AIエンジニアになるには?求められることや向いている人の特徴などを具体的に解説
AIエンジニアには、数学的な知識やデータ解析に関する知識が必要になります。そのため、AIエンジニアとして活躍している人は理系の人が多いようです。AIの分野において高度な人材になることができれば、国内だけでなく海外でも就職できる可能性があります。本記事では、AIエンジニアになるために求められること、向いている人の特徴、学校情報などについてご紹介します。
AIエンジニアになるには何が必要?
ビックデータの取り扱いに関する知識や機械学習に関する知識が求められる
言うまでもなく、AIエンジニアになるためには高度な専門知識が必要です。しかし、具体的にはどのような知識が必要なのでしょうか。詳しく解説します。
数学的な理解は必須
AIエンジニアになるためには、数学的な知識を持ち合わせておく必要があります。具体的には、以下のような分野に関する理解が必要です。
- 確率論
- 統計学
- 微分積分学
- 線形代数学
AIの機械学習に使用されるパラメーターの最適化には偏微分が使われていることが多いですし、蓄積したデータの解析には統計学が用いられます。つまり、数学的な理解が乏しければAIエンジニアとして活躍することは難しくなるでしょう。
将来、AIエンジニアになりたいと思っているのであれば、どのような学校を卒業するにしても数学に関する知識を深めておくことをおすすめします。
機械学習に関する知識
機械学習とは、コンピューターが学習するためのデータを入力して、アルゴリズムに則って分析や解析を行なう方法のことです。
AIが状況に応じて適切に動くためには、多くの情報を反復的に学習させて、潜んでいるパターンや特徴を発見させる必要があります。
AIエンジニアが行なう機械学習の方法は3つあります。
- 教師あり学習(Supervised Learning)
- 教師なし学習(Unsupervised Learning)
- 強化学習(Reinforcement Learning)
このようなアルゴリズムの分析によって、人工知能は新しい情報を吸収して、未知の状況にも対応できるようになります。
ディープラーニング(深層学習)とは
ディープラーニングとは、人間の行動パターンを機械に学習させる機械学習の手法のひとつで、深層学習とも呼ばれます。
ディープラーニングは、人工知能による状況判断・短期的な未来の予想や物事の意思決定などに欠かせない技術となっており、テレビやスマートフォンなどの音声認識・自動車の自動運転など私達にとって身近なテクノロジーにおいても重要な役割を担っています。
ディープラーニングは、脳内の神経細胞(ニューロン)のネットワーク構造を模倣したシステム・ニューラルネットワークをベースとした技術です。大量の画像、テキスト、音声など様々なデータをニューラルネットワークに入力し、自動学習させることで、AIの判断・意思決定の精度を高めていきます。
AIエンジニアはAIを育て上げていく仕事
AIエンジニアはこうした機械学習・ディープラーニングなどを含む高レベルな情報技術を用いて、AIを育て上げていく職業です。機械学習やディープラーニングに関する高度な理解は当然として、粘り強い技術的探究心が求められる仕事とも言えます。
ビックデータの解析能力
ビッグデータとは、通常のソフトウエアでは処理できないほどの複雑で巨大なデータの集合体のことで、量、種類、発生頻度・更新頻度の3つに分かれています。
AIに効率的、且つ最適な学習をさせるためには、データの学習方法やデータの種類を考察する必要があります。そのため、AIエンジニアはどのような方法でデータを解析するのが最適化を判断する必要があり、ビックデータの取り扱いに関する知識が求められます。
データの解析方法はさまざまありますが、基本的な解析方法には以下のものがあります。
- クロス集計
- ロジスティック回帰分析
- 決定木分析(ディシジョン・ツリー)
AIに学習させたい状況によって、データの解析方法は異なってきます。そのため、AIエンジニアにはビックデータの解析に関する幅広い知識が必要になります。
データベースに関する知識
AIが情報を収集して、状況に合わせて動いたり、未来を予測しながら動作するためにはデータベースの運用知識が必要になります。
