ドローン操縦士の資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説
ドローン操縦士に関しては、民間団体が認定する資格があります。資格取得によって、ドローンの操縦技術や知識があるとみなされるので、取得者も年々増えているのが現状です。この記事では、ドローンに関連して持っていたら有利な資格試験について解説していきます。
民間団体が認定するドローン操縦士の資格とは?
ドローンの操縦技能・知識を証明するための資格
ドローンの飛行に関する法律は、2016年から法整備が進んでいます。それに伴い、2017年頃から資格制度を認定する民間団体が出てきました。
これらの民間資格で扱うのは、主に次の4点です。
- ドローンの基礎知識
- 関連法律や気象などに関する基礎知識
- ドローンの操縦技術
- 安全に飛行させるための知識
ドローン操縦に関する資格を認定する団体は、2019年10月現在でいくつか存在しますが、すべて民間団体による資格認定にとどまっているのが現状です。
自動車のように免許制ではない
上でも書いたように、ドローン操縦士に関連する資格は、民間団体による資格認定です。
資格を持っておいたほうがいいのは確かですが、自動車やバイクのように免許制ではないので、免許を所持せずに運転(無免許運転)したとしても法律違反にはなりません。
下記に自動車免許とドローンの資格制度の比較を表にしてみたので、参照してみてください。
自動車 | ドローン | |
---|---|---|
運転・操縦する種類 | 普通自動車など | ドローン |
免許の名称 | 普通自動車免許 ※運転する車の種類による |
DJIスペシャリストなど ※主催団体による |
義務付ける根拠となる法律 | 道路交通法 | なし |
認定団体 | 都道府県の公安委員会 | 各種民間団体 |
無免許運転・操縦した場合 | 違法なので、処罰の対象になる | 違法ではない |
ドローンを飛行させるだけであれば、資格や免許は必要ない
上記表のとおり、現状では日本国内でドローンを飛行させるためには、資格や免許は必要ありません。
また、自動車でいう道路交通法のように取得を義務付ける根拠となる法律もないので、ドローンを飛行させるだけであれば、特別な資格や免許がなくても法律違反にはなりません。
ただし、法律で原則飛行禁止区域や飛行させる際のルールが定められているので、飛行させる際にはそういったルールを守った上で飛ばす必要があります。
仕事でドローンを使うのであれば、資格を取得したほうがいい
日本国内でドローンを飛行させるために必要な資格や免許は、2019年10月現在で存在しません。そのため、仕事で使用する場合でも、資格や免許の取得を義務付けられることはないので、無資格で操縦することは可能です。
実際、空撮などの分野ですでに実績を持っているドローン操縦士であれば、全員が資格を持っているわけではありませんし、その実績で仕事を請け負うことが可能です。
しかし、ドローンの資格も2015年に資格制度ができてから、制度が整ってきていますし、依頼する側も「とりあえず飛ばせればいい」ということはまずありません。
また、認定する団体によっても異なりますが、技能・学科ともに特定のカリキュラムを修了すること、カリキュラム修了後の認定試験への合格が必要なので、操縦技術や知識を身につけることが可能です。
資格を取得することで技術や知識を客観的に証明する材料にもなりますし、依頼する企業から見て有資格者のほうが無資格者よりも選ばれやすいなど有利になりやすいので、資格を取得しておいたほうがいいといえます。
主な資格認定団体は4つ。いずれかを取得しよう
ドローン操縦士の資格認定を行っている民間団体は、いくつかの団体があります。その中で資格取得者が多いのは、下記にあげる4団体です。
- DJI(DJI JAPAN)
- JUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会・ジュイダ)
- DPA(一般社団法人ドローン操縦士協会・ディーパ)
- ドローン検定(ドローン検定協会・通称D検)
このうち、ドローン検定協会が行うドローン検定(D検)は筆記のみですが、取得した級によっては別途技能試験を受けることもできますし(3級であればドローン操縦士技能試験など)、DJI・JUIDA・DPAといった実技講習が用意されている資格講習を受講する予定の人が、その前に直近で行われるドローン検定を受験する人も多いようです。
DJI・JUIDA・DPAにも座学による学科講習はあるので、必ずしも受験する必要はないものの、実技講習も含まれる資格認定団体の講座のうちからいずれか1つ、もしくは実技講習のある資格から1つ+ドローン検定を取得しておくとドローン操縦士としての技能・知識を証明することができるでしょう。
ドローン操縦士の資格、DJI CAMP認定資格とは?
