賞状書士になるには?必要スキルや向いている人の特徴などを具体的に解説
毛筆で賞状などに綺麗な文字を書く賞状書士になるには、どのようなスキルや適性が求められるのでしょうか。今回はこの記事で、賞状書士になるために求められることや向いている人の特徴、学校・教室選びなどについてご紹介します。
賞状書士になるには何が必要?
スキルがあれば誰でも可能
賞状書士になるためには、まずしかるべきスキルを身につけることが大前提となります。賞状書士は、毛筆で美しい楷書を書くスキルが必要ですが、一般的な書道とまったく同じということではなく、賞状書士ならではのコツがあります。もちろん独学でも構いませんが、賞状書士を目指す人向けの講座などもあるので、プロに教えてもらいながら学ぶことも考えられます。
美しい文字と言っても、絶対的な基準があるわけではありませんので、一定程度のスキルがあれば、誰でも賞状書士として仕事をすることは可能です。お客様から高い評価を得られれば、次の仕事にもつながりやすいでしょう。
一定程度の収入を得るためには資格や登録が有利
賞状書士になるために必須の資格や学歴、年齢制限などはなく、なろうと思えば誰でもなることができます。
ただし、賞状書士の仕事は出来高制のことがほとんどですので、ある程度まとまった収入を得るためには、それなりの分量の仕事を受注する必要があります。無名の個人が多くの仕事を受注するのは現実的ではありませんので、筆耕を行なっている企業や人材派遣会社に登録して仕事を得ることが考えられます。中には、自分の書いたものを筆耕会社へ送るなどしてアピールする人もいるようです。
また、自分のスキルを証明するため、民間企業・団体等が実施している認定資格を取得する人も多くいます。認定資格は、スクールなどに通って取得することもありますし、通信講座で取得できるものもあります。資格取得者には仕事をあっせんしてくれる企業・団体もあるので、仕事の獲得にも有利となります。
もちろん、これらの資格や登録を経ないで、自分で仕事を獲得している人もいます。インターネット、SNSなどを上手に活用して、お客様に効果的に訴求することができれば、個人でも一定以上の仕事を獲得できる可能性はあります。
賞状書士に向いている人、適性がある人
文字を書くのが好きな人
賞状書士の適性としては、何と言っても毛筆で文字を書くのが好きなことが挙げられます。文字を書くことそのものが仕事ですので、これが嫌いな人が賞状書士を続けるのは困難でしょう。
また、文字が上手なことも求められます。毛筆の基本的なスキルはもちろんですが、賞状などは一般的な書道とは異なる独特の文字の書き方があります。
お客様に喜ばれる美しい文字を書くためには、日々のトレーニングも必要です。人に見えない所でも、地道な練習を積み重ねて努力できるタイプの人に向いている仕事と言えます。
体力と精神力がある人
賞状などの用紙は高価なものが多く、汚したり書き損じたりしてしまうと用紙代を弁償しなければならないことも多々あります。このため、失敗なく仕上げられるよう、高い集中力、注意力が要求されます。
賞状書士の仕事は、ほんの少しのミスで作品全体が駄目になってしまう、繊細なものです。また、宛名書きなどは似たような作業を長時間やらなければならないことがあります。長時間の作業をすれば筆を持つ手がくたびれますし、目が疲れた、腰がいたい、と体の色々なところに疲れが出てきます。
自宅で作業をする場合、同僚に助けてもらうというわけにもいかず、プロとして受託した仕事は必ずやり遂げなければなりません。このため、賞状書士の仕事は体力や精神力がないと長くは務まりません。一人で黙々と作業をするのが苦にならない方にとっては、向いている仕事と言えるでしょう。
待遇以上の喜びを感じられる人
賞状書士の仕事はほとんどが出来高制で、収入は1ヶ月あたりで数万円から10数万円の人が大半です。
収入を増やすためには数多くの仕事をしようとしても、常に希望通りに仕事を受注できるとは限りませんし、体力や精神力を要するため、作品を仕上げるスピードにも限界があります。このため、現実的にこなせる仕事量はある程度限られ、必然的に収入も限られることになります。
