心理カウンセラーの給与や年収は?収入の金額は専門分野と資格次第
メンタルケアのスペシャリストである心理カウンセラーは関連する資格が多く、一口に心理カウンセラーと言っても、その職業につくまでの学歴や資格の難易度、知名度は様々です。心理カウンセラーはそれぞれの分野において、どのような給与・年収となっているのでしょうか。
心理カウンセラーの初任給
心理カウンセラーには病院などの医療機関、専属カウンセラーとして企業、スクールカウンセラーとして教育期間と様々な勤務先が存在します。それぞれに勤務した場合、どの程度の初任給になるのでしょうか。
資格により様々
心理カウンセラーには免許のような資格はなく、誰でも名乗ることができます。しかしメンタルヘルスに関わる知識やカウンセリングの技術といった専門的な知識が求められるため、何らかの資格を取得し、その知識のレベルや専門性を示す必要があります。
何らかの資格を持ち、企業や医療機関に勤務する場合の初任給はおおよそ15万~20万円ほどで、一般的なサラリーマンとは大きく変わりません。
臨床心理士の初任給は高め
広範囲かつ高い専門性を持つ臨床心理士の資格はその評価も高く、初任給から優遇される傾向があります。主な就職先は病院等の医療機関や市役所等の官庁が挙げられ、初任給は20万~25万円と高めに設定されることが多いようです。
心理カウンセラーの平均給与の統計
実際に心理カウンセラーとして働いた場合の給与はどのように推移するのでしょうか。統計から年代別の給与平均を見てみましょう。
20代は他業種と変わらず
厚生労働省が公開した「賃金構造基本統計調査」によれば、心理カウンセラーが属する「医療、福祉」の産業における20~69歳の平均給与は27.9万円でした。
そのうち20~24歳は21.2万円、25~29歳は24.1万円と、他業種と比較してもあまり差がない金額をもらえていることがわかりました。
30代以降の伸びは鈍い
しかし30代以上では厳しい数字が並びます。30~34歳平均は26.3万円、35~39歳では28.4万円と20万円台を乗り越えきれない厳しい状況が伺えます。
40~44歳では29.9万円、45~49歳で30.2万円とようやく30万円台に入ることができますが、あまり高い部類であるとは言えません。
時給制の心理カウンセラー
パートタイマー、非常勤職員として勤務
しかしこの統計では様々な給与体系の平均を出しているため、週1~2回程度勤務のパートタイマーや非常勤職員の給与も反映されています。
心理カウンセラーはフルタイムの勤務だけでなく、時給制によるパートタイマー、非常勤職員として勤務するケースも多くあります。時給は1,500~3,000円程度と勤務先や経験により幅があるようです。
その勤務先は医療機関だけでなく、保育園・幼稚園のような幼児を相手にする教育・保育機関も選択肢に入ります。
高額時給になるスクールカウンセラー
精神科医・大学教員になるか、臨床心理士の資格取得が必要とされるスクールカウンセラーも時給制の心理カウンセラーの一つです。高度な資格が要求されるだけあり、その時給は5,000円前後と高額に設定されています。
ただし、1日の勤務は4~8時間と不規則な上、毎日の出勤は必要とされないために1校だけでは十分な年収にはなりません。スクールカウンセラーを専門にする場合には、2~4校ほどを掛け持ちで担当するケースが多いと言われています。
心理カウンセラーの年収統計
心理カウンセラーの月収の推移だけでなく、年収の推移も紹介します。年収1,000万円への道もあるという心理カウンセラーですが、どのような方法があるのでしょうか。
心理カウンセラーの年収は平均400万円
厚生労働省公開の「賃金構造基本統計調査」から類推する心理カウンセラーの平均年収は、すべての年代・性別を含み、おおよそ400万円前後と見込まれます。
男女年代別に見ると、最も高いのが50~54歳男性の662.5万円。その中でも大企業所属の場合には847.6万円となっており、高額の報酬を得られることが期待できそうです。
産業カウンセラーで大企業を狙う
心理カウンセラーの年収を大きく上げる方法として期待できるのが産業カウンセラーとしての就職です。特定の企業に所属し、その企業内スタッフのメンタルケアを一手に引き受ける存在は、換えが効かない人材として大事にされるようになるでしょう。
また、心理カウンセラーとしての資格をもった上で人事部に所属することで、企業の人事を扱う上で重要な役割を担うことができるようになります。カウンセラーとしての資格をいかして管理職を目指していくのも収入を上げる道といえるでしょう。
独立開業が高収入への道
心理カウンセラーとして高収入を期待できる最大の道は独立開業です。自身でカウンセリングルームを開業することで、大きな収入を得ることが期待できます。
カウンセリングは1時間あたり5,000~12,000円程度が相場のため、件数に比例した多額の報酬を得ることができます。
またカウンセリングの知識や経験を活かした講演、セミナー、執筆といった情報発信につなげられることが独立開業の強みといえるでしょう。カウンセリングに興味はあるけど怖い、といった相談者予備軍の方々にもアプローチできるようになり、収入の幅を大きく広げられます。
臨床心理士の年収統計
心理カウンセラーの中においても、国家資格に準ずるといわれる臨床心理士の資格がある場合にはその収入は高額になることが期待できます。
日本臨床心理士会が発表した2015年の「臨床心理士の動向調査」において、臨床心理士の資格所持者約9,500人の年収分布が公開されています。
年収(単位:万) | 20歳代 | 30歳代 | 40歳代 | 50歳代 | 60歳代 | 70歳代以上 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
~100 | 31人 | 176人 | 160人 | 57人 | 95人 | 66人 | 585人 |
4.00% | 5.60% | 6.10% | 3.20% | 10.00% | 30.80% | 6.10% | |
100~200 | 113人 | 253人 | 213人 | 131人 | 144人 | 52人 | 906人 |
14.70% | 8.00% | 8.10% | 7.30% | 15.10% | 24.30% | 9.50% | |
200~300 | 343人 | 611人 | 354人 | 195人 | 168人 | 35人 | 1,706人 |
