経理の給与や年収は?平均月収や一般事務職との給与比較まとめ
事務職の一つである経理の給与・年収はどの程度なのでしょうか。統計データからは一般事務職との格差や、業種による待遇の違いなどが浮き彫りになってきます。経理の給与・年収の意外な事実について紹介します。
経理の初任給はどれくらい?
企業の数字に関する専門事務職の一つである経理は学生からの人気も高く、新卒採用の募集は毎年のように高い競争率となっているようです。そんな経理の初任給はどの程度なのでしょうか。
一般職採用と総合職採用で分かれる
経理の採用は、一般事務と同じ事務員としての採用の場合は一般職採用、転勤や異動もある将来の管理職や幹部候補としての総合職採用とされます。
経理が一般職か総合職かは会社の方針により異なり、同じ会社の経理でも一般職と総合職に分かれる場合があります。
高卒、大卒ともに一般的な初任給
大手就職情報サービスの採用情報では、経理職の初任給は高卒の場合15~18万円、大卒では18~21万円前後を提示している企業が多いようです。
厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」による、全産業・全職種における平成30年新卒者の学歴別平均初任給は以下の通りです。
最終学歴 | 初任給平均 |
---|---|
大学院修士課程修了 | 23.8万円 |
大学卒 | 20.6万円 |
高専・短大卒 | 18.1万円 |
高校卒 | 16.5万円 |
求人情報との比較の上では、おおよそ平均程度の初任給をもらえると考えてよさそうです。
経理の平均給与の統計
総合職としての一面もある経理の給与は、どのように変化していくのでしょうか。
転職情報サービス「doda」上において公開されている、2017年9月~2018年8月の間に転職エージェントサービス「dodaエージェント」へ登録したビジネスマンの統計データから、各年代の平均給与を類推しました。
年代ごとに順調に昇給
経理の年代別給与の平均額は以下の通りです。
年代 | 給与 |
---|---|
問わない | 35.1万円 |
20代 | 27.0万円 |
30代 | 34.7万円 |
40代 | 41.9万円 |
50代以上 | 48.0万円 |
年代を追うごとに順調に昇給しています。経験を重ね、上のステージへ上がっていけるキャリアパスがしっかりしている職種であることわかります。
他職種との比較
それでは他職種と比較した場合はどうでしょうか。
全職種平均・一般事務との比較
全職業における全職種平均と、一般事務職との給与を比較したのが以下の表です。
年代 | 経理 | 全職種平均 | 一般事務 | ||
---|---|---|---|---|---|
平均給与(a) | 平均給与(b) | 割合(b/a) | 平均給与(c) | 割合(c/a) | |
問わない | 35.1 | 29.6 | 84.3% | 23.5 | 67.0% |
20代 | 27.0 | 24.7 | 91.5% | 21.1 | 78.3% |
30代 | 34.7 | 32.3 | 93.0% | 24.3 | 70.0% |
40代 | 41.9 | 37.7 | 89.9% | 26.7 | 63.7% |
50代以上 | 48.0 | 46.1 | 96.0% | 31.0 | 64.6% |
単位:万円
経理の平均に対して、全職種平均は85%前後、一般事務職は70%弱となっています。20~30代よりも40代以降の給与額が大きくなっていることから、一般事務職に比べて経理の昇給幅は大きいことが伺えます。
財務・管理会計との比較
企業の会計に関わる職業として比較されることの多い財務や会計部門とはどんな違いがあるのでしょうか。
財務・管理会計部門との比較は以下のようになっています。
年代 | 経理 | 財務 | 管理会計 | ||
---|---|---|---|---|---|
平均給与(a) | 平均給与(b) | 割合(b/a) | 平均給与(c) | 割合(c/a) | |
問わない | 35.1 | 37.4 | 106.7% | 38.4 | 109.6% |
20代 | 27.0 | 29.7 | 110.1% | 29.8 | 110.3% |
30代 | 34.7 | 36.9 | 106.4% | 39.8 | 114.6% |
40代 | 41.9 | 42.9 | 102.4% | 45.9 | 109.5% |
50代以上 | 48.0 | 61.8 | 128.7% | 50.8 | 105.8% |
単位:万円
今度は反対に経理が最も低い平均給与額となっています。財務・管理会計は、経理よりもさらに経営に深く関わるポジションのため、その差が平均給与にも表れていると考えられます。
経理の年収統計
経理職の給与はおおよそ全体の平均程度はもらえ、一般事務との差別化は図られているということがわかりました。
それでは同じ経理職でも、業種別でみた場合にはどのような差があるのでしょうか。
再び転職情報サイト「doda」の統計データから、業種別・年代別の経理の年収を集計しました。
年代 | TOTAL | IT/通信 | インターネット/広告/メディア | サービス | メーカー | メディカル | 金融 | 建設/プラント/不動産 | 小売/外食 | 専門商社 | 総合商社 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
問わない | 491 | 544 | 492 | 451 | 517 | 474 | 583 | 481 | 457 | 489 | 604 |
