刑務官になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説
刑務官は公安職で、特殊な職務を遂行するために肉体的にはもちろん、精神的にもタフであることが求められています。採用試験は18歳以上の男女であれば基本的に受験することが出来ます。筆記試験や実技試験が含まれる刑務官採用試験や適性がある人などについて、また、刑務官になるにはどのようにしたら良いかを紹介します。
刑務官になるには何が必要?
刑務官になるには刑務官採用試験に合格しなければなりません。刑務官採用試験ではどのような能力が求められているのでしょうか。刑務官採用試験は18歳から29歳までの男女に受験資格があり、試験を受けることが出来ます。
試験は第一次試験が筆記試験と実技試験に分かれています。第二次試験は人物試験、身体検査、身体測定、体力検査と試験内容は多岐に渡っています。
第一次試験の筆記試験の難易度は高校卒業程度と規定されていますが、受験条件に学歴としての高校卒業が必須とはされていません。そのため、高校を卒業していなくても試験を受けることは可能です。しかし、筆記試験の難易度から合格するのは高校や大学を卒業している人がほとんどです。
また、刑務官は特殊な職務になるので、政治的な思想や本人や家族の過去の犯罪歴なども調査され、試験に合格かどうかが決められます。筆記試験や実技試験などでいくら高得点だったとしても、国民生活の安全に関わる公安職としての職務を全うできないと判断された場合は、内定が出ないこともあります。
将来の幹部候補は国家試験採用試験に合格した人の中から選ばれる
刑務官はほとんどが刑務官採用試験を受けて刑務官になっています。ですが、ごくわずかな人数ですが、国家公務員採用試験に合格して法務省の職員として採用された人が刑務官に採用されることがあります。
この場合刑務官として採用されても、配属先での役割は教官や管理職がほとんどで、現場で受刑者に関わるということは研修以外ではまずありません。
欠員が出た場合には中途採用も行われます
通常の刑務官採用試験とは異なり、退職などによる欠員が出た場合はその欠員を補充する形で中途採用が行われることもあります。中途採用では男女ともに50歳までと、門戸は広く開かれていますが、給与は経験年推移に応じて上がっていくため、収入や出世などにはあまり期待できないといわれています。
ですが、公務員であることに変わりはないので中途採用が行われた際の倍率は、常に高い水準です。
武道拝命という特殊な採用枠
刑務官は特別枠として武道拝命という採用枠も存在しています。この制度は柔道や剣道、合気道などに熱心に取り組み大会などで実績を持っている人や、段位を持っている有段者の人を対象にしています。
主に他の刑務官の武道訓練や警備のための武術を練習する際に、指導官の役割を担います。この採用枠での試験は武道の実技が必須になるので、志願者は学生時代から継続して現役で競技に打ち込んでいる人ばかりで、かなりの実力を持った人間が多いです。
受験者の中には国体や全国大会、都道府県大会で入賞している人が沢山います。学力に自信がないからといって、気軽に受けられる採用枠ではありません。
身体測定で不合格になる場合もあります。
刑務官は公安に関わる職業であるために、自衛隊員や警察官と同じように身体測定が行われ、基準に満たない場合はその時点で不合格になります。
- 身長が男性160㎝、女性148㎝に満たない者
- 体重が男子47㎏、女性40㎏に満たない者
などの条件があります。
身長や体重で不合格にしてしまうことに批判もありますが、特殊な職務であるため必要な条件であるといわれています。
刑務官に向いている人、適性がある人
刑務官に向いている人は肉体的にはもちろん、精神的にも非常にタフであることが求められます。刑務官の職務は非常に特殊な公安に関わる仕事なので、普通では考えられないようなことが起こる可能性も常にあります。
そのような過酷な状況でも常に冷静かつ公平であるためには肉体的にも精神的にも強い人間でなければ職務を全うすることは出来ません。
職務上肉体的な強さが必要
刑務官は刑務所に勤務している公務員です。刑務所は受刑者が定められた期間入所しています。当たり前の事ですが刑務所は24時間365日休みがありません。夜勤や残業などをすることも珍しくはありません。休憩はちゃんとありますが、一回の勤務が24時間近くにおよぶこともあるなど労働環境は過酷な場合が多いです。
