酪農家の資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説
酪農家として必ず必要な資格・試験はありません。しかし自動車で移動したり、荷物を運んだりすることが多いため自動車運転免許は取得すべきでしょう。また、畜産関係の知識があると役に立ちます。本記事では、酪農家に役立つ資格や試験などについてご紹介します。
酪農家の資格とは?
酪農家に必要な資格はなし!専門知識があれば優遇してもらえるかも
酪農家になるために必ず取得しなければならない公的資格はありません。求人によっては初心者・未経験者歓迎のところもあります。しかし、酪農家は専門的な知識を必要とすることも多いです。
酪農の要となる乳牛に関する生態や繁殖に関する知識・資格などを専門学校や大学などで学んでおくと役に立ちます。畜産・農業系の学校で学んだ学歴や、取得している資格によって優遇してもらえることもあります。
酪農家に特別な資格は必要ないが自動車運転免許は取得した方が良いかも
酪農家を目指す人が最初に取得すべき資格は運転免許かもしれません。求人にも運転免許が必須になっていることが多いです。また、酪農を行う牧場や牛舎があるのはほとんどの場合山奥など、交通の便が悪いところです。車がないと通勤したり、周辺で生活するのは難しいかもしれません。
仕事でも車を運転する機会は多く、トラックなどで荷物を運搬することもあるでしょう。AT・MT両方運転できた方が便利です。そのほか、よく使われる農機具などの運転経験があると重宝されるでしょう。免許だけでなく実際の運転経験があり、運転になれているとなおよいです。
経営者になるのであれば経営学やマーケティングについて学んだ方が有利
酪農家としての働き方もさまざまです。牧場に就職して正社員として酪農の仕事をする人もいますが、大規模な牧場と、個人経営の小さな酪農家では仕事内容や人間関係も大きく変わってきます。
実務経験を積みながら経営者になる準備をする人も多いです。経営者を目指す場合、自分で牧場や農場を持ち、酪農家として利益を得られるよう努力する必要があります。酪農をする上での専門知識やスキルはもちろんですが、新規参入するための資金や、搾乳した生乳の販売ルートや飼料の仕入れ業者の選定など、地域の中で人脈も築く必要があります。
雇用されて働く場合でも、経営者を目指す場合でも、必ず取得しなければならない資格はありませんが、畜産・酪農・農業・食品関係の勉強のほかに経営学やマーケティングについて学んでおくと役に立つでしょう。地域によっては経営者を目指す人向けの勉強会や、補助金を出してもらえることもあります。
酪農家に役立つ資格や試験
酪農家の命、乳牛の飼育数や生乳の生産量を左右する「家畜人工授精師」
酪農家になるために必ず取得しなければならない資格や、受けなければならない試験はありません。しかし、勉強し、取得することで優遇してもらえる資格や、業務に役立つ資格はあります。
その中の一つが国家資格である「家畜人工授精師」です。家畜人工授精師は家畜用の牛のオスから人為的に精子を採取しメスの子宮に入れて人工的に受精させることです。
乳牛は子どもを産まなければ乳を作らないため、定期的に妊娠させて生産量を減らさないようにしなければなりません。乳牛を食肉用に販売することがあり、酪農家にとって貴重な収入源にもなります。
食肉用の肉の加工を行う仕事を兼業している酪農家もいれば、他の業者に販売する場合もあります。また、乳牛にも寿命があったり、飼育頭数を増やしたりする必要があるため酪農では繁殖のコントロールは重要です。
「家畜人工授精師」の取得方法とは?指定の講習会で勉強すればOK
家畜人工授精師の資格は講習会を受講し、修了考査に合格することで取得できます。合格率などは公開されていませんが、約1か月間の講習会で学ぶ内容を理解すればそれほど難しいものではないと考えられます。
実際の業務で使う技術・知識なので、しっかりと学ぶ必要があるでしょう。また、学校で農業・畜産系を勉強した方は一部学科が免除されることがあります。
農業・畜産を学ぶ学生や社会人におすすめ!「日本農業技術検定」とは
「日本農業技術検定」とは農林水産省・文部科学省後援の検定試験です。農業系の高校・専門学校・大学で学ぶ学生や、農業関係の就職を目指す社会人、農業後継者などを対象とした資格です。
農業に関する基礎知識と同時に、畜産や食品についての理解・知識が問われます。1~3級までレベルで分けられています。3級は入門レベルですが、1級になると農業の高度な知識・技術を習得して実際の仕事で実践しているレベルを求められます。
筆記試験はすべてマークシート式ですが、2級と1級は2次試験があります。2級はマークシート式の筆記試験に合格後、農業機械作業を実際に取り扱う実地研修試験が行われます。1級はマークシートの筆記試験と実践的知識や経験が問われる論述式の試験です。
平成30年度の合格率は、3級が62.3%、2級が19.6%前後、1級が8.5%です。技術試験を受ける必要があるため2級・1級の難易度が上がる傾向が見受けられます。
その他、酪農家に関連性の高い資格・試験
産業獣医師は畜産業・酪農家にとっても重要な仕事!免許の取り方とは?
