絵本作家になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説

絵本作家になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説

絵本作家は、子供から大人まで様々な人が読む絵本を作って収入を得る人のことを指します。文字通り絵本を作る仕事ですが、必ずしも絵が描ける必要はなく、絵と文章を分業する人もいます。今回は、絵本作家に向いている人の適性や、必要な能力についてご紹介します。

絵本作家なるには何が必要?

物語を作り、周りの人や様々な人に語り聞かせるのが好きであること

絵本作家は、物語を作る仕事です。絵本は比較的小さな世界を扱う、比較的短い話が多いので、長大な設定は必ずしも必要ではありません。何よりも大事なのは、身近で日常の些細な出来事などからすぐに話が作れることと、それを読み聞かせるように伝えることが好き、あるいは、伝えることができることです。

絵本作家は、必ずしも子供を相手にした絵本を描かないといけないわけではありません。時にはシュールでブラックな内容の、難解な大人向けの絵本を描く人もいます。しかし大多数の絵本は子供向けです。

子供は文字を追うよりも母親など周りの大人からの語り聞かせによって内容を把握するので、子供向けの絵本を作る場合、文章も子供の等身大に合わせた語り口調だったり、または読み聞かせるような優しい言葉遣いを意識する必要があります。

童謡のように、簡単かつ身近な語彙を用いて、子供に語り聞かせるような言葉遣いを、文章にできることが求められます。特に子供向けの絵本を描こうと思っているならば、読み聞かせることのできる文章を心がけることが重要です。

絵本作家は、必ずしも絵が描ける必要はない

絵本作家は、絵本を作る仕事なので、絵が上手い人しかなれない、または個性的な絵が描けないと絵本作家にはなれない、そういう思い込みがありがちです。しかし、絵本作家には分業で絵本制作を行う人もいます。

話だけを考えて、絵は他の人に任せている人も少なくありませんし、近年では、お笑い芸人の西野亮廣さんが、森や建物キャラクターなど細かい要素に対してそれぞれの絵の専門家を起用して、分業スタイルで絵本を出版したのも大きな話題になりました。

自分で絵も背景も文章も描ければ、それはそれで申し分無いですが、絵が描けない、文章が書けないからと言って、絵本作家になれないわけではありません。それぞれを得意な人に任せて、なんなら絵も文章も人を雇って自分は原案だけ、なんていうこともできなくはありません。

絵本作家に必要なのは、プレゼンテーション能力と、プロデュース力

絵本作家が見出されるルートは、近年作品を提示できるメディアの多様化が進んだとはいえ、広くメジャーな商業出版の世界でデビューしたいと思ったら、基本的には「出版社に自分で持ち込みをして才能を認めてもらう」ことと、「絵本のコンテストに入賞すること」の2つのみと言っていいでしょう。

個人なら尚更ですが、出版社に持ち込みを行う際は、自分の作品をしっかりアピールできる、プレゼンテーションできる能力が重要です。どんなにいい作品であったとしても、それが出版する側の人間に伝わらないと話になりません。例えば分業制で営業は別の人にやってもらうプロジェクト形態であったとしても、根幹を担う絵本作家が作品の売りをわかっていないことには、うまくいくものもうまくいかないでしょう。

近年はpixivなど広く一般にイラストや短いストーリーの絵本を公開できる場も増えてはきましたが、WebやSNSの立ち回りに関しては、それこそ自己プロデュース力を大きく求められます。作家全体に言えることですが、売り込みをしっかり行うことで作家は長く生き残って行きます。絵本作家も同様です。

絵本作家に向いている人、適性がある人

想像力や感受性などに富み、心が豊かな人

絵本作家は、子供向けのストーリーを考えて、それを絵と文章で子供達に伝えていくアプローチで世に作品を出している人が多いです。子供ほど、想像力や感受性が豊かな存在は他にいません。人は、大人になるほどに子供の頃に持っていた想像力や自分独自の視点を忘れてしまいます。

子供達にとって素晴らしいと思えるような絵本を描ける人は、大人になってもなお、人並み外れた想像力、些細なことに対しても敏感に反応してしまうような豊かで繊細な感受性を併せ持っているものです。そして同時にそれは、子供が一番持っているものでもあります。

つまり、大人になっても子供の視点で物事を考えられる、子供心を忘れない人が、絵本作家に向いています。大人になっても子供に対して等身大の態度で一緒に遊ぶことができるような人であれば、その「子供に対する接し方」を「絵本」に変えるだけでいいのです。