現在のスタンダードといえるメーカーの認定資格
「DJI CAMP」とは、ドローンメーカーではシェアが多いDJI社が認定する技能資格です。特に中堅ドローンのPhantomシリーズやInspireシリーズは、アマチュアからプロまで多くの人が利用しており、日本国内でも利用している人が多いメーカーになります。
日本では日本法人のDJI JAPANが「DJI CAMP」を実施しており、資格を取得したい人は日本各地で随時開催されている講座を受講した後、認定試験を受験して合格したら認定証が発行されます。資格には3つのレベルがあります。
- DJIスペシャリスト
- DJIインストラクター
- DJIマスター
まずは、DJIスペシャリストの認定資格を取得して、そこからステップアップしていくこととなります。
合格すればドローン操縦の技能・知識を証明できる
DJI社のドローンは、日本でも多くのシェアを占めています。その会社が認定している資格ですし、技能についてもそれなりのレベルを求めているので、合格するのは難しい資格といえるでしょう。
しかし、難易度が高い分、資格取得後の業務には十分に活かせる資格なので、受講期間中はしっかりと学んでください。
DJI CAMP認定資格の試験概要・難易度・合格率
合格率は非公表だが、比較的難しい
DJI CAMP認定資格には3種類ありますが、いずれの合格率も非公開です。ただ、認定資格講座の受講条件に自社ドローンの操縦経験が入っており、技能試験の内容も高度なものになっていることから、合格には高い技術が必要になると考えられます。
しかし、試験に不合格となっても、受験費用を別途収めることで再受験ができるので、しっかりと練習をして臨みましょう。
DJI CAMP認定資格の試験概要
■合格率
非公開
■受験資格
【DJI CAMP認定資格の受講条件】
次の条件を満たしていること
- 法人あるいは個人事業主
- ドローンの飛行経験が10時間以上
- DJI社の機体でのフライト運用をしている
【DJIスペシャリスト】
- 企業内でパイロット、および改正航空法下で業務を行う方で、DJI製品の飛行操縦経験が10時間以上
【DJIインストラクター】
- ドローン事業展開を考えている企業でDJIインストラクターとして活動をする、または活動を検討している方で、DJI製品の飛行操縦経験が50時間以上
【DJIマスター】
- DJI JAPAN株式会社が総合的な選考による直接任命をすることとなっており、DJI製品の飛行操縦経験が100時間以上
■受験費用
- 受講費用:60,500円(税込)~
- 認定書発行費用:16,500円~(試験合格者のみ)
※別途、DJI CAMP技能認定専用テキストの購入が必要:3,300円(税込)
※インストラクター企業、取得資格により異なる
■出題範囲
【座学講習】
安全基準、禁止事項、ドローンに関する法律、マルチコプターの概論、電流・気象、飛行、DJI製品についてなど
【試験対策講習】
最終試験に向けた基礎知識の講習、アプリの使用方法など
【フライト訓練】
機体のコンディションチェック。離陸、ホバリング、対面で離陸地点に戻ってくる、ノーズインサークル×2など
【認定試験】
筆記試験・実技試験・レポート作成など
試験を受けるには一定の経験が必要
DJIでドローン操縦士の資格を取得するためには、まずはDJIスペシャリストの資格を取得しなければなりません。
これ以降に紹介するドローン操縦士の資格でも、ドローンの飛行経験が規定されていますが、DJIはドローンの製造・販売を行っているメーカーなので、DJI社の製品に限定しています。
DJI自体世界でもトップクラスのシェアを持つ会社なので、使用している人は多いのは確かですが、メーカーが限定されている点では取得が難しいといえます。しかし、日本国内でもシェアが多いメーカーなので、飛行データも豊富ですし、豊富な安全性のデータから学べる点は魅力的です。
試験合格後は認定証を発行してもらおう
DJI CAMPの資格認定講座については、日本各地で行われているので、近くのインストラクター企業で行われている講座に申し込んで受講することになります。
合格通知の郵送後に認定書発行費用を入金することで、認定資格証が発行されるので、合格していたら認定証を発行してもらうようにしましょう。
認定資格を取得することで生まれる2つのメリット
DJI CAMPの認定資格に合格することで、取得者には2つのメリットが生まれます。
● 国土交通省へのドローン飛行許可申請が有利になる可能性がある
有利になるかどうかは、担当者にもよって変わってきますが、DJIスペシャリストである旨を書いて申請書を送ることで、ドローンの関する知識や操縦経験を証明することができます。
そのため、無資格の人と比べると有資格者の分、申請が有利になる可能性が出てくるでしょう。
● ドローン保険の割引
DJI JAPANでは、DJI社製のドローンで何らかの事故が発生した際、「DJI賠償責任保険」を用意しています。その保険料が10%割引されるので、資格を取得しておいて損はないといえます。
ドローン操縦士の資格、JUIDA認定スクールとは?