ペットを飼っている方は、ペットが病気やけがをした時に診察してくれる獣医をイメージする人が多いかもしれません。しかし、畜産業の1つである酪農にとって、牛や豚など大切な家畜を診てくれる産業獣医師はなくてはならない存在です。
獣医師になるためには獣医学部や獣医学科などの学校で6年間勉強し、獣医師国家試験に合格して獣医師免許を取得しなければなりません。通常の医学部と比べても獣医学部を設置している大学は少なく、獣医学系の大学へ入学する時点から狭き門となっています。
また、医学部同様に他の学部学科に比べて授業料が高い傾向にあり、経済的な余裕がなければハードルがさらに上がります。しかし、獣医師国家試験の合格率は8割程度です。学校でしっかり勉強し、受験対策を行えば資格試験自体は難しくないと言えるでしょう。
獣医師免許を取得すると、仕事の選択肢も広い!どのような場所で活躍するか
獣医師免許を取得し、畜産・酪農業に携わる場合、農協などに就職して酪農家や畜産農家を訪問することもあります。中には、獣医免許を持ちながら経営者として酪農業を自ら営む人もいます。
そのほか獣医師の資格を持っていると幅広い選択肢があります。例えば犬や猫がメインの街で開業している動物病院の獣医師として働く人もいます。ペットブームにより、ペット医療の需要も高まっているため、開業して成功すれば収入も格段に増えると言われています。
動物園や水族館などに就職し日々動物の健康管理を行う獣医もいます。また、製薬会社や薬品会社などで研究開発に携わったり、国家公務員として検疫所で活躍する選択肢もあります。
酪農家に役立つ資格が取れる学校とは?
「鯉淵学園農業栄養専門学校」で畜産の基礎から流通まで学んで現場で生かす
「鯉淵学園農業栄養専門学校 アグリビジネス科 畜産コース」では畜産の基礎から加工や流通まで、体系的に畜産を学ぶことができます。家畜人工授精師やよく使用される機械の免許など、現場の活躍に直結する資格取得を目指すことができます。
学生たちが目指す就職先は観光牧場スタッフや農業関連企業、畜産関係の仕事です。効率の良い家畜繁殖改良技術を学ぶことができ、畜産の加工技術や販売力を付けるための知識と技術を磨けるため、就職先での活躍の場は多いでしょう。
校内インターンシップとは?生産から販売までまなべる農産物直売所
鯉淵学園農業栄養専門学校の学内には農産物直売所があり、授業を通して生産された農産物が販売されています。生産から販売まで体験できるため、農業・畜産業に就農する楽しさや難しさを学ぶことができます。
産学連携により、業界内で活躍している企業から先端技術を修得できるため、卒業後も実践に生かせる現場感覚・経営感覚を学べるでしょう。
幅広い分野で活躍!獣医師国家資格取得を目指せる「岡山理科大学 獣医学科」
「岡山理科大学 獣医学部」には獣医学科と獣医保険看護学科が設置されています。
「獣医学科」では獣医師になるためのカリキュラムを受けることができ、医学部や薬学部と連携した「医薬獣連携」を推進しています。獣医師国家資格を持つことで、犬や猫が中心となるペットを治療する仕事以外にも、酪農にも関係する家畜の健康管理や食の安全管理を専門とする道を選ぶこともできます。獣医師国家試験に合格し、幅広い分野で活躍できる獣医師の育成を目指します。
「獣医保険看護学科」では4年のカリキュラムの中で、動物に関わるスペシャリスト「獣医関連専門家」を育成することを目標にしています。人と動物は生活の中で深く関係しており、家族の一員であるペットとして動物とかかわりがあるだけでなく、実験動物や先端医療開発などの分野でも動物に関する専門性が求められます。
動物とのかかわりの中で成り立っている社会で活躍できる知識や姿勢を学ぶことができます。
酪農家の資格・試験まとめ
仕事をするうえで持っていたら便利な資格多数あり!
酪農家になるために必ず取得しなければならない資格はありません。しかし、自動車免許は仕事で使うことが多いため取得し、運転に慣れておくのがベストでしょう。
特別な学歴も求められませんが、農業・畜産系の勉強をしていると未経験の新卒採用でも歓迎してもらえる可能性が高いです。家畜人工授精師などの業務に直結する資格はあると役立つでしょう。
酪農家の参考情報
平均年収 | 200万円~500万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 自然・動物 |
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