々が続きます。全寮制なのでほとんど同期の皇宮護衛官たちと同じ時間を過ごすことになり、ともに励まし合いながら皇宮護衛官を目指すことになります。
ただ、皇宮警察学校は茶道など慣れない文化に触れる勉強だけでなく、体力を付ける訓練は重いシールドを抱えて走ることもあります。皇宮護衛官という職業は、試験に突破するだけでは簡単になれるものではないことを踏まえておくほうがいいでしょう。
皇宮護衛官になるには?まとめ
倍率の高い試験を超えた後も厳しい訓練が待っている
皇宮護衛官になるためには、受験資格を満たして人事院が実施している皇宮護衛官採用試験を受けて合格する必要があります。
その後すぐに配属は決まらず、皇宮警察学校に入寮して研修を終えて初めて皇宮護衛官になることができます。
皇宮護衛官の参考情報
平均年収 | 400万円〜700万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 試験合格 |
職業職種 | 保安 |
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