コンサルタントの資格・試験とは?役立つ資格の特徴や試験の難易度、合格率などを解説
何か特定の国家資格や試験を受けていないとコンサルタントと名乗ってはいけないということはありません。しかし、企業の経営や財務状況を判断するために必要な知識が求められ、合格しているとそうした専門知識を有していると見なされる国家資格というのはいくつもあります。この記事ではコンサルティングに関連する各種資格・試験についてご紹介します。
コンサルタントの資格とは?
コンサルタントは特定の資格がある職業ではない
コンサルタントになるために必要な資格というのは特にありません。コンサルタントになるためには特定の業界で仕事をし、積んだ経験を生かしてコンサルタントとして独立する、コンサルティングファームに就職してコンサルトを専門に行う会社員になるなど複数のコースがあります。
ですが、どのコースを進むにしてもコンサルタントになるために国家試験を受けなくてはいけないということはありません。個人の能力や経験が何よりも求められます。特定の資格があればなれるという職業ではありません。
コンサルタントの仕事を行う上で有利な資格はある
ですが、経営コンサルタントなどの仕事をする上で役に立つ資格はあります。企業の経営や財務状況などを把握する際に、MBAや公認会計士などの資格を持っていれば、その資格を取るために必要な専門知識に基づいた判断を下すことができます。
コンサルタントの仕事に関係する資格
コンサルタントの仕事に関係する資格は以下のようなものがあります。
中小企業診断士
経営コンサルト唯一の国家資格と言われているのが中小企業診断士です。販売、会計、財務、マーケティング、生産管理など経営に関する全般的な知識をもって中小企業へ経営の診断や助言をする専門家です。後述するMBAと近い資格とも言えます。
企業内で実務経験を積んだビジネスマンが独立してコンサルタントになる時にこの資格を取得するケースが多く、中小企業診断士の登録は40~50代が多数を占めています。
税理士
税理士は弁護士や司法書士に並ぶ国家資格であり、顧客に代わって確定申告を行ったり、相続税などの税務書類の作成などを行う仕事です。税金に関する専門知識を生かして節税についてのコンサルティングを行うこともできます。
公認会計士
会計の専門家で、企業や公益法人などの財務情報が適正に表示されているか独立した立場から監査するのが主な仕事です。その専門知識を生かして会計に関するコンサルティングも行います。
公認会計士の資格を取れば税理士の資格も同時に得ることができるので、税理士登録すれば税理士としての業務も行うことができます。公認会計士の主な仕事である監査は大企業に対して行うものなので、税理士に比べて大企業が顧客になることが多いようです。
MBA
Master of Business Administrationの略で、経営大学院の修了者に与えられる資格です。経営大学院はビジネススクールとも呼ばれ欧米の学校のイメージが強かったですが、最近では国内のビジネススクールも増えています。
国家資格ではありませんが、経営について専門的な教育を受けたことの証明になるので、マネジメントやコンサルトをする上で役に立ちます。独立する上でこの資格を取ってから起業する人も多いです。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーは個人の資産運用について相談と助言をする資格で、顧客の家族構成や収入、保険などのデータからライフプランを作成するのが仕事です。国家資格としてファイナンシャルプランニング技能士というものがあり、1級から3級までわかれています。
コンサルタント関係の資格の難易度・合格率
中小企業診断士
中小企業診断士試験は受験資格などは特にない試験です。一般社団法人中小企業診断協会が試験を実施しています。試験は1次試験と2次試験があり、1次試験を合格した者のみ2次試験に進むことができます。
中小企業診断士試験の難易度・合格率
試験は1次試験と2次試験に分けられています。1次試験では経営に関する知識を問われます。試験科目は以下の7つです。
- 経済学・経済政策
- 財務・会計
- 企業経営理論
- 運営管理(オペレーション・マネジメント)
- 経営法務
- 経営情報システム
- 中小企業経営・中小企業政策
以上の7科目を3年以内にすべて合格すれば1次試験合格になります。合格率は20%ほどです。また、動産鑑定士は経済学科目を免除、公認会計士や税理士は財務・会計科目を免除など、特定の国家資格を持っていれば一部の科目を免除することができます。
2次試験は中小企業診断士になるために必要な実務能力を測る試験で、筆記試験と口述試験があります。筆記試験は以下の4つの問題から構成されています。
