航空管制官になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説

航空管制官になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説

航空管制官は、空港の管制塔や、広域の航空路を観測できる部署などで、リアルタイムに飛行機の動きや状況を把握しながら、安全かつ適正な飛行を行ってもらうためにパイロットに指示を出し、また関連機関や部署への調整を行う仕事。些細なミスが人命に直結する、責任の大きな職業です。今回は、航空管制官に向いている人の適性や、求められるスキルについてご紹介します。

航空管制官になるには必要?

まず第一に、視力・聴力・色覚など感覚機能が最も重要

航空管制官という仕事は、非常に細かいパイロットからの合図や、安全な飛行に支障をきたしそうな状況の徴候、空港周辺に位置する飛行機の様子、気候変動の兆候などを、レーダー監視、あるいは目視において迅速に把握し、その状況に見合った管制指示を行わないといけない、非常にハードな仕事です。

航空管制官としての仕事を俊敏に、かつ効率的に的確に行うためには、一定以上の視力・聴力・色彩感覚など、感覚機能が敏感に機能している人でないといけません。実際に航空管制官の採用試験においても、視力、聴力、色覚、空間把握力、作業記憶力などに関して基準が設けられていて、基準に達しない場合は試験に合格できないようになっています。

一定レベル以上の英会話スキルが必要

航空管制業務は、世界共通の的確な管制業務が行えるように、全て航空英語という、航空交通管制に特化した英語が用いられます。管制業務は、効率よく迅速に諸々の指示が飛ばないと安全に支障が出てしまいますので、航空英語は、伝わりやすい言語構成力、キーワードがしっかり聞こえるような発音力が必須となります。

ですので、英語は読めるけれど喋れないなど、英会話が苦手な人は、航空管制官になることはできません。実際に航空管制官採用試験においても、リーディング、英文法などとともに、英会話試験もしっかりと行われます。面接試験で一定レベル以上の英語力を持っているかを、慎重に判断されます。基準に達しない場合は、容赦無く落とされてしまいます。

航空に関する、幅広い知識と教養が必要

航空管制官、特に軍、自衛隊などに携わる航空管制官は、非常に高いレベルの教養が求められます。

飛行機のメカニズムはもちろん、気候変動やエンジントラブル、バードストライク(鳥などが衝突しプロペラ部に詰まってしまうこと)などの徴候の把握、適正な運航が行われているかの把握のためのレーダーに関するあらゆる知識、広域に及ぶ空間認識能力など、航空には普通の人には求められないようなレベルでの知識が要求されます。

飛行機は航空力学、流体力学が大きく関わりますが、そのほかにも、気象学、地理学、天文学、環境学、地震学、物理学、運動力学、生物学などありとあらゆる、「空」に関する知識に精通していなければ、いざ有事の際に、危険を察知することすらできません。

航空管制官採用試験においても、大卒程度のレベルの教養試験が行われますが、航空保安大学校などでの研修の際に非常に多岐にわたる専門知識を叩き込まれます。就職してからも、ありとあらゆる分野に知的関心を持って、自分から進んで学んでいく必要があります。

特に有事の際の緊急対応は、過去の同様事例に頼ることが多いので、できる限り多くの事例の資料にあたって、ストックとして対応方法を身につけておく必要があります。

大学職員に向いている人、適性がある人

心身ともに健康な人

航空管制官は、非常に責任が大きく、常に神経を研ぎ澄ませていないと務まらない繊細な仕事です。

航空管制官はレーダーや気候、各種計測データ、パイロットからの要請、ありとあらゆる情報に接し、それを元に運航計画を審査し、運航中の指示出しを行い、危険を予防します。一度管制の指示ミスがあると、パイロット、周辺の飛行機をはじめ、あらゆる関連機関、部署に通達され、一斉に緊急対応を調整しないといけなくなります。非常にプレッシャーの高い仕事です。

ですので、航空管制官に向いているのは、心身ともに健康な人と言えるでしょう。特に心筋梗塞などを突如起こす可能性のある胸部疾患を持っていたり、視力・聴力・色覚・空間把握力・記憶力のいずれかが極端に劣る場合、航空管制官になることはできません。

しかし人間の仕事ですから、ミスを100パーセント防ぐことは不可能です。いざ人的なミスが起きた際にも、関連各所で一斉にカバーするのが、緊急対応の基本中の基本です。起きてしまったことは仕方がない、いかに被害を最小限にするか、を考えるため、しっかりとした心の切り替えができる、精神的にも強い人が求められます。

