歯科技工士になるには?求められることや向いている人の特徴などを具体的に解説
歯科技工士になるには、国家資格が必須になります。歯科技工士資格を受験するためには厚生労働大臣が指定している歯科技工士養成機関で特別な学習を受ける必要があります。歯科技工士として成功するには、手先の器用さや歯科技工物への継続的な学習などの適性が必要です。この記事では、歯科技工士になるために求められること、向いている人の特徴などについてご紹介します。
歯科技工士になるには何が必要?
歯科技工士になるには、国家資格の歯科技工士資格が必須
歯科技工士になるには、歯科技工士資格が必要です。歯科技工士は国家資格のため、無資格で活動することは不可能です。
歯科技工士試験は通常、年に一回実施されます。試験内容は筆記試験と実技試験に分けれており、歯科技工士に必要な知識とスキルが問われます。
国家資格という位置づけですが、しっかりとした準備を行えば合格できる可能性は高く、毎年の合格率は95%程度となっています。
将来、歯科技工士になりたいと思っているのであれば、まずは国家資格の合格が必須です。
歯科技工士養成機関での技術習得・修了が必要
歯科技工士試験を受けるには条件があります。厚生労働大臣が指定している歯科技工士養成機関での2年以上の技術習得・修了が条件になっており、指定されているカリキュラムをクリアする必要があります。
指定されている養成機関の中には、専門学校や大学、短大などがあり、2年制や3年制のクラスがあります。一度、社会人になってから歯科技工士を目指す場合も同じ条件となっているため、夜間制の専門学校に通うのが一般的です。
もし、夜間制の学校に通う場合は3年間の修業が規則となっており、所定の過程を修了した後に試験を受け、合格すれば歯科技工士免許が交付されます。
歯科技工士に必要なスキル
CAM・CAD
現代の歯科技工士には欠かせないスキル
CAM(computer aided manufacturing)とは、CADで設計された製品を実際に機械加工する際に使用する機器のことで、現代の歯科技工士には欠かせないスキルの一つです。
ひと昔前の歯科技工物は、汎用機と呼ばれる工作機械を使って一つずつ作り上げられており、職人が一つ一つで手作業で加工していました。しかし、今はCAMが普及しているため、CADでデザインしたものをプログラム加工して、大量生産できます。
もちろん、細かな微調整は歯科技工士が行いますが、以前よりも工程が短縮されています。以前はCAM・CADの使用は保険適用外の加工物に制限されていましたが、今は保険適用の加工物も一部認められているため、今後もこの分野でのスキルの需要は高まると見込まれています。
矯正装置や審美歯科などの専門領域
歯科技工士として成功したいのであれば、特定の分野での専門領域を持つことをおすすめします。最近では、審美歯科や矯正歯科の注目が高まっており、見た目を重視した歯科技工物の需要が高まっています。
患者の口腔状態や歯の健康は歯科医師が診断しますが、歯科技工物を制作する歯科技工士の存在も重要です。特定の分野で実力を発揮して注目を受けることができるようになれば安定した収入を得ることができます。
最近では、スポーツの時に使用するマウスガードに特化した歯科技工士も注目されているようです。この分野ではだれにも負けないという専門分野を確立させることは歯科技工士に必要なスキルです。
高いスキルがあれば女性でも活躍可能
歯科技工士は男性の仕事というイメージがあるかもしれませんが、女性でも活躍できる仕事です。実際の歯科技工士の80%程度が男性と言われていますが、高いスキルを持つ女性も活躍しています。
個人差がありますが、歯科技工士の平均年収は400万円程度と言われており、女性の平均年収と比較すると高額です。
独立できるだけのスキルと実力を身に着ければ、自分のペースで仕事することも可能ですし、育児との両立も不可能ではありません。当然、歯科医師から定期的に注目を受けるようになるためには、高度なスキルが必要です。
歯科技工士に向いている人、適性がある人
繊細な感覚
歯科技工士の世界でもコンピューター技術が発展しており、デジタルで歯科技工物を制作することができます。とは言え、最終的な調整や加工は歯科技工士の手で行う必要があり、ミリ単位の技術力が必要です。
患者一人ひとりに合った技工物を作るには手先が器用であることと繊細な感覚が必要です。少しの違いを手先で感じ取ることのできる人は歯科技工士としての適性を持っています。
歯科技工物の学習を続けられる人