- 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 I (組織(人事を含む))
- 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 II (マーケティング・流通)
- 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 III (生産・技術)
- 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 IV (財務・会計)
「総得点が60%以上で、40%未満の科目がないこと」が合格基準で、合格率は20%ほどです。2次試験合格後3年以内に実務補修を行うことで中小企業診断士として登録を受けられます。
税理士
税理士試験に合格すれば税理士になることができます。税理士試験を受けるためには学識・資格・職歴のいずれかで受験資格を満たしている必要があります。学識による受験資格は大学や短大で法律学を履修、司法試験に合格、公認会計士試験の短答式試験に合格などが条件です。
資格による受験資格は日商簿記検定1級もしくは全経簿記検定上級が条件です。
職歴による受験資格は会計に関する事務に2年以上従事した者、銀行・信託会社・保険会社で資金の運用に関する事務に2年以上従事した者、税理士・弁護士・公認会計士などの業務の補助事務に2年以上従事した者が条件です。
税理士試験の難易度・合格率
税理士試験では税法と会計に関する知識を問われます。試験科目は簿記論と財務諸表論の必修科目、法人税と所得税のどちらかから選ぶ選択必修科目、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、事業税又は住民税、固定資産税、及び選択必修科目として選択しなかった科目のうちいずれかから2科目選ぶ選択科目で合計5科目あります。
合格基準は60点以上で、一度合格した科目はずっと合格扱いになるので何年かかけて5科目合格を目指すのが一般的です。例年の科目合格率は10~20%で、最終合格率は2%前後とかかなり難易度の高い試験です。
公認会計士
公認会計士試験には年齢や学歴などの受験資格はありません。1次試験と2次試験に分けられており、1次試験は年に2回開催されています。試験に合格したらすぐに公認会計士になれるわけではなく、合格後2年間の実務経験と実務補修を受けて終了考査に合格しなければいけません。
公認会計士試験の難易度・合格率
1次試験はマークシート方式による短答式試験で、会社法、管理会社論、監査論、財務会計論の4科目から構成されています。「総得点が70%以上で40%に満たない科目がないこと」が合格基準で合格率は20%ほどです。1次試験合格者は翌年と翌々年まで短答式試験が免除されるので1次試験に合格してから1年勉強して2次試験に挑む人が多いようです。
2次試験は論文式試験で応用能力が試されます。財務会計論(簿記・財務諸表論)、管理会計論、監査論、企業法、租税法の必須科目と、経営学、経済学、民法、統計学の中から1つ選ぶ選択科目から構成されています。「総得点が52%以上で40%に満たない科目がないこと」が合格基準で合格率は35%ほどです。
ファイナンシャルプランニング技能士
ファイナンシャルプランニング技能士の資格は1級から3級までわかれており、3級は特に受験資格は必要ありませんが、2級は3級の資格が、1級は2級の資格が必要です。
ファイナンシャルプランニング技能士の難易度・合格率
級 | 学科試験 | 実技試験 |
---|---|---|
FP3級 | 70~80% | 80~90% |
FP2級 | 40~50% | 50~60% |
FP1級 | 10% | 80~90% |
コンサルタントの資格・試験まとめ
国家資格はないが、中小企業診断士や公認会計士など役に立つ資格はある
この資格を持っていないとコンサルタントとして仕事をしてはいけないという資格はありませんが、中小企業診断士や税理士、公認会計士、MBAなどコンサルト業務を行う上で役に立つ資格はあります。
コンサルト企業に勤める上でも、独立したコンサルタントになる上でも経営や財務についての知識は必要です。これらの資格を取る勉強をすれば合わせてその学識を得ることができます。
自分が専門にしたいコンサルタント業務の分野や会社の方針などを見てそれに合った資格を取得するといいでしょう。
コンサルタントの参考情報
平均年収 | 500万円~1000万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | その他 |
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