また受刑者の規則違反の取り締まり指導をしたり、反抗的な受刑者が暴力を振っている場合には取り押さえたりする必要があるため、非常に体力が求められる仕事であるといえます。日常の勤務に加えて武道の稽古や護身術逮捕術の訓練なども行わなければなりません。このように日常的に体力が求められる仕事なので肉体的に過酷な現場が多いです。
そのため、その肉体的負担に耐えられるだけの強さを持っていることが必要不可欠なのです。
精神的な強さも求められる仕事
刑務官は一般公務員のような事務仕事もありますが、ほとんどが刑務官しか経験しない特殊な仕事内容です。自衛隊や警察関係の仕事と同じく国家の公安に関わる仕事なので、理不尽なことや厳しいことを言われる経験もたくさんします。
公安に関わる仕事の多くでは軍隊のような厳しい年功序列の縦社会です。武道の経験者や運動部出身者が多いこともあり、上下関係もとても厳しいです。自衛隊や警察などでも時折先輩からのしごきと呼ばれるパワハラ、セクハラなどが問題になることも少なくありません。
加えて刑務官は、受刑者から恨まれることや、暴力をふるわれることも珍しくありません。自分では必死に仕事をしていると思っているのに、受刑者から一方的に恨まれたりしてもひたむきに職務を全うするという強い意思が求められます。
受刑者に対する教育と指導をする能力も必要
刑務官は受刑者に対して他の受験者とのコミュニケーションの取り方を始めとして刑務所内での日常の行動を教育していきます。食事や入浴、就寝などの日常生活を刑務所のスケジュールで分刻みに決められています。
入所したばかりの受験者は分からないことだらけなので、刑務官が根気強く教育指導していかなければなりません。
刑務官になるための学校、採用試験
刑務官になるために学歴は求められていません。採用試験は18歳以上の男女なら受けることが出来ます。
社会人を経験した人ならば40歳以下で高卒程度の人が受験することが出来ます。刑務官になるために絶対必要な学歴はありませんが、採用試験の内容は高校卒業程度の難易度に設定されているので高校は卒業しているのが望ましいとされています。
高校卒業程度の知識などが求められているので大学や専門学校に進学して教養や専門知識を身に着けてから刑務官採用試験を受験することはもちろん可能です。最近では公務員を志望する人が増えているので、大卒、大学院卒業の学歴を持っている人でも刑務官採用試験を受験する人の割合も多くなってきています。
採用試験には面接もあるので、高校に進学しなかったもしくは高校を中退している人でも面接で理由をはっきり説明することが出来るならば問題ありません。
武道経験者、体育会系出身者は有利になる
刑務官は職務上、体力や精神力が求められます。刑務官に採用される試験でも武道の実技試験がありますし、採用されても武道や護身術、逮捕術などの訓練は日常的に行わなければなりません。そのため、武道の経験者や体育会計出身者は採用試験の実技試験、面接でアピールすることが出来るので非常に有利になります。
早くから刑務官を志望している人は柔道や合気道、空手などの武道を高校や大学で経験しておくと、採用試験で他の受験生と比較して有利になれるといえます。
刑務官になるのに学歴は必要ない
刑務官は公務員の中でも珍しく、学歴的な差別がほとんどないといわれています。勤務態度が良好で勤続年数が長ければ、最終的に施設の責任者まで出世することが出来ます。
昇進試験はきちんと勉強をして受けなければなりませんが、学歴が求められないことは公平な人事が行われています。
刑務官になるには?まとめ
刑務官になるためにはタフであることが求められる
刑務官になるためには刑務官採用試験に合格しなければなりません。採用試験に学歴は必要ありませんが、高校卒業程度の学力と一般人の平均以上の体力が求められています。
刑務官は公安に関わる特殊な仕事です。刑事施設での特殊な職務を遂行するためには、精神的にも肉体的にもタフであることが求められています。そのため、武道の経験者や体育会系出身者は採用試験で特に有利になります。
刑務官の参考情報
平均年収 | 550万円~600万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 試験合格 |
職業職種 | 保安 |
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