左官の資格・試験とは?左官技能士検定や登録左官基幹技能者の資格を取得すると働く際に役立つ
左官として働くうえで習得しておいた方がよい資格に、左官技能士検定や登録左官基幹技能者認定があります。取得しないと左官になれないということはありませんが、これらは知識や技術の向上のために大変役立つ資格です。今回は、左官に関する資格、試験の難易度、学校などをご紹介します。
左官の資格とは?
左官技能士検定
日本左官業組合連合会によると、左官技能検定とは「働く人々の有する技能を一定の基準により検定し、国として証明する国家検定制度」とされています。この検定試験は昭和34年に始まり、厚生労働省が認定する比較的歴史のある国家資格で、左官職人として有している知識、技能を図り認定するために設けられたものです。
左官技能士は1級と2級、3級に分けられており、学科試験と実技試験をクリアしなくてはなりません。両方の合格が資格取得の条件ですが、一方だけ合格した場合は次回の試験時に合格した学科は免除される仕組みとなっています。1級試験は上級者、2級試験は中級者向けとされています。
受験資格には1級が7年以上、2級が2年以上の実務経験が条件とされていますので、ある程度現場で経験を積んだ人しか受けることのできません。一方、3級を受けるための必要な実務経験年数は必要ありません。
左官技能士 3級
左官技能士3級は、平成19年度前期技能試験から加えられた比較的新しいものです。学科試験内容は、施工法、材料、建築構造、製図、関係法規、安全衛生の6科目から構成されており、実技試験は左官作業を行います。
左官技能士 2級
2級の学科試験は、3級の学科内容に意匠図案(壁、床、天井及び開口部の意匠図案・色彩)が加わっています。実技試験は左官作業を行います。2級と3級との違いは実技試験での左官作業で、左官工事の施工以外にも、見取り図及び原寸図の作成、積算及び見積もりが範囲に加えられていることです。
左官技能士 1級
1級の学科内容は2級と同様です。1級と2級の左官作業実技試験での主な違いは、2級が塗り壁だけであることに対し、1級はそれに加え塗り天井も加えられていることです。試験をクリアすると1級合格者には厚生労働大臣名の合格証書が与えられます。なお、2級と3級は各都道府県の知事名の合格証書が与えられます。
登録左官基幹技能者
登録左官基幹技能者認定では、国土交通省に登録されている機関が行う講習を受ける必要があります。この資格は平成20年4月1日より建設業法施行規則の改正によりはじまりました。左官以外にも電気、造園、とび・大工など建設業に関係する様々なカテゴリーが定められています。
資格を取得するためには講習を受ける必要がありますが、全ての職種に共通していることは「実務経験10年以上、うち職長経験が3年以上」です。左官の場合も例にもれずこの条件が適用されるので、見習いやある程度の経験を積んだ左官というよりも左官業を営む企業などの経営者、親方などが取得する資格といえるでしょう。
左官の職種で登録左官基幹技能者の資格を得るためには以下のいずれかの条件が必要です。
- 1級左官技能士
- 職業訓練指導員(左官職種)
- 建設マスター
- 1級建築施工管理技士・2級建築施工管理技士(仕上げ)
講習を受ける以外にも「国土交通省による経営事項審査」により加点され、最終的な評価が下されます。登録基幹技能者制度推進協議会・一般財団法人建設業振興基金によると、平成27年3月末時点での登録左官基幹技能者の有資格者数は1,701人。
この資格者が企業内にいることで左官業の品質や安全性の確保、作業を進めるにあたるマネジメント力などを有していると判断され、仕事を発注する側からも信頼がアップすることがメリットとされています。
またこの資格は5年ごとの更新講習を必要とし、更新することで左官に関する能力水準を保持すること、法令改正や技術革新に対応した能力を身に着けることに役立っています。
左官の資格の難易度・合格率
左官技能検定試験
左官技能検定試験に関する正確な合格率は発表されていません。合格基準は100点を満点とし学科試験は65点以上、実技試験は60点以上が目安とされています。
登録左官基幹技能者
登録左官基幹技能者の資格取得には、講習会の受講と「国土交通省による経営事項審査」の加点で判断され、その合格判定基準は60%とされています。