なぜなら、AIに情報を収集させるためには大量のデータを人工知能に搭載して、データの解析を行なう必要がありますが、膨大な量の情報を効率よく処理していくためにはデータベースの運用知識が欠かせないからです。
データベースといえば、インターネットのWebサイトの運用をイメージする方も多いかもしれませんが、AIエンジニアにもNoSQLやMySQLなどのデータベースの運用知識が必要です。
将来、AIエンジニアになりたいと思っているのであれば、データベース管理システムに関係する知識をしっかりと習得しておく必要があるでしょう。
AIエンジニアの就職と転職
知識とスキルがあれば就職できる可能性は高い
どのような場所に就職するかにもよりますが、先に取り上げたような知識とスキルを持ち合わせているならAIエンジニアとして就職することはさほど難しくないと思われます。
なぜなら、AIエンジニアは経済産業省が認定する先端IT人材に含まれており、多くのAIエンジニアが必要とされているからです。
一般的なITプログラマーなどのエンジニアが不足している状況の中で、さらに高度なAIエンジニアの人材育成は簡単なものではなく、今後もAIエンジニアの需要は高まっていくでしょう。
AIエンジニアの就職事例
AIエンジニアの募集の一例では、大手のフリマアプリ、メルカリがAIエンジニアの募集数を倍に増やすことを発表しています。
国内だけでなく、インドや中国からもエンジニアを採用する予定であり、AIエンジニアの需要が大きいことが伺えます。
就職する際に理系の大学が有利
AIエンジニアの募集傾向を調べると、理系の大学か理系大学院を卒業した人材の募集が多いようです。そのため、将来AIエンジニアとして就職したいと思っているのであれば、科学者に近い存在、データサイエンティストを目指す心持で学習するといいかもしれません。
海外でも就職できる可能性あり
国内でも人工知能の研究は活発に行われていますが、海外でもAIの研究が熱心に行われています。海外の大手IT企業では、有能なAIエンジニアを積極的に募集しており、高度なスキルを持っているAIエンジニアであれば、年収1,000万円を超える条件で募集していることもあるようです。
自分の実力と知識を世界規模で試してみたいという方は、海外でAIエンジニアとして活躍するという方法もあります。
AIエンジニアに向いている人、適性がある人
常に学習し、向上心のある人
IT業界の中でも、最先端の技術力が注目されている人工知能の開発研究。ちまたではAIを取り入れた製品が多く生み出されていますが、AI開発は過渡期と言われており、次から次に新しい情報が出てきます。
そのため、現段階では最新の情報であっても数年後には時代遅れになり、まったく通用しないということもあります。時代に取り残されないために、AIエンジニアは常に学習して、新しい情報に目ざとくある必要があります。
既存の研究方法や実験方法に縛られず、いつも新しいことに挑戦する思考回路や順応性はAIエンジニアに欠かせない適性と言えるでしょう。
論理的な思考を持つ人
AIエンジニアの仕事では論理的に物事を組み立てて考える部分がとても多くあります。
例えば、AIが情報分析を行うためのデータの解析・処理、データ構造、アルゴリズムなどを作り出すためには理論的な思考が必要です。そのため、自分の直感や感覚的な思考で解決するのではなく、原因と結果を見極めながら作業できる人が適しているでしょう。
一般的なITエンジニアの場合、クライアントとのコミュニケーション能力や文章の作成スキルなどが必要になります。
もちろんAIエンジニアにも、最低限のコミュニケーション能力や国語力は必要ですが、それらよりも論理的思考や数学に関する理解力が重視され、結果として理系出身者が多く活躍しているようです。
高度・広範なプログラミングの知識
AIエンジニアとして優れた開発を行うためには、プログラミング言語に関する知識も有しておく必要があります。人工知能の開発分野では、Python(パイソン)と呼ばれるプログラミング言語が使用されます。
この言語は、機械学習やビックデータなどの最先端のIT業界で使用されている言語であり、AIの研究開発が盛んになるにつれて需要が高まっています。他にも、一般的なプログラミング言語、C言語、C++、Java等も使用されますから、AIエンジニアにはプログラミングに関する知識は欠かせません。