44.60% | 19.30% | 13.40% | 10.80% | 17.60% | 16.40% | 17.90% | |
300~400 | 214人 | 878人 | 455人 | 236人 | 153人 | 23人 | 1,959人 |
27.80% | 27.80% | 17.30% | 13.10% | 16.10% | 10.70% | 20.60% | |
400~500 | 54人 | 700人 | 491人 | 233人 | 100人 | 17人 | 1,595人 |
7.00% | 22.10% | 18.60% | 13.00% | 10.50% | 7.90% | 16.70% | |
500~600 | 12人 | 335人 | 339人 | 200人 | 63人 | 5人 | 954人 |
1.60% | 10.60% | 12.90% | 11.10% | 6.60% | 2.30% | 10.00% | |
600~700 | 1人 | 129人 | 267人 | 155人 | 43人 | 6人 | 601人 |
0.10% | 4.10% | 10.10% | 8.60% | 4.50% | 2.80% | 6.30% | |
700~800 | 0人 | 40人 | 154人 | 196人 | 35人 | 3人 | 428人 |
0.00% | 1.30% | 5.80% | 10.90% | 3.70% | 1.40% | 4.50% | |
800~900 | 0人 | 24人 | 86人 | 129人 | 32人 | 1人 | 272人 |
0.00% | 0.80% | 3.30% | 7.20% | 3.40% | 0.50% | 2.90% | |
900~1000 | 0人 | 7人 | 57人 | 88人 | 31人 | 1人 | 184人 |
0.00% | 0.20% | 2.20% | 4.90% | 3.30% | 0.50% | 1.90% | |
1000~1200 | 0人 | 6人 | 34人 | 103人 | 47人 | 2人 | 192人 |
0.00% | 0.20% | 1.30% | 5.70% | 4.90% | 0.90% | 2.00% | |
1200~1500 | 1人 | 1人 | 13人 | 45人 | 32人 | 3人 | 95人 |
0.10% | 0.00% | 0.50% | 2.50% | 3.40% | 1.40% | 1.00% | |
1500~ | 0人 | 1人 | 12人 | 31人 | 10人 | 0人 | 54人 |
0.00% | 0.00% | 0.50% | 1.70% | 1.00% | 0.00% | 0.60% | |
合計 | 769人 | 3,161人 | 2,635人 | 1,799人 | 953人 | 214人 | 9,531人 |
100.00% | 100.00% | 100.00% | 100.00% | 100.00% | 100.00% | 100.00% |
臨床心理士も他の心理カウンセラー同様にパートタイマーや非常勤職員として勤務することが多く、臨床心理士としての収入は100万未満という方も多くいるようです。
人数は30~50代がボリュームゾーンとなっており、その中でも特に体力・精神力ともに充実している30代が最も多い人数となっています。
40代を超えるとリーダーやマネージャーといった役職に就くことが多くなるためか、500万円以上の人数比率が30代を追い抜くようになります。50代では30%以上が年収700万円以上と、高額の収入を得られるようになっていくようです。
全体では年収1,000万円を超えるのは3.6%とあまり高く見えませんが、50代では9.9%、60代では9.3%と11人に1人は1,000万円を超えてきており、年齢を重ねるごとにその経験とキャリアが年収につながることが、数字からも見て取れます。
今後新設された公認心理師の資格が広がるに伴って、その年収の推移にも変化が出てくることは予想されますが、心理カウンセラーとしての知識・経験を求めるにはやはり臨床心理士が大変有効であることは間違いありません。
心理カウンセラーの給料・年収まとめ
初任給は一般並み、ただし伸びは良くない
心理カウンセラーとして就職した場合の初任給は他の一般企業の新入社員と大差なく、ほぼ一般並みといえる金額でしょう。しかし30~40代に向けた昇給幅はそれほど大きくなく、高額の収入を目指すには独立開業や管理職といった方面に手を伸ばす必要があります。
パートタイマー、非常勤としての勤務が多い
心理カウンセラーは企業や団体に専属しフルタイム勤務するだけでなく、パートタイマーや非常勤職員として不定期・短時間の勤務形態になるケースも多くあります。そのため本業を別に持ち、副業として心理カウンセラーを行うことも増えています。
臨床心理士と公認心理師に高額収入の可能性あり
難易度の高い資格として知られる臨床心理士は年齢を重ねるごとに、高額の収入につながる傾向が見て取れました。国家資格に準ずると評価される臨床心理士の専門性と、年季を重ねた心理カウンセラーとしての知識・経験が評価につながりやすいようです。
また国家資格として新設された公認心理師は今後、臨床心理士同様に専門性の高い心理資格として注目されていくことが期待されています。
ライフスタイルに合わせたワークスタイルを選択
心理カウンセラーはその資格や専門分野によって、様々な働き方ができる職業です。
専門資格を取得して高額収入を目指すもよし、知識を活かした副業として短時間・少日数の勤務をするもよし。心理カウンセラーは、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができる職業であるといえるでしょう。
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心理カウンセラーの参考情報
平均年収 | 300万円~400万円 |
---|---|
必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 心理・福祉・リハビリ |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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