ブリーダーの仕事内容と必要なスキルは?動物好きにとって天国?
なんとなく言葉の響きは知っているが、日本ではそこまで馴染みがないブリーダー。動物たちに囲まれる楽しい生活のイメージがある職業ですが、実は想像以上にハードな職業です。今回はこの記事でブリーダーの仕事の特徴、魅力、想像以上の大変さなどについてご紹介します。
ブリーダーとはどんな仕事?
動物の繁殖や品種改良を専門に行う人をブリーダーと呼ぶ
ブリーダーは、ペットとして販売される血統などを考慮して健康な動物を繁殖している者と、産業動物の繁殖を行っている者に大きく分けることができます。
日本では主に犬の繁殖を行うような前者がブリーダーと呼ばれていますが、競走馬の育成から管理までを行う者も仕事内容としてはブリーダーと言えます。
扱う動物の種類は千差万別
ブリーダーが繁殖や品種改良を行う動物のイメージは、一般的に思い浮かべる犬はもちろんのこと、猫や熱帯魚、昆虫、爬虫類などのブリーダーをしている人もいます。もちろん犬が一番人気が高いため、ブリーダーと聞いて一番初めに思い浮かぶのは犬の繁殖になるのは当然と言えば当然です。
動物を愛するだけでなく、確かな知識も求められる
ブリーダーの仕事は動物の繁殖だけでなく、飼い主となる人に対して動物の血統からくる個性を理解してもらうことや、飼育管理などの必要な知識を伝えることなども必要です。
ゆえにブリーダーとして必要なことには動物を好きなのは当然ながら、それぞれの特性を活かし優秀な血統を後世に残していくためにも、確固たる知識が必要です。
ブリーダーとしての働き方
ブリーダーとして働くにためには国家資格などの特別な資格は必要なく、学歴や年齢なども問われないのでどのような方にも門戸は開かれています。ただし、独立して開業するためには、「動物取扱業」の届出が必要となります。
全くの素人がいきなり開業して自分だけでブリーダーとしてやっていくことは不可能ですので、大体の人は初めにすでにブリーダーとして働いている人の下で経験を積むことになります。
アルバイトとしてのブリーダー
未経験者の場合、初めは「アシスタント」「サポートスタッフ」というような形でアルバイトとして始めるようなパターンがほとんどです。時給は大体850円~1,000円程度ですが、ブリーダーとしてのスキルは実業務を通じて身につくものがほとんどですので、給料自体よりも、ブリーダーとしての経験をつむことは将来的に大きな財産となるでしょう。
ブリーダーとして企業に勤める
企業に勤める場合には、「研修生」「サポートスタッフ」としてスタートすることが多く、初任給は14~20万円前後といわれています。働く企業によってだいぶ差がありますが、平均すると決して高給とは言えません。
働く企業次第で給料に多少の差は生じますが、いずれにせよ小中規模な企業が多く、福利厚生の面から言うとアルバイトと同様に安定的でないと言えます。未経験者を受け入れてくれる企業もあれば、動物専門学校卒業生を対象としていることもあります。
ブリーダーとして独立・開業する
前述の通り、独立してブリーダーとして販売を行う際には、事前に「動物取扱業」の届出が必要になります。動物取扱業の届出をするには「動物取扱責任者」の資格を得る必要があり、資格取得には、以下の要件いずれかを満たす必要があります。
- 動物病院やペットショップなどで6ヵ月以上の実務経験を積む
- 動物に関する学校(大学・短大など)で1年以上学ぶ
- 専門学校などで関連する講座を受講する
アルバイトにせよ、企業に勤めるにせよ、決して高給と言えないブリーダーの仕事ですが、その中で平均以上の給料・年収を稼いでいる人の多くは、独立・開業するケース以外ほとんどありえません。
ですがそれは非常に狭き門であり、年収1,000万円以上を目指すことも夢ではないですが、そのような人は本当にごくわずかです。
開業資金の準備などもさることながら、昼夜を問わず動物の世話をしなくてはならず、場合によって動物の死に立ち会わなくてはならないこともあります。華やかな面だけでなく、むしろアルバイトや企業で働いていたよりも数倍厳しい職場環境になると言えます。
ブリーダーの仕事の具体的な内容
動物の繁殖
ブリーダーは動物を健康に育てるために、動物たちの生活環境を常に清潔に保つ必要があります。繁殖前に病気になってしまうことはもっとも恐るべき自体なので、健康的な繁殖をするためにも、動物の身の回りの世話には常に気を配ることが求められます。
四六時中お世話をしてきた動物たちが成長し、無事に子どもを産む瞬間の感動はブリーダーとしてもっとも感動する瞬間の一つでしょう。
交配には専門知識と経験が不可欠
交配をするには、遺伝学、生理学、行動学などに基づき、親の健康状態や精神状態を考慮しながら適切な方法で行う必要があります。