賞状書士の収入は、副業や在宅ワークとしては悪くないと考える方もいるかもしれませんが、生計を立てる収入としては物足りなさを感じる方も多いでしょう。賞状書士は、美しい文字を書くことやお客様に喜んでいただけることに情熱を感じることができる人、待遇面以上の喜びややりがいを感じられる人にはとても向いている職業と言えます。
賞状書士になるための学校・教室
スキルの証明や仕事の獲得を目指そう
賞状書士になるために必須の学歴などはありませんが、民間企業・団体等が実施している学校・講座を受講し、認定資格を取得していれば、自分のスキルを客観的に証明したり、仕事をあっせんしてもらったりする際に有利となります。
賞状書士に関連する代表的な団体としては、日本賞状技法士協会、株式会社賞状書士センター、日本筆耕技能協会などが挙げられます。また、公益財団法人日本書道教育学会や東京書道教育会などでも教育講座が実施されています。その他、賞状書士になるための学校・教室は全国各地に多数あります。カリキュラムや受講料は学校によって様々ですので、ぜひご自分に合った学校を探してみてください。
以下では、代表的な講座・教室を紹介します。
日本賞状技法士協会の講座
日本賞状技法士協会では、通学による講座と通信講座を実施しています。賞状や挨拶状、宛名書きなど、幅広い毛筆の仕事に対応できる技能と知識を学ぶことができます。通学講座は銀座校または横浜港で月1回または月2回です。通常は、12ヶ月の実践コース、6ヶ月の応用コース、さらに6ヶ月の研究コースの2年間です。
受講料は、実践コースは3ヶ月ごとに異なっていて、「実践Ⅰ」(1年目前期)が38,000円、「実践Ⅰ」(1年目後期)が31,000円、「実践Ⅱ」(2年目前期)が33,400円、「実践Ⅱ」(2年目後期)が30,000円です。また、応用コースは3ヶ月ごとに前期が36,800円、後期が32,000円、研究コースは前期36,800円、後期33,800円です。
通信講座は、6ヶ月の実務編と実践編・応用編・研究科(各12ヶ月)を受講する「教材コース」と、実践編・応用編(各12ヶ月)から成る「教材+DVD付コース」があります。受講料は、「教材コース」の実務編が28,000円、実践編が43,000円、応用編が45,000円、研究科が43,000円、「教材+DVD付コース」の実践編は74,250円、応用編は59,800円です。
いずれのコースでも、終了時に同協会が実施している技能検定を受けることができます。なお、同協会には毛筆受注センターと毛筆人材登録システムがあり、受注センターが公官庁などからの照会を受けて登録された人材の中から適切な人を選んで仕事を紹介します。技能検定に合格すると、このシステムに登録することができるようになります。
株式会社賞状書士センターの教室
株式会社賞状書士センターは、直轄の教室と提携教室があります。場所は首都圏や関西地方のほか、富山県、香川県にもあります。各教室では、漢字、ひらがな、カタカナだけではなく、数字やアルファベット、都道府県名などの書き方も具体的に学ぶことができます。また、レイアウトについても実践的に学べます。
コースは半年間の「通学・基礎課程」と、1年間の「通信・基礎課程」や「通学・応用・検定課程」があります。「通信・基礎課程」の受講料は、入会金2,000円、添削料51,200円、教材費9,500円、連絡費2,000円、合計64,700円です。通学の過程は、教室によって受講料が異なります。
なお、各課程修了時などに同社が実施している検定試験を受験することができます。
賞状書士になるには?まとめ
仕事を受注する能力も大切
賞状書士になるには、賞状などでよく使われる毛筆文字を書けることが必要です。そのスキルさえあれば、学歴や職歴を問わず誰でもなることができます。実際の仕事は在宅で行なうことが多く、収入は出来高制がほとんどです。
このため、スキルに加えて仕事をスムーズに受注することがポイントとなります。教室に通ったり資格を取得したりすると仕事をあっせんしてもらえる学校などもあるので、上手に活用しましょう。
賞状書士の参考情報
平均年収 | 100万円~200万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | その他 |
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