UAS(無人航空機システム)の発展と振興を目指した団体
JUIDAとは、「一般社団法人日本UAS産業振興協議会」が認定した資格です。UAS(Unmanned Aircraft System=無人航空機システム)の健全な発展と振興を目指して設立された団体で、日本ではじめてドローンの認定スクール制度を開始しました、
DJIの認定資格と同じく、全国にあるJUIDA認定スクールで講座を受講した後、受験する試験に合格することで認定証が発行されるので、まずは居住地の近くで行われている講座を受講することが資格取得へのスタートです。
合格すれば他者への信頼性という点で有利
JUIDAには、2つの資格があります。
- 無人航空機操縦技能証明証
- 安全運航管理者証明証
操縦するだけであれば、「無人航空機操縦技能証明証」だけでも十分ですが、多くの人は「安全運航管理者証明証」も同時に取得します。
資格を同時に取得することで、地方航空局長や空港事務所長に飛行許可を申請する際、手続きの簡略化が可能になるというメリットもあります。特に、「安全運航管理者証明証」を持っていれば、安全に対する知識・意識が高いことも証明できるでしょう。
JUIDA認定スクールの試験概要・難易度・合格率
合格率は非公開。しかし、合格すれば技術的な信頼度も高い資格
JUIDA認定スクールで取得できる資格は、「無人航空機操縦技能証明証」と「安全運航管理者証明証」の2つですが、いずれの資格の合格率についても公開されていません。
しかし、技能試験では高い操縦技術がないと合格できないので、操縦技術や知識を証明する点で有利になりやすい資格といえるでしょう。
JUIDA認定スクールの試験概要
■合格率
非公開
■受験資格
下記の条件を満たした人
- 成人(20歳以上)、ただし保護者の同意書を書面にて提出した場合は16歳以上でも可能
- 普通自動車免許保持者、免許を有していない場合は矯正視力0.7以上かつ一眼でそれぞれ0.3以上
※認定スクールにより異なる
■受験費用
- 操縦技能ライセンス取得コース(合宿2日間):189,000円(税抜)
- 安全運航管理者取得コース(半日):35,000円(税抜)
- 無人航空機ライセンス総合コース(合宿3日間):230,000円(税抜)
※総合コースは、操縦技能ライセンス取得コースと、安全運航管理者取得コースをまとめたコースです。
※スクールによって異なる
別途、JUIDA証明書交付費用が必要。
- 操縦技能:20,000円(税抜)
- 安全運航管理者:15,000円(税抜)
申請には、JUIDA個人会員への入会が必要です。
- 正会員:入会金60,000円、年会費10,000円
- 準会員:入会金5,000円、年会費5,000円
■出題範囲
【操縦技術コース】
無人航空機概論、ドローン飛行に関わる法律、ルール、自然科学、技術、運用、ドローンの整備・点検、基本操作、応用操作など
※講習は約4日間
【安全運航管理者コース】
安全管理、安全とリスク対策、リスクアセスメント講習など
実技試験は事前の練習が可能
JUIDAの資格認定試験には学科試験はなく、操縦技能試験のみとなります。実技試験は、講習終了後に認定スクールの飛行場で行われます。技能講習も行われますが、講習中にしっかりと練習を行うことが必要です。
練習場所は認定スクールで借りることができるので、試験前にはしっかりと練習をして臨むようにしましょう。
資格を取得することで知識の証明になる
JUIDAの認定資格は、ドローン操縦に関する技能・知識、安全運航に関する知識・意識を証明する資格です。
「無人航空機操縦技能証明証」を取得することでも、操縦技能・知識を持っている証明になりますが、さらに「安全運航管理者証明証」を取得すれば、安全運航に関する知識や意識の高さを証明することにつながるでしょう。
そして、何よりも大きいのは、国土交通省航空局や地方航空局長に飛行申請をするとき、申請を簡略化できるというメリットです。操縦技能証明証だけでも十分ですが、安全運航管理者証明証を提出することでさらに有利となります。
安全運航管理者証明証を取得するには、本来は無人航空機操縦技能証明証を取得しないといけないのですが、同時に取得することもできるので、JUIDAの認定資格取得を検討するのであれば、検討してみるのはいかがでしょうか。
ドローン操縦士の資格、DPAのドローン資格認定制度とは?
