スクールカウンセラーの仕事内容とは?やりがいや魅力について解説
いじめや不登校、学校における問題行動など、生徒への問題対応は、かつては教員がその役割を担っていましたが、現代では、スクールカウンセラーがその役割を担っています。スクールカウンセラーの仕事内容とはどのようなものがあるのでしょうか。スクールカウンセラーが配置されることになった事情等も含め、この記事で解説します。
スクールカウンセラーとはどんな仕事?
スクールカウンセラーとは、学校内に設置された、「相談室」を訪れた児童とのコミュニケーションを通じて、生徒がどのような悩みを抱えているのか、その悩みの範囲や程度はどの程度なのか、そしてそれに対してどのようにカウンセリング・ケアを進めていくかというようなことを評価していきます。
もちろん、ケアが必要であるかどうかということもスクールカウンセラーが判定する項目のひとつであるため、生徒に関するメンタルヘルスを総合的に管理する重要な仕事であるといえます。
スクールカウンセラーはすべての学校にある?
もともと、スクールカウンセラーという職業が設置されたのは平成7年度で、当時は全国で154校の設置にとどまっていました。というのも、それ以前は学校に通っている生徒が心に問題を抱えた場合には、教師がその役割を担っていたためです。
それが、徐々に生徒を取り巻く社会情勢や学校環境も変化していき、それに対応して徐々にスクールカウンセラーの配置が進められています。2001年度には全国で10,000校を越える小中学校・高等学校へスクールカウンセラーが派遣されているほか、2008年度意向にはさらに配置・派遣が進められています。
スクールカウンセラー活用事業補助
このように、全国の小中学校・高等学校へのスクールカウンセラーの派遣が計画的に進められた経緯としては、文部科学省が「スクールカウンセラー活用調査研究委託事業」として開始し、その後2001年からは「スクールカウンセラー活用事業補助」と事業名が改称され、さらに本格的にスクールカウンセラーの派遣が進められることとなりました。
これは、国公立の小中学校・高等学校を対象とした事業ですが、一方で私立学校においては、日本臨床心理士資格認定協会による「私学スクールカウンセラー支援事業」が2010年度から実施されており、これによって、私立学校側が経費の負担によるスクールカウンセラーの導入を断念することがないようになっています。
スクールカウンセラーの仕事内容とは?
スクールカウンセラーは、生徒との面談を主要な業務としています。スクールカウンセラーの1日の業務は、ほとんどが生徒との面談で占められており、生徒が抱えている様々な問題や課題を聞き出す、理解することが業務の入り口であるといえます。
一方、生徒の悩みを聞き取るだけではなく、ときに必要に応じて学校や教師、保護者との連携を行い、解決の方策を探っていくこともスクールカウンセラーの仕事内容のひとつです。
スクールカウンセラーが相談される内容:いじめ
学校におけるいじめの問題は、いくら年数を重ねてもまったく無くなるということがなく続いている問題です。いじめによって、大人になっても消えないトラウマ・PTSDに悩み続けている人もいれば、その経験をもとに、現在の人生に役立てているという方もいます。
スクールカウンセラーの役割としては、現在起きているいじめをやめさせるとか、いじめをしている人物を割り出して処分するといったことではなく、あくまで生徒が「何に悩んでいるか」を聞き取ることにあります。つまり、いじめがあると生徒が証言していて、それが事実であるのか、それによって生徒がどれほど追い詰められているのか、学校や教師の側はそれを把握しているのか、誰と連携してどのような対策を立てていくのが最も効果的かということを計画・立案していくということになります。
スクールカウンセラーが相談される内容:教師・学校との関係
生徒が悩むときというのは、学校の中で何らかの問題を抱えているケースが多いですが、生徒同士の人間関係だけではなく、生徒と教師・学校との間に問題が生じているというケースも少なくありません。
教師は、かつては生徒に対してある種の権力者であり、教師と生徒のやりとりが噛み合わなかったときには、生徒の側が誤っていると判断されることも多くありました。しかし近年では、教師の側に指導力の不足が見られたり、あるいは教師そのものが生徒の悩みの元凶であるというケースも珍しくありません。
スクールカウンセラーは、学校に勤務してはいても、学校とは一定の距離を置き、学校側とは異なる視点で生徒と向き合う必要があります。このようなこともスクールカウンセラーの業務のひとつです。
スクールカウンセラーが相談される内容:保護者との関係
生徒が学校で悩みを抱えているとき、第一に悩みを相談する存在として、家庭や保護者が挙げられるでしょう。しかしながら、何らかの事情によって、その悩みを家庭や保護者に相談できないというケースもあります。
