賞状書士の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説
副業や在宅ワークとして人気の賞状書士。毛筆で文字を書いているようですが、実際の仕事内容はどのようなものでしょうか。このページでは、賞状書士の具体的な仕事内容、仕事のやりがい、求められるスキルなどについてご紹介しています。
賞状書士とはどんな仕事?
賞状のほか様々な毛筆文字を手がける
賞状や結婚式の座席札などで、美しい毛筆の文字を目にしたことがあるでしょう。あの文字を書くのが賞状書士の仕事です。
コンピュータが普及し、毛筆フォントでの文書作成が増えてきた昨今でも、手書きの毛筆文字には一定の需要があります。賞状書士は、賞状の他にも以下のような様々な文書作成を手掛けています。
- 表彰状、感謝状
- 卒業証書、修了証
- 熨斗紙、熨斗袋
- 胸章、名札、座席表
- 謝辞、目録、式次第
- はがき、封書
- 飲食店の品書き
在宅で仕事をすることが多い
賞状書士の就職先としては、筆耕を請け負う会社、冠婚葬祭を取り扱う会社や、ホテル、デパート、ギフトショップなどが考えられます。ただし、賞状書士のみの仕事をする人を雇用している企業はほぼありません。他の業務も担う中で、機会があれば賞状書士の仕事もしているという人がほとんどで、仕事をしてもそれに特別手当が付くということもほとんどないようです。
実際のところ、賞状書士の多くは、企業に就職するのではなく、在宅で仕事をしています。賞状書士の仕事は年俸制や月給制よりも出来高制の場合が圧倒的に多いので、自宅で仕事をしたい人、自分の自由になる時間に働きたい人、フルタイムほどは働きたくない人に向いていると言えます。
筆耕を手がける会社や人材派遣会社に登録している賞状書士も多くいますが、その場合でも請け負った仕事は自宅で作業をすることがほとんどです。また、自宅で書道教室を開いたり、書道家として作品を製作したりしながら、副業として賞状書士の仕事をしている人も多くいます。
家計の主となる収入源としてではなく、家事の合間に出来る在宅ワーク、副収入として賞状書士をしている人も多いようです。このように、賞状書士は、在宅ワーク、副業としては、とても人気があります。
意外とハードな側面もある
賞状書士の仕事は、机に向かって文字を書くだけの簡単な仕事のようにも思えますが、実態は意外とハードなこともあるようです。
まず、賞状書士の仕事は在宅で行うことが大半のため、黙々と作業をこなさなければなりません。また、長時間、文字を書き続けるのは思ったより肉体的に疲れるものですし、集中力を要求されるので、精神的にも疲労します。仕事の評価はそのような疲れとは無関係ですので、誰にも見えないところで苦労を重ねることになります。
地道な作業が苦手な人には向いていない職業と言えるでしょう。
賞状書士の収入は低め
賞状書士の収入は、月数万円から多くても10数万円前後と言われています。これだけで生計を立てるには厳しい水準で、自宅で書道教室などを開催しながら副業として賞状書士をしている人が多いのが実態です。
在宅で仕事をするので、通勤時間が必要ないことや、自分の好きな時間に仕事ができるメリットがありますが、収入はそれほど恵まれているとは言えないようです。しかし、賞状書士の仕事には、収入以上の魅力もあると考えられます。
お客様の人生の節目にあたり、陰ながら場を引き締めたり盛り上げたりする役割を担う、縁の下の力持ちとしての仕事に誇りや意欲を感じられる人に向いている仕事です。
賞状書士の具体的な仕事内容
下書きをもとに作品を仕上げる
毛筆で賞状を書くような場合は、決められた文章をバランスよくスペース内に収めなければなりません。その際、高級な紙に線を引いたり下書きをしたりするわけにはいきませんので、ライトテーブルというものを使います。
ライトテーブルは、透明または半透明の板の下からLEDなどで明かりを照らすものです。この上に目安の線や下書きの文字を書いた原稿を置き、上から賞状用の紙を重ねます。下からの明かりで下書きが透けて見えるので、それを目安に毛筆で書いていきます。文章は縦書きでも、書いたところを手で汚さないよう左側から書いていきます。
はじめは下書きを作るのも一苦労