操縦士をメインにした認定団体
DPAとは、「一般社団法人ドローン操縦士協会」のことで、ドローン航空の安全文化構築、人命救助や環境、衛生、警備などの各分野とドローン航空の相互発展・融合、調和を目指して設立されました。
「ドローン操縦士協会」という名称なくらいなので、認定資格についてもドローンの操縦技能や操縦に必要な知識をまんべんなく身につけられるカリキュラムです。
現時点での資格制度は2種類
DPAのドローン操縦士資格には、2つあります。
- ドローン操縦士回転翼3級
- ドローン操縦士回転翼3級インストラクター
この他、「2級」、「1級」、「整備士資格」の制度を設計中で、2019年10月現在ではまだ公開されていません。しかしながら、これらの資格制度も普及状況次第では資格認定制度がスタートするはずなので、気になる人はしっかりチェックしておくといいでしょう。
しっかりと資格レベルが設定されていることが特徴
DPAドローン資格の一番の特徴は、それぞれで到達できるレベルがしっかりと明記されていることにあります。
現在公開されている3級では、「手動航行で目視外飛行ができるレベルの技術」と規定されています。2級では「自動航行による目視外飛行ができるレベル」、1級では「補助者なしで無人地帯の目視外飛行ができるレベル」がそれぞれ規定されています。
各レベルによって、どこまでの利活用が可能かについては、下記表のとおりです。
リスク程度 | 資格等級 | 利活用の具体例 | ||
---|---|---|---|---|
飛行レベル | 操縦士 | 操縦士インストラクター | ||
レベル1 | 目視内飛行 (操縦飛行) |
ドローン操縦士 回転翼3級 |
ドローン操縦士 回転翼3級 インストラクター |
・空撮での映像コンテンツ撮影 ・農薬散布 ・橋梁や送電線などのインフラ点検 |
レベル2 | 目視内飛行 (自動・自律飛行) |
ドローン操縦士 回転翼2級 |
ドローン操縦士 回転翼2級 インストラクター |
・精密農業 ・レーザー測量 ・空中写真測量 ・ソーラーパネルなどの設備点検 ・外壁点検など |
レベル3 | 目視外飛行 (無人地帯) |
ドローン操縦士 回転翼1級 |
ドローン操縦士 回転翼1級 インストラクター |
・離島や山間部への荷物輸送 ・災害時における被災状況の調査 ・行方不明者の捜索 ・河川測量 ・長大なインフラ点検など |
レベル1が3級相当というようにしっかりとレベル分けがされており、それ以上のレベルについては資格制度が公開されていませんが順次公開予定で、資格ごとに目標レベルが設定されているので、受講する側も目標を立てやすいメリットがあります。
ドローン操縦士、DPA認定資格の試験概要・難易度、合格率
合格率は非公開。合格すれば技術的な信頼度も高い資格
DPAのドローン操縦士認定資格で、現在取得できる資格は下記の2つです。
- ドローン操縦士回転翼3級
- ドローン操縦士回転翼3級インストラクター
認定資格を取得するには、先に紹介した実技系資格の2つと同じく、認定スクールに申し込みを行います。
