プロ野球選手の資格・試験とは?自らの実力を示す限られたチャンス
実力社会で生きているプロ野球選手ですが、実際に選手になるために必要な条件や資格、試験はあるのでしょうか。プロ野球に存在する入団のための試験について紹介します。
プロ野球選手の資格とは?
野球少年の憧れであるプロ野球選手。毎年多くの高校野球・大学野球の選手がその狭き門をくぐり、プロの道へ足を踏み入れています。そのプロ野球選手になるためには必要な資格や試験はあるのでしょうか?
プロ野球選手のための資格はない
プロ野球選手になるために必要な資格はありません。強いていうならば、スカウトマンの目に留まるためのプレイをするために、高校・大学に入学し、無事に卒業することです。
全球団に共通した検定や免許のようなものはなく、球団と選手契約できるかどうかがプロ野球選手になるための資格ともいえるでしょう。
ドラフト会議での指名が主な入団方法
球団と契約し、プロ野球選手になるための方法として一般的なのは、毎年行われる「ドラフト会議」で希望選手の指名を受けることです。
ドラフト会議を経ずに、例えばアメリカに直接わたってメジャーリーグの球団と契約を交わし、プロ野球選手になるといった方法もありますが、現在ではドラフト会議を経ずに直接メジャーリーグの球団などと契約を行った場合、退団後も大卒・社会人は2年間、高卒選手は3年間は日本のプロ野球チームに所属することができないというルールが設けられています。
各球団が欲しい選手を1位から順番に指名し、入団交渉の優先権を手に入れていくドラフト会議に名前を上げてもらうためには、大きく分けて2つの方法があります。
スカウトマンによる勧誘
まず1つ目はスカウトマンによる勧誘です。各球団には優秀な選手を発掘するためのスカウトマンがおり、全国の高校・大学・社会人野球の試合や練習を見て、その能力や将来性を評価します。
スカウトマンの目に留まる選手は、多くの場合甲子園などの大きな大会で活躍する選手や、地方の大会で突出した成績を残すような選手ですが、そのような強い光を放つ選手の影に隠れてしまう実力者も存在します。
そういった選手がプロ野球の門を叩く事ができるチャンスが、もう一つの方法です。
入団テストによる自己推薦
2つ目の方法は「入団テストによる自己推薦」です。スカウトマンからの勧誘を受けることがなくても、毎年特定の球団で行われる入団テストに合格することで、ドラフト会議の指名対象になることができるのです。
プロ野球選手の資格の難易度・合格率
プロ野球の球団に入るための方法に入団テストがあることがわかりましたが、入団テストはどのような仕組みで、どの程度合格するものなのでしょうか。
入団テストは読売・広島だけ
入団テストは一般に開放されたプロ野球への入り口ですが、現在入団テストを行っているのは読売ジャイアンツと広島カープの2球団だけです。
入団テストの受験資格は以下のように規定されています。
読売ジャイアンツ 入団テストの受験資格
- 18歳~24歳まで
- 高校・大学野球部在籍者は来春卒業見込みでプロ野球志望届け完了者。大学生は所属連盟への退部届も必要
- 企業社会人チーム在籍者は所属連盟への退部届完了者
- クラブ社会人チーム在籍者は関係者から受験を了承された者
広島カープ 入団テストの受験資格
- 18~24歳の健康な男子
- 高校・大学野球部在籍者は来春卒業見込みでプロ野球志望届け完了者。大学生は所属連盟への退部届も必要
- 身長175cm以上
テスト内容もそれぞれの球団で規定されています。
読売ジャイアンツ テスト内容
- 一次テスト:50メートル走(6.3秒以内)、遠投(95メートル以上)
- 二次テスト:一次合格者のみ。投手はピッチング、野手はバッティングとフィールディング、捕手は二塁送球など
- 三次テスト:二次合格者のみ。実戦形式
広島カープ テスト内容
- 一次テスト:50メートル走(6.5秒以内)、遠投(90メートル以上)
- 二次テスト:一次合格者のみ。投手はピッチング、野手は打撃・守備
両球団とも二次・三次テストは明確な基準は公表されておらず、試験官の評価により合格が判断されます。
合格率は0~10%
合格率はその年の受験者の質や、球団ごとの判断基準により大きく異なります。
近年の入団テストの結果は、各球団の公式発表によると以下の通りです。
読売ジャイアンツ 入団テスト合格率
西暦 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2017年 | 75 | 8 | 10.7% |
2018年 | 85 | 9 | 10.6% |
広島カープ 入団テスト合格率