歯科業界の進歩は目覚ましく、以前では治療できなかった口腔内の病気も薬や歯科技工物で治すことができます。少し前では、金歯や銀歯が主流でしたが、見た目の美しさを重視する審美治療が注目を集めています。
そのため、歯科技工士として最前線で活躍するためには、歯科技工物の学習を継続的に続けられる人、各業界にアンテナを張って情報を収集できる人が適しています。
自分を売り込むコミュニケーション能力
歯科技工士は職人の技が重視される仕事ですが、それだけでは継続的に仕事を得るのは難しいでしょう。独立して、個人の歯科技工士として注目を受け、仕事を貰うためには自分のスキルを売り込むコミュニケーション能力が欠かせません。
一例として、歯科医師や患者に自分をアピールすることもできますし、歯科医師が所属する学会に出席するなども効果的です。また、特定の分野で深い知見を持っている場合に論文を掲載することで歯科技工士としての知名度が上がることもあります。
ただひたすら技工物に向き合うというよりは、ヒトとのつながりを大事にできる人の方が歯科技工士として成功しやすくなります。
歯科技工士になるための学校
歯科技工士になるための学校には、2年制・3年制の専門学校や夜間学校、4年制大学などがあります。それぞれの特徴を詳しく解説します。
2年制専門学校
歯科技工士になるための学校として一般的なのが2年制の専門学校です。国内には多くの歯科技工士養成機関がありますが、そのほとんどが2年制になっています。
2年制の専門学校では、週に5日、歯科技工士のカリキュラムを学習しますが、実習に力を入れている学校が多く、講義4割に対して実習6割という学校が多いようです。
現場で通用するスキルを習得できますし、短期間で歯科技工士になりたいという人におすすめです。学校によってカリキュラムの内容や講義のスタイルは異なるので、自分の理想に近い学校を選ぶことをおすすめします。
3年制専門学校
歯科技工士になるための3年制専門学校は多くなく、全国に数校程度しかありません。3年制専門学校の大きな特徴は、技術力の習得に多くの時間が割かれ、最先端の歯科技工技術を習得できるという点です。
これらの学校では、最近、注目されている審美治療や矯正治療などの分野の学習も行えます。通常の歯科技工物の制作だけでなく、幅広い分野で活躍したいと思っている人におすすめです。
夜間学校
昼間、仕事をしながら歯科技工士の資格を取りたいと思っている人におすすめなのが夜間制の学校です。基本的には3年制になりますが、夕方から夜にかけて授業が行われ、集中的に学習できます。
もちろん歯科技工士の資格取得もしっかりとサポートしてくれるので、国家資格にも高い確率で合格できます。夜間学校の中には、歯科技工所や歯科医院での研修制度を導入していることもあり、カリキュラムで学んだことを実際の現場で見て確認できます。
すでに社会人として活動している人や学費を自分でまかなう必要がある人でも歯科技工士の資格を取ることが可能です。
4年制大学
4年制大学でも、歯科技工士になるための学習を受けることが可能です。通常よりも長い期間のカリキュラムが組まれているため、歯科技工物に関するスキルだけでなく、歯学や口腔内の健康に関する学習を受けることが可能です。
例えば、生物学やスポーツ歯学、組織培養研究などのカリキュラムが組まれており、歯科技工士としてだけでなく口腔保健工学士としての活躍も可能になります。
さらに、英語を使ったプレゼンテーションや海外研修などの用意されており、海外規模で活躍する基盤を据えることができます。就職先には歯科医院や医科関連の企業が多く、歯科技工士として大手で活躍したいと願う人におすすめです。
歯科技工士になるには?まとめ
歯科技工士になるには、国家資格と手先の器用さやCAM・CADなどのスキルも欠かせない
歯科技工士になるには、歯科技工士免許が必要になり、受験するためには専門学校や大学で所定のカリキュラムを修了しなければいけません。
専門学校にも2年制や3年制、夜間学校があるため自分に合った学校を選択するといいでしょう。
歯科技工士として活躍するためにはCAM・CADなどのコンピュータースキルが欠かせませんし、手先の器用さなどの適性も必要です。
歯科技工士の参考情報
平均年収 | 400万円~600万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 医療 |
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