動物看護師の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説
動物看護師の仕事内容にはどういったものがあるのでしょうか。動物が心身共に万全になるようにサポートするのが動物看護師であり、社会的にもニーズの高い仕事です。ペット医療に対する関心も高まる中で、その必要性は今後ますます高まっていくでしょう。本記事では、動物看護師の具体的な仕事内容、仕事のやりがいなどについて紹介します。
動物看護師とはどんな仕事?
獣医師のサポートをしながら動物を助ける仕事
動物看護師は、獣医師と協力しながら動物を助けることが主な役割です。獣医師が動物の診察や手術などを行いますが、そのサポート業務を行うのが動物看護師の存在です。
動物看護師は、別名で「アニマル・ヘルス・テクニシャン」や「ペテリナリー・テクニシャン」と呼ばれることもあります。
常に動物の命や健康を守ることを最優先に考えて、そのためにできることを実践します。
飼い主とのコミュニケーションを欠かさない
動物看護師は動物の健康管理や命を守る役割を担いますが、飼い主とのコミュニケーションを欠かさないことも仕事の1つです。
ペットや動物が何か言葉を発したり症状を伝えたりするわけではありません。そのため、詳しい症状やいつ頃から変化があったのかなどを飼い主に確認する必要があります。
基本的に飼い主からの情報を得るのは動物看護師の役割であり、その情報を獣医師に正確に伝えることが求められます。獣医師と飼い主の橋渡しの役割を担うのが動物看護師であり、重要な職責です。
飼い主が不安にならないように治療法を説明したり、経過を知らせることも動物看護師の仕事です。
事務系の業務や環境整備なども行う
直接的にペットや動物に関わることだけではなく、事務系の業務や施設内の環境整備を行うこともあります。動物病院やクリニックなどで勤務する場合は、受付や会計業務、電話やメールの問い合わせ対応といった仕事もこなします。
また、施設内の環境美化に努め、清掃や消毒、備品の管理といった仕事も行います。
長時間労働になることもある
動物看護師の仕事は、長時間労働になることもあります。基本的に動物病院やクリニック、ペットショップなどがオープンしている間は業務時間となるので、朝から晩まで忙しく働くことも珍しくありません。
お客様ありきの仕事であり、閉店間際に来店した飼い主やペットの対応に時間がかかることもあるでしょう。ペットや動物は思い通りに診察できないこともあるので、人を診察する以上に時間がかかることもあります。
オープン前の準備や閉店後の事務作業、後片付けなどを含めると長時間労働を強いられることもあるでしょう。
動物看護師の具体的な仕事内容
動物看護師の仕事は、大きく分けて「診察に関する業務」「事務系の業務」「薬剤に関する業務」「その他の業務」に分類できます。
それぞれの分類ごとの仕事内容について1つ1つ取り上げていきます。
診察に関する仕事
診察は動物看護師としても主となる仕事内容であり、獣医師のサポートという形で役割を果たします。
ペットや動物の健康を守るという意味でも大切な業務となっており、1つ1つの対応を丁寧にこなすことが求められます。
器具の準備や消毒
動物の診察や治療に使う器具は、常に清潔に保つ必要があります。また、すぐに診察に使えるように決められた場所に置いておくことも動物看護師の役割です。
診察を終えたら消毒を行って、次に使う時に支障がない状態にします。不要なものは片付けるなど、獣医師がスムーズに診察しやすい状況を作り上げます。
体温や脈拍の測定
飼い主からもペットの状態を聞きますが、改めて自身でも健康状態を確認します。体温や脈拍に異常がないかなどを確認してから獣医師に結果を伝えます。
体温や脈拍は、治療を行う上でも重要な指針となる情報です。
血液検査や尿検査
必要に応じて動物の血液検査や尿検査も行います。体温や脈拍の測定もそうですが、治療に際しては動物の体内の状況を客観的に把握することが必要です。
血液検査や尿検査などのデータをもとに、どういった治療を行うかや使う薬を決めることもあります。事前に体内の状況を確認することで、どのくらいの期間で回復が見込まれるのか見当をつけやすくします。
ペットの保定
獣医師による診察や治療が行われる際には、ペットの保定を行います。動物やペットは全てがじっとしていられるわけではありません。痛みや慣れない環境に不安になって、暴れたり動き出したりすることがあります。