AIエンジニアになるための学校
AIエンジニアになるために絶対に卒業しなければいけない学校はありませんが、未経験の状態でAIエンジニアとして採用される可能性は低いでしょう。今回はAIエンジニアになるための3つ方法を紹介します。
- 大学院でAIについて学習する
- AI関連の大学研究室
- AIエンジニアの専門学校
それぞれを詳しく解説します。
大学院でAIについて学習する
情報系の大学に進学した後、さらに高度な学習を行うために大学院に通うことでAIエンジニアになれる可能性が高くなります。しかし、大学に進学した人の中で大学院に進む人は限られています。さらに、AIや情報系の大学院であれば、履修できる大学が限られており、倍率も高くなります。
特に近年、人工知能の開発研究が進んでおり、注目度が高まっているので難易度は高くなることが予想されます。また、博士号を習得するまでには、修士課程で2年、博士課程で3年が必要です。そのため、大学院に入りAIエンジニアとして活躍するまでには最低でも5年の期間がかかることを覚えておきましょう。
大学院にかかる費用
大学院に進んだ場合、博士号を取得するまでに約200万円以上の費用がかかるでしょう。一例として、国立大学に進んだ場合、標準の授業料が年間約55万円。入学金が約30万円。他の諸費用を合わせると5年間で少なくても200万円程度が必要になると思われます。
しかし、在学中に論文が評価されたり、プログラミングの実績があればAIエンジニアとして採用してもらいやすくなり、AIエンジニアになるための近道になる可能性が高いでしょう。
AI関連の大学の研究室
情報系の大学や大学院に進んだ後、AI関連の研究室に入ることができれば、人工知能に関する深い研究を進めることができますし、研究所と関係を持っているAI開発を進めている企業に就職できる可能性もあります。
大学の研究所にはリーダーと呼ばれる人がいて、新しい概念や理論の研究を進めています。当然、研究所に入ることができるのは高い能力と知識を持った人材だけですが、知識だけでなく、研究所に入るための人脈づくりや実績の構築なども必要です。
大学の研究員として研究室に残れる期間は半年から1年程度となっており、研究費として必要な金額を大学側に支払う必要があります。
AIエンジニアの専門学校
専門学校に通いたいと思っている方の場合、AIエンジニアに特化した専門学校を探すというよりはITエンジニアを育成することに力を入れている学校を探すといいでしょう。
情報系の専門学校では、ITエンジニアには欠かせないディープラーニング系のカリキュラムを組んでいるところが多くあり、習得した知識はAIエンジニアとしても生かすことができます。
数は少ないかもしれませんが、専門学校の中には、PythonなどのAI開発に必要なプログラミング言語の習得をサポートしているところもあります。当然、難易度は高くなりますが、自分の弱点を克服して、有能なAIエンジニアになりたいという方におすすめです。
費用は専門学校によって異なりますが、40時間程度の学習期間で20万円程度、2年間の通学コースであれば200~300万円程度のコストがかかるでしょう。
AIエンジニアになるには?まとめ
データ解析と数学的な知識に加え、論理的な思考とプログラミングのスキルも欠かせない
AIエンジニアになるためには、数学的な知識とデータ解析のスキルと知識は欠かせません。これらの分野で高度な人材になれれば、AI業界は人手不足なので就職に困ることはないでしょう。
日本の将来を大きく変える有能なAIエンジニアになるためには、新しいことを研究し続ける態度や論理的な思考回路などの適性も必要です。
AIエンジニアになりたいと思っているのであれば、情報系の大学に進み、大学院で深く研究する方法やAIエンジニアに必要なスキルを教えてくれる専門学校に通う方法などがあります。
是非、あなたに合った方法でAIエンジニアの道を目指してください。
AIエンジニアの参考情報
平均年収 | 600万円~800万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | コンピューター |
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