そこで所定のカリキュラムを修了した後、筆記と実技両方の試験に合格後、オンライン講座を受講・修了することで認定証の申請ができることとなっています。
DPA認定資格の試験概要
■合格率
非公開
■受験資格
下記の条件を満たした人
【ドローン操縦士回転翼3級】
- 15歳以上
- 視力が両目で0.7以上、かつ片目で0.3以上(眼鏡・コンタクトでの矯正も可能)
- 赤色・青色・黄色の識別ができる
- 10時間以上の飛行経験を有する
【ドローン操縦士回転翼3級インストラクター】
- 18歳以上
- 視力が両目で0.7以上、かつ片目で0.3以上(眼鏡・コンタクトでの矯正も可能)
- 赤色・青色・黄色の識別ができる
- ドローン操縦士回転翼3級の資格を持っていること
- 50時間以上の飛行経験を有する
- ドローン操縦士回転翼3級の学科・実技講習を受講する際に必要な基礎知識を有している
- ドローン操縦士回転翼3級の技能を講習するための技能を有する
■受験費用
- フライトコース:120,000円(税抜)
- ビジネスコース:200,000円(税抜)
※初心者がドローン操縦士回転翼3級を取得するには、ビジネスコースまでの終了が必要なので、最低4日間合計320,000円(税抜)の受講料が必要。
※スクールによって異なる。
【認定資格証発行費用】
- 初回:15,000円(税抜)
- 更新時(2年毎):9,000円(税抜)
※操縦士・インストラクター共通
■出題範囲
【学科】
無人航空機概論、ドローン飛行に関わる法律、ルール、自然科学、技術、運用など
【技能】
フライトコース:円移動、四角移動など25種類の技能
ビジネスコース:各方向四角移動、斜め下降、進行方向四角移動、水平旋回、カメラ付きドローンでの撮影など産業用ドローン操縦士に必要な20種類の技能
まったくの初心者でも最短4日間で資格取得が可能
DPAのドローン操縦士資格試験は、その資格制度設計に大きな特徴があります。現在は操縦士・インストラクターともに3級までしかありませんが、等級ごとに到達目標が決められています。
3級を取得するにあたって、まったく飛ばしたことがない人はフライトコースから受講すると最短2日間でドローンを飛ばすことができるようになります。
また、ビジネスコースを受講すると最短2日間でドローン操縦士回転翼3級が取得できるので。まったくの初心者でも最短4日あれば資格の取得が可能です。
今後も上級資格が受験できるようになる予定なので、レベルに応じて資格試験を受験することができます。
国土交通省への申請が簡略化できる
DPAのドローン操縦士資格を取得している人は、国土交通省で飛行許可を申請する際、「様式3および無人航空機を飛行させるものの追加基準への適合性を示す書類」(操縦士の飛行経歴・知識。能力確認)について、ライセンスカードを示すことで省略が可能です。
その他、スクールによってはインストラクターチームで「夜間・人口密集地・目視外・建物30メートル以内」といった航空法規制内における包括的な飛行許可を取得しているところもあります。この場合は、事前申請がなくてもドローンを飛行させることができます。
ドローン操縦士の資格でもっとも有名な資格、ドローン検定とは?