20代 | 378 | 400 | 394 | 349 | 401 | 318 | 433 | 395 | 327 | 371 | – |
30代 | 486 | 517 | 474 | 440 | 537 | 448 | 645 | 468 | 425 | 484 | – |
40代 | 587 | 726 | 568 | 560 | 620 | 555 | – | 592 | 550 | 588 | – |
50代以上 | 672 | 804 | 740 | 618 | 710 | 823 | 823 | 594 | 596 | 777 | 607 |
単位:万円
業種により大きく差が出る
同じ経理でも、業種により大きく差が出ることがわかりました。全世代の平均を比べた場合、最高で150万円ほどの差が生まれています。
年代別でみても大きく差が出ており、最も差が少ない20代では115万ほどですが、50代を超えると230万円近くの差が生まれるほど、年を重ねるごとの昇給幅に、業界による格差があることが考えられます。
経理のおおよその平均年収としては、400~450万円前後が多くなるようです。
各業種全体でみると平均よりやや低い
業種ごとの年収平均と、経理の平均を比較すると以下のような差がみられます。
厚労省「賃金構造基本統計調査」 | 平均年収(a) | 経理年収 | 平均年収(b) | 割合(b/a) |
---|---|---|---|---|
情報通信業 | 616万円 | IT/通信 | 544万円 | 88.3% |
金融業,保険業 | 628万円 | 金融 | 583万円 | 92.8% |
卸売業,小売業 | 488万円 | 小売/外食 | 457万円 | 93.7% |
厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」から類推した業種ごとの平均年収と業種別の経理の平均年収を比較した場合、全体的に平均額よりやや低めで推移しているようです。
経理は直接的な利益を生み出さないコストセンターに分類される職種です。営業や販売、資産運用といったプロフィットセンターに比べて低めの年収が設定される傾向にあります。
経理が年収を上げるためには?
ここまでの統計等を踏まえ、経理が年収を上げていくには何ができるのでしょうか。
年収の高い業種への転職
同じ経理として入社しても、業種によって大きく給与に差が出ていることがわかりました。高い年収を得るためには、平均年収が高い業種への転職がもっとも早く確実な手段なのかもしれません。
業種によっては特殊な仕分けや経理技術が求められることがあります。資格でフォローできる場合もありますので、近い業界の経理知識・技術が身につけられる資格の勉強をするといった努力をすることは視野にいれておきましょう。
規模の大きい企業への転職
転職を検討する場合にもう一つ考えられる選択肢は、現在よりも規模の大きな企業へ転職することです。同じ業種であっても、規模の大きい企業は賃金水準が高く、収入の増加が期待できます。
また、大企業では子会社や関連会社との連結決算を行うことがあります。連結決算の知識があり、連結財務諸表を作成できる人材は非常に重宝されるため、高額の賃金が期待できるでしょう。
財務・管理会計の分野への進出
経理に近い位置におり、平均年収も高めである財務や管理会計の分野への進出も考えてよいでしょう。財務諸表分析・評価といった共有できる基礎知識も多いため、必要な分野の知識を学んでいきましょう。
英語力が評価される企業へ
大きな企業では、海外企業との取引や提携を行うこともあるため、英語による会計・経理用語が理解できる人材は重要視されます。
最終的な着地点を見据えたキャリアを
もし今年収が低く、収入を上げるためにすぐにでも転職したいという気持ちがあっても、現在の知識量や、これまでに経験してきたキャリアによっては、大企業に採用してもらうのは難しいかもしれません。
最終的にどこに着地したいのかを考え、そこにたどり着くために必要なスキルや知識を身につけられるように、数回の転職や長期間の勉強を視野にいれておくのがよいでしょう。
1社目で一般経理を身につけ、2社目で財務に触れ、その間に英語を身に着けておくというように少しずつスキルを重ねていくことで、最終的な目標に到着できる見込みは増えるでしょう。
経理の給料・年収まとめ
全体の平均よりやや高い
経理の収入は、全職業の平均年収よりやや高く、安定して昇給してく傾向が見られました。しかし同じ会計職でも財務や管理会計と比べると専門性が低いと扱われ、年収には差をつけられます。
また業種による格差も顕著に表れており、同じ経理職でも、所属する業界によっては大きく差をつけられるようです。
転職・転向を視野に
年収を上げていくには高い年収が期待できる業界への転職や、より専門性の高い会計職への転向をするという選択肢が視野に入ります。
しかし今すぐ転職が望めるキャリアがない場合には、長期的な転職活動をする前提で、キャリアを積み重ねていくことがよいでしょう。
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経理の参考情報
平均年収 | 400万円~450万円 |
---|---|
必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | オフィス |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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