些細なことに対しても深い関心を持つことができる好奇心旺盛な人

絵本を読むと、視点がすごく独特な作品が多いです。そして、より日常の些細なこと、焦点を絞ったストーリーのものが多いのも特徴と言えるでしょう。あまりスケールの大きな話は、特に子供向けの絵本に関してはあまり見られません。

野菜一つだけに焦点を絞ったり、大きなモチーフが一つあって、それに対して関わることで人々が戸惑ったり楽しんだり。ひとりぼっちの生物が、色々と思い悩んだ挙句に友達が一人だけでも出来たり、など。一つのものを淡々と作っていくだけの話もあれば、人々が食べ物を摂取してから体内で消化して排泄するまでを童話のようなファンタジーにしてしまう人もいます。

大人が些細なことと思って見逃してしまう小さなモチーフを、いかに膨らませてストーリーにするかが、絵本作家は特に重要となります。好奇心が旺盛で何に対しても一定以上の関心を持てる人が、絵本作家に向いています。

読者の視点に常に立つことができる人

どんな作家でもそうですが、読者が何を求めているかを把握し、それに沿って作品作りをすることは、少なくとも商業作家で成功するためには必須と言えるでしょう。

程度の差こそあれ、売れている作家さんは、それを実践しています。完全な戦略という意識として行っている、仕事として割り切って行っていると公言する人は殆どいませんが、大なり小なり必要となってくる現実です。

読者の視点、つまり自分にとってのメインターゲットに刺さるような作品作りを行わなければ、自分としても満足して作品作りができなくなるでしょうし、いつまでたっても売れません。趣味で割り切るのでも無い限り、好きなことよりも、求められることを重要視したほうが、作家としての成功率は上がると考えられます。

もちろん、読者に媚びるのとはまた違います。自分の持っている個性をいかに把握し、自分の売りにするかを意識した作品作りができる人が絵本作家に向いています。

特に、自分が子供の心を忘れていないので子供向け絵本を作る、というのは絵本作家にとって理想的とも言える状態です。自分も楽しく、読者の受けもいいので売れる、売れるから次回作もどんどん作れる、という好循環を、うまく立ち回れば作り出すことができるでしょう。

絵本作家になるための学校・教室

絵は必ずしも学ぶ必要はないが、美術系の学校にいくと「目」が養われる

絵本作家は、その性質上、特に特定の学校を出ている必要はありませんし、極端なことをいうと絵を描くことができなくても、絵本作家になることができます。しかし、絵本というメディアで表現活動を行う以上、色彩の使い方や、画面の構図を作る力、本として表現をまとめるための構成力を磨くなら、美術、とりわけデザイン系の学校に進むのも一つの手です。

絵が描ける人なら、そこでイラストの描き方、絵の描き方、絵本の作り方に関してより専門的に学ぶことができますし、絵が描けない人でも、実際に絵に触れることで絵を描く人の視点を身を以て経験できます。そして色彩学や平面構成などを学ぶことで、自分が想定する絵本の形を思い描くこともできるようになるでしょう。これは、非分業でも分業でも同じことです。

絵本教室、絵本の講座もあるが、幼児教育の大学に進むのもあり

デザイン系の専門学校には、絵本に特化したコースもあります。また絵本を専門にした通信講座もあります。より実践的に絵本を作りたいとか、社会人として働きながらであるとか、学校に通いながらであれば、こうした選択肢もありでしょう。

考えようによっては、絵本を作るよりも幅広いアプローチで、まずは子供の心を学ぶというのも一つの選択肢としてはありかもしれません。幼児教育を学べる教育学部などに進学すれば、保育実習を始め、子供に触れ合える機会も多くあります。また幼児心理学も学ぶことができるので、絵本作家の素養を養う力になることもあり得ます。

総合大学であれば、他学科の講義で経営学やマーケティング理論を合わせて学ぶこともできるかもしれません。

絵本作家になるには?まとめ

子供や大人に想像豊かな表現を届けられる大切な仕事

絵本は、新たに生まれ未来を担う子供達の想像力を刺激するだけでなく、子供の心を忘れた大人たちにも、新たな情趣を生むことができる、社会にとって大切なクリエイティブです。アプローチによっては、漫画でも文学でも無い独自の立ち位置から、これまでにない市場を生むこともできるでしょう。

絵本を通して、様々な人々を子供の視点に立ち返らせることができるかもしれない絵本作家の仕事は、今後ますます重要になって行くでしょう。

絵本作家の参考情報

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