神父・牧師の給与・年収は?平均月収や支給される手当まとめ
神の教えを広める役割を担う神父・牧師も、生活のための収入を得なければいけません。彼らはどのような仕組みで、どの程度の収入を得ているのでしょうか。神父・牧師の給与・年収について紹介します。
神父・牧師の初任給
神父・牧師にもはじめての給与を受け取る瞬間は必ずあります。初任給はどの程度もらえるのでしょうか。
全産業平均と大きく変わらず
厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」における、平成30年の初任給の統計によると、「宗教」が含まれる分類「サービス業(その他)」の初任給平均は以下の通りです。
男女計 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
学歴 | 全産業 | サービス業(その他) | 全産業 | サービス業(その他) | 全産業 | サービス業(その他) |
大学院修士課程修了 | 22.3万円 | 23.9万円 | 22.6万円 | 24.0万円 | 21.8万円 | 23.4万円 |
大学卒 | 20.2万円 | 20.7万円 | 20.4万円 | 21.0万円 | 19.9万円 | 20.3万円 |
高専・短大卒 | 17.9万円 | 18.1万円 | 18.2万円 | 18.3万円 | 17.1万円 | 18万円 |
高校卒 | 16.7万円 | 16.5万円 | 16.9万円 | 16.7万円 | 16.4万円 | 16.2万円 |
全産業平均と比較しても大きな差はないようです。
一般的には低いといわれる
しかし一般的には、神父・牧師ともに収入は少ないといわれており、上記の統計にあるような金額を受け取っているような生活をできてはいないようです。
神父・牧師の平均給与の統計
実際の神父・牧師の給与はどの程度なのでしょうか。
宗教全体でみるとやや高い
同じく賃金構造基本統計調査によると、平成29年度の「宗教」の分類に入る産業の平均給与および全産業平均との比較は以下の通りです。
年齢 | 宗教 | 全産業平均 | 全産業平均との比較 |
---|---|---|---|
全年齢 | 31.5万円 | 30.4万円 | 103.35% |
~19歳 | 16.6万円 | 17.6万円 | 94.64% |
20~24歳 | 18.6万円 | 20.7万円 | 89.89% |
25~29歳 | 22.4万円 | 23.9万円 | 93.85% |
30~34歳 | 25.1万円 | 27.2万円 | 92.14% |
35~39歳 | 28.7万円 | 30.1万円 | 95.42% |
40~44歳 | 29.7万円 | 32.7万円 | 90.62% |
45~49歳 | 39.1万円 | 35.2万円 | 111.07% |
50~54歳 | 35.8万円 | 37.3万円 | 96.13% |
55~59歳 | 40.2万円 | 36.4万円 | 110.50% |
60~64歳 | 34.7万円 | 27.5万円 | 126.56% |
65~69歳 | 23.0万円 | 25.0万円 | 91.77% |
70歳~ | 42.1万円 | 25.9万円 | 162.73% |
全産業平均とは大きな差はありませんが、20~30代の若年層ではやや低く、60を超える高年齢層になると逆転するという傾向があります。
ただしこれはキリスト教だけでなく、さまざまな宗教法人の給与を平均したものであるため、神父・牧師の給与を正確に反映したものではありません。神父や牧師に対する給与の考え方は、カトリックおよびプロテスタントの大教派ごとで異なっており、またプロテスタント内でも教派によりその扱いはさまざまです。
神父は清貧を是とする
カトリックでは、基本的な思想が清貧を是としており、神父の給料も高給とはいえない金額となっているようです。
カトリックは統一された教派であり、日本国内では地域別に16の教区に分かれて管理されています。教区ごとに宗教法人となっており、神父は宗教法人の職員という扱いになるため、教区から給料を受け取ります。
給与額は教区ごとに定められています。東京教区においては基本給与額を18.5万円と定めており、司教・司祭(神父)には一律で支払われています。他の教区もおおよそ月15万円ほどとされているようです。
牧師は教派により様々
プロテスタントは細かい教派に分かれており、それぞれが宗教法人として独立しています。
牧師の給与は「謝儀」と呼ばれ、教会から支払われる形が一般的です。それぞれの教派の規定により、教会単位で採算を取る教派もあれば、教派全体で定めた給与規定に基づき、定額の給与を支払う場合もあります。
カトリック同様、全体的には高給の部類には入らず、低い収入でやりくりしている牧師が多いようです。
神父・牧師の年収統計
全体的に低額とされる神父・牧師の給与ですが、統計データや規定からみる給与はどの程度なのでしょうか。
歳を重ねるごとに高額に
賃金構造基本統計調査から類推する、平成29年度「宗教」の分類に属する産業の平均年収および全産業平均との比較は以下の通りです。
年齢 | 宗教 | 全産業平均 | 全産業平均との比較 |
---|---|---|---|
全年齢 | 463.6万円 | 491.2万円 | 94.38% |
~19 | 220.5万円 | 248万円 | 88.91% |
20~24 | 269.5万円 | 314.9万円 | 85.58% |