ドローンに関する専門知識を見る試験
ドローン検定は、「ドローン検定株式会社」が主催している民間資格で、ドローン操縦士資格の中ではもっとも古く2015年から実施されている試験です。
この資格試験に合格することで、ドローン操縦士として安全に活用するために必要な知識を身につけている証明になるので、毎年多くの人が受験しています。
試験形式は4択のマークシート方式。問題数は全50問の100点満点(1問2点)で、80点が合格ラインとなります。
現時点での資格制度は座学が4種類、技能試験が4種類
ドローン検定の資格等級は、4つあります。
- ドローン検定4級
- ドローン検定3級
- ドローン検定2級
- ドローン検定1級
このうち、3級と4級については年令に関係なく誰でも受験することが可能です。ただし、2級と1級については、2級であれば3級、1級であれば2級と1つ下の級に合格していないと受験することができません。
ドローンの基礎知識については言うまでもなく、物理学、工学、気象、専門知識、法令など、ドローンに関連する幅広い分野の知識を身につけられます。
また、ここでは取り上げませんが、ドローン検定には別途技能試験も4種類あります。
- 公認技能員試験(筆記試験2級合格が必要)
- ドローン操縦士試験(筆記試験3級合格が必要)
- 空撮技能試験(筆記試験3級合格が必要)
- FPV技能試験(筆記試験3級合格が必要)
公認技能員試験を受験するためにはドローン検定2級の合格が、それ以外の技能試験を受験するためにはドローン検定3級の合格が必要で、同時取得はできないので注意してください。
3級の受験者がもっとも多い
筆記試験のみとなりますが、ドローン検定を主催している団体が級ごとの述べ認定数をまとめているので、これを見るとどの級を受験している人が多いのかがわかるのではないでしょうか。
等級 | 認定数 |
---|---|
1級 | 2,254人 |
2級 | 4,108人 |
3級 | 14,304人 |
4級 | 764人 |
これを見ると、3級の認定数が全体の約3分の2を占めていることがわかります。
3級を取得することで、公認技能員試験以外の技能試験について受験資格が得られることから考えると、いきなり3級を受験する人が多いのもうなずけるのではないでしょうか。
ドローン検定資格試験は資格レベルが設定されている
後ほど詳しく解説していきますが、ドローン検定資格試験の特徴は、ドローンに関する知識を系統立てて学ぶことができる点にあります。
ドローン検定における級ごとの習熟目安については、下記のとおりです。
ドローン検定1級
■等級
1級
■試験回数
年3回(1月・5月・9月)
■受験資格
2級合格者
■習熟目安
- ドローンの操縦、管理、設計できる十分な専門的知識
- 機体特性、関連技術に関する十分な知識
- 気象学、関連法規、リスク管理に関する知識
ドローン検定2級
■等級
2級
■試験回数
年6回(1月・3月・5月・7月・9月・11月)
■受験資格
3級合格者
■習熟目安
- ドローンの操縦、管理ができる十分な専門的知識
- 機体特性、関連技術に関する十分な知識
- 気象学、関連法規、リスク管理に関する知識
ドローン検定3級
■等級
3級
■試験回数
年6回(1月・3月・5月・7月・9月・11月)
■受験資格
なし
■習熟目安
- ドローンの機体特性、基礎技術、無線、関連法規に関する知識
ドローン検定4級
■等級
4級
■試験回数
年6回(1月・3月・5月・7月・9月・11月)
■受験資格
なし
■習熟目安
- ドローンを安全に運用するために必要な知識
近年は趣味としてだけではなく、ビジネス用途での実用化が拡大し、それに伴ってドローンが原因の事件・事故も世界中で起こっているという現実があります。
そこで、ドローンに関する正しい知識・能力を確認するための資格試験として、ドローン試験が誕生しました。
3級~4級はドローンの基本的な知識が主となりますが、2級以上になると専門的な知識も必要となるので、難易度も高くなるようです。
ドローン操縦士、ドローン検定の試験概要・難易度、合格率
筆記試験の合格率は7割台。しっかりと勉強すれば合格できる試験
過去6回分の受験者数・合格者数・合格率は、下記表のとおりです。
実施回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
第20回(2018年11月) | 1,167 | 875 | 75.0% |
第21回(2019年1月) | 1,266 | 999 | 78.9% |
第22回(2019年3月) | 1,181 | 913 | 77.3% |