慣れないうちは下書きを作るだけでも結構な時間がかかります。定規で線を引いたり、文字の大きさを測ったりしながら下書きを作成しますが、単に曲がらないように書くとか1行あたり何文字書くということではなく、紙面のどこに画数の多い漢字を配置するか、賞のタイトル、名前などをどのくらいの大きさで書くかなど、気を配らなければならないことがたくさんあります。
ベテランの賞状書士は、下書きなしでも美しく仕上げることができます。また、賞状書士は活字のような楷書を書けばよいわけではなく、手書きの良さを活かした存在感のある文字を書くことが求められます。このため、習字が得意ならすぐになれるというわけではなく、一流の賞状書士になるまでにはかなりのトレーニングが必要とされます。
スピードを求められることも
賞状書士は、たくさんの人の礼状や宛名書きなどを担当することもあります。日程的に余裕があることばかりではなく、限られた時間で仕上げることを要求されることもあります。そのような場合でも、文字が汚くなるなどもってのほか。常に美しく、読みやすい文字を書くことが必要です。
賞状書士の仕事のやりがい
お客さまの大切な場面を引き立てる
賞状書士は、活躍をした人への表彰状や感謝状のほか、卒業証書や結婚式の座席表、式次第といった大切な行事に使われる文書を手掛けることが多くあります。自分が書き上げた文字をお客様から美しいと評価されることは、賞状書士の大きなやりがいとなります。
自分の腕前で勝負する
賞状書士は、高級な用紙に毛筆で直接文字を書くので、失敗が許されません。単に美しい文字を書くということだけではなく、全体のバランスにも気を配るので、相当の集中力が必要です。賞状書士の仕事は自分のスキルひとつでの真っ向勝負ですから、良い作品として仕上げることができれば、大いに満足感を得ることができるでしょう。
手書きならではの文字
近頃はコンピュータの毛筆フォントもかなり普及していますが、それでも手書きの文字に一定の需要があるのは、手書きならではの重厚感や温かみを求められるからでしょう。招待状、礼状などは、手書きの方が喜ばれると考えるひとも多くいるようです。手書きならではの、人の心に響く文書を作成できることは、賞状書士ならではの喜びです。
体力的な大変さ以上の喜びも
賞状書士は、一見すると机に向かって文字を書くだけの簡単な仕事に思えますが、実際には体力や精神力を要する仕事です。
仕事の内容にもよりますが、細かい文字を書いたり、限られた時間で大量の宛名書きを仕上げなければならなかったりと、大変なことがあります。ずっと同じ姿勢をしていて疲れるということもありますし、眼精疲労、腰痛などを抱える人もいます。悪くすると腱鞘炎になってしまう人もいます。
また、同じような作業が続く中で集中力を欠かさないようにするのは意外と大変なものです。このような大変さがありながらも、賞状書士がやりがいを感じるのは、文字を書くのが好きなことや、自分が書いた文字が多くの人の目に触れ、喜ばれるからでしょう。
お客様の大切な日への思いを受け止めながら、文字での演出を担うことができるのは、賞状書士ならではのやりがいです。
知識やスキルが身につく仕事
賞状書士は、熨斗や目録といった伝統的な文書も扱うため、仕事をしていくと文化やマナーを学ベルことも多くあります。また、楷書以外にも隷書や行書、旧字体、特殊な文字などを書く機会もあります。経験を積むと同時に知識やスキルも身につけることができることは、賞状書士の仕事の魅力の一つと言えます。
賞状書士の仕事内容まとめ
見えない努力でお客様を喜ばせる仕事
コンピュータの毛筆フォントには出せない、人を惹きつける文字を書くことができる賞状書士。お客様にとって大切な場面で用いられる文書を存在感のある魅力的なものに仕上げるためには、トレーニングが欠かせません。
自分の腕前がそのまま仕事の評価となる、求道的とも言える仕事には、意外とハードな側面もあるようですが、自分の書いた文字が多くのお客様の目に触れ、喜んでもらえることは、賞状書士の大きなやりがいとなります。
賞状書士の参考情報
平均年収 | 100万円~200万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | その他 |
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