多く見られるケースとしては、家庭内の不和と学校内での問題が重なっていたり、あるいは家庭内の不和を懸念することが優先されたり、学校内での問題を相談できないということも多くあるでしょう。こうした多重状態のストレスをカウンセリング・ケアすることもスクールカウンセラーの業務のひとつです。
スクールカウンセラーの働き方
スクールカウンセラーは、学校で勤務することになる職業ですが、学校の種類によって採用方法などが若干異なるほか、働き方も教師とは全く異なるものとなります。実際のところスクールカウンセラーの働き方とはどのようなものなのでしょうか。
スクールカウンセラーの採用方法
スクールカウンセラーは学校で働いています。しかし、スクールカウンセラーを採用するのは、一般に教師の仕事ではありません。市町村教育委員会や都道府県の教育委員会が管轄している公立小中学校・高等学校の場合には、市町村がスクールカウンセラーを採用します。
また、これに当たらない私立学校の場合には、教師ではなく学校自体が採用主体となります。これによって、教師とは一定程度の距離感を保った仕事ができることになり、生徒と学校との間で第三者的な状況の評価ができるということにつながっているのです。
スクールカウンセラーの勤務形態
スクールカウンセラーは、学校で採用されている重要な職務ですが、いわゆる市町村や都道府県の「正職員」、あるいは「正社員」のように、フルタイムワークを行うような働き方とはならないのが一般的です。
スクールカウンセラーは非常勤職員となることが多く、毎日の勤務ではなく、1週間のうち2、3日の勤務となるケースがほとんどです。スクールカウンセラーの勤務形態としては、学校が開いている時間が勤務時間となります。というのも、生徒が相談できる時間がメインの仕事ということになるわけです。
スクールカウンセラーの仕事のやりがい
スクールカウンセラーは、学校において生徒を総合的にメンタルケア・カウンセリングすることが仕事です。
クラスをまとめ、様々な行事を行ったり、生徒に勉強を教えたりといった派手な仕事はありませんが、スクールカウンセラーには、それとは異なるやりがいがあります。教師とは異なり、また精神科医とも異なる、青少年の心のケアを行うことに特化した、スクールカウンセラーの仕事のやりがいについて、以下に解説していきます。
生徒の心をケアすることで、生徒の学校生活をより良いものに
学校という場所は、青少年にあたる年齢の生徒が一日のうちのほとんどを過ごす場所です。このような場所で、どのような生活を送っているかということは、すなわち生徒の生活の質(QoL)に深く関わっているといえるでしょう。
学校において生徒のメンタルをケアする、カウンセリングを行うスクールカウンセラーの存在は、すなわち生徒の学校での生活を守ることにもつながるのです。これは、クラス単位ではなく生徒一人ひとりと向き合うスクールカウンセラーならではの仕事のやりがいであるといえます。
学校生活は生徒の将来も守る
学校での生活は、小学校から高校までをまとめると、12年間にも及びます。これは人生においても決して短い時間ではありません。
この期間に問題を抱え、それが解消されないまま卒業してしまった生徒は、その後の人生においても悪影響が出ることが懸念されます。しかし、その問題がもし、在学中に解消されたのだとしたら、それはその後の生徒の人生にとっても大きなプラスとなることは間違いないでしょう。
スクールカウンセラーの行うカウンセリングや面談によるケアは、現在の悩みを解決するための手段というだけではなく、生徒が学校を卒業した後の人生にも影響する仕事だと考えることもできます。
持って生まれた悩みを解決する仕事も
スクールカウンセラーの仕事の中には、人間関係などの悩みが多く寄せられますが、近年では「発達障害」などの名前で知られる悩みに対応するという仕事もあります。教師にはなかなか理解されづらいこうした悩みを理解し、ケアしていくことで、持って生まれた悩みとうまく付き合いながら人生を過ごしていく手助けともなります。
スクールカウンセラーの仕事内容まとめ
第三者だからこそのサポートが生徒を救う
学校や生徒を取り巻く情勢は、複雑に変化しています。スクールカウンセラーは学校・教師側の立場に肩入れするのでもなく、家庭や生徒にだけ肩入れするのでもなく、あくまで第三者という立場からの観点で、生徒の悩みに対してカウンセリングやケアを提供していく仕事です。
生徒が一日の大半を過ごす学校という環境で、快適に過ごすことができるように力を尽くす、生徒の未来や将来につながるやりがいのある仕事です。
スクールカウンセラーの参考情報
平均年収 | 250万円~350万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 民間資格 |
職業職種 | 心理・福祉・リハビリ |
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