第23回(2019年5月) | 1,394 | 1,109 | 79.6% |
第24回(2019年7月) | 1,200 | 924 | 77.0% |
第25回(2019年9月) | 1,050 | 827 | 78.8% |
2級以上は専門的なものも入ってくるので、合格率もやや下がると言われています。ただ、ここで紹介した過去1年分(直近6回)以外の合格率を見ても、60%台が数回あったくらいでおおむね7割台でした。
すべての級を合計したもので、級ごとの合格率は非公開となっているものの、しっかりと勉強して臨めば合格しやすい試験といえます。
ドローン検定の試験概要
■合格率
7割台中盤~後半
※検定回により異なる
■受験資格
下記の条件を満たした人
【ドローン検定1級】
ドローン検定2級合格者
【ドローン検定2級】
ドローン検定3級合格者
【ドローン検定3級】
年齢・性別・経験不問
【ドローン検定4級】
年齢・性別・経験不問
■受験費用
- ドローン検定1級:18,300円
- ドローン検定2級:12,200円
- ドローン検定3級:5,600円
- ドローン検定4級:3,000円
※いずれも税込
■出題範囲
【基礎知識】
用語、動作、単位、組織、制度・国際情勢、三角関数
【物理学】
力学、熱力学、流体力学、電磁気学
【工学】
航空工学、電気電子工学、材料工学、流体工学、機械工学
【気象】
気象学基礎、航空気象学
【専門知識】
機体構造、姿勢制御、バッテリー、送信機、責任・保険、飛行計画、GNSS、リスク
【法令】
無人航空機関係、電波関連、刑事民事その他
合格者には合格証などが交付される
ドローン検定に合格すると、級ごとに合格証などが交付されます。
● ドローン検定1級
- 合格証(カード)
- 合格者ピンバッチ
- ドローン検定協会ホームページにプロフィール掲載(希望者のみ)
● ドローン検定2級
- 合格証(カード)
- 合格者ピンバッチ
● ドローン検定3級・4級
- 合格証(カード)
カードを示すことで、ドローンに関する知識や技能を証明することが可能なので、この点でも人気のある理由といえます。
その他にもメリットがたくさんある
ドローン検定に合格した人は、他の実技系資格合格者と同様、国土交通省へ許可申請を出す際、操縦者の資格に関する証明書を添付することが可能です。
その他にも、このようなメリットがあります。
- 基礎技能固執受講の際、座学1(4時間)が免除
- 提携団体等が行う各種講習の受講資格が得られる
- 提携団体等が行う各種講習のうち座学が免除される
- 飛行ログサービス(オンラインで飛行経歴を管理できる機能)が利用できる
ドローン操縦士は、操縦経験を積み重ねていって資格に意味が出てくるので、こうしたメリットを大いに利用していきましょう。
その他、ドローン操縦士に関連する資格
ドローンを操縦するなら取っておいたほうがいい国家資格もある
日本国内で使用されている周波数帯(2.4GHz)に対応したドローンを操縦するだけであれば免許不要で操縦できるので、ドローン操縦士に関する民間資格を持っていれば十分です。
しかし、ドローンを操縦する目的によっては、取得しておいたほうがいい国家資格が2つあります。
- 第4級アマチュア無線従事者免許
- 第3級陸上特殊無線技士免許
使用できる無線周波数帯は、国ごとに規格が定められています。ちなみに、日本国内で流通するスマホや電化製品などでは2.4GHzが使用されており、日本の電波法でも周波数帯2.4GHzであれば免許不要で誰でも利用可能です。
しかし、海外メーカーであれば5.8GHzにしか対応していないものも多くあります。その他にもFPV(First Person View)対応のドローンを操縦する場合、ゴーグル(ヘッドマウントディスプレイ)をつけてドローンレースに出場する場合は、この5.8GHzの周波数帯を使わなければなりません。
5.8GHzの周波数帯を利用するためには資格が必要となる
この周波数帯を利用するために必要となるのが、「第4級アマチュア無線従事者免許」です。FPVを楽しみたい、ドローンレースに参加したいと思っている人は、ぜひ取得しておきたい資格といえますね。
続いて、将来的にドローンを仕事に活かしたいと思っている人が取得しておくといい資格が「第3級陸上特殊無線技士免許」です。これは、タクシーに使われている無線の基地局などで、無線設備などの技術的な操作を行う際に必要な資格になります。
ドローンでいえば、ドローン操縦士のマネジメントをしたい、測量、インフラ整備・点検、警備、物流などの分野で働きたい、もしくは働いている人は、取得しておいて損はないでしょう。