実際に、航空管制官の採用試験においても、胸部疾患の有無や、血圧、尿といった、一般内科系の検査がしっかりと行われます。また視力・色覚・聴覚などの検査も行われますし、人物試験において、精神面に関してもしっかり考査されます。

些細なことから重大な事実に気づける、感覚の鋭い人

航空管制官は、危険を察知してからの対応も重要ですが、危険を事前に予測し、予防策に務めることも重要な責務です。そのための専門知識を得なければならないという話はしましたが、それ以上に重要なのが、些細な、ちょっとした異常にすぐさま気づくことができる、感覚の速さ、鋭さも非常に重要となります。

航空管制官が運航状況を把握するのは、レーダーをはじめ、直接的な目視、計測機械の数値など、非常に細かく、かつ見辛い視界も含まれます。そうした様々な状況から、今飛行機がどういう状態にあり、これからどう言った対応をとれば安全に飛行できるかを瞬時に組み立てることができる力が重要になってきます。

無線によるやりとりなど、時には目に見えない情報からも状況を的確に掴み、安全運航のための適正な指示を、迅速に出さないといけません。電話口から聞こえるちょっとした物音からトラブルを察知するような、探偵顔負けの察知力、洞察力を持っている人は、航空管制官に向いています。

的確な段取りを早く、かつ上手く組み立てられる人

航空管制官は、パイロットをはじめ、空港施設、滑走路、各種管制施設などとの、非常に多くの部署とのやりとりを通して、安全運航を管理しています。その中で計測機械の数値、気候の変動の兆候や航空機衝突の危険性などを迅速に次々と把握しながら、その都度最適な指示を出していかなければなりません。

その際に最も重要なことは、優先順位を意識した適正な段取りです。対応の順番をしっかりと組み、効率性の高い段取りを瞬時に組み上げることができ、管制指示を次々と様々な部署や機関へ出したり、トラブル対応の際の各所の調整や緊急対応の順番を即座に考えて最も適した方法をとれて初めて、事故やトラブルの最悪な事態を防ぐことが出来ます。

非常に多岐にわたる情報や、各種要請を短時間で整理し、段取りよく周りに共有できる、欲を言えば様々なことを意識の上では並行に流しながら、対応としては1件1処理で的確にこなしていくことができる人は、航空管制官に向いています。

航空管制官になるための学校など

航空管制官になるためには大学への進学が最も適している

航空管制官は、国家公務員です。国家公務員になるためには、所定の学歴が必要ですが、特に航空管制官のような専門行政職にあたる専門性の高い仕事は、大学卒業程度の学力が求められるため、大学卒業見込みの時点、あるいは大学卒業後まもない間に航空管制官採用試験を受けるのが最も確実です。

基本的には大学・短期大学・高等専門学校を卒業できるレベルの知識が試験で問われますので、大学で様々な教養を学んでおくと非常に有利です。また、特定の年齢の範囲内であれば受験資格が与えられるため、欲を言えば受験資格を失ってしまう前に大学院へ進学して修士号を取得しておくと、より高い号俸が適用されて、初任給から待遇的に有利になります。

採用試験を受ける前段階において、航空管制官になるために出なければいけない所定の養成課程などは特にないため、一般的な4年制大学などで、航空力学や気象学など多岐にわたる航空管制官に役立つ幅広い教養を得ておくと、試験でも保安大学校でも有利となるでしょう。

もちろん語学力に関しても相当レベルの実力が必要になってきますので、大学に在学しながら、TOEICやTOEFLの試験を受ける、語学留学をする、などによって語学力を養っておくことも肝要です。

航空管制官になるには?まとめ

高い専門知識と迅速な対応で、空の安全を守り、危険を防ぐ仕事

航空管制官は、交通インフラの中でも特に重大な危険に繋がりやすい飛行機を統制し安全運航を保っていく、社会的にも非常に大事な仕事です。毎日、あれだけのたくさんの飛行機が、トラブル一つなく定時運航しているというのは実はとてもすごいことなのです。それは、航空管制官の血の滲むような努力の賜物です。

迅速に様々な対応ができる力を鍛え、精神を鍛え、教養を身につけて高いレベルの専門知識を活かして、人々の安全を守る航空管制官は、かけがえのない、やりがいのある仕事と言えるでしょう。

航空管制官の参考情報

平均年収600万円〜700万円
必要資格
  • 航空管制官採用試験
資格区分 試験合格
職業職種運輸・乗り物

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