航海士の資格・試験とは?海技士 資格試験の概要と合格の秘訣
航海士といえば、大型の客船やタンカーを安全に運航するためには必要不可欠な仕事です。年収が高いと言われている一方で、航海士の資格は取得することが難しく、取得するためには猛勉強をすることが必要になります。このページでは、航海士の資格難易度について詳しく紹介します。これから航海士を志す方は参考にしてください。
航海士の資格とは?
航海士は給与面がよく、航海士になることで年収1,000万円以上も夢ではない仕事です。それでは、航海士になるためにはどのような資格が必要なのでしょうか。航海士に必要な資格について紹介していきます。
航海士として働くには海技士の資格が必要
航海士として就業するためには、海技士という資格を取得する必要があります。海技士といってもさまざまな種類の資格があります。海技士の資格は次の4種類の資格に分けられます。
航海
航海士を目指す上では、航海の資格を取得する必要があります。航海の資格を取得していると、航海士として活躍することができ、主に航海のプランを提案したり、航海中に海の異常がないか、天候を予測して航路を検討するなど、船を安全に進める上で必要不可欠な役割を担います。
通信
通信は船外とのやりとりをするために必要不可欠な仕事です。航海先によっては船に危険を知らせる信号などを受信するケースもあります。船は海に出てしまうと孤立してしまうため、通信担当者が外部とのやりとりを円滑にすることで、安全な航海のサポートをします。
機関
海技士でも機関の資格を保有していると、機関士として仕事を行うことができます。機関士は船内の機械が正常に動いているかを管理する仕事です。また、速度を上げて欲しい時は機関士と航海士が連携をとることで大きな船を動かすことができます。
機械が故障してしまうと船員の命を危険に晒してしまう可能性があるため、船内の機械を厳重に管理します。
電子通信
船の電子機器が正常に動いているか、レーダーなどの繊細な機械を主に管理する仕事です。
通信士と連携することで、外部との連絡経路を確保することができます。電子通信が壊れてしまうと、船の航海に影響を与えてしまうだけでなく、航海士の立てたプラン通りの航海ができない可能性があるので、電子通信の資格も海技士にとっては重要です。
このように、海技士にはさまざまな資格があります。航海士になるためには、航海の資格を取得するようにしましょう。また、余力があるのであれば他の資格を取得しておくと、船内でさまざまな役割を担当することができるので、長期的な視野で獲得することも検討しておきましょう。
航海士の資格を受けるために必要なこと
航海士の資格を取得するためには、ただ試験に備えた勉強をしていれば良いということではありません。上位の資格になると乗船実習が必要、乗船履歴が問われることがあります。
4級以上に必要な資格
4級、3級になると、商船大学、海上技術短期大学での乗船実習が必要不可欠になります。それぞれの学校で学習期間が異なるため、どの大学、学校で学ぶかによって資格取得ルートが異なることを覚えておきましょう。
2級以上に必要な資格
2級以上になると、乗船実習だけでなく実際に乗船した経験がどの程度あるのかを問われることになります。この乗船履歴は試験の際に重要になるため、乗船経験をある程度こなした上で資格を受験することになります。
そのため、上位の資格を取得するためには、短期で取得することが難しく長期に渡って試験対策をしておく必要があることを覚えておきましょう。
航海士の資格の難易度・合格率
航海士の資格難易度はどの程度なのでしょうか。合格率とともに紹介していきます。
1級取得までが長い道のり
航海士の資格はとても難易度が高く、3級以上になると合格率が30%以下になります。2等航海士であれば、ある程度資格勉強をしていればなることができる一方で、3級以上の資格を取得するためには相当の努力が必要であることを覚えておきましょう。各資格の合格率は次の通りです。
等級 | 合格率 |
---|---|
6級 | 68% |
5級 | 71.4% |
4級 | 81.4% |
3級 | 31.3% |
2級 | 17.8% |
1級 | 15.8% |
1級になると難易度がかなり上がり、航海士の中でも限られた航海士のみしか取得していないことが分かるのではないでしょうか。なぜこのように資格取得が難しいのでしょうか。
航海士に合わせた問題が出題される
上位の資格になると、過去問を完璧に解くことができなくてはいけません。例えば3級の資格の場合、過去の3年以内の海技士の試験に対して高得点を出すことができなければ、合格が難しいと言われています。そのため、挑戦する航海士は業務の合間に猛勉強する必要があります。
また、最難関と言われている1級の資格では、筆記試験以外の難関が待っています。それが、口述試験です。乗船履歴に合わせた問題が出題されるため、応募者が全く同じような問題が出題されるということはまずありません。乗船履歴での経験と、臨機応変さが口述試験では問われるため、試験対策を入念にしておく必要があります。
このように、航海士の試験はとても難易度が高く、過去問だけでなく実践的に備えた問題を解く必要があります。上位階級の資格を持っていないと航海士として出世することが難しいので、航海士になるのであれば、1等航海士を目指して上位資格を取得するように日々勉強に励みましょう。
その他の航海士に関連する資格
航海士で取得しておいた方が良いその他の資格はあるのでしょうか。航海士の他に持っておくと良いのが、機関士や通信士の資格です。もちろん、資格を保有していなくても航海士として問題はありません。しかし、取得しておくと仕事の幅が広がる可能性があるので、前向きに検討しておきましょう。
英語以外の言語
航海士として英語を取得していれば、海外向けの船に乗船した時役立てることができますが、英語だけでは不十分なケースがあります。
例えば、アフリカや南米といった地域では英語が通じないこともあります。このようなケースがあるため、英語の他にフランス語、スペイン語を習得しておくと航海士兼通訳として乗船することができるので、言語の勉強も時間がある時にしておきましょう。
また、調理師の資格を持っていれば船内のコックのサポートもできるため、航海士以外の資格を取得する気持ちがあるのであれば、船内で活用できそうな資格を前向きに検討するようにしてください。
航海士の資格が取れる学校
航海士の資格を取得するためには、どのようなすればよいのでしょうか。航海士になるためには、指定された学校での乗船実習が必要になります。また、さまざまなルートがあるので、最短で取得を目指す方とそうでない方では通う学校も異なるのでぜひチェックするようにしてください。
大学
大学で航海士の受験資格を取得することができます。水産系の大学で6ヶ月の乗船実習を行い、卒業後に6ヶ月の乗船実習を重ねると3級の資格を受けることができます。また、大学では航海士の勉強もできるので、資格対策を行いつつ大学卒業の資格を取得することができます。
海洋技術短期大学に通う
大学に通うことが難しい方は、海上技術短期大学でも航海士の資格受験をするための条件を満たすことが可能です。短期大学を卒業すると、4級の受験資格を受けることができます。
海上技術学校に通う
航海士に少しでも早くなりたいという方は、海上技術学校へ通うことをオススメします。中学校卒業から入学できるため、最短で18歳で航海士になることが可能です。
中学生で航海士になりたいという気持ちが強いのであれば、海上技術学校に通い航海士になることを目指しましょう。卒業後に4級の資格を取得するための受験資格を取得することが可能です。
航海士の資格・試験まとめ
資格取得するための道のりが険しい職業
航海士の仕事は一般的に他の仕事よりも年収が高い仕事と言われています。また、大型の船に乗船することができれば世界を自由に航海することができ、限られた人しか味わうことができない経験を得ることができます。
しかし、航海士になるためには厳しい資格試験を突破しなければなりません。取得を志す方は海技士の資格勉強をしっかりしておくことをオススメします。
航海士の参考情報
平均年収 | 500万円〜800万円 |
---|---|
必要資格 |
|
資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 運輸・乗り物 |
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