ペットが動き回らないように押さえておくことで、怪我をさせずに治療を効率的に行うという意味でも必要な役割です。
入院中の動物の健康管理
入院中の動物の健康管理も動物看護師が行います。症状によっては通院だけで治るものもあれば、入院しなければならないケースもあります。
脈拍検査や尿検査、血液検査といった定期的な検査に加えて、餌を与えたり排泄のお世話をしたりすることも求められます。ちょっとした運動が必要だと判断された場合は、ペットを散歩に連れていくこともあります。
飼い主への説明
どういった診察や治療を行ったのか、症状はどうだったのか、どのくらいで回復できそうか、入院は必要かなど、飼い主が知りたい情報を余すことなく伝えます。
症状が改善した場合は、今後どういった生活をさせるのが良いかアドバイスをすることもあります。
手術の際の補助
手術が必要なケースでは補助業務もこなします。相当重い病気や症状の場合は手術となりますが、その際に獣医師の助手となるのが動物看護師です。
手術に使う備品を揃えて、必要な薬剤なども用意します。輸血が必要な場合は輸血に必要な器具や血液なども準備します。
カルテの管理
動物やペットの診察や治療した際には、カルテに必要事項を記入します。具体的な症状や治療内容、使った薬などを記載することで、次回の診察に活かします。
事務系の仕事
事務系は、ペットや動物に直接的に関わる業務ではありませんが、動物看護師として必要な仕事です。
お客様対応を含めて適切にこなすことが求められます。
受付窓口での対応
飼い主が来院した際に受付を行い、ペットや動物の症状や状態を聞きます。
飼い主が最初に出会うのが受付窓口の担当者であり、動物病院やクリニックの代表者としての自覚を持つことが大切です。表情や態度、服装や言葉遣いなどを含めて、気持ちの良いコミュニケーションを心がけることが求められます。
電話やメールなどの問い合わせ対応
動物病院やクリニックなどには、毎日さまざまな問い合わせがあります。営業時間中はもちろん、営業時間外でもメールや電話が来ることがあるでしょう。
そうした1つ1つの問い合わせに対して丁寧に回答します。
会計処理
治療や診察が終わった後の会計処理も事務系の仕事です。診察内容や処方箋などを確認してから、金額計算を行います。
基本的には窓口で直接会計を行い、口頭で処方箋などの説明を行います。病院やクリニックによっては自動精算機がある場合がありますが、その際は自動精算機の場所や使い方を説明します。
ファイリング
外来の受付や会計処理、カルテの管理などを行っていると、さまざまな資料が発生します。そうした資料をまとめて管理します。
頻繁に使うものとそうでないものとに分けて管理することで、仕事の効率を高めることができます。どこに何があるのかわかるように工夫しながらファイリングを行います。
薬剤に関する仕事
動物看護師は、薬剤に関しての知識も求められます。薬剤の管理も含めて、適切に業務をこなせるようにしておく必要があります。
処方された薬や調合された薬の説明
獣医師が必要に応じて処方箋を出しますが、その内容を確認して飼い主に説明します。
薬を調合している場合は、薬の中身を含めて説明します。また、薬の使い方や効能、適切な保存方法を伝えます。副作用がある場合は、その内容も説明します。
薬剤の管理
薬剤の管理も動物看護師が行います。病院やクリニック内にある薬を適切な場所に保管します。
薬の数量や状態を含めて適宜チェックを行います。足りなくなりそうな場合は、製薬会社に注文して薬の補充を行います。
その他の仕事
院内の清掃や衛生管理
病院内は、基本的に常に清潔な環境を保つ必要があります。
怪我や病気を抱えているペットや動物が多くいる場所を不潔な状態にしておくと、かえって症状が悪化してしまう危険性があります。
動物によっては床に座ったり、唾液をたらしたりすることもあるので、床もきれいに清掃します。
院内の環境整備
院内では飼い主やペットがリラックスして過ごせるように、適切な環境整備を行います。清掃や消毒もそうですが、場所によっては生け花を置いたり、展示物を設置したりすることもあります。
また、リラックス効果のありそうな音楽をかけることも良好な院内環境につながります。
備品の管理
診察や治療、手術の際に必要な器具や備品がなければ、スムーズに処置を施すことができません。