親から受け継がれる遺伝的リスクや母体のコンディション、両親の毛色の組み合わせや遺伝的要素の相性、性格の相性まで細かく分析し、望ましいタイミングで交配を行うのことがブリーダーには求められます。
動物の販売
繁殖した動物は新たな飼い主の手に渡ることになります。動物との別れは寂しさを感じることもありますが、繁殖までだけがブリーダーの仕事ではなく、新たな命の幸せを願いながら飼い主に引き渡す瞬間も、お世話をしてきた動物が出産をする瞬間と同じように大きな達成感を得ることができます。
飼い主と信頼関係を築いておけば、その後も知識面で頼られるなどお付き合いすることは当然ありますし、後々飼い主が動物の成長した姿を見せに来てくれることもあります。
販売方法
動物を販売する際には出す情報など、かつては口コミや専門誌などで情報を得ることが一般的でした。ですがインターネットの普及により、小さいペットを求める飼い主と、手塩にかけて育てた動物を譲るブリーダーとの関係は以前よりもはるかにマッチングしやすくなりました。
ドッグショーやコンテストへの参加
ドッグショーやコンテストではブリーダーが大切に育ててきた犬たちが、犬種として理想的な姿が保たれているか、しつけは行き届いているかといった点が重視されます。そのような厳しい審査の中で良い成績を収めることができた場合、ブリーダーとしてとても良いアピールとなるため、大会へ参加することは重要な意義を持ちます。
ブリーダーの仕事のやりがい
新しい命が生まれる瞬間
自分が手塩にかけて育ててきた動物が無事に子どもを産んだ。出産の瞬間を目の当たりにするこの経験は何回見ても涙することは間違いありません。新たな命の誕生の瞬間はそれほど感動的なものです。
小さな命の成長観察
出産後は手のひらサイズくらいの小さな動物が日々成長していく姿、それを一番近くで見ることができることも、ブリーダーのやりがいと言えるでしょう。
毎日ほぼ休みもなく動物と一緒に過ごす生活になりますが、動物のそばで生きることに喜びを感じられる人にとって、愛すべき動物の成長を身近に感じることができるのは、他に変えがたいやりがいとなります。
新たな飼い主の元での成長を知った時
前述の通りブリーダーの業務は繁殖のみならず、販売、そして新たな飼い主に対して知識の提供まで行ってこその仕事です。新たな飼い主が自分が育ててきた犬の元気な姿を見せに来てくれて、新たな家族の下での幸せそうな姿を見た時に感じる幸福感は、まさに自分の子どもの成長を見る親の心境と同じくらい尊いものです。
毎日の生活
繁殖、販売のタイミングや、コンテストで上位入賞した時、新たな家族の下で元気な姿を見たときなど、ブリーダーにはそれぞれ嬉しくなるタイミングはあります。当たり前ですが、ブリーダーの生活は常に動物に囲まれており、その忙しさは決して簡単なものではありません。
だからこそ、動物やペットのことが好きな人にとってはそんな、動物たちに囲まれて当たり前のようにお世話をする毎日こそがやりがいである、と感じる人たちもいます。
毎日やりがいを感じながら育てているからこそ、出産や販売などの特別なタイミングでの感動はひとしおになるのだと思います。
ブリーダーの仕事内容まとめ
動物たちを愛しているからこそやりがいを感じることができるハードな仕事
動物好きにとって夢のような仕事に見えるブリーダーは、毎日動物たちとその生活環境など様々な面に常に気を配らなければいけない、非常に忙しい仕事です。
特別な学歴や年齢などは重要な要素ではなく、未経験でも始めることができる職業ではありますが、やはり問われてくるのは動物たちを心から愛せるかどうか、動物たちとの毎日の生活を楽しむことができるかどうかだと思います。
多くの動物たちの命を扱うことになるため、生活の一部どころでなく全てが動物中心となります。意外と力仕事も多く、生活も不規則になることがあるため、精神面、体力面ともにタフさは必要となります。
ブリーダーの基本は動物たちのお世話をすることであり、それを毎日行うからこそそれぞれに対して愛情を感じるようになり、その分出産のタイミングは涙なしに迎えることができません。当然のことながら、病気になってしまうケース、出産がうまく行かないケースなど悲しい事態もありますが、それらを乗り越えて大きな愛情で動物たちに接することができる人にとっては非常にやりがいを感じることができる職業です。
給料面など決して良いわけではないですが、独立・開業した後の頑張り次第で大きく変わりますし、何よりお金で表せない経験や感動を味わうことができるという面で、ブリーダーという職業は非常に魅力的な職業であると言えます。
ブリーダーの参考情報
平均年収 | 300万円~400万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 自然・動物 |
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