地域ごとの試験開催、合格発表がされますが、ほとんどの受講者が合格しているのが現状ですので難易度が高いとはいえないでしょう。ただしこの資格はかなりの経験年数が必要なので、左官業に長年携わってきた人しか受けることはできません。
その他の左官関連資格
ブロック建築技能士
ブロック建築とは「穴あきのコンクリートブロックに補強鉄筋を通し、コンクリートを充塡(じゅうてん)しながら積み上げて造る建築」のことを指します。1~3級までがあり、それぞれ実務経験によって受験資格や難易度が異なり、学科試験と実務試験を受けなければなりません。
試験は1年間に2回開催されています。学科試験は建築構造、施工法、材料、製図、関係法規、安全衛生についての問題が出されます。また実技試験ではコンクリートブロック工事作業を行います。1級の受験資格は「7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上、3級合格後4年以上の実務経験」が必要で学歴により必要な実務経験年数は異なります。
2級は「実務経験2年以上、または3級合格者」が条件で、学歴により実務経験が不要になります。なお3級の受験資格はありません。ブロック建築技能士の資格は厚生労働省が定めている国家資格です。左官の仕事では必ずブロックを扱いますので、取得しておいた方がよいでしょう。
タイル張り技能士
タイル張り技能士の資格は、ブロック建築技能士と同様に厚生労働省が認定する国家資格です。タイル張りはお風呂や台所などの内装、または外装などでよく使用されています。1級と2級があり、資格取得にはそれぞれ学科試験と実技試験をクリアする必要があります。
1級は「7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上の実務経験」(学歴により必要な実務経験年数は異なる)、2級は「実務経験2年以上」(学歴により実務経験が不要)を受験資格と定めています。学科試験の内容は、施工法、材料、意匠図案、建築構造、製図、関係法規、安全衛生の7項目から出題されます。また実技試験はタイル張り作業を行います。
タイル工というタイルを扱う専門の職人も存在しますが、現代ではレンガやブロック積みに加えタイルに関しても左官が行う仕事としての認識も高いことから、タイル張り技能士の資格もぜひ取得しておいたほうが約に立つでしょう。
瓦葺き技能士
日本家屋に多く使われている瓦ですが、新築の家の施工や台風などで瓦が破損したときなど、瓦を屋根に設置する瓦葺きには左官が必ず必要です。瓦葺き技能士の資格は厚生労働省が認定する国家資格で1年間に1回試験が行われています。
1級と2級があり、屋根、施工法、材料、建築概要、製図、安全衛生を問われる学科試験、瓦葺き作業を行う実技試験があります。1級は「7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上の実務経験」(学歴により必要な実務経験年数が異なる)、2級は実務経験2年以上(学歴により実務経験が不要)が受験資格として必要です。
左官の資格が取れる学校
各都道の設置する職業訓練施設等
職業訓練施設とは、「職業能力開発促進法」に基づいて設置されているもので、都道府県が主体となっている「公共職業能力開発施設」と民間法人や事業主、事業団体などが都道府県知事に申請をし、認定を受けて行う「認定職業能力開発施設」に分けられます。
各都道府県によってその施設数は異なりますが、左官・タイル施工科、左官科などの名目で開講されていますので希望する場合は確認するとよいでしょう。
左官の資格まとめ
左官の資格以外にも関連資格も大いに役に立つ
今回の左官に関係する2つの資格は、取得することで一定のスキルや知識があるということをアピールするのに役立ちます。
左官技能士の資格は3級であれば経験の浅い人でもチャレンジすることができますが、登録左官基幹技能者検定は長年の経験や技術がないと取得するのは難しいと考えられます。左官の仕事は広いため、タイルや瓦葺きなどの関連資格も積極的に取得して仕事に役立てましょう。
左官の参考情報
平均年収 | 300万円~400万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 建築・不動産 |
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