タオルやティッシュ、手術用の滅菌布などの備品も常に使える状態にして保管します。使い回しをするものについては、洗濯をしてきれいな状態にします。
全てはスムーズな診察や治療のためであり、手際良く管理を行うことが求められます。
トリミングやグルーミング
場合によっては、ペットのトリミングやグルーミングを行うこともあります。動物の毛のお手入れやカットなどを通して、動物が安心して過ごせるような状態を作り上げます。
毛や皮膚の状態を清潔に保つことで、皮膚炎や感染症といった病気の予防にもつながります。
また、爪のお手入れや耳の掃除を行うこともあります。特に入院中のペットについては清潔感を保つことが重要であり、その役割を動物看護師が担います。
動物看護師の仕事のやりがい
ここまで紹介してきたように、動物看護師にはさまざまな仕事や重要な役割があります。
全てのことはペットや動物の命を守ることにつながり、飼い主から感謝してもらえることも少なくありません。動物看護師としての職責を全うすることで、どういったやりがいを感じられるのか確認していきましょう。
常に動物と触れ合える
事務系の仕事や薬剤に関する仕事などもありますが、基本的にはペットや動物と直接的に関わる時間が多い仕事です。
プライベートな時間ではないので個人的な楽しみというわけにはいきませんが、動物好きな人にとっては常に動物がいる中で仕事をできることに喜びを感じる方も多いでしょう。
動物病院やクリニック、サロンなどにはさまざまな動物がやってきます。これまで見たことがないような動物に触れ合えるチャンスがあることも動物看護師ならではの魅力です。
動物の命を救うことができる
動物の命を救うことができることも大きなやりがいにつながります。こちらも動物好きな人にとっては大きな価値があるでしょう。
病気にかかったり、怪我をしてしまった動物を見るのは辛いものがあります。しかし、そうした状態の動物を自分たちの手で助けることができれば、これ以上の喜びはないでしょう。
獣医師や他の動物看護師と連携しながら治療や手術を行うのは大変な部分もありますが、状態が良くなった時に感じる喜びは何事にも代え難いものがあります。
そうした喜びの瞬間を日常的に味わえることも動物看護師として働くことの醍醐味です。
飼い主の喜ぶ顔が見られる
動物の命を守ったり、症状を改善させたりすることで飼い主の喜ぶ顔が見られることもやりがいにつながるでしょう。自分が一生懸命行った仕事で、飼い主から感謝の言葉を伝えられることも少なくありません。
動物の命や健康を守りたいと思って行っている仕事が、その飼い主を喜ばせることにもつながります。ペットや動物もそうですが、飼い主とのやり取りに魅力を感じて仕事を続ける動物看護師も多いでしょう。
新しい知識やスキルが身につく
動物看護師として働き続けることで、新しい知識やスキルが身につくこともやりがいにつながるでしょう。ペット医療は日々進歩しており、治療内容や処方する薬の中身、病気予防も含めて常に新しい情報が更新されていきます。
そうした情報や知識、スキルを磨き続けることで自身の成長を実感することも可能です。しつけの仕方や食事の与え方、美容や運動方法など、日常の飼い方のアドバイスもできるようになると、さらに仕事の幅も広がります。
自分次第でどこまでも成長できる実感を持てることが、仕事を行う上でのやりがいや充実感につながります。
動物看護師の仕事内容まとめ
動物看護師は獣医師と連携しながら動物の命を守れる仕事
動物看護師には、さまざまな仕事や役割があることを紹介しました。それだけ忙しい日々を送ることになりますが、その分、充実感ややりがいを持って取り組める職業でもあります。
動物の命や健康を守れる存在というのは、とても貴重です。獣医師や他の動物看護師と連携しながら動物の命を守ることで、飼い主の喜ぶ顔を見ることもできます。
そこにやりがいを感じる動物看護師も少なくありません。もちろん、動物の辛い状況を目にすることもありますが、それも含めて動物に対する愛情を活かせる仕事です。
動物を守りたい、命を救いたい、少しでも動物の助けになる仕事がしたいという気持ちがある方は、動物看護師を目指してみると良いでしょう。
動物看護師の参考情報
平均年収 | 200万円~350万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 自然・動物 |
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