25~29 | 342.2万円 | 391.3万円 | 87.45% |
30~34 | 378.6万円 | 450.5万円 | 84.04% |
35~39 | 441.8万円 | 495.1万円 | 89.23% |
40~44 | 441.3万円 | 536.4万円 | 82.27% |
45~49 | 572.1万円 | 576.2万円 | 99.29% |
50~54 | 537.6万円 | 606.5万円 | 88.64% |
55~59 | 606.5万円 | 583.2万円 | 104.00% |
60~64 | 517万円 | 409.3万円 | 126.31% |
65~69 | 322.6万円 | 348.8万円 | 92.49% |
70~ | 540.2万円 | 348.3万円 | 155.10% |
給与よりも顕著に若年層が低額、高齢層が高額となる傾向が強くなりました。
カトリックの司祭は安い
神父が教会から受け取る給与は15万円前後、年収にしておおよび200万円前後となることが多いようです。ただし生活に必要な住居、衣服、水道光熱費といった費用は教会が負担し個人の支出には含まれません。
そのため一般的なサラリーマンの年収と比べると低額に見えますが、神父は必ず独身男性であることもあり、生活する分には困らない程度の収入であるといえます。
プロテスタント内での格差が大きい
プロテスタントの牧師の年収はそれぞれの教会の財政状況によります。なお、日本バプテスト連盟では連盟が定める給与規定がありますので、本記事ではそちらの規定を元に解説します。
情報出典元:牧師給支援規程付表に関連して
平成30年の規定では、最も低い号棒でも月額19.61万円が基本給とされています。ここに扶養家族手当や夏期・冬期の特別手当(ボーナス)が支給されます。
【例】30歳(牧師歴3年)の場合
- 給与表の4号棒(22.47万円)が適用(年齢-25、牧師歴5年未満は0.8をかけて号棒決定)
- 特別手当4.4ヶ月分
=年額368.508万円
【例】45歳(牧師歴15年)で15歳未満の子が2名いる場合
- 給与表の20号棒(36.96万円)が適用(年齢―25、牧師歴5年以上は満額)
- 扶養手当(6,500円×2)が加算
- 特別手当4.4ヶ月分(基本給+扶養手当満額が対象)
=年額627.464万円
一般のサラリーマンと比べても決して低い金額ではない収入を得られるようです。また幼稚園・保育園を併設し牧師が園長を兼任する場合には、園長としての給与を支払う教派もあり、ある程度安定した収入を期待できる教派も多いようです。
反対に教団からの給料がなく教会単位で採算をとる教派もあります。教会の収入は月々の定期的な献金、礼拝時に臨時で発生する献金、また結婚式や葬儀の謝礼といった、信者からの献金が主です。そのため信者の数により収入は大きく左右され、大規模な教会では高額な献金が集まりますが、小さな教会では維持するのが精一杯というところもあります。
大きな教会に所属している牧師は、その献金額に応じた高額の謝儀を受け取ることができますが、小さな教会では献金のほとんどを教会の維持費に回し、牧師の手元に残るのはわずかというケースもあります。中にはアルバイトや副業で生活費を確保する牧師もいるようです。
思わぬ出費も多い
カトリック、プロテスタントともに教派によっては生活に困らない程度の収入は期待できますが、反面一般のサラリーマンにはない出費に頭を悩ませることもあるようです。
人々の悩みや苦しみを解決することも役割とされる神父・牧師ですが、そのため金銭的な問題を抱える信徒の相談を受けることもあり、時にはお金を融通することもあります。
また信徒の数が教会、教団の収入に直結することもあり、信徒との交流のための費用も少なからず発生します。時には大人数を集めてのパーティを主催することもあるため、少なくない金額が飛ぶこともあるようです。
多くの神父・牧師は収入のためにその仕事に就いているわけではないといいます。とはいえ自らの生活を安定させてこその布教活動。特に牧師は家族を抱えることもできるため、安定した家計のための収入を得ることが責務となります。
神父・牧師ともにある程度安定した収入を得ることは可能なようですが、支出が不安定になることには頭を悩ませることも少なくないようです。
神父・牧師の給料・年収まとめ
収入のためではなく教えを広め、人々を救うことが自身の務め
プロテスタントの牧師も、教団・教派から給与という形で受け取ることが中心ですが、中には教会単位での独立採算を求められるところもあります。所属する教派や教会の規模により、収入の格差は大きくなります。
神父・牧師ともに教派の違いはありますが、神の教えを通じて人々に心の安らぎをもたらす存在です。その活動を継続していくには、は自身の生活の安定こそ大切です。すべての神父・牧師が安定した生活を送れるような環境づくりが求められるのかもしれません。
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神父・牧師の参考情報
平均年収 | 250万円~400万円 |
---|---|
必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 葬祭・宗教 |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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