いずれの資格も、国家試験を受験するか講習会受講後修了試験に合格することで資格を取ることができます。
ドローン操縦士の資格が取れる学校
ドローンスクールジャパン
ドローンスクールジャパン(DSJ)は東京を主として展開しているドローンスクールで、ドローン操縦士の資格認定団体の中ではDPAの認定校となっています。
初心者であれば最短で4日、経験者であれば最短2日でドローン操縦士の資格を取得できるカリキュラムを組んでいる人気のあるドローンスクールです。
屋内飛行場など恵まれた練習環境が魅力
ドローンスクールジャパンの最大の魅力が屋内飛行場の設置です。飛行場が屋内に設置されているので、天候に関係なく飛行訓練ができるため、飛行技能を早く習得しやすい環境にあります。その他にもドローンシミュレーターや実機も豊富なので、より実践的な訓練を受けられます。
受講者のレベルに合わせて、各個人に合ったカリキュラムで、かつインストラクター1人に対し受講生は最大3名までの少人数制なので、より細かい点まで質問しやすい環境といえるでしょう。
また、スクールでの飛行訓練は飛行実績にカウントできるため、ドローン操縦士としての資格を10時間の飛行実績を有する証明書として提出することができます。
Jドローンアカデミー
Jドローンアカデミーは、自社オリジナルのドローン開発や市販機の改造などを行っているJドローンが運営しており、JUIDAのドローン操縦士資格を取得することが可能です。
精密農業対応機や災害対応機などといった、さまざまな用途の機体開発や市販ドローンのカスタマイズ経験が反映されたカリキュラムで学ぶことができる点で、人気の高いスクールの一つです。
忙しい人でも学びやすいスケジュール
Jドローンアカデミーのドローン操縦士養成コースは、座学・屋内実習が2日間、屋外実習を1日の計3日間行ってから、実技試験を行います。屋外実習までは1週間あるので、その間練習用のドローンを貸し出しているので、練習場だけでなく自宅でも練習が可能です。
また、受講生は屋内飛行施設で20時間の飛行練習時間が無料提供されるので、しっかりと操縦経験を積むことができます。
経験豊富な講師による講習が受けられる
実技講習・座学講習とも、ドローンの操縦経験や改造経験豊富な講師が担当します。
測量やインフラ整備・点検といった今後実用化が期待される分野はもちろんのこと、空撮の経験が豊富な人、各種機体開発・改造経験が豊富な講師などがいるので、その経験を活かした抗議が受けられます。
アマナドローンスクール
アマナドローンスクールは、株式会社アマナビが運営するドローンスクールで、JUIDAおよびDJIが主催するドローン操縦士資格を取得することができます。
JUIDAであれば操縦技能資格と安全運航管理者資格を最短3日間で、DJIであればDJIスペシャリストの資格を最短2日間で取得することができる点で人気です。
2016年4月からJUIDAの認定校として登録され、2019年8月末時点で955名がドローン操縦士の資格を取得。また、2017年10月からは新たにDJI CAMPのパートナー企業となり、DJIスペシャリストの認定カリキュラムも提供しています。
講師は全員空撮のプロ
アマナドローンスクールの講師は、全員空撮専門会社の「Air Vision」にて空撮の経験を積んできています。
これまでにPR用の空撮映像から測量用の空撮写真を多く撮影しているので、撮影のテクニックを熟知しており、受講者はプロの撮影テクニックを短期間で身につけることも可能です。
ドローン操縦士の資格・試験まとめ
ドローン操縦士になるなら、本記事で紹介したいずれかの資格を取得しよう
ドローン操縦士の資格は、自動車や自動二輪(バイク)のように免許制ではありません。ですので、本記事で紹介した資格がなくても操縦すること自体は違法ではないのが実情です。
実際、空撮で有名になった操縦士の中には、資格を持っていない人も多いですが、これからドローンを仕事に活かすのであれば、無資格者よりも有資格者のほうが選ばれやすいといえます。
ドローン操縦士の資格取得講習は、各団体の認定校が全国各地で開催しているので、受講費用などを考えながら、いずれかの資格を選んで取得するといいでしょう。
その他にも、使用する電波の関係で取得しておいたほうがいい国家資格もあるので、目的・用途によってそれらの国家資格取得も頭に入れておきましょう。
ドローン操縦士の参考情報
平均年収 | 300万円~500万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 運輸・乗り物 |
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