西暦 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2017年 | 37 | 0 | 0.0% |
2018年 | 66 | 未公開 | – |
合格しても入団とは限らない
入団テストに合格すれば必ず入団できるとは限りません。あくまでドラフト会議の指名対象になれるというだけで、他に優秀な選手がたくさんいる場合には、その年の指名対象から外れることもあります。
また、各球団とも所属する選手の人数には上限を設けているため、ドラフト会議で指名して入団者を増やすと同時に、同じ人数に戦力外通告を行い、解雇する必要がでてきます。
入団テストで合格したとしても、現在所属している選手より実力が高い、または将来性があると認められない場合には、ドラフト指名できる人数に余裕があっても指名を見送られることになるでしょう。
トライアウトとは別物
ニュースでよく耳にする「トライアウト」という単語がありますが、これは戦力外通告を受けた選手を対象にした12球団合同で行う適性テストです。
一般向けの入団テストとは別物のため、テストの時点で元プロと比較されるということはありません。
その他のプロ野球選手関連資格
プロ野球選手になるためには特別な資格は必要ありませんが、その他に関連する資格は何かあるのでしょうか。
プロ野球審判員
プロ野球選手に最も近い位置にいる資格保有者といえば、厳しく正しいジャッジで試合を成立させるプロ野球審判員です。
審判員になるには「NPBアンパイアスクール」において研修を行い、適正があると判断されれば、プロ野球2軍の審判を行う「育成審判」、独立リーグ等の審判を行う「研修審判」として経験を積み、さらにここで適正があれば1軍の審判へ昇格します。
適正判断の難易度は高く、またパ・リーグは野球経験者であるという条件がつけられています。
将来のプロ野球選手を育成するために
直接プロ野球選手に関係してはいませんが、将来の選手を育成するための審判・スポーツ指導という道があります。
アマチュア野球審判員
高校野球審判員、また軟式野球審判員を通じて選手の育成に関わることができます。それぞれ高等学校野球連盟、軟式野球連盟に登録して講習を受ける必要があります。
アマチュア野球審判員は1試合あたり数千円の報酬を得られますが、それだけで生活をすることは難しく、何らかの本業を持っているケースがほとんどです。
スポーツ指導員
未来のスター選手を育てるための指導員という道もあります。ジュニアスポーツ指導員や指導者ライセンス(C~A級)といった認定資格取得を通じて、野球技術や体作りの指導を行うための知識を得ることができるでしょう。
プロ野球選手の資格が取れる学校
プロ野球選手になるためにドラフト会議で指名される必要がありますが、そのためにはどのような学校を選ぶのがよいのでしょうか。
名門高校へ入学
最もプロ野球選手に近い道は、高校野球で活躍してスカウトマンの目に留まることです。甲子園でスターになれば、複数球団からの指名も夢ではありません。
甲子園に出場するには名門と呼ばれる野球強豪校への入学が望まれますが、野球部員だけで一学年数十人もいるようなマンモス校の場合、レギュラーを勝ち取るのは至難の業です。
地区大会上位常連というような学校を選び、試合出場数を多くすることでスカウトされる機会を増やすことも一つの方法といえるでしょう。
大学野球で活躍
高校だけでなく、大学野球からのプロ野球入りも少なくありません。高校同様に多くの野球部員の中からレギュラーを勝ち取る必要があることには変わりませんが、高校に比べて部員の絶対数が減る傾向が強いため、試合出場数は多くなるでしょう。
専門学校も育成ドラフトの対象に
これまでドラフト会議の指名対象は高校、大学、社会人野球の選手が対象となっていましたが、2018年より専門学校の野球部員も「育成ドラフト」の指名対象とできることが決まり、プロ野球入りのチャンスが増えています。
プロ野球選手の資格まとめ
プロ野球選手には資格・試験は必要ないものの、プロ野球界自体が実力社会のため、国家資格等の難関資格よりもハードルは高いといえます。
野球の実力を身につけるのはもちろんですが、スカウトマンに見つけてもらえるような学校選びも大切です。少年時代からの夢を叶えるため、入団のチャンスを逃さないような道を選び、的確なアピールを行っていきましょう。
プロ野球選手の参考情報
平均年収 | 1500万円~3